深海棲艦に殺されたら、提督として戦うことになりました。(旧題)一度死んだら提督として戦うことになりました。   作:名無しの兵六

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第70話 新たな仲間

 新生“おおすみ”を出渠させるときに同席した上級士官たちは皆が一様に遠い目をしていた。あの霞や森原中佐でさえだ。岸壁に接岸すると、“しらね”と“くらま”が小さく見えてしまう。出原中佐に操艦の感想を聞くと、小型艦のような反応速度で驚いたとのことだった。まぁ、そうだろうな。

 

 ちなみに中条大尉に見せたら、フーンという感じで、

 

「ラー・カイラムとかいけるんじゃないですか?マクロスでもいいですけど。」

 

 と平然と言ってのけた。いや、多分、資材を用意したらできるんだろうけど、面倒ごとがこれ以上増えるのは嫌だから、やらない。ちなみに中条大尉達、第1特機中隊のジム・スナイパーⅡは増加装甲・増加ブースターに加え、背面に折り畳み式の2基の超電磁砲(レールガン)を装備することになった。ミクによると中距離用だそうだ。まぁ、そこまでぶっ飛んだ兵器じゃなくて安心した。

 

 さて、先日の船団護衛任務の際の報酬資材は全て“おおすみ”の改造に(つい)やしたので、現状は資材生成プラントと定期供給の資材のみ備蓄されている。森原中佐と分け合いながら使っているが、船団護衛任務中にプラントの生成能力を妖精さん達が向上させてくれたらしく、“おおすみ”の改造をした現在でも艦娘を召喚建造できる分量の資材が貯まっている。

 

 そういうわけで、久しぶりに召喚建造を行う。今回は霞と金剛が一緒に立ち会う。先日、秘書艦を試しに持ち回り制にしてみたいと皆に提案したところ、全員が手を挙げてくれて、最終的にジャンケンで順番が決まった。その試し期間の開始が今日からだからだ。ちなみに皆とって秘書艦業務は初めてのことなので、霞が試し期間中は補佐に着いてくれている。(よう)は今日の秘書艦は金剛ということさ。抱き着き癖がなければ良い()なんだがなぁ。

 

 さぁ、召喚建造だ。今回は駆逐艦娘を中心にしたいと思っている。そして、ミクの力は使わずにしてみる。工廠に着くとタンクトップ姿の夕張が迎えてくれる。明石は酒保の方にいるそうだ。ミクもやって来てくれたが、今回は助力を断る。ミクは笑顔で、

 

「頑張ってくださいねー。困ったことがあればいつでも呼んでくださいー。」

 

 そう言って、ミョルニルアーマーの整備に戻る。つーか、整備のたびにミョルニルアーマーはプチ改造されているんだよなぁ。まるで、俺がミョルニルアーマーの性能に慣れるのを見計らうように。そんなことを考えながら建造ポッドの前に立つ。4基の建造ポッドに最低限の資材を入れて、召喚建造を始める。建造ポッドが動き出し、完了時刻が映し出される。うん、これなら駆逐艦娘は確定だろう。

 

 召喚建造が完了するまで、何をしようかと考えていると、以前、ミクがジョンソン上級曹長のスターク・ジェガンの予備だと言って、好き放題造ったRGM系列のMS艤装があったな。あれをちょっと使ってみるか。

 

「なぁ、召喚建造が終わるまで金剛か霞、どちらか模擬戦しないか?そっちは実弾でいいよ。俺はあそこにあるMS艤装を試してみる。」

 

「なら、折角だから金剛さんがいいわね。私は審判をするわ。金剛さんお願いできるかしら?」

 

「OKデース。」

 

 どれにするかな・・・。小説版のグスタフ・カール軽装型にしよう。小説通りの細身の機体だからミョルニルアーマーのように動かせるだろう。Gジェネで出ていた重装型はそのうち試すさ。

 

 そして、グスタフ・カールの装着を始める。センサー起動、各部のロックよし。原子炉の稼働を確認。出力上昇中、安定域に入った。神経接続開始、・・・完了。これで動けるようになった。ちなみに神経接続ができるのは俺だけだ。他のMS艤装は脳から発信される電気信号を艤装が読み取り稼働する。だから、神経接続のできる俺より少しだけ動きが遅い。

 

 ペイント弾の入った模擬戦用のライフルを手に取り、海へと出る。既に5km先には近接戦闘パッケージを装着した金剛が待機していた。

 

「『待たせてすまんな金剛。』」

 

『大丈夫ダヨー。』

 

『2人とも準備はよさそうね。では、今から模擬戦を始めるわ。私の空砲が合図よ。』

 

 ドンッ!!と岸壁にて霞が空砲を鳴らす。それと同時に金剛が主砲で砲撃を開始する。俺は8発の主砲弾を頭部バルカンで撃ち落とす。流石、センサー系が優秀だ。金剛は増速しながら接近を始めた。両手に持ったM6H ハンドガンと主砲、副砲、各銃座で攻撃してくる。主砲弾と副砲弾は頭部バルカンで迎撃できるが、ハンドガンと銃座の銃弾は無理だな。

 

 ペイント弾を撃ちながら、回避行動をとりつつ、左手には膝横から抜いたビーム・サーベルで当たりそうな銃弾を薙ぎ払う。おぉ!!上手くできた。スパロボみたいで面白いなコレ。

 

『何デスカー!?今の!?』

 

「『ははっ、秘儀、薙ぎ払いってな。』」

 

『ズルイデース!!』

 

 ペイント弾を体をひねり(かわ)しながら金剛が文句を言いつつも主砲を撃ってくる。ほう、かなり練度を上げたな。俺はバルカンで迎撃しようとする。すると、砲弾が空中で炸裂した。

 

「三式弾か!?考えたな。だが、甘い。」

 

 背中のメインブースターを最大出力で噴かす。三式弾の弾子の雨を()(くぐ)り、金剛に急接近する。金剛はそれにハンドガンで冷静に対処する。おれはフレキシブル・シールドで防御し、さらに接近する。

 

 金剛はワンマガジン撃ち終えると、すぐに両手でナイフを構える。接近戦は俺の領分だ。刺突と薙ぎ払いを仕掛けてきたが、どちらも(かわ)して金剛のおでこに力を抑えたデコピンをする。

 

「痛いデース。」

 

「俺の勝ちだな。『霞、判定を。』」

 

『金剛少佐の頭部損壊判定により、湊大将の勝利。凄かったじゃない。特に金剛さんはペイント弾を上手く(かわ)せていたわね。艤装への被弾は有ったけど小破にもいかない被弾数だったわね。司令官はいつも通りの人外機動をありがとうってところかしら。』

 

「『俺への評価が酷いな。まぁ、いい。帰投する。工廠で合流しよう。』」

 

『了解。』

 

「金剛、帰投するぞ。入渠も許可するが、どうする?」

 

「ん~、大丈夫ネ。汗もそんなにかかなかったからネー。」

 

 そう言って、体を寄せてくる。

 

「折角だから、ヘルメットとってくださいヨー。」

 

「あいよ。」

 

 そう言って、プシュッと軽く音がして頭部パーツを外せるようになり、外す。

 

「うん、やっぱり提督は素顔の方が素敵ネー。」

 

 笑顔でそう言って、右腕に抱き着いてくる。さて、こういう時には、どう反応すればよいのだろうか?そんなことを考えているうちに工廠に着いた。海面から上がり、MS艤装を元の場所に格納する。

 

 建造ポッドの前では既に夕張と霞がスタンバイしていた。程なく艤装を置いた金剛も合流し、最後にミクがやって来る。建造ポッドに表示されている時間は4基とも0になっている。それでは、ご面会といきましょうか。

 

「ミク、ポッドを開けてくれ。」

 

「了解ー。」

 

 4基のポッドが開き、中から艦娘が出てくる。今回も艤装のみの所謂“被り”は無かったようだ。

 

「アタシ、綾波型駆逐艦“朧”。誰にも負けない・・・多分・・・。」

 

「綾波型駆逐艦“漣”です、ご主人様。こう書いて“さざなみ”と読みます。」

 

「特型駆逐艦・・・綾波型の“潮”です。もう下がってもよろしいでしょうか・・・。」

 

「僕は白露型駆逐艦、“時雨”。これからよろしくね。」

 

 ポッドから出てきた順に名乗ってくれた。

 

「私がこの柱島泊地司令長官の湊 海斗だ。階級は大将。共に戦えることを嬉しく思う。よろしくお願いする。」

 

「私は、朝潮型駆逐艦10番艦の“霞”よ。階級は准将で、泊地の副司令みたいなことをしているわ。」

 

「私は、金剛型高速戦艦1番艦“金剛”デース。階級は少佐デス。みんなと一緒ネ。」

 

 俺達もそれぞれ名乗り、用意していた少佐の階級章を4人に渡す。

 

「それでは、今から簡単にだが君たちの立ち位置について説明する。君たちは先の大戦で・・・。」

 

 と、世界の現状、艦娘の人権や軍における福利厚生などの待遇等々について説明を5分ほどで簡単に行う。それが終わると、泊地内の案内をする。とは云っても俺は司令官業務があるので、岸壁で新生“おおすみ”の巨体に驚いている4人の残りの案内を秘書艦補佐の霞に任せる。元々、その予定だったので問題は無い。俺はラフに敬礼して金剛と共に執務室へと戻る。

 

 昼食のために食堂に行くと、漣が手を挙げて招いていたので、注文したモノを受け取り、金剛と共に漣達のテーブルに向かう。テーブルには、霞、漣、曙、朧、潮、時雨がいた。

 

「ご主人様ぁ、“ぼの”が居たなら最初に教えてくださいよ~。」

 

 席に着いた俺に漣がそう言ってくる。

 

「あぁ、すまん。確か第7駆逐隊で一緒だったんだよな。」

 

「そうですよ~。霞准将に教えてもらうまで会えなかったんですから~。」

 

「ダメだよ、漣ちゃん。提督にそんな口調は・・・。」

 

「え~、ダメなんですか~?」

 

「ん?いや、そんなことはないぞ。公的な場以外でならそんなに(かしこ)まらなくていい。霞、説明はしたんだよな?」

 

 一応、霞に尋ねる。

 

「したわよ。まぁ、潮さんのは、そういう性格だと思っておけばいいんじゃないかしら。」

 

「ふむ、そんなもんかね。ま、泊地にいるときぐらいは気楽にいこうや。さぁ、とりあえずは、飯だ飯。間宮と伊良湖、鳳翔が作ってくれているから上手いぞ。」

 

 俺は笑顔でそう言いながらカレーを食べるスプーンをすすめる。

 

「話しがわかるご主人様でよかった~。」

 

 漣がニコニコと笑顔で安堵していると、朧が質問してくる。

 

「提督自身が深海棲艦と戦っているって本当ですか?」

 

 俺は、口の中のカレーを呑み込み、水を一口飲んで答える。

 

「ん、本当だ。まぁ、最近は少なくなっているんじゃないかな?なぁ、霞。」

 

「さぁ、どうだか。あ、コイツのスコアは参考にしなくていいからね。4桁いっているから。」

 

 そういうと、新参組は皆、口をポカンと開けて俺を見る。俺は手をヒラヒラと振りながら言う。

 

「装備のおかげさ。もし、俺の実力を見たいなら模擬戦するか?付き合うぞ。」

 

「いいんですか!?」

 

 朧が前のめりで聞いてくる。

 

「勿論だとも。1400から始めよう。取り敢えず、飯を食え、飯を。」

 

 さてと、どんな感じでするかね。そして、霞、そんな目で見ないでくれ。ちゃんと仕事はするから。




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