深海棲艦に殺されたら、提督として戦うことになりました。(旧題)一度死んだら提督として戦うことになりました。   作:名無しの兵六

71 / 101
第71話 模擬戦

 さて、模擬戦だ。審判は霞。相手は漣、朧、潮、時雨の新参組の4名に曙、吹雪、叢雲、白雪、深雪、満潮の6名を加えた10名だ。装備は駆逐艦の標準的な装備に加え、新参組以外は近接戦闘パッケージを身に付けている。後は、各々の好きなような装備を追加している。ちなみに弾は実弾だ。

 

 俺は、ペイント弾入りのアサルトライフルと背中に対物ライフル、右腰にハンドガンと左手にはガーディアンシールド。ビーム・サーベルが使用できないので木刀を2本左腰に下げている。

 

 すでに互いに5kmをあけて正対している。審判の霞から全員へ向けての通信が入る。

 

『総員、聞こえているわね。これより模擬戦を行うわ。艦娘側は実弾を使用するから、司令官の損傷度合いはわかるけど、司令官が使用するのはペイント弾だから、艦娘側の損害はそれぞれの妖精さんが判定して、損傷度合いに応じて性能を落としていくわ。司令官を倒すか、艦娘側が全滅判定を受けるかまで模擬戦は終わらないから集中しなさいよ。では、始め!!』

 

 ドンッ!!と空砲が撃たれると同時に、既に射程内なので砲弾の雨が降ってくる。それをジグザグ機動で回避しながら距離を詰める。もちろん、それに比例して機銃が加わり弾幕も濃くなっていく。避けきれない砲弾はガーディアンシールドで受け流す。受け流した砲弾や機銃弾が後方で水柱を上げる。

 

 MA5D アサルトライフルと入れ替えでSRS99-5 対物ライフルを構える。腰だめ撃ちで初の反撃をする。銃弾が白い尾を引きながら空気を切り裂き飛んでいく。4発をすぐに撃ち終わり、ガーディアンシールドに隠れながらリロードする。

 

「キツイな。」

 

「なら終わりにしてあげるわ。」

 

 ガーディアンシールドの陰から満潮が右手にハンドガンと左手にコンバットナイフを持ち現れた。クソッ!!モーショントラッカーから目を離していた、油断した!!最大戦速である60ノット(約111k/h)の勢いの乗ったコンバットナイフの振り下ろしに対して、俺はブースターで勢いよくスライドして回避し、ハンドガンは対物ライフルの銃身をぶつけることで銃口を逸らし回避する。

 

「よくやるわね!!」

 

「それは、こっちのセリフだ。船団護衛任務に出ている間に、かなり鍛えたな。上官として嬉しいぞ。」

 

「お褒めの言葉ありがとう。」

 

 そう言いながら、回し蹴りを放ってくる。パンツ見えたぞ今。

 

「おい、対人相手にそれはやめないか?スカートだからパンツが見えたぞ。」

 

「残念、ペティパンツっていう見せパンよ!!」

 

 回し蹴りの勢いのまま、ナイフの薙ぎ払いを仕掛けてくる。それを対物ライフルの銃身で滑らせて()らす。勢いがついている満潮は少し前のめりになる。もらった!!対物ライフルを高く放り投げ、右手でナイフを持った満潮の左手を掴み、グイッと引っ張り、足を引っかける。そのまま、バランスを崩して海面に倒れるかと思いきや、踏ん張って体勢を整えようとする。しかし、その一瞬で充分。俺は木刀を振り向こうとする満潮の首に軽く当てる。一文字に赤のペイントがついた。

 

『満潮少佐、頸椎(けいつい)部に損傷、戦闘続行不能と判断。離脱しなさい。』

 

「くっ、まだまだと云うことね。」

 

 そう言って、満潮は模擬戦域から離脱する。俺は、ガーディアンシールドに身を隠しながら放り投げた対物ライフルをキャッチし、次に備える。すると、ガーディアンシールドに加わる衝撃に変化が増えた。

 

「あいつら、深雪の真似をして魚雷を投げて撃ち抜いてやがるな。」

 

 少し、顔を出すと、魚雷だけでなく爆雷も投擲(とうてき)している。これは当たったらエネルギーシールドを結構もっていかれるかもしれないな。まぁ、満潮との接近戦の後にすぐに機動戦をしかけなかった俺の自業自得か。

 

 対物ライフルからアサルトライフルに持ち替えブースターを噴かしてジグザグ機動を開始する。モーショントラッカーで確認をしながら距離を詰めていく。皆、後進しながら砲撃をしているが、速度はこちらの方が上だ。すぐに追いつく。

 

「なめんなクソ提督!!」

 

 曙の声と共にガーディアンシールドに衝撃が走る。そのままガーディアンシールドで押し返し、ガーディアンシールドから体を出すと、片足を大きく上げてバランスを崩している曙がいた。スカートの中が丸見えだ。多分、蹴りをくらわしたんだろうな。俺の視線に気づくと、

 

「こっちを見るなぁぁ!!スケベ!!」

 

 と言われてしまった。

 

「ん?見せパンを着ているんじゃないのか?」

 

「あんなの準備がいい奴だけよ。」

 

 あっ(察し)。すぐに視線を逸らし、アサルトライフルをワンマガジン分上半身があるであろう場所に叩き込む。

 

『曙少佐、上半身に致命弾多数被弾。撃沈判定よ。離脱しなさい。』

 

「覚えてなさいよ。クソ提督!!」

 

 薄ピンク色のパンツのことをか?とは言わない。ここは普通に(ねぎら)いの言葉をかける。

 

「良い蹴りだったよ。ご苦労さん。」

 

 そして、そのまま戦闘続行だ。ガーディアンシールドを此処からは武器として使う。つまりは体当たりだ。

 

「ちょ、深雪さまが標的か、マジかよ。なら、喰らえ深雪スペシャル!!」

 

 そう叫んだ深雪は魚雷と爆雷を同時に投げて撃ち抜いて爆発させる。爆風を思わずガーディアンシールドで防ぐ。そして、ガーディアンシールドを払いのけるように深雪が(あらわ)れた。両手にコンバットナイフを持っている。

 

 左からの刺突を(かわ)し、右からの薙ぎ払いをアサルトライフルの銃床で受け止める。(かわ)したナイフが再度、迫ってくる。それを左足で蹴り上げる。鈍い音ともにナイフが海面に落ちる。

 

「いってぇぇぇぇ!!これ、絶対、手首が折れたよ!!」

 

『深雪少佐、小破。痛いなら離脱してもいいわよ。』

 

「『冗談言っちゃいけないねぇ。この深雪さまは、そうそう簡単には退かないよ!!』というわけで、司令官、喰らえ深雪スペシャル2号!!」

 

 深雪が痛みをこらえながらもさらに攻撃を加えてくる。ナイフの連撃をアサルトライフルで(さば)きながら、他の艦娘の動きを見る。深雪が俺に接近しすぎているせいで、砲撃が行なえないようだ。だったらこうしよう。

 

 左手でガーディアンシールドを保持したまま深雪を抱きしめる。深雪は顔が真っ赤になり、

 

(はな)せぇー!!」

 

 と左手に持ったナイフの柄で俺の背中を叩くが、5万馬力相手にもミョルニルアーマーはビクともしない。深雪とガーディアンシールドという2つの盾を持ち、突撃する。まぁ、深雪はガーディアンシールドの内側にいるので、攻撃が当たることはまず無いだろう。衝撃は多少くるかもしれないが。

 

「深雪を盾にするなんて僕は感心しないなぁ。」

 

「時雨、戦場ではそんな甘いこと言ってはいられないわよ!!」

 

「わかっているさ。」

 

 時雨と叢雲が突っ込んでくる。時雨は近接戦闘パッケージを付けていないのにナイフを持っている。あぁ、深雪がさっき落としたやつか。叢雲は自前の槍を構えて刺突してくる。

 

「なら、返してあげよう。」

 

 そう言って、接近しつつある時雨に深雪を押し出す。2人とも思わぬ形で衝突することとなり、一瞬だけ硬直する。叢雲の刺突をターンしながら回避し、アサルトライフルのワンマガジンを未だに離れていない時雨と深雪に叩き込む。

 

『深雪少佐及び時雨少佐、大破相当の被害を受け戦闘続行不能と判定。戦域から離脱しなさい。』

 

「いってぇー。絶対折れているよな、コレ。」

 

「多分ね。早く入渠した方がいいかも。」

 

 叢雲の攻撃を(かわ)しながら痛がっている深雪に謝る。

 

「すまんな。深雪。」

 

「いいよ、いいよ。司令官が本気で戦ってくれていたってことなんだからさ。」

 

 痛みに耐えながらも笑顔でそう言ってくれる深雪は強いな。時雨と共に戦域から離脱する。

 

「これで、遠慮なくあんたに攻撃できるわね。」

 

「それは、こっちのセリフだ。叢雲。」

 

 槍の刺突をガーディアンシールドで強く弾く。そのせいで叢雲はバランスを崩すが、体勢をすぐに立て直す。アサルトライフルでペイント弾を撃つが横滑りで回避されて致命弾とならない。偏差射撃を織り交ぜてもターンして(かわ)す。フィギュアスケーターみたいだな。

 

 そうこうしていると、叢雲との距離が20mほど離れた。待っていましたとばかりに吹雪達の砲撃が再開される。すぐにガーディアンシールドで防ぐがこのままでは(らち)が明かんな。推進剤の残量を確認し、最大推力で100mほどジャンプする。太陽と重なると同時にガーディアンシールドを手放し、アサルトライフルとハンドガンでペイント弾の雨を頭上から降らせる。

 

『漣少佐、潮少佐、頭部被弾により大破相当と判定。戦域から離脱しなさい。』

 

「そんなぁ、ご主人様強すぎぃ。」

 

「・・・遊ばれちゃった。」

 

 遊んでは無いぞと言いたいが、舌を噛みたくないので無言でドンッ!!と着水する。着水と同時にさらにブースターを噴いて吹雪達の背後に周り込む。アサルトライフルとハンドガンは予備弾倉をガーディアンシールドに収納していたので2丁を手放し、赤のペイントで真っ赤に染まった木刀を2本とも抜刀する。

 

「!?、接近戦用意!!」

 

 吹雪が号令をかけるが、ちと遅かったな。最大推力で白雪にショルダータックルを仕掛ける。

 

「カハッ!?」

 

 と肺の空気が出る声と共に白雪の身体が後方に弾き飛ばされる。完全に吹き飛ぶその前に木刀を振り両足に赤い線を付ける。吹き飛ばされた白雪は水切り石のように海面を跳躍し、止まる。まぁ、近接戦闘パッケージには胴体に防具がついているから致命傷になってはいないだろう。

 

『白雪少佐、両足の切断により大破相当と判定。』

 

 白雪はすぐに起き上がり、俺に向かって通信を繋ぐ。

 

『司令官、次は負けませんよ。』

 

「『おう、練度を上げて再戦してくれ。』さて、残りは吹雪、叢雲、朧か。朧は初日なのによく動けているな。」

 

「褒めていただきありがとうございます。でも、まだ負けたわけではないので。」

 

 そう言いながら、直線的な動きで主砲を撃ってくる。

 

「まだ、人の身体に慣れないだろう?動きが艦船のソレだぞ。」

 

 すれ違いざまに胴体を斬りつける。返す刀で背面の艤装も斬る。どちらにも赤のペイントがたっぷりと付着した。

 

『朧少佐、身体の両断と艤装の損傷により撃沈判定。戦域から離脱しなさい。』

 

「再戦、させてくださいね。」

 

「おうよ。」

 

 吹雪のナイフと叢雲の槍を(かわ)しながら答える。朧が十分に距離をとったのを確認し、

 

「では、これで終わりにしよう。」

 

 そう言って、海面に向いているブースターを噴かす。巻き上げられた海水で視界が狭まる。吹雪と叢雲だけだが。俺は、モーショントラッカーで2人の位置を確認し、それぞれを一刀両断する。そして、視界が晴れると霞が俺の勝利を告げる。

 

『今回の模擬戦は、艦娘の全滅により湊大将の完全勝利。』




見てくださりありがとうございます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。