深海棲艦に殺されたら、提督として戦うことになりました。(旧題)一度死んだら提督として戦うことになりました。   作:名無しの兵六

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1週間投稿が遅れてしまい申し訳ありませんでした。

今年も拙作をよろしくお願いします。



第77話 受勲

「緊張して疲れたー。」

 

「お疲れ様デース。テートク。」

 

「取り敢えず、どっかで飯を食おう。緊張が解けたら腹が減ってきた。」

 

「了解デース。ホテルではドウデスカー?着替えないといけないデスヨ?」

 

「そうだな、そうしよう。」

 

 今日は俺に対して旭日大綬章を授与される日で、前日から金剛と共に東京に来ていた。ちなみに、大改装した新生“おおすみ”を幕僚監部の面々が見学するのは明日になっている。それで、俺は宮中にて天皇陛下から労いのお言葉を戴き、勲章を直に礼服に付けてくださった。前例のないことらしく、宮内庁の職員や総理大臣が固まっていた。

 

 今の俺と金剛は海軍の第2礼装に外套を羽織っている。流石にこれで動くと目立つな。金剛の提案通りにホテルへ戻って着替えよう。今日は午後から半休、明日1日は有休をとっているから、金剛と東京を散策できる。

 

 タクシーでホテルに戻って、互いの部屋で着替えてホテルのレストランに向かう。お高いホテルだが、昼はランチ営業をしていることもあって、ドレスコードが無い。だから、俺達もラフな格好で入れる。まぁ、ホテルの従業員には俺のことがバレているからかこんな格好でもVIP扱いだ。

 

「ランチのコースを2人分で。食前酒はいりません。紅茶をお願いします。」

 

 席に着いて注文をする。あれこれ悩むよりはコース料理の方がいいだろう。金剛にも確認はしているしな。

 

 料理を楽しみながら金剛と今後の予定を話し合う。

 

「改めて江戸城跡を散策するのもいいな。今は報道陣もはけただろうし。」

 

「アー、それなら私は靖国神社に行きたいデスネ。」

 

「ああ、勿論、そのつもりだ。多分、今の予定だけで2~3時間は時間がかかるだろうな。となると、その後は銀座辺りにでも行くか?歩いていけば夕飯に丁度いい時間になる。」

 

「そうですネ・・・。ウン、OKデス。」

 

 そんな話しをしていると、泊地専用のマナーモードにしていた携帯が鳴る。俺は金剛に断わってから席を立ち、レストランの外で着信を取る。

 

「湊大将だ。どうした?」

 

『明石です。閣下、お休みのところすみません。』

 

「気にするな。で、急ぎか?」

 

『はい。ミクさんがそちらに行きたいと紙に書いて伝えてきたものですから、どうしたものかと思いまして。』

 

「なるほど、ミクはいるか?」

 

『はい、お電話代わりますね。』

 

 そう言って、明石がミクに受話器を渡すやり取りが聞こえる。

 

『海斗さん、私を横須賀まで連れて行ってくださいー。“おおすみ”は今日、横須賀へ出港するんですよねー?』

 

「“おおすみ”の件はそうだが、なぜこちらに来たいんだ?」

 

『う~ん、嫌な予感がしたから。ではダメですか~?』

 

「待て待て。横須賀には俺のミョルニルアーマーも置いてあるんだぞ?それでもか?」

 

『はいー。』

 

「・・・わかった。第1特機中隊と共に来るんだ。いいな。」

 

『ありがとうございますー。』

 

「明石、聞こえていただろう?霞と中条大尉に話しを通しておいてくれ。」

 

『了解しました。』

 

「また何かあったら連絡してくれ。」

 

 そう言って、電話を切る。俺のミョルニルアーマーも金剛の艤装も横須賀鎮守府に預けてある。通常の深海棲艦が押し寄せてきても、ミクの支援無しで乗り切ることができると思っていたが、ミクはそうではないと思っているようだ。横須賀鎮守府に警告を出しておくべきだろうか?

 

 そんなことを考えながら席に戻ると金剛が心配そうに、

 

「何か悪い報告デシタカー?」

 

「いや、ミクが嫌な予感がするから、“おおすみ”と共に横須賀へ来たいとのことだった。」

 

「ンー、ミクさんがそう言うなら横須賀鎮守府の長野大将に相談しておいたほうがいいかもしれませんネ。」

 

「そう思うか?」

 

「ハイ、軍人として。」

 

「わかった。取り敢えず食事が終わってから連絡しよう。」

 

 昼食を終え、一旦部屋に戻り横須賀鎮守府へと電話をかける。電話受付の者に名前と階級、軍籍番号を伝え長野さんに取り次いでもらう。長野さんはすぐに電話に出てくれた。

 

『テレビ中継を見たよ。旭日大綬章(きょくじつだいじゅしょう)おめでとう。しかし、“おおすみ”がこちらに来るのは明日のことだろう?どうかしたかね?』

 

「ありがとうございます。実は長野さんにお願いがありまして、私の相棒の妖精さんのミクを覚えてらっしゃいますか?」

 

『ああ、覚えているとも。他の鎮守府の召喚建造に干渉できるなど前代未聞のことだったからなぁ。』

 

「そのミクが嫌な予感がするので“おおすみ”と共に横須賀へ来たいとの事でした。既に許可は出したので、明日には“おおすみ”と共に到着すると思います。」

 

『ふむ、あの妖精さんがか・・・。わかった。念のため、今日から1カ月ほど哨戒艦隊を増やしておこう。海や川に面した首都で被害を受けていないのは東京だけだからな。なにより君と配下の艦娘達のおかげで九州侵攻も四国・近畿侵攻も未然に防がれた。私が深海棲艦の日本担当だったら焦るな。』

 

自棄(やけ)になる可能性が高いと?」

 

『推察だがね。まぁ、こうして事前に助言をしてくれたんだ。やってみせるさ。第1空挺の特機も増強されている。やれないことはないだろう。では、連絡に感謝する。』

 

「お忙しいところ失礼しました。」

 

 長野さんが受話器を置くのを待って、通話を切る。まぁ、今の俺にやれることはやった。あぁ、そうだ、幕僚長の真護叔父さんにも話していた方がいいか。すぐに電話をかけて、長野さんと似たようなやり取りをして終わる。長野さんと違ったとこで今回は海軍航空隊と空軍もしばらく哨戒飛行の回数と密度を増強するということか。ま、なにはともあれ打てる手は打った。金剛との休日を満喫しよう。

 

 部屋まで金剛を迎えに行き、江戸城跡を散策する。金剛はロングスカートにハイネックニットを合わせてトレンチコートを着こなしている。美人が()える。金剛の希望で手を繋ぎながらブラブラとする。平日だからか江戸城跡はあまり人が多くない。ゆっくりと史跡を見てまわれる。そのまま、北桔梗門から日本武道館のほうへと歩く。靖国神社はタクシーで行くより徒歩で行きたいとの金剛の希望があったからな。

 

 江戸城田安門を出ると、道路を挟んで左手側に靖国神社の大鳥居が見える。鳥居をくぐり大村益次郎像を過ぎて、本殿での正式参拝をする。参集殿内の受付で名前を書いたら凄く驚かれた。周囲の参拝客の皆さんにも素性がばれてしまい記念撮影を頼まれてそれに応じた。また、皆さん金剛のことを彼女だと思っていたらしく艦娘であることを伝えると拝み始めた。まぁ、先の大戦で戦没した戦艦が現代に甦って、また国のために戦っているんだもんな。仕方ない。

 

 そんなちょっとしたトラブル?もあったが、その後は巫女さんが1人案内についてくれて遊就館ではスムーズに見学ができた。先の大戦に触れた展示物に対して金剛は思う所があるのか瞳を潤ませていたので、そっとハンカチを渡した。

 

 その後は来た道を戻り、銀座へと向かう。んー、そう言えば銀座に行くのは初めてかもしれないな。秋葉原とかには行ったことはあるが。

 

「ネェネェ、テートク。木村屋の“あんぱん”を食べてみたいデス。」

 

「あー、老舗だったな。俺も名前は聞いたことがある。夕食の前に行ってみるか。」

 

「ハイ!!」

 

 というわけで木村屋に行ってみると、カフェやディナーを提供するレストランもあるらしく、カフェであんぱんを食べ、レストランでディナーコースを楽しんだ。その後は、三越に行き色々と買い込んだ。

 

 ホテルへ戻り、シャワーを浴びて寝間着姿で寛いでいると、扉がノックされた。

 

「テートク、金剛デス。」

 

「どうかしたか?」

 

 と言いながら扉を開けると寝間着姿の金剛がいた。そのまま廊下に立たせているのも悪いので部屋へと入れる。

 

「折角ですから、テートクともっとお話しがしたいなぁと思って。」

 

「俺は構わんが、酒もつまみも無いぞ?それでいいなら・・・。」

 

「あ、さっきルームサービスを頼みマシタ。ちゃんと自分のお給金から出しますヨ。」

 

「手回しのよいことで。金は俺が払う。少しは甲斐性のあるところを見せようじゃないか。」

 

 ルームサービスで酒とつまみで互いの口を軽くし、談笑しながら日付が変わるギリギリまで楽しんだ。就寝前にはキスをした。艦娘全員に霞とキスをしたことが知れ渡ってしまったからな。ちなみにその先まではいっていないぞ。年齢=彼女いない歴の童貞の意気地の無さをなめるな。




読んでくださりありがとうございます。
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