深海棲艦に殺されたら、提督として戦うことになりました。(旧題)一度死んだら提督として戦うことになりました。   作:名無しの兵六

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そろそろMS艤装にガンダムタイプを仲間入りさせてもいいのかなと思い始めました。やっぱり空挺からでしょうかね。


第78話 光る右手

 いつも通りの時間に目が覚める。いつものルーティンを行うために部屋を出ると金剛もジャージに着替えて部屋を出るところだった。小声で声をかけてくる。俺も小声で返す。まだ5時だからな。

 

「テートクは絶対に早起きすると思ってマシタ。いつものですよネ?」

 

「ああ、そうだ。ここから皇居外苑まで走り、外苑を数周してからホテルに戻り、筋トレだ。」

 

「了解デース。今日は本気を出さないでくださいネ。みんながビックリしちゃいますから。」

 

「わかっているさ。金剛に合わせるよ。」

 

 フロントにカードキーを預け、早朝の東京の町を皇居外苑目指して走る。金剛を追走するような形で走っているのだが、これってストーカーと間違われないよな?嫌だぞ、職質を受けるのは。

 

 最初はそう思っていたが、マスクとかで顔を隠さなかったのが良かったのだろう。すれ違う警察官からは敬礼されて、おじいちゃんおばあちゃんからは拝まれた。これが旭日大綬章の力か・・・。

 

 皇居外苑に着くと金剛と共に皇居方面へ向かい敬礼をする。そして外苑を走り出す。平日でも結構な人が走っている。金剛のペースに合わせて5週してからホテルに戻り、一緒に俺の部屋で筋トレやストレッチを行う。その後は、汗を流すために金剛は自室に戻り、俺はそれを確認してからシャワーを浴びる。

 

 朝食を摂った後は制服に着替えて横須賀鎮守府に向かう。勿論、金剛も少佐の階級章を付けた制服に着替えている。艤装を装着する時の服は、艤装と共に横須賀鎮守府で預かってもらっている。んで、防衛省が手配してくれた車に乗り込み出発する。

 

 1時間ほどで着き、横須賀鎮守府司令長官の長野大将に挨拶に行く。憲兵の先導で執務室まで向かう。すれ違う艦娘や提督たちから目礼をされながら進む。執務室に着くと案内の憲兵がドアをノックして告げる。

 

「長野司令長官、湊大将と金剛少佐をお連れしました。」

 

「どうぞ。」

 

「失礼します。」

 

 そう言って憲兵が扉を開け、俺と金剛が室内に入る。そして、敬礼をする。長野大将の答礼を待ってから手を下ろす。

 

「思いの外、早かったんじゃないかね。取り敢えず、座ってくれ。金剛少佐もだ。吹雪少佐、お茶を頼む。」

 

 礼を言いながら金剛と席に着く。

 

「“おおすみ”は浦賀水道に入ったとの連絡が来たよ。接岸まであと小一時間といったところかな。」

 

「ご迷惑をおかけします。」

 

「何を言う。国防戦力が上がったのだよ。手薄だった九州・沖縄の。喜ばしいことだよ。」

 

「はぁ。しかし、妖精さん達の気まぐれでもありますから。」

 

「それは仕方がないことさ。彼らを縛れる者などいないからね。」

 

 話しが一旦途切れたタイミングで吹雪少佐がお茶を出してくれる。「ありがとう。」と礼を言い、口をつける。

 

「聞いているだろうけど幕僚監部の面々はヘリで来る予定だ。」

 

「はい、“おおすみ”を上空から見たいとのことでした。」

 

「まったく、ミクさんは輸送艦をとんでもないモノに仕上げたものだね。全長298m、全幅76m。専用の艦載機を運用し、ウェルドッグも備え艦娘艦隊の輸送・整備・補給もできる。さらにはMS艤装装備の陸軍の特機中隊か。“くにさき”や“ひゅうが”、“いせ”にも同様の改造を施してほしいね。」

 

「ハハハ、資材が枯渇しますよ。」

 

「ああ、間違いない。ホントに面白くて不思議な存在だよ妖精さんは。」

 

 そうしてしばらく雑談をしていると、長野大将の机の緊急通報用の赤電話が鳴る。

 

「長野だ。・・・空軍から?航空隊はどうしている。・・・なるほど。確かに分が悪いな。少し待ってくれ。湊君、金剛少佐、ミクさんの悪い予感が当たったぞ。敵襲だ。出られるかね?」

 

 長野大将が受話器の送話口を塞ぎながら聞いてくる。

 

「勿論です。金剛少佐もいけます。」

 

 金剛が頷く。

 

「よし、わかった。すまん、待たせた。陣容と数は?・・・230体もの深海棲艦が陣形を組まずに進軍しているのか!?艦種は!?・・・確認できていないか。わかった、ヘリボーン艦隊も出撃させる。第1空挺団の特務機動装甲大隊は動いているな?・・・ならばいい。報告ご苦労。」

 

 そう言って、受話器を置く。長野大将は俺と金剛を見ながら説明する。

 

「空軍の哨戒網に敵が引っかかった。高高度からの発見なので艦種の特定はできないようだが、最低でも230体の深海棲艦が首都圏を目指してやってきている。完全に奇襲だ。各鎮守府にも連絡はいっている。一応はヘリボーン艦隊を先行して出撃させるそうだ。間に合うかどうかは別としてな。空挺の特機大隊も出撃準備に入っている。ま、ようするにだ。我々、横須賀鎮守府と君達2人で迎撃の先陣となるということだ。」

 

「わかりました。金剛少佐とともに出撃準備に入ります。また、“おおすみ”に対しても反転し迎撃行動をとるように下命します。」

 

「頼んだ。幕僚監部の面々には私から説明しておこう。武運を祈る。」

 

 敬礼をして執務室を出て、工廠に向かう。

 

 工廠では横須賀鎮守府所属の艦娘達が出撃準備を整え、各艦隊が出撃していく。俺と金剛は更衣室で艤装を着込むために着替えて、それぞれミョルニルアーマーと艤装を装着する。誘導員の指示に従って出撃の順番を待つ。デカいところだとこういう役職もいるんだなと呑気に考えていると、すぐに俺達の番が回ってくる。港内では周囲に合わせてゆっくりと、しかし、バラけ始めると俺と金剛は最大戦速で前進を開始する。60ノット(約111km/h)で最初に出撃した艦娘艦隊を追い抜く。

 

 すでに“おおすみ”には命令を下し、第1特機中隊の第2小隊と第3小隊が出撃し、ガルーダ隊は全力出撃をしている。浦賀水道を抜けると“おおすみ”の巨体が見えてきた。俺はさらに加速して金剛を引き離し、“おおすみ”の甲板に着艦する。すぐにミクと他の妖精さんがやってきた。すぐそばには台車に載せられた何かがある。な!?これはまさか・・・。

 

「シャイニングフィンガーですー。最初はゴッドフィンガーにしようと思ったんですけど、やはり最初はシャイニングフィンガーかなーと思いましてー。両手分ありますのでミョルニルアーマーの上から装着しますねー。2分ほどで終わりますー。」

 

 ミクがそう言うと妖精さん達が作業を始める。俺は、両手に持っていた装備を置いてただ突っ立っているだけだ。シュールだな。その間に出原中佐と通信で話す。

 

「『敵の艦種はわかったか?』」

 

『はい。ガルーダ隊からの報告で目視できる全てがレ級とのことです。』

 

「『・・・最悪だ。何としてでも他の艦隊が到着するまでに数を減らす。』」

 

『了解しました。本艦も突っ込みます。波動防壁がありますから盾と良い(まと)になるでしょう。』

 

「『頼んだ。こちらも作業が終わったようだ。出る。』」

 

『ご武運を。』

 

 俺は妖精さんたちが離れていく両手を見る。うん、どこからどうみてもモビルスーツのマニピュレーターだこれ。前腕部にはシャイニングガンダムと同じように青色のブースター付きアームカバーが装備されている。これでミョルニルアーマーにて強化されたスパルタンのパンチ力がさらに上がるよ。やったね!!

 

 じゃねえだろう、俺。これってどのくらいの資材を突っ込んだんだ。ミクに聞きたいが時間が惜しい。神経接続のおかげでシャイニングフィンガーの使い方もわかる。HUDにもシャイニングフィンガーについてミョルニルアーマーのアップデートが完了したと出ている。俺はそのままMS用のカタパルトにて射出される。少しだけ先行していた金剛に追いつく。

 

「ヘイ、テートク。腕が凄くごっついヨ。」

 

「必殺技ができた。“シャイニングフィンガー”だ。」

 

「ヘー、どんなのデスカ?」

 

「指を液体金属で覆って、手のひらに供給したエネルギーを使い敵を爆砕するってやつだ。」

 

「えげつないネー。模擬戦じゃ使えないネ。」

 

「まぁな。ただ、今回の敵には相応(ふさわ)しい装備だ。」

 

「あ、艦種がわかったんデスカ?」

 

「230体の全てがレ級だとよ。」

 

「エー、速い上に無駄に硬いし対空戦闘もしないといけないし、面倒な相手デスネ。」

 

「余裕そうだな。」

 

「テートクやジョンソン上級曹長よりは楽な相手ですヨ。弾道も捉えられますし。」

 

「なら、期待しようか。」

 

「ハイ!!背中は任せてネ!!」

 

 金剛のやる気はいい感じだ。改になってからだいぶ練度を上げているからな。

 

 レ級の大群まで100kmを切ったところで通信が入る。

 

『ガルーダ1より、シエラ01。』

 

「『シエラ01、感度良好。』」

 

『敵艦集団より艦載機の発艦を確認。これよりマイクロミサイルポッドによる迎撃を開始する。』

 

「『了解、撃ち漏らしは任せておけ。ユーコピー?』」

 

『アイコピー。』

 

 通信が終わると同時に上空から無数のマイクロミサイルポッドが白い尾を引いて降下してくる。そして、一定の高度に達するとマイクロミサイルポッドから無数の小型ミサイルが発射される。無数の炎の花が空中に咲き、海上ではマイクロミサイルポッドの直撃を受けたレ級が炎を噴く。それを俺は自分の眼とメイヴのカメラ映像をHUDの右上に表示して見ていた。

 

「『露払い後苦労。』」

 

『ガルーダ3、4、5、6は補給に戻らせ、その間の上空警戒はガルーダ1、2が行なう。』

 

「『コピー。』金剛、41cm砲の射程に入ったな?」

 

「はい、HUDにガルーダからの敵先頭艦の位置データも表示されていマス。いけますヨ。」

 

「よし、撃ち方はじめ!!」

 

 俺の号令と共に金剛の41cm連装砲4基8門が火を噴く。

 

『命中を確認。レ級2体が爆沈。』

 

 ガルーダ1からの報告が入る。敵の反撃が来る前にすぐに移動をする。敵艦集団を中心に反時計回りをしながら徐々に接近していく。俺の指示で第1特機の2個小隊は反対側から半包囲網を形成しつつある。ガルーダからの映像で彼らのロング・レンジ・ビーム・ライフルが的確にレ級を仕留めていくのを確認する。

 

 さて、俺も動くか。

 

「金剛、ここはまかせてもいいか?」

 

「ハイ、大丈夫デス!!この距離でなら砲弾も殴り返せますヨ。」

 

「なら、頼む。俺は突っ込む。」

 

「テートク、ゴッドスピード!!」

 

 金剛に成功を祈られて、俺は全ブースターを最大出力で加速しレ級集団に突っ込む。

 

「さて、ではいくか。俺のこの手が光って唸る、お前らを倒せと輝き叫ぶ!!シャーイニング、フィンンガー!!」




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