深海棲艦に殺されたら、提督として戦うことになりました。(旧題)一度死んだら提督として戦うことになりました。   作:名無しの兵六

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第81話 統合幕僚監部乗艦

「ようこそ、新生“おおすみ”へ。お出迎えできずに申し訳ありません。」

 

「気にしないでくれ、湊大将。見学を申し出たのはこちら側だからな。戦闘の後だというのにすまんな。」

 

「いえいえ。皆さん席に座られましたか?・・・では、中条大尉、現時刻よりこの会議室を中心に重点防護だ。幕僚監部の方々お1人ずつに護衛をつけたまえ。」

 

「了解。第1特機、行動開始。」

 

 突然のことに理解が追い付いていない幕僚監部の面々を尻目にジェスタ艤装を着込んだ第1特機中隊が会議室に入ってきて、幹部の一人一人の背後に立つ。驚いた顔で幕僚長が聞いてくる。

 

「これは一体何事かね?」

 

「幕僚長閣下、今から重大な報告事項があります。大和型戦艦2番艦の武蔵が顕現しました。」

 

「なっ!?それは本当かね!?」

 

「はい、事実です。そして皆さんに護衛を付けたのがもう1つの理由です。レ級エリートを1体が降伏しましたので捕虜としました。前回、報告した潜水艦ソ級同様に意思疎通が可能です。」

 

「・・・信じられん。2人を見せてもらえないだろうか?」

 

「勿論です。金剛少佐、執務室に待機している2人を連れてきてくれ。」

 

「了解デス。」

 

 しばらくして金剛が制服姿の武蔵と私服のレ級01、02を連れてきた。

 

「小官から紹介します。今回の海戦で顕現しました武蔵少佐と降伏し捕虜となった仮称レ級01、02です。」

 

 武蔵は敬礼をして、レ級01と02は頭を下げる。

 

「湊大将、武蔵少佐の件はわかった。今後は柱島泊地で活躍してもらうことになる。気になったのは貴官がレ級エリートを01、02と呼んでいたことなのだが。」

 

「はい。どうやらレ級は尻尾にも意思があるようなのです。レ級01、02それぞれ挨拶を。」

 

「レ級01ト呼バレテマス。ヨロシク。」

 

「02と呼称されております。皆さま、よろしくお願いいたします。」

 

 幕僚監部の面々の目が点になる。まあ、驚くよなぁ。っと、武蔵のことを忘れてもらっては困るな。

 

「幕僚長閣下、武蔵少佐のことも。」

 

 そう言うと真護叔父さんは気を取り直して、

 

「あ、ああ、そうだな。君が武蔵か。頼りにしているよ。」

 

「任せていただきたい。あー、・・・幕僚長閣下?」

 

「ああ、自己紹介をしていなかったね。私は湊真護海軍大将だ。統合幕僚監部にて幕僚長を務めている。」

 

「湊?提督の名前も湊だったが・・・。」

 

「湊海斗海軍大将とは叔父と甥の関係さ。まあ、だからといって優遇したりはしていないがね。」

 

「なるほど。道理でどこか似ていると思いました。」

 

「まぁ、君と私が直接に顔を合わせることはあまり無いだろうけどね。甥っ子をよろしく頼むよ。」

 

「勿論です。閣下。」

 

 そんな感じで2人がいたって普通の会話をしていると他の幕僚監部の面々を再起動し始める。俺はそれを確認して再度言う。

 

「幕僚長閣下と武蔵の挨拶が終わったところで、レ級01、02についてです。以前、レ級の検体を出しましたが、アレでは今回のような事例を予測できなかったのですか?」

 

「ああ、そうだ。湊大将、君がビーム・サーベル以外の武器で止めを刺していたなら良かっのだがね。」

 

「あっ、もしかして、尻尾のほうの脳がビームで蒸発していました?」

 

「まあ、そういうことだ。残った組織で尻尾のほうにも脳があり、レ級は人間体のほうに1つ、尻尾のほうに1つの計2つあることまではわかっていた。だが、ここまで分離独立しているとはわからなかった。」

 

 ため息交じりに真護叔父さんが言う。そこにレ級02が、

 

「いえ、(わたくし)もそこまで分離独立はしていないのですよ。優先権は本体に、レ級01にあります。」

 

「なるほど。で、湊大将は彼らをソ級のように柱島泊地で捕虜として扱うつもりかね?」

 

「そうしないといかんでしょう?意思疎通の取れる相手を研究のために刻んだとなったら軍への批判は想像もつかんですよ。」

 

「確かに。仕方ない。ソ級とレ級ともに軍病院での検査のみとしよう。人間にやるのと同じだ。MRIは磁気を使用しているから除外するが、血液採取にCT、レントゲンなどの検査をさせる。」

 

「わかりました。泊地に帰還次第、ソ級にも伝えましょう。」

 

「世間についての公表はどうするね?」

 

「そうですね。ソ級、レ級1、02では人権団体が騒ぎそうですので、愛称を付けたいと思います。公表はそれ以降でお願いします。すぐに公表しなかった理由は・・・、療養と地上での生活に慣れるためとしておけばよいでしょう。」

 

「では、それでいこう。さて、金剛少佐達には申し訳ないが退室してもらえないだろうか?」

 

 敬礼をして退室しようとする金剛を少し呼び止め、小声で、

 

「執務室、使っていいからな。」

 

 と伝える。彼女は小さく頷き武蔵とレ級01、02を連れて会議室から出ていく。さて、説教の時間だな。

 

「湊大将、皆まで言わんでもわかるな?」

 

 真護叔父さんが幕僚長として聞いてくる。

 

「無論です。この“おおすみ”の件でしょう?自分でもやり過ぎたと思いました。」

 

「なら、よいのだ。」

 

 あれ?怒られる流れではないのか?

 

「妖精さん達のしたことだ。しかもミクさんがその指揮をとったわけだ。貴官では止めらなかっただろう?」

 

「ええ、全体の作業はほんの数時間の出来事でしたし、艦体を6分割にして巨大化させる作業自体は本当にすぐでしたから見ているしかありませんでした。」

 

「わかった。皆もそれでよろしいか?首席参事官、報道官、それぞれ問題は無いだろうか?」

 

「私が報道官の分までまとめてお答えします。妖精さんのしたことなので国会においては流されるでしょう。資材についても補充要請がきているわけではないので問題ないかと。報道についてですが、世論は前向きにとらえてくれるでしょう。深海棲艦に対抗するための新たな手札が英雄の下に誕生したのですから。以上です。」

 

「ということだ。湊海斗海軍大将、今後も励むように。」

 

 俺はその言葉に敬礼で応える。

 

「それでは、“おおすみ”の件はこれで終わりだ。湊大将、着席したまえ。先程の海戦について軽くでいいので説明を願えるかな。無論、報告書は別に出してもらうがね。」

 

「了解。先程終結した海戦ですが、敵はレ級230体による・・・・。」

 

 10分ほど時間をかけて説明をする。“シャイニングフィンガー”の(くだり)で目を輝かせたメンバーがいたが無視をする。世代だからね。仕方ないね。んで、ガンカメラの映像も使いながらの説明が終わる。

 

「なんともまぁ。よく、戦線が破綻しなかったものだ。」

 

「空挺がよくやってくれましたから。」

 

「ナイトシーカーか。中身はヌーベル・ジムⅢだったかね。」

 

「はい。ですが、武装のビーム・ライフルは長銃身型ですので、射撃戦において遅れはとりません。無論、近接戦闘もですが。」

 

 俺がそう言うと、真護叔父さんは頷き話しを続ける。

 

「今、我々の警護についているのはジェスタかね?」

 

「はい。柱島泊地所属の第1特機中隊のMS艤装となります。超長距離戦の場合は陸軍と同じジム・スナイパーⅡを使用します。ジム・スナイパーⅡの性能は陸軍がよくご存知のはずです。」

 

 俺がそう言うと、陸軍大将の幕僚副長が頷きながら言う。

 

「確かに。錬成の終わった部隊から島嶼(とうしょ)部に配属しているが、駐在地の面積をとりすぎないのがいい。“はぐれ”や水平線上にさえ姿が見えれば1個艦隊を撃破できている。しかし、やはり数が足りん。」

 

「そうなのですか?幕僚長閣下。」

 

 真護叔父さんに話しの軸を戻す。叔父さんは苦虫を噛み潰したような顔をしながら言う。

 

「日本は大小合わせて400を超す有人島があるからな。MS艤装を装備した特務機動装甲隊は3人で1個小隊、4個小隊で1個中隊だ。であるから戦力と人員の疲労、訓練などを考えたら、1つの島に最低でも1個中隊の配備となる。それが400だ。最低でも4,800のMS艤装が必要となる。整備員も教育しなければならない。しかも、建造できるのは柱島泊地のみだ。この現状を如何とするかだな。」

 

「用意できない数ではないですね。ただし、時間がかかります。整備員の錬成は陸軍にお任せします。まぁ、この話しは時間がかかりますよ。仕方ないです。」

 

「わかってはいるんだがね。すまん、愚痴だったな。」

 

「いえいえ、あぁ、そうだ。今回、メイヴから発射して使用したマイクロミサイルポッドの導入についてどう思われました?我々も使用するのが今回が初めてだったのですが、思いの外、良い戦果を残せました。」

 

「ああ、あれか。1発の対艦ミサイルの周囲に数十発の小型対空ミサイルを仕込んでいるように見えたが?」

 

「その通りです。発射母機は敵艦を補足してマイクロミサイルポッドを放てば、ポッドに内蔵されているセンサーが空中目標に反応してマイクロミサイルを発射します。量産性に重点を置いているので複数のマイクロミサイルが1つの目標へ向かうこともありますが、数で押せます。」

 

「確かに。仕様書は用意できるかね?」

 

「はい。ただし、今回の実戦での運用を踏まえてになりますのでお時間をいただきます。」

 

「構わないさ。FFR-31“シルフィード”とFA-1“ファーン”の実戦部隊が間もなく稼働を始めるので、その部隊に優先配備したい。」

 

「ほう、シルフが生産できましたか。」

 

 少し驚きながらも、まぁあれだけの設計図を渡したんだから当たり前だなとも思う。その後は、30分程雑談をし、幕僚監部の面々はヘリにて市谷の防衛省に戻る。最後まで警護についていた第1特機中隊を労い、執務室に戻る。

 

 扉を開けると、金剛が抱き着いてきたので頭を撫でてやる。それを武蔵とレ級が不思議なモノを見る目で見ていた。




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