深海棲艦に殺されたら、提督として戦うことになりました。(旧題)一度死んだら提督として戦うことになりました。   作:名無しの兵六

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第85話 公表

「ソ級1号、お前は(ナギ)、レ級01、お前は烈火(レッカ)だ。レ級02、お前は冴空(サク)だ。いいな?しっかりと覚えておけよ。」

 

 執務室に呼び出した3人?とも頷く。泊地内の公募で決めた名前だ。ソ級とレ級の世間への公表日が決まったからな。急いで候補を絞って命名した。

 

 ちなみにナギとレッカの服は霞と鈴谷、金剛の助言を受け、私服を持っていない武蔵の分と一緒にネット通販で購入した。ただしレッカはサク用の穴を後ろに作らないといけなかったので、根元のサイズを計り鳳翔にその部分だけを縫い直してもらった。

 

「さて、お前たちが世間に公表されるとどうなると思う?考える時間はやったよな。まずはナギから。」

 

「ヤハリ、投降シタトシテモ、私達ハ人間トモ艦娘トモ違ウ。何カシラノ攻撃ヲ受ケルノデハ?」

 

「そうならないために幕僚監部が前に出て公表することになる。それに俺達が守ってやる。」

 

「ワカッタ。提督ヲ信ジル。」

 

「レッカはどうだ?」

 

「02・・・ジャナカッタ、“サク”ト話シヲシタ。アタイハ頭ハ良クナイカラ上手クハ言エナイケド、コノ泊地デ楽シク過ゴセテイルノハ、提督ヤ霞達ノオカゲダト思ッテル。ソレガ無クナルカモシレナイト思ウト、怖イカナ。」

 

「なぜ無くなると思った?」

 

「研究施設ニ送ラレルカモッテ“サク”が言ッタカラ・・・。」

 

 サクの方へ視線を移すとサクは咳払いをして言う。

 

「可能性があると言っただけです。提督ならば送りはしないでしょうけど。」

 

「ああ、そうだな。俺が研究者連中に渡してきたのは死体だけだ。」

 

「ナラ、アタイハ大丈夫?」

 

「心配すんな。ナギと一緒にレッカもサクも守ってやる。」

 

「アリガトー。」

 

 そう言ってニッコリと笑うレッカ、つられてナギも微笑む。だいぶ自然な笑みが出るようになってきたな。

 

「よし、それでは、解散。」

 

「「「ハイ。(失礼いたします。)」」」

 

 3人組が出て行くと執務室には俺と今日の秘書艦の満潮と秘書艦補佐の霞だけとなる。

 

「司令官はあんな大風呂敷を広げて大丈夫なのかしら?」

 

「大丈夫でしょ。姉さんは心配しすぎよ。この人は力ですべてを解決してきているから。」

 

「その通りすぎて何も言えねぇのが悔しい。」

 

 そう言うと2人に笑われる。

 

「ところで、これ、どうするのかしら?」

 

 霞は1通の使送便で送られてきた封書を取り出す。忘れていたかったんだがなぁ。

 

「霞、それは何?」

 

「ああ、姉さん見てみる?」

 

「いいのかしら。それじゃあ、見せて。・・・。はあ!?元帥号を復活させて司令官を第1号とするですって!?なによ、これは!!まるで司令官を「見世物にするみたいだろ?」っ!?」

 

「昨日の秘書艦の熊野もそんな感じで怒っていたよ。まあ、なんだ。すでにこの歳で大将だ。はっきり言って妬んでくるやつも多い。元帥号を得れば更に増えるだろうな。」

 

「司令官はそれでいいの?」

 

「熊野にも言ったが、みんなを守れるなら元帥号を貰っておくさ。旭日大綬章と元帥号持ちにそうそうちょっかいをかけてくるやつはいないだろうからな。それに、俺が元帥号を得た翌日には統合幕僚長も元帥号を得る。」

 

「政治ってやつかしら?」

 

「そうだろうな。心配してくれてありがとな。満潮。」

 

「・・・うるさいわね。」

 

 そう言って顔を真っ赤にしそっぽを向いてしまった。霞はニヤニヤしている。プレゼントしたネックレスを今も普通に付けていることでからかい返してみようかとも思ったけども、なんか違うな。うん。取り敢えず、満潮にクールダウンしてもらって仕事の続きをしましょうかね。

 

 さてさて、俺が元帥になり深海棲艦3人?組を世間に公表する日がやって来た。そのためにガルム隊によって防衛省までガルーダの護衛付きでやってきた。

 

 報道陣の見ている前で元帥号を示す、元帥徽章と元帥刀を天皇陛下の名代(みょうだい)の総理大臣閣下から授与される。旭日大綬章の横に徽章を付け、元帥刀を()き、総理大臣閣下と握手しながら報道陣のほうへと体を向ける。すぐにフラッシュがたかれ写真を撮られる。笑顔を見せずに軍人然とした表情で写るように努力する。まぁ、隣の総理大臣閣下は笑顔なんだがね。

 

 その後、俺と総理大臣閣下は一旦部屋から出て、3人組公表のための場をセッティングし終わるまで防衛大臣閣下の執務室で待機することになった。俺は話しかけるなオーラを出しながら茶をすする。最初は話しかけようとしていた総理大臣閣下も俺と目が合うと逸らして防衛大臣閣下と身内話を始めた。政治屋め。

 

 10分くらいしてから背広組の職員が準備が出来たと呼びにきた。顔が少し青いような感じがするが気にはしない。すぐに理由がわかったしな。ウチの憲兵中隊用に92式特殊強化装甲服(プロテクト・ギア)を配備したんだよな。あの押井守監督の“ケルベロス・サーガ”に出てくる首都警が使っている奴だ。そんなのがその職員の背後に赤い眼を光らせ、MG42を抱えて3人いるんだから怖いだろうさ。

 

 廊下に出た総理大臣閣下たちもビクッとなっていたしな。その職員を先頭に背後を3人の憲兵に護られながら記者会見用の部屋へと向かう。作中では視界不足と防御力を補うために3人1組でケルベロスとして運用されていたプロテクト・ギアだが、ウチのは妖精さん特製だから視界も防御力も十分だし、攻撃力もMG42だが弾丸が別物だから深海棲艦と殴り合える。ああ、動力は原作無視で筋力では無く、妖精印バッテリーとモーターでアシストしている。

 

 さて、会見場の入り口では憲兵に囲まれたナギとレッカ、サクがいる。お偉方とは顔合わせはしているから誰も驚かない。

 

「あんま緊張すんな。俺が言ったようにすれば大丈夫さ。」

 

 そう言って、3人に声をかけてお偉方に続いて室内に入る。またフラッシュの嵐だ。さっきの授与式とは違い、長机が置いてある。俺はその端に座る。まだナギ達は入ってこない。まずはお偉方による現在の深海棲艦との戦闘や深海棲艦自体について説明が行われる。報道陣の顔には一様に「またか。」と書かれている。俺もそう思っているが表情を変えないように努める。幕僚長閣下が立ち上がりマイクを手に取ると静かになる。

 

「本日は国民の皆様にご報告しなければならないことがあります。海軍は2体の新型深海棲艦を捕獲しました。生きている状態で。ですので捕虜ということになります。こちらの湊元帥が戦闘にて投降した深海棲艦を捕虜にしたのです。現在は柱島泊地にて生活しています。」

 

 捕虜という言葉が出た瞬間にまたフラッシュがたかれる。眩しいな。真護叔父さんの続きを引き継ぐ形で俺が立ち上がり、説明を始める。そして、最後に言う。

 

「では、捕虜の方々に入室してもらいましょう。」

 

 扉が開かれプロテクト・ギアを着込んだ憲兵たちと共にナギ達が入ってくる。フラッシュの眩しさに手をかざしてしている。総理大臣閣下と握手した後に席に着くとフラッシュがおさまる。

 

「それでは、質問のある方は所属と名前を名乗ってからどうぞ。」

 

 司会の制服組の佐官が質疑応答の時間が来たことを告げる。そして始まる質問の嵐。

 

「どうして投降しようと思ったのですか?」

 

「今でも人間を殺害しようと思いますか?」

 

「元帥を恨んでいませんか?」

 

「あなた方はなぜ人間を攻撃するのですか?」

 

 などなど。ナギ達が答えられないモノは俺が代わりに答える。そして、最後の質問の時間が来た。

 

「今は柱島泊地で生活されているとの事ですが、幸せですか?」

 

 その答えにナギ達は笑顔で、

 

「「ハイ!!」」

 

 と答えてくれた。これで、外の奴らも手を出しにくくなるだろうな。まあ、厄介事はこれでお終いか?




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