深海棲艦に殺されたら、提督として戦うことになりました。(旧題)一度死んだら提督として戦うことになりました。   作:名無しの兵六

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家内の者が急逝したため先週は更新できませんでした。申し訳ありません。また、誤字報告ありがとうございます。


第86話 中東へ

 先日のナギ達の世間への公表は一部では批判的意見もあったが、概ね受け入れられたようだ。特に遺族会が表立って深海棲艦の捕虜を丁重に扱うべきだと言ってくれたのは強い後押しとなった。

 

 ネットでエゴサーチをすると、ナギの胸が大きいだのレッカの尻尾の付け根を見たいだの少し、いやかなり変態的な意見が多かったな。まあ、意思疎通が出来て敵意が無けりゃあ、普通の隣人だものな。

 

 んで、俺の元帥号に関しては、軍国主義の復活とか見当違いの事を言う識者もいたが、行政権なんて俺は持ってねぇぞ。泊地内のことは俺の一存でほぼ決められるが、法に抵触しようものなら坂本大尉が率いる憲兵中隊とオハナシすることになる。まあ、そこの誤解は俺の翌日に元帥号を得た統合幕僚長の真護叔父さんが解いてくれたけどな。

 

 他の鎮守府の司令長官を務める大将達も次回の戦功で元帥だそうだ。ああ、給料が上がったのは嬉しかったな。うん。自由にできる金が増えるのはいいことだ。それに独身だから使い放題だしな。色んな手当含めて年収で1500万は確実だな。まあ、俺の場合は前線で戦うから危険手当と戦功手当が多く着いているんだけどな。

 

 なんやかんやあって、ナギ達を含めた日常を取り戻した柱島泊地では俺の執務室で牧原大佐、佐野大佐、出原中佐がソファに腰掛けて資料を眺めている。

 

「ナンバリングをされない護衛艦隊ですか。」

 

 顔を上げ牧原大佐が言う。

 

「ええ、そうなんです。どうやら皆の活躍のおかげで通常の護衛隊・護衛艦隊・護衛隊群には組み込めないと判断したらしく、ナンバリングなしの第0護衛艦隊というのが柱島泊地に駐留する通常艦隊名となります。」

 

「あえて群ではなく艦隊としているのはあと何隻か増える予定なんでしょうか?」

 

 出原中佐が質問してくる。

 

「ええ、そうです。まだ確定ではないのですが、“はつゆき”型のDD-124“みねゆき”とDD-125“さわゆき”だそうです。」

 

「ヘリの格納庫があるとはいえ深海棲艦が現れる直前に除籍された艦ではないですか!?」

 

 佐野大佐が驚いたようで大声を出す。

 

「まあ、ウチの妖精さんはミクを中心に魔改造をしますから、それを見越してでしょうね。ま、艦隊の話しは此処までにして、もう1つの話しをしましょう。中東への“タンカー護衛任務”です。」

 

 俺がそう言うと3人は無言になる。その代わりに今日の秘書官である赤城が声を発する。

 

「この場所から申し訳ありません。私達、艦娘は深海棲艦の脅威がある限り、何処へだって行く覚悟があります。約12,000km、往復約50日。大丈夫です。」

 

「いや、赤城少佐、場所は気にしなくていい。君は秘書艦なのだから。それに我々がソファを占領しているしな。しかし、君は何処へだって行く覚悟があると言ったが、太平洋戦争では中東方面へは一航戦は進出していなかったのではないかな。ある意味で未知の領域だよ。それに森原中佐指揮下の艦娘艦隊が残るとはいえ、連れて行ける艦娘の人数にも制限がある。」

 

 出原中佐が優しく言う。

 

「そうですね。申し訳ありません。」

 

「謝る必要は無い。他に意見があるか、赤城。」

 

「いえ、ありません。」

 

 赤城は一礼して作業に戻ろうとするので、少し話題を振ってみる。

 

「俺は今回の中東への派遣。艦娘は希望者を(つの)ろうと思っています。第1特機も同様です。ガルーダは空の目なので強制ですが。」

 

「ふむ。艦娘の定員は何名を?」牧原大佐が尋ねる。

 

「2個艦隊と予備人員で16名です。」

 

「ならば、早く募集をかけるべきではありませんか?来月、三が日明けには出港する予定となっていますよ。」さらに牧原大佐が続ける。

 

「ええ、俺もそう思っていたところなんです。霞准将、例のヤツを。」

 

 赤城の隣に座っていた霞が席を立ち牧原大佐たちの前に紙を置いていく。それを見た3人は、

 

「これはこれは。なんともまぁ。」

 

「愉快ではありませんか。」

 

「ふむ、遊び心はありますな。」

 

 とそれぞれ反応してくれた。

 

「見せてくれますか、提督」と赤城。

 

「ほらよ。」と言って渡す。すると、赤城は眼をカッと見開いて、

 

「私、参加します。絶対に行きます!!」

 

 と言う。霞が配った紙には“タンカーを護衛して中東へ行こう!!深海棲艦との戦いもあるけれど、美味しい中東料理がキミを待っている!?手当も着くぞ!!”と様々な中東料理がでっかく載りタンカーが隅っこに載っている。俺と青葉で1時間くらいかけて考えた。

 

 俺は赤城の喰いつきぶりに苦笑しながら、

 

「んじゃ、赤城少佐は参加な。ああ、人数制限を越えればこちらで調整するからな。外されても文句言うなよ。」

 

「そこは仕方ありません。任務なのですから。」

 

「よろしい。」

 

 そんなこんなで話し合いを終えたら、霞と赤城は募集用紙を各所の掲示板に張りに行った。霞と赤城が戻ってきた30分後には希望者が殺到したのは言うまでもない。

 

 そんで、派遣メンバーだが、戦艦“武蔵”、“金剛”。空母“赤城”、“加賀”、“翔鶴”、“瑞鶴”。重巡“愛宕”、“摩耶”。軽巡“夕張”、“大淀”。駆逐“吹雪”、“白雪”、“曙”、“朧”、“漣”、“潮”。以上の16名となった。第1特機は2個小隊を出せるそうだ。指揮官は第1特機中隊第1小隊長の羽佐間中尉が務めることとなった。それと、忘れてはならないのが、空の守護神ガルーダ隊とミクをはじめとした妖精さん達、そして母艦となる“おおすみ”だ。

 

 この柱島泊地の陣容に、“こんごう”型DDG4隻全て、“ましゅう”型補給艦も2隻全て、“たかなみ”型がDD-110“たかなみ”、DD-111“おおなみ”、DD-112“まきなみ”の3隻。この3隻にはSH-60Kが搭載される。そして海中の護りを虎の子の“そうりゅう”型潜水艦SS-501“そうりゅう”、SS-502“うんりゅう”、SS-503“はくりゅう”が受け持つ。深海棲艦の潜水艦には現代潜水艦による攻撃のほうが効率がいいからな。

 

 ちなみに潜水艦救難艦の“ちはや”を出すか上が迷っていたので、何か潜水艦に起こっても俺とミクで助け出すと言ったら納得された。いや、だってミクができるっていうからさあ。それに、“おおすみ”の第1特機中隊の区画に新しいMS艤装が防水布を被って置いてあったんだよね。資材減ってないのにどうしたんだろうか?そういえば、最近ナギ達は哨戒任務について行っては海中に潜って何かしていたとは報告があったな。聞くべきなのか?

 

 そうして年が明けた。2015年となった。4月を過ぎれば深海棲艦との戦いは2年経過することとなる。未だに外洋における航行の自由は人類の手に戻っていない。まあ、元からそんなもんは無かったのかもな。人間の勝手な考えだけで。

 

 さてさて、護衛するタンカーを中心とした船団は伊豆半島沖で合流する予定となっている。“おおすみ”はすでに合流地点に到着し、ゆっくりと旋回運動をしている。ああ、勘違いさせるといけないけど、俺は今回は船団の司令官ではない。だから、“おおすみ”以外に要請はできても命令は出来ない。ま、考え方を変えれば“おおすみ”は俺の指揮下で独立して動けるってことだ。身軽なのはいいことだ。

 

 身軽で思い出したが、今回はタンカーだけの予定だったが自動車運搬船も追加された。ヨーロッパと中東向けの商品を中東から陸送するんだと。スエズが深海棲艦に占領されているから仕方がないな。しかし、俺達ならスエズを攻略できそうな気がしてきた。“しらね”と“くらま”、ガルム隊とプロテクト・ギア装備の憲兵中隊をよんでぶつかってみたいね。案外、ビームに耐えられる深海棲艦がいたりしてな。まあ、その場合はシャイニングフィンガーで頭を握りつぶすだけだがな。




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