深海棲艦に殺されたら、提督として戦うことになりました。(旧題)一度死んだら提督として戦うことになりました。   作:名無しの兵六

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第90話 ペナン沖海戦

 さて、現在、船団はマラッカ海峡を通過中だ。先の大戦ではペナン沖海戦があり、羽黒と神風が連合国の駆逐艦5隻相手に戦い、羽黒が戦没した海戦の主戦場だ。フィリピン沖であんなにも深海棲艦の襲撃を受けるとは思わなかった。焦っているのか?敵は。

 

 ま、取り敢えずは前回の教訓を踏まえて艦娘第1艦隊にはすぐに出撃できるように、艤装を付けた状態で整備室に待機してもらっている。編成は、旗艦が金剛、次席艦に夕張、随伴艦に武蔵、赤城、吹雪、白雪だ。

武蔵だがしばらくは随伴艦として旗艦のことを再度、学んでもらうことにした。驚いたことにこれは武蔵から提案してきた。よかった、転属願いとかを出されなくて。という本音を置いておき、プライドを捨てて自ら行動をすることができたのは素晴らしいと思う。

 

 現状に思考を切り替える。“おおすみ”のC.I.Cに設置されている大型モニターには船団に先行して哨戒飛行をしているガルーダ1と2の輝点が表示されている。それと、“まきなみ”搭載のSH-60Kも哨戒飛行を行なっている。ヘリは敵艦載機に接近されると墜とされる可能性が高いと中須少将に言ったのだけども、どうやら俺の意見は却下されたようだ。

 

 マラッカ海峡の出口、ペナン島沖で八島中佐がパイロットを務めるガルーダ1から警告が来る。

 

『ガルーダ1より、各艦へ敵性深海棲艦の浮上を確認。180体の水上艦だ。データを送る。』

 

 ガルーダ1のフライトオフィサ、迫中尉の声がC.I.C内に響く。すぐに大型モニターに敵性を示す赤の輝点が増えていく。

 

「出原中佐、艦娘第1艦隊を緊急出撃。特機第1小隊も緊急出撃。出撃後は“おおすみ”を船団の前へ。囮とする。『ガルーダ1、深海棲艦共が艦載機を上げたらマイクロミサイルポッドで墜とせ。』」

 

「了解。出撃を急がせろ!!」

 

『コピー。』

 

 ふむ、“そうりゅう”率いる潜水艦隊が移動の音を探知できなかったということは、待ち伏せしての無音浮上か。フィリピン沖で敗北してからすぐに配置したのか?しかし、今回は水上艦のみか。

 

 そんなことを考えていると艦内電話が鳴る。出原中佐がそれをとり、俺に向かって言う。

 

「羽佐間中尉からです。」

 

「代わろう。『俺だ。湊だ。どうした?』」

 

『今回は、水中型ガンダム艤装で海中から奇襲をしかけます。許可を願います。』

 

 第1特機中隊に所属する小隊はジム・スナイパーⅡ艤装が標準装備となっている。今回、俺が特に何もMS艤装に関して指示を出していなかったので、進言したようだ。

 

「『許可しよう。』」

 

『了解。』

 

 この選択が吉と出るか凶とでるか、わからんな。大型モニターの右上には艦娘第1艦隊の旗艦、金剛が装備するヘッドカメラの映像が映し出されている。後部ランプが開き、スロープにより着水した第1艦隊が60ノットまで増速する様子がよくわかる。“おおすみ”前方100mに到達すると赤城が戦爆連合を発艦させる。

 

 すぐに大型モニターに赤城が発艦させた戦爆連合を味方と識別するようにして、輸送船団旗艦の“こんごう”にもデータリンクする。中須少将も前に出たいだろうが、船団を(まも)ってもらわないと困る。マラッカ海峡は挟撃に抜群だからな。

 

「特機第1小隊が発艦します。」

 

 艦外カメラで3機の水中型ガンダムが艦首カタパルトで発艦していく様子を確認する。3機、全てが発艦すると大型モニターの左上に羽佐間中尉のカメラ映像が映し出される。ブースターを使用してのホバー移動により第1艦隊に追いつく。

 

『金剛少佐、我々は海中より敵を攻撃します。もし、敵潜が出現すればそちらの対処に動きます。』

 

『OKデース。ガルーダ1も上空にいますし、問題ないでしょう。中尉の判断で動いてくださいネ。』

 

『了解しました。潜航を開始します。』

 

『ゴッドスピード。』

 

 羽佐間中尉の水中型ガンダムがサムズアップして潜航する。海中の映像はそのままテレビに流しても違和感を生じないほど美しいモノだ。

 

『・・・各部、チェック。漏水無し。推進器正常。よし、いける。』

 

 MS艤装は装着員の独り言をよく拾う。今も羽佐間中尉の言葉を拾っている。

 

『こちら、ガルーダ1。敵艦隊群より艦載機の発艦を確認。マイクロミサイルポッドを投下する。』

 

 大型モニターの中央上部に映っているガルーダ1のカメラ映像には推進剤を噴かしながら落下していくマイクロミサイルポッドが4基映し出される。そして、豆粒のような敵艦載機も。ミサイルポッドの投下から数秒後、敵水上艦隊群の頭上に無数の爆炎が生み出される。そして、水上ではミサイルポッドの直撃を受けた敵艦が沈んでいく。

 

 しかし、どうやら今回は運が味方してくれなかったらしい。敵艦隊群の陣形に乱れは無い。ちと、厳しい戦闘になるかもな。

 

「『金剛少佐、湊だ。そちらでも確認できたと思うが、ガルーダ1がマイクロミサイルポッドで敵艦載機の9割を墜とした。制空権はこちらにある。だが、敵旗艦は健在のようだ。ガルーダ1が収集した情報を精査し、通信量の多い敵艦の場所をHUDに送る。』」

 

『了解デス。・・・うーん、分散していますネ。脅威になりやすい打撃艦隊を第1目標、射程の長い魚雷を持っている水雷戦隊を第2目標としますネ。空母機動艦隊は特機第1小隊に任せたいのデスガ。』

 

『こちら第1小隊、了解しました。目標のマーキングをしてHUDへ転送願います。』

 

「『よし、金剛少佐、君の言う通りに動け。』『羽佐間中尉、少し待て。ガルーダ1の映像から随時マーキングをしていく。』」

 

 C.I.Cの雰囲気が更に慌ただしさを増していく。そんな中“こんごう”の中須少将より通信が入る。

 

『我々もハープーンにて援護を行わせていただきたい。』

 

「『・・・艦娘艦隊へ誤射をしない自信はあるのかね?』」

 

『無論です。そのために訓練を重ねてきました。データリンクも正常です。』

 

「『・・・ッ!!わかった。許可しよう。敵艦隊群の旗艦と予測されている敵艦を狙って欲しい。可能かね?』」

 

『お任せ下さい。』

 

 通信が切れる。すぐに金剛へと通信を繋ぐ。

 

「『金剛少佐、護衛艦隊と潜水艦隊よりハープーンによる攻撃が行われる。着弾までは敵艦隊に接近戦を仕掛けないこと。いいな。』」

 

『了解デス。』

 

 その通信から2分もしないうちに大型モニターには輸送船団の護衛艦隊から7発のハープーン、潜水艦隊からも3発が発射されたのが表示される。10発のハープーンは特に妨害も受けることなく敵艦に命中していくのが、ガルーダ1からの映像で確認できる。

 

「やはり、戦艦級は1撃では無理か・・・。空母級、巡洋艦級は沈んでいるな。上々だ。」

 

 そんな独り言をつぶやいていると、金剛たち第1艦隊に動きがある。

 

『ヘイ、武蔵。私の41cm砲では射程外デスガ、貴女の46cm砲は射程内でしょう?砲撃を許可シマス。』

 

『了解した。標的は突出しているヤツにする。赤城のおかげで弾着観測射撃ができるからな。上手くいくさ。』

 

 金剛のヘッドカメラで武蔵が発砲するのを確認する。マイクとスピーカーが調整しているとはいえ、相も変わらずの轟音だ。さぁて、マラッカ海峡という難所で襲われた窮鼠は虎をも噛むぞ。覚悟しやがれ。




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