深海棲艦に殺されたら、提督として戦うことになりました。(旧題)一度死んだら提督として戦うことになりました。 作:名無しの兵六
『観測機より入電。1番主砲塔初弾挟叉。2番、3番仰角修正、発射!!』
46cm砲の轟音が“おおすみ”のC.I.C内に響く。スピーカーの調整機能のおかげで耐えられるが、至近で聞いたら鼓膜がやられるな。
『観測機より、敵艦隊、戦艦級1に直撃弾。さらに接近しつつ砲撃を続ける!!。』
『ガルーダ1より、第1艦隊へ。敵2個機動艦隊が接近中。注意を。』
『了解。夕張を小隊長として吹雪、白雪で対処してくだサイ。撃退する必要はありません。足を
『了解しました。吹雪ちゃん、白雪ちゃん、行くわよ!!』
大型モニターの金剛が率いる第1艦隊の表示が変化する。金剛、武蔵、赤城が第1艦隊第1小隊、夕張、吹雪、白雪が第1艦隊第2小隊と表示される。金剛の指示は間違っていない。敵の機動艦隊には航空戦力はすでに無く、中心となる空母は移動高射砲台と化している。打撃力と呼べるのは護衛の巡洋艦級と駆逐級のみだ。
であるからこそ、赤城の航空援護を受ける夕張達でも対処は可能だ。目的は敵艦隊の殲滅では無く、金剛と武蔵が敵打撃艦隊を殲滅するまでの時間を稼ぐことなのだから。すでに敵打撃艦隊は武蔵の46cm砲で戦艦級1、駆逐級1が爆沈し、金剛の41cm砲の射程に入り、合計17門の戦艦主砲の砲撃にさらされている。
敵打撃艦隊は反撃もしているが、観測機と云う空の目は潰され、ガルーダ1が
夕張のヘッドカメラ映像も第1艦隊を分けた時に表示されているが、うん、まあ、何というか、時間稼ぎ程度だろうと思っていた自分をぶん殴りたい。夕張小隊はその速力を活かせる小回り性の高さで敵の懐に潜りこみ、近接戦闘パッケージのナイフで
そう殺害である。敵艦は人間のように生命活動を停止させ目から光を失い、海に大量の血を流しながら、海面に倒れ伏していった。艤装?ああ、あれも牽制射や死体撃ちで活躍している。死体撃ちは海面を死体に漂われると動きを阻害されるからだがね。牽制射は文字通りで接近戦を挑んでいる間に邪魔が入らないように、主砲や高角砲は勿論のこと機銃を手当たり次第に敵のいる方向へバラ撒いている。
最初に接近していた2個機動艦隊は夕張小隊に全艦沈められた。増援に元々の目標である水雷戦隊もまばらに現れたが悪手だったな。夕張小隊の3人に
まあ、特機第1小隊に比べたら可愛いモノだがね。空母機動艦隊を相手にしている彼らは水中から一切姿を現さずに、ハンドアンカーを用いて1体ずつ敵艦を海中へ引きずり込んでビーム・ピックで刺し殺している。無論、一撃で死なない敵は滅多刺しにされる。
偏向ビーム・ライフルは貫通による誤射の恐れがあるので今回は使用しない方針のようだ。まあ、初手で魚雷は盛大にバラ撒いたみたいだが。
随伴艦の軽巡級と駆逐級が懸命に爆雷を投下しているが、普通の潜水艦より速力もあり、より3次元的に機動のできる水中型ガンダムには意味の無いモノだった。逆に自分たちの投下した爆雷で海中が荒れて探知を困難にしていた。モニターには爆雷が生じさせた気泡だらけの海中で回避行動をとりつつも左腕を上に掲げる2機の水中型ガンダムが映っている。
『ハープーン・ガン、発射、今!!』
羽佐間中尉の合図と共に左腕のハープーン・ガンが発射され、海面で爆雷を投下している巡洋艦級と駆逐級に突き刺さるのが送信されてくる映像でもわかる。刺さってコンマ数秒後、刺さったハープーン(銛)が体内で炸裂し、深海棲艦3体は文字通りに爆発四散した。エッグい。
う~ん、俺の指揮下の部隊、殺意が高すぎるような気がしてきた。気のせいか?
そして、艦娘艦隊と第1特機第1小隊の活躍をデータリンクで共有している船団護衛艦隊と潜水艦隊がそれぞれ初撃のハープーン1発のみで黙っているわけが無かった。C.I.Cにコール音が響く。輸送船団、護衛艦隊旗艦“こんごう”からのものだと大型モニターには表示されている。俺はため息をつきながら受話器をとる。
「『湊だ。』」
『閣下、中須です。船団と敵艦隊群との距離が縮まりつつあります。艦娘艦隊と特機小隊の戦果はこちらでも確認できていますが、万難を排すために我が艦隊も前線に出て戦線に加わります。潜水艦隊も同様です。』
「『私に貴官が率いる艦隊への指揮権が無いのに、よく言うものだ。好きにすればいい。貴官の艦隊だ。話しはそれだけかね?こちらも忙しいので切るぞ。』」
受話器の向こうで何かを言っていたがすぐに受話器を置く。それと共にまた盛大にため息を吐く。
「出原中佐。“おおすみ”は護衛艦隊の7隻が前線に進出するのと同時に後進をかけて輸送船団の前に出る。念のために囮になるぞ。」
「了解しました。護衛艦隊の進路を開ける。取り舵。“こんごう”が通過後、両舷微速へ。」
俺は出原中佐が艦長として的確に指示を出してくれているのを横目に見ながら、念のための準備をする。
「『愛宕、出撃用意だ。』」
『緊急出撃ですか?』
「『いや、護衛艦隊が前に出た。君達には輸送船団の護衛を頼みたい。』」
『了解しました。待機組の編成に変更は?』
「『無しだ。装備は継戦能力を重視してくれ。それといざという場合に盾になれるように、MS艤装のシールドをもっていけ。近接戦闘パッケージの拡張パックがシールド裏に装備できるから忘れるなよ。』」
『うふふ。わかっていますよ。では、提督、10分後に発艦します。』
「『武運を。』」
次に特機第3小隊長の橋島少尉を呼び出す。
『緊急出撃ですか!?』
「『違う。護衛艦隊と潜水艦隊が前線に出た。貴官ら第3小隊には、水中型ガンダム艤装で潜水艦隊の穴を埋めて、輸送船団を海中の脅威から
『「は?輸送船団の直衛を務める護衛艦隊と潜水艦隊が防衛目標から離れた?言ってはなんですが、中須少将は馬鹿ですか?」』
「『周囲には誰もいないよな。それ、誰にも言うなよ。俺もそう思っている。』」
『声の聞こえる範囲には誰もいません。ああ、そうか。指揮権の問題ですね。それと閣下、地が出ていますよ。』
「『っと、すまんな。まあ、そういうわけで、第3小隊は出撃準備に入ってくれ。15分でいけるか?』」
『了解しました。15分もあれば十分です。』
「『それでは、貴官らに武運を。』」
最後にガルーダだ。
『はい、青木大尉です。』
「『大尉、スクランブルではないが出撃を。』」
『はい、了解しました。スピーカーにします。小官のガルーダ5と
「『ああ、それでよろしい。作戦目標は護衛艦隊と潜水艦隊が離れた輸送船団の上空援護だ。水上は愛宕少佐が艦娘艦隊を率いる。海中は特機が出る。なのでガルーダは対空兵装のみを重視してほしい。』」
『了解。今、機付長達がメイヴのもとに向かったので兵装転換に10分程かかります。発艦は5分で済みます。』
「『グッド・ラック。』」
ここまでお膳立てしてやったんだ。やられるなよ。中須。
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