深海棲艦に殺されたら、提督として戦うことになりました。(旧題)一度死んだら提督として戦うことになりました。   作:名無しの兵六

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全開から投稿の期間があいてしまって申し訳ありません。艦娘とのイチャイチャを書きたかったのですが、私の文章力では無理でした・・・。


第94話 Gの系譜

「宮口准将であります。現時刻をもって中須少将より指揮権が小官に移譲されます。残りの行程をよろしくお願いいたします。」

 

 “おおすみ”の艦橋で新しい輸送船団護衛艦隊司令官の着任報告を受ける。

 

 中須少将の代役は数日で用意された。護衛のシルフィードとファーンを引き連れたE-2Cで宮口准将はやってきた。事前に送られた資料から推察するに、この男は俺が嫌いな部類だ。前部署は人事。数字で人を見るような連中だ。背広組と変わりない。

 

 それに、准将だって?上の連中は何を考えているんだ。普通なら同格の少将かそれ以上の階級だろうに。

 

 まあ、しかし、仕事だ。俺は准将の敬礼に答礼し、さっさと護衛艦隊旗艦“こんごう”へ行ってもらいたい。すでにヘリも準備している。ああ、中須少将は先程、E-2Cで憲兵と共に日本へ向かったよ。

 

「湊だ。一応、大将元帥だ。年下だが言動には気を付けてくれたまえ。新しい司令官を上官に対する侮辱で更迭したくはないからな。ああ、そういえば、中須少将の人事はどう決まったか元人事の貴官なら知ってはいないのかね?興味があるんだ。どんな馬鹿が提案したのかをな。」

 

 そう言うと、顔を真っ赤にした准将が怒りを抑えるかのような震える声で、

 

「小官にはわかりかねます。」

 

 と言いやがった。いや、今回の護衛艦隊の上級人事にお前さんが関与しているのは知っているからな。幕僚監部には人事に抜き打ち監査をするようにお願いをしたばかりだ。まあ、脅したともいうかな。

 

 まだ、怒りが収まらないのか禿げかけている頭まで真っ赤になっている。しかも、睨みつけてきている。馬鹿じゃねぇの?気付かないとでも思っているんだろうかね。まあ、おっさんに見つめられる趣味も無いのでとっとと“こんごう”に行ってもらおう。

 

「准将、ヘリの準備はできている。貴官の指揮に期待する。」

 

 そう言って、ワザと俺から敬礼する。すると、それで気持ちが収まったのかゆったりと敬礼をしてきた。ホント、こいつうぜぇ。

 

 水密扉から准将が出ていったのを確認して、自分で水密扉を閉めて深くため息をつく。「あんなんでだいじょうぶかねぇ・・・」と呟くと他の艦橋要員は苦笑いしている。ホントなら俺もそっち側の方が気が楽でいいんだけどなぁ。

 

 執務室に戻り、ゆっくりしていると扉がノックされる。入室を許可すると愛宕が入ってきた。

 

「おう、どうした?」

 

「いえ、皆で簡単なお菓子を作ったんです。提督も如何(いかが)と思いまして。」

 

「甘い物は大歓迎だ。」

 

「でしたら、艦娘区画へ行きましょう。みんなが待っていますよ。」

 

 愛宕に言われるがままに艦娘区画へと入り、食堂へ向かう。廊下にも甘い香りが漂っている。

 

「みんな、提督をお連れしたわよ。」

 

 武蔵、金剛、摩耶、夕張、大淀、曙、朧、潮、漣が配膳しているところだった。哨戒に出ている赤城たちには悪いが、まあ、なんだ美味しく戴くか。

 

「ヘイ、テートク。今回はパイを焼いてみたヨ。美味しく出来たと思うから食べて欲しいな。」

 

 愛宕に勧められた席に着くと金剛が切り分けたパイを持ってやってきた。

 

「あ~、金剛さん、抜け駆けズルいですよ~。」

 

「フフーン、早い者勝ちデスヨ、漣。」

 

 金剛にアーンしてもらい、パイを食べる。ふむ、アップルパイだな。美味い。すると、すぐに金剛に文句を言っていた漣がミルフィーユをフォークに刺して目の前に突き出してきた。

 

「ご主人様、あ~んですよ?」

 

 すぐにパクつく。うん、美味い。というかみんなが次々とアーンをしてくるので、味の感想を言うことができない。そして、口の水分を奪われる。

 

「おい、皆、少しは加減したらどうだ?」

 

 一番デカいショートケーキをさしだしてきた武蔵がみんなに注意する。その言葉にみんなの動きが止まったので、俺は、口の中に残っていたモノを飲みこんでさらに紅茶を口にする。

 

「いやあ、美味かったよ。みんな。哨戒に出ている赤城や加賀に知られたら怒られるかもな。」

 

「あら、大丈夫よ。赤城さん達もちゃんと作ってから出撃したから。」曙が言う。

 

 違う、そういう意味で言ったんじゃないんだとも言う間もなく、新しい手作りお菓子が目の前に置かれる。頑張れ、俺の胃!!ちなみに合間の飲み物は紅茶からお手製スムージー人数分に代わっていた。俺、糖尿になるんじゃね?

 

 そんな感じで文字通りのあま~い時間を過ごしていたら艦内放送で呼び出された。腹をさすりながらC.I.Cへ行くと、聞きたくない言葉が耳に入る。

 

「オマーン大使館の防衛駐在官からの連絡です。沿岸都市のスールに深海棲艦が上陸しました。オマーン政府はすでに軍を動員してスールからの非戦闘員の退避を始めています。」

 

 出原中佐の報告を聞きながら紙の海図台の上に3Dホログラムを表示させる。改造で追加された装備の1つだが慣れたら便利だよなコレ。ゲームの俯瞰図を見ている気分になる。

 

 さて、ホログラムではオマーンのスールが拡大されて表示されている。赤く発光している場所が深海棲艦が上陸した地点だ。スールの中心部から離れている海岸線沿いとはいえ住んでいる民間人もいたはずだ。彼らは無事なのだろうか?

 

「被害の状況は?」

 

「はい、今のところ民間人には被害は無いとの事です。ただ、コルベットが1隻手酷くやられたようですね。こちらにその時の戦闘経過をまとめてあります。」

 

 クリップボードを受け取り、目を通す。ふむ、海軍の哨戒艇が深海棲艦の艦隊群をレーダーで探知後、スクランブルした空軍の戦闘機が目視にて確認して陸・海・空の全軍が戦闘態勢に移行。陸軍は戦車だろうが装甲車だろうがトラックだろうが動く車輌は全て投入し、それなりの火砲を積んだ先頭車輌が殿(しんがり)(つと)め、民間人の脱出を支援。

 空軍は海軍に先んじて持てる総力を挙げて制空権の確保と深海棲艦への対艦攻撃を行った。そして、海軍は虎の子のフリゲートを全てと哨戒艇で深海棲艦の上陸を阻止するための全力攻撃を行い、物量さにより撤退。殿(しんがり)を務めたコルベットが一隻、追撃してきた水雷戦隊の砲撃を受けて艦橋を吹っ飛ばされて漂流中、と。んで、その敵水雷戦隊は航空攻撃により全艦撃沈破。

 

 しかも、航空攻撃は今も行っているようだ。まあ、F-16“ファイティング・ファルコン”にEF-2000“ユーロファイター・タイフーン”だからな。能力的には十分だろう。だが、上陸されてしまった今、航空戦力だけでは押し返せないし、陸軍戦力だけでも同じことだ。だからこそ、オマーンは周辺国への救援を要請している。俺は読み終えたクリップボードを出原中佐に返して、苦笑いしながら言う。

 

「俺達が行くしかないね。ペルシャ湾の入口だしな。中佐、オマーン海軍の司令部へ連絡はつけられるか?」

 

「可能ですが、輸送船団の護衛はどうしましょう?」

 

「艦娘を全員置いていく。」

 

「は?え、いや、まさか・・・。」

 

「俺と第1特機の2個小隊でやる。海に逃げだしたらガルーダ隊と“おおすみ”で対処してくれ。」

 

「・・・了解。全艦戦闘用意!!」

 

 出原中佐の指示の声が響く中、輸送船団護衛艦隊旗艦“こんごう”の宮口に通信を入れる。あいつなんて呼び捨てでいいだろう。送ったヘリパイから俺ならまだしも柱島泊地の皆の事を「居ても居なくても変わらない。」とかほざいていたみたいだからな。

 

 俺は専用のヘッドセットを付けて“こんごう”以下全ての船団の全てに通信内容が行き渡るように設定してから“こんごう”のC.I.Cを呼び出す。

 

「湊大将だ。司令官の宮口准将は?」

 

『艦長の佐伯であります。現在、准将閣下はお部屋でお休み中であります。』

 

「?オマーンからの通信はそちらにも届いているよな?」

 

『はい、閣下。しかし、宮口准将は船団か護衛艦隊に敵が近づくまでは起こすなと命令されまして・・・。』銀英伝のロボスかな?

 

「・・・俺の命令で叩き起こせ。引きずってでも連れて来い。いいな?佐伯大佐。」

 

『少々お時間をいただきます。』

 

「5分だ。」

 

『了解しました。』

 

 “おおすみ”のC.I.Cではあきらかに呆れたような空気が蔓延していた。それを出原中佐が、

 

「護衛艦隊がボーっとしていても我々がそれに(なら)う必要はないぞ。艦娘、第1特機、ガルーダの発艦準備を急がせるんだ。我々の働きにオマーンの命運はかかっているんだぞ。」

 

 すぐに各所で「了解」の声が返ってくる。俺の方も出撃の準備をしないといけないので、ヘッドセットを付けた状態で格納庫へと向かう。その途中で“こんごう”の佐伯大佐より通信が入る。

 

『・・・湊閣下、宮口准将をお連れしました。』

 

『全く、なんで私が。オマーンの事は周辺国へ任せればいいではないか。』おっと、宮口の愚痴が聞こえてくる。

 

「おい、准将。事務屋のお前さんにはわからんだろうが、通信用のマイクは中々に高性能でな、小言も拾ってくれる。無論、お前さんの愚痴もだ。全艦船の艦内によ~く響いたことだろうな。」

 

『ま、まってください、閣下。先程のは・・・。』

 

「時間が惜しいので言い訳は後で聞く。“おおすみ”はスールに向かい敵艦隊群と交戦する。なお、艦娘は全員が輸送船団の護衛につく。安心していい。しかし、指揮権は金剛少佐にある。その上位は私だ。宮口、お前には指揮権は無いことを理解して行動しろよ。艦娘を指揮して戦果を挙げて昇進の(かて)にしようなどと考えるなよ。」

 

 さて、釘をさすのはこのくらいにして、伝えたい一言を伝える。

 

「佐伯大佐。いざという時は貴官が指揮を取れ。元帥命令だ。船団にこれ以上死者を出すな。」

 

『!?・・・了解しました。』

 

 そこで通信を終えて整備室へ入ろうとして第1特機の整備室の中が見えた。

 

「は?」

 

 Jセイバーがあるのは理解できる。俺のモノの神経接続の無いデチューンバージョンだ。ただ、あの兜の前立てのようなブレードアンテナ、人間のようなデュアル・アイ、青と赤が目立つ胴体。

 

「G3(ジーサード)セイバーじゃねえか!?しかも2機!?」

 

 ついにミク達がやりやがった!!ガンダムタイプのMS艤装の作成及び実戦投入。2機在ると云うことは小隊長機ということだろう。そして、この装備。ふむ、陸地を占領して調子に乗っている深海棲艦どもに新しい地獄を見せてやろうじゃないか。




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