深海棲艦に殺されたら、提督として戦うことになりました。(旧題)一度死んだら提督として戦うことになりました。 作:名無しの兵六
「それじゃあ、テートク、行ってきますネ。」
「おう、気をつけてな。」
「了解デース。」
後部ランプから海面に降りたち、遠ざかっていく金剛達、艦娘艦隊を見送る。後部ランプの扉が閉まると同時に、第1特機とガルーダ隊のブリーフィングを再開する。
「ようはガルーダ隊は運び屋だ。俺と特機の2個小隊をミク達、妖精さんが造った降下ポッドに収容し、敵の上陸地点を囲むように投下する。降下ポッドは先程見てもらった通り、結構デカい。そのせいで、メイヴには対地・対艦用の兵装が積めん。固定機銃と対空誘導弾のみとなる。なので、一度着艦し、再度爆装し戦線に合流してほしい。」
「了解。」ガルーダ1、八島中佐が代表して応える。
「特機の2個小隊は俺と共に陸から深海棲艦共を押し返す。オマーン空軍司令部から提供された情報によると、未確認の深海棲艦がいるようだ。パイロットの視認による確認のみなのでどのような敵かわからん。G3(ジーサード)には強行戦闘モード用の装備だ。バスターキャノンとミサイルポッドは降下ポッドに収まりきらん。なので、俺のガーディアンシールドとロング・レンジ・ビーム・ライフル同様に武装用のポッドで投下される。現地ですぐに装着しろ。Jセイバーのハイマニューバ・モードのフライトユニットも同様だ。小隊長機のG3は強行戦闘モードが今回初めての実戦投入となる。気を引き締めろよ。」
「「「「「「了解。」」」」」」6人全員が応える。
「よし、では出撃用意。スールをオマーン国民のために取り戻すぞ!!」
全員が起立して敬礼をする。俺も答礼をして、各自が準備に入る。
整備室に入りミョルニルアーマーを身に付けていく。ヘルメットを装着し神経接続を開始する。ヘルメットディスプレイに全身の状態が表示され、シールドのエネルギーの充填完了の文字が灯る。アーマーに接続されているケーブルからの推進剤の注入も終わり、妖精さん達の手によってケーブルが外されていく。
「出原中佐、状況は?」
『本艦は金剛少佐率いる艦娘艦隊の出撃後、輸送船団と別れスールへ向けて波動防壁を展開し最大戦速にて航行中です。敵影も確認できていません。』
「よろしい。オマーン軍からは?」
『いえ、今のところ新しい情報は・・・。なに?それは本当か?無茶をやる。閣下、オマーン空軍のファイターパイロットはかなり肝が据わっていますよ。亜音速で上陸地点を通過し動画を撮影したそうです。片手での撮影なのでぶれていますが、今、補正をかけています。』
「そのまま、こちらにまわしてくれ。アーマーでも処理できる。そちらで処理したモノは第1特機とガルーダ隊へ。」
『了解です。』
すぐに動画がヘルメットディスプレイに表示される。手ブレなどを補正しながら再生する。は?上陸地点に港湾施設ができつつあるだと!?どういうことだ!?さらに、短い動画を細部まで見ていくと他の深海棲艦に指示を出しているようなモノがいた。深海棲艦と云えば黒を基調とした個体が多いが、こいつは白い。肌も服も。そして黒い角が一本おでこから生えていて、両手が大きい。何かの艤装だろうか?
まあ、やることは変わらんな。撃って撃って討ちまくるだけだ。整備室に置かれた武装用投下ポッドにロング・レンジ・ビーム・ライフルとガーディアンシールド、SRS99-5 対物ライフル、予備の弾倉を詰め込む。すぐにメイヴの機付員がやってきてポッドを運んでいく。第1特機のほうも大丈夫なようだ。
あとは俺達が降下ポッドにおさまるだけだ。一段上の格納庫へ上がり、ガルーダ1のもとへと向かう。まったく、メイヴの威圧感といったら・・・。まさに空の女王の風格だな。
「八島中佐、上手く落っことしてくれよ。」
「対地攻撃はあまり得意ではないんですがね。精一杯やらせてもらいます。」
俺は頷きポッドへと向かう。ポッド内にはMA5D アサルトライフル、M45D タクティカルショットガン、M6H ハンドガンがすでに収められている。あとは俺が入るだけだ。第1特機の面々もポッドに収まり始めている。G3セイバーもゆっくりと収まる。
俺も仰向けにポッド内に収まる。機付員達の手によりポッドが閉じられる。急ごしらえのために明かりは一切ない。ミクが今度はもっと良いモノにすると云っていたな。ヘルメットディスプレイで第1特機とのリンクをオンにして、同じくポッドに収まっている他の6人と話しをする。
「どうだね?羽佐間中尉。」
『MS艤装を着込んできましたから圧迫感は感じませんね。ただ、外部が見える小窓かカメラが欲しいです。発艦後にガルーダのカメラとリンクできるとしてもあれは主に高空から地表を映すモノでしょう?しばらく、海を眺めるのも味気ないと思いますね。』
「まあ、帰りの推進剤を気にしなければ、いつも通りにカタパルトから出撃できるんだがな。貴官と橋島少尉のG3(ジーサード)強行戦闘モードはローラーにより地表を高速で移動し、目標を撃破するための装備だからなぁ。原作とは違いローラーにもモーターによる駆動装置を組み込んだと言ってはいたが、基本はG3(ジーサード)の強力な推進力に頼っているモノだ。全開戦闘すれば帰艦分の推進剤なんぞすぐ使い切ってしまうさ。」
『まあ、その代わりに全開戦闘をしても問題は無いと云うことですよね?』
「そうだ。ああ、今更だが、射撃の際には注意してくれ。特にエネルギー兵器は。」
『ああ、ビームだと貫通してスールの街を破壊してしまうかもしれませんね。』
「それにだ。エネルギー兵器を使用するのは我々だけしかいないからすぐに犯人が特定される。」
『了解です。みなもいいな?』
『『『『『はい、中尉。』』』』』』
そんな感じで時間を潰していると作戦開始時刻になった。すでにスールからは全市民が退去した。オマーン陸軍も最低限の監視のための兵力だけを残し、機動防御のために機甲戦力は後方に待機している。海軍は動けず、空軍もガルーダ隊と入れ替わりに空域を離れる手筈だ。
メイヴのエンジン、スーパーフェニックスが始動する甲高い音が聴こえる。ヘルメットディスプレイにはガルーダ1の機体下面に装備されている偵察用の高性能カメラの映像が映し出される。ゆっくりと甲板を移動し、カタパルトに固定されたようだ。スーパーフェニックスが咆哮する。と同時にリニアカタパルトが作動し40t近いメイヴを瞬時に約400km/hまで加速させる。
さらにそこにスーパーフェニックスのアフターバーナーによる加速と急上昇が加わる。射出されてから数秒も経たずに音の壁を突き破った。そのさいにかかるGを思いっきり受ける。4Gからの急上昇による9G近い負荷が全身を襲うが、スパルタンとなったこの身にはまだイケると思えるほどだった。マスターチーフも大気圏に再突入してアーマーロックだけで助かっていたからな!!
現在、高度20,000m。俺達入ったポッドは急降下爆撃よろしくスールに投下される。20,000mからのダイヴなんてメイヴぐらいしかできないんじゃないか?あ、あとスーパーシルフ。陸軍のナイトシーカーを装備している第1空挺団特務機動装甲大隊も除いておこう。
『全機、高度60,000に到達。各種装備に異常はありません。』
ガルーダ1のフライトオフィサ、迫中尉が報告する。ちなみに、空軍だからフィートだ。決して60,000mではない。ヤーポン法は滅びればいい。
『
『では、増速する。1,450ノットだ。』
さらにGがかかる。マッハ2.5を超える。深海棲艦はもう手も足も出ない高度に速度だ。呻き声が通信に混じる。第1特機の誰かだろう。MS艤装は着込む前に専用のインナーを身に付ける。それがブラックあるいはレッドアウトを防ぐために自動的に収縮するんだ。ま、それでも、体にのしかかってくるGの圧までは軽減することはできない。陸軍なのに戦闘機のパイロットよろしくGに耐え抜かなければならない。海軍の俺も似た様なモンだな。
『投下5分前。』迫中尉が告げる。
「よし、全員、MS艤装の不具合は?」特機に問う。
『第1小隊、異常なし。』
『第2小隊、異常なし。』
両小隊とも異常なく。俺もヘルメットディスプレイに表示される情報でミョルニルアーマーの状態を確認する。よし、大丈夫だ。
『あと2分。』
息を整える。
『1分前。』
メイヴのカメラに陸地が写る。
『30秒。降下開始。』
急降下。20,000mからのマッハ2.5でだ。猛烈なGが体にかかる。そして、
『
“カコン”という音と共にメイヴから切り離される。カメラ映像も途切れるので消す。しばらくは自由落下。エアブレーキ?んなモンはついていない。“ドンッ!!”という音、衝撃とともに接地したことがわかる。体感では地面に直立するように刺さっているようだ。すぐに、パージ用のレバーを引いて、内蔵された少量の火薬がポッドの蓋を吹き飛ばす。無人のスールの街が視界に入る。
「シエラ01、タッチダウン。」
さて、地獄に到着だ。
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