深海棲艦に殺されたら、提督として戦うことになりました。(旧題)一度死んだら提督として戦うことになりました。 作:名無しの兵六
「止マレ!!」
100mほどまで近づくと白い艤装の艦隊で構成された壁から声が発せられる。俺はその声の主を探そうとして首を動かす。
「止マレト言ッテイル!!」
「自分の姿を現してから言うのが人にモノを頼む
50mをきった。跳躍だけで充分に接近戦に持ち込める距離だ。
「ワカッタ。ココダ。私ガ此処ノ指揮官ダ。」
戦艦級を押しのけて重巡級が1人前に進み出る。最近確認されたネ級の上位体か。目から金色の炎が灯っている。ま、とりあえず名乗り出たのだから俺は前進をやめる。壁まで30mチョイか。
「俺は、日本海軍、元帥大将並びに柱島泊地司令長官の湊という。現在、展開中の全部隊の指揮権を持っている。」
「承知シタ。貴官ヲ姫様ニ会ワセルタメニハ、武装ヲ預カラナケレバナラナイ。了承シテモラエルダロウカ?無論、貴官ノ実力ヲ把握シテノコトダ。貴官ガ素手デモ我々ヲ壊滅サセルコトガデキルコトハ理解シテイル。」
「ふむ、俺の武装は現在このガーディアンシールド、大盾だな。この中にあるものと背部と腰部に懸架しているものがある。複数名で扱って欲しい。それと、俺の移動にも伴ってもらうことが条件だ。」
「大丈夫ダ。オイ、武装ヲ預カルンダ。」
その言葉に戦艦級が5名出てきてそれぞれに武装を預ける。「ちと重いぞ。」という言葉と共にガーディアンシールドを預けた3人は渡した瞬間に呻き声を上げていたが大丈夫かね?ま、落としたところで性能に影響はないからいいか。SSR99-5対物ライフルとM6Hハンドガン、ビーム・サーベルもそれぞれ預ける。
ビーム・サーベルを渡した時にネ級上位体は首をかしげていたが、試しに俺がビーム・サーベルを起動しアスファルトの路面を斬りつけると、若干引きつつ納得したようだった。まあ、最大出力で斬りつけたから路面が煙を上げ泡立ちながら融解したからな。さもありなん。
「デハ着イテクルンダ。姫様ノモトヘト案内スル。」
その言葉と同時に、壁が割れて入口ができる。多数の深海棲艦に見られながら歩を進める。ネ級上位体の後を着いて行く間もヘルメットディスプレイに表示される各部隊の戦闘状況を確認する。
白艤装の深海棲艦部隊を捕虜とした特小201は特に接敵せずにスールの郊外へと進入。俺のIFFを頼りにこちらへと向かって来ている。
しかしながら海岸線沿いを移動中の特小101は断続的に黒艤装の深海棲艦の艦隊と接敵。特小103が戦艦級の主砲の直撃を受けたがJセイバーの装甲材と装甲厚に助けられた。帰艦したら要重整備となるだろうが、フレームが歪んでいなければ装甲の換装のみですむ。
ガルーダ隊は制空戦闘を固定武装のガトリング砲のみで行っている。装弾数が数千発というモノであるからまだしばらくは大丈夫だろう。燃料も増槽を切り離していないので問題は無い。
“おおすみ”はニミッツ級並みの巨艦ながら駆逐艦並みの機動力でパルス・レーザーで対空・対艦攻撃を行っている。しかしながら包囲している敵が多くこちらに辿り着くまでもう少しの時間が必要だろう。最上甲板に展開しているプロテクト・ギアを装備した憲兵隊も魔改造MG42で奮闘している。
そして、金剛達だが、彼女たちの通信が一番賑やかだ。
『ヘーイ、武蔵!!ル級は任せマスヨー!!ワタシは巡洋艦級をやります!!』
『了解した。46cm砲斉射始め!!』
『潮!!敵潜、潜望鏡!!距離50!!いける?』
『大丈夫だよ、曙ちゃん!!・・・当たってぇ、えーい!!』
『爆雷が直撃したみたいだね。流石、潮。』
『ありがとう、朧ちゃん。』
『ハイハーイ、皆さん、おかわり来ちゃいましたよー。漣が全部貰っちゃいますよ?』
こんな感じだ。ちなみに赤城たち空母組は艦載機の発着艦が完了するたびに手近な深海棲艦へとナイフとハンドガン片手に近接戦闘を仕掛けて沈めている。う~ん、鍛えた甲斐があったと喜んでいいのか、艦娘の戦い方から徐々に離れてきているような?
そんなことをしながら歩くこと2,3分、
「コンニハ。私ハ姫。名ハ無イワ。」
普通に挨拶と自己紹介をしてくれた。敵意を感じられなかったので、ヘルメットを取り、敬礼をして挨拶をする。
「日本国海軍、柱島泊地司令長官、湊海斗大将元帥。今回、沖を航行中の船団の護衛任務についている。」
言い終わり、ヘルメットを被る。
「さて、ここは戦場だ。というかアンタが戦場にした。占領したところを返してもらおうか。」
「条件ガ一ツアルワ。」
「何だ?」
「私達ノ降伏ヲ受ケ入レテ欲シイノ。ソシテ、安住ノ地ヲ。」
おっと、これはまた意外な。拒否されると思ったが条件付きで承諾してくれるとは。
「“私達”とは白い艤装の艦隊のみという認識でよろしいか?」
「エエ。」
「わかった。すぐにここへ終結するように命令してくれ。総数の把握をしたい。」
「ワカッタワ。」
「・・・言っといてなんだが、俺の言葉を信じていいのか?」
「戦ッテイル貴方ノ部下ハ、私達ヲ避ケテイルワ。ソノ事実ダケデ十分ヨ。ソレニ・・・。」
「それに?」
「身内カラ戦イヲ強制サレルノニハ疲レタノ。」
「了解した。降伏を受け入れよう。そして、土地だが、岩礁地帯でも大丈夫か?」
「マァ、好キニ土地ヲイジッテモ良イノナラ。」
「良し、少し待ってくれ。『シエラ01よりオールガルーダ。日本との通信中継が可能な機体は?』」
『ガルーダ6。いけます。8万5千フィート(約2万5千~6千)まで最大推力で上昇中。』
沖の方へ視線を向けると白い航跡を引きながら1機のメイヴが急上昇しているのが確認できた。
『ガルーダ6よりシエラ01。現在、8万5千フィート。衛星とのリンク確認。通信中継いけます。』
「『シエラ01より統幕、応答せよ。』」
数分の沈黙の後、
『シエラ01、幕僚長だ。今、こっちは何時だと思っている?用件は?』
「『幕僚長閣下、緊急案件です。オマーンのことは?』」
『聞いている。先程、会議が終わって帰宅前だった。』
「『申し訳ありません。深海棲艦の上位種。彼女らは“姫様”と呼んでいます。その姫と接触しました。現在、オマーン周辺に展開中の白い艤装の艦隊は全てが戦闘を停止し、降伏するとの事です。』」
『なるほど。で、何か条件があるのだろう?』
「『はい、安住の地をとのことです。自分は竹島がよろしいかと。丁度、不法に占拠していた隣国人が黒い艤装の深海棲艦に排除されたばかりです。それに以前と比べ日本海側は深海棲艦の出現率が低下しています。』」
『深海棲艦の内輪もめか?』
「『似たようなモノです。』」
『・・・わかった。総理にお伺いをたてる。降伏は受け入れろ。政治が終わるまでは柱島で面倒をみれるか?』
「『ナギ達の件がありますので帰国までに周知していただければ可能かと。』」
『よし。他には?』
「『ありません。通信を終わります。』」
『ああ、武運を。』
通信を終えた俺は姫に視線を戻す。おっぱいでけえな。
「姫、聞こえていたとは思うが、君たちの降伏は受け入れられた。そして、場所も今から調整する。日本への帰国までに間に合わない場合は俺の泊地で面倒をみる。これでよいか?」
姫が頷く。しかし、姫だとこれから困りそうだな。恐らくは他にも姫と呼ばれる個体がいるのだろうし。ふむ。
「聞きたいのだが、この深海棲艦用の港湾施設は貴女が展開したのか?」
「ソウヨ。」
「では、これから港湾棲姫とよばせてもらう。他にも姫はいるんだろう?」
「イルワネ。港湾棲姫・・・。イイワ。コレカラハソウ呼ンデ。」
「よし、話し合いはこれで終了だ。俺はこれから黒い艤装の艦隊を潰してくる。そのほうが撤収もしやすいだろう?」
「オ願イスルワ」
よしよし、んじゃまあ、残敵掃討といきますか。
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