沖田さん視点の番外編。
主人公の沖田さんとの〝縁〟につながるお話。
たまにはガールズトークでもどうか、
と立香に誘われ、私、立香、マシュ、
そして何故かノッブの4人でお茶会を開くことに。
マスターはシュミレーションルームで
他のサーヴァントたちと戦闘訓練らしいです。
まぁ当然、女子のお茶会となれば確定して
その………そういう話になるわけで。
「沖田さんは真機先輩が好きなんですよね?」
「うぇっ!?」
まさかマシュにも言われるとは思っていなかった。
立香とノッブの二人はニヤニヤ顔で
こちらを見てくるのでイラつきと恥ずかしさが
混ざって顔を伏せてしまう。
「沖田ぁ~マシュにも分かるくらいではないか~」
「うっ、うっさい!
立香、立香もでしょう!?」
「いや別に?」
「えっ!?」
「うーん、確かに好きなんだけど………
親友以上、恋人未満って感じかな、良い意味で」
良かった………じゃなくて。
どうにか話を逸らさないと………
「沖田さんの初恋っていつ?」
「聞かれたくないことを
容赦なく聞いてきますね!?」
「うははははげほっ、うはははははははは!!!」
「ノッブ笑いすぎです!斬りますよ!?」
むせてまで笑いますか!?
ていうか、立香ってストレートですよね………
「ははは………ふぅ、あぁ笑った笑った。
二人とも聞けい、こやつ、初恋は生前だぞ」
「あ、そうだったんですか?」
「へー、知らなかったなー。沖田さんに
ついては色々知ってるつもりだったけど」
「あまり知られておらぬからのぉ」
…………これはもう話す流れですかね。
まぁ別に恥ずかしいことでもないんですが……
なんというか…………
「沖田、話せ」
「あの、無理しなくても………」
「えーでも気になるなー」
「…………分かりましたよ。
決して面白い話ではないと思いますが」
話し始める。
あれは生前のこと────
私が新撰組として、
人斬りの鬼として恐れられた頃。
知っての通り、
病弱だった私は病院へ行っていました。
まぁ病院と言っても、今のように大した
治療は受けられませんでしたが。
そこで出会った方に、私は恋をしたのです。
治療は受けられましたが、その頃には
私は人斬りとして知られていたので、
お医者様を含めた誰もが私に怯えていまして。
ですが1人だけ…………
私に普通に接してくれた方がいたのです。
その方はお医者様の息子さんで………
と言っても、私と同い年だったらしいですが。
床に伏せることになった私を、
怯えることなく熱心に看病してくれたんです。
恥ずかしい話なんですが………
この時の私は寡黙で、
ほとんど喋ることもなかったんですよ。
その人と会う度に必死に言葉を交わして………
それから、冗談を言って人と距離を
縮めるようになったんです。
この性格も、あの人のお陰ですね。
新撰組に戻った時は本物か疑われましたもん。
───あぁ、結婚する気はなかったか、ですか。
多分…………あったと思います。
まぁでも、近藤さんに猛反対されまして………
私は新撰組でしたから、
局長の近藤さんに反対されたら色々と
終わりみたいなものでしたから………まぁ、
諦めましたよ。きっぱりと。
こんな感じ、でしょうかね。私の初恋は。
「…………つーか何で酒飲んでるんですかノッブ」
「ぷはっ、いいじゃろ、別に」
溜め息をはく。
話して損した感じですね…………
「そうだったんですか…………」
「なんか聞いちゃってごめんね」
「いいですよ、きっぱり諦めもつきましたし」
「泣いて親戚に愚痴ったとか言ってたじゃろ」
「余計なこと言わなくていいんですよ………!」
ノッブの頬を引っ張っる。
ともかく、と話を戻します。
「私の初恋はこんな感じですかね」
「それで今は?」
「マスターのことが………ってノッブゥゥッ!!」
「ぞっこんじゃなぁ、うっはっはっはっは!!」
「今度、近藤さんに言われたらどうする?
真機くんと別れろ、って」
「絶対に嫌です!!!」
このあと、何とか落ち着きを取り戻すまで5分。
「何となく聞くけど、贈り物とかしたの?」
「あー…………そう言えば
首飾りをあげたような………あれ?」
首飾り…………でも何だろう。違和感が………
どこかで、あれを見たような………
「首飾りはわしも初耳じゃな。
だが、首飾りと言えば…………」
「えっと………え?」
「ま、まさか…………」
「え………」
マスターに貰った指輪を反射的に見る。
この指輪…………確か、マスターの首飾りから……
「あっ、あれ!」
立香が窓の外を指差し、
つられてそちらを向きます。
そこには、シュミレーションルームの帰りなのか
汗でびっしょりになって歩くマスターの姿が。
その首には、確かにあの首飾りが。
「「「!?!?」」」
3人が絶句。
私は───本能的に、走り出していました。
部屋から飛び出す。
「マスター!!」
「ん……沖田か、ただいま」
「お帰りなさい、じゃなくて!!
マスターのその首飾り、どこで!?」
「これか?あぁ、話してなかったな。
これ、ウチの家系に伝わっててな?
ウチの家系も俺だけだから持ってるんだ」
「………ぁ……」
マスターはさらりと話していて………
なんだか、持っているのが当たり前みたいに。
「結構古いものらしいんだけど、
なんか肌身離したくないんだよな」
「…………」
「これがどうかしたか?」
「…………………いえ、何でもありませんよ?
何となく、気になったもので」
「そうか、部屋にいるから、
何かあったら呼んでくれ」
「はい」
……………マスターが、もし、そうだとしたら。
あの人は、誰か別の人を娶ったのだろう。
だけど………これが残っているのなら。
捨てられていなかったのなら…………
そう考えて、崩れ落ちる。
「!?どうした、大丈夫か!?」
───────なんて、嬉しい
あの首飾りが、また、繋いでくれたのか。
大好きな人と。会うべき人と。
だったなら───
マスターが、私を呼んだのも納得がいく。
凄まじく強力な、〝縁〟。
マスターの家系だけでなく、あの首飾りが
知らず知らずの内に触媒になっていた。
「おい、沖田!大丈夫か!?」
「…………はい、マスター」
涙がボロボロと零れて。
私は無意識の内に言葉を紡いだ。
「大好き、です─────!」
この後、赤面して部屋で話を聞かれるのは別の話。