………どうしたのさ、モーさん。
「あ?何が?」
私、どうせ来てくれないと思って
イベント礼装狙ってガチャを5連くらい
しようと思っただけでね?
「知るか、オレもイベント特攻だろ?
つーか何で泣いてんだよ、マスター」
嬉し泣き。
種火集めてくるから待ってて下さい。
誰か陳宮とアーラシュ呼んでー。
閃光に貫かれたジャンヌが倒れる。
沖田が距離を取り、納刀した。
「勝った………?」
「はい、勝ちました!
聖杯は上です、私たちも行きましょう」
だが、ジャンヌはまだ消滅していない。
左腕で顔を覆い、天井を仰いでいる。
「………沖田、先に行ってくれ。
ジャンヌに少し聞きたいことがある」
「え?は、はい」
沖田が来た道が通れるようになったことを
確認し、扉を開けて戻っていく。
俺はジャンヌへ歩み寄る。
「敗者を愚弄するの?」
「聞こえてたろ、聞きたいことがあるんだ」
「………ふん、燃え落ちても知らないわよ」
俺はジャンヌを見下ろす。
相変わらず顔を隠したままだが、話をする。
「じゃ好きにさせてもらうが………これ……
人理の崩壊を起こして聖杯を与えたのは誰だ?」
「知らないわよ、そんなの。
だって私、召喚されたサーヴァントですし」
「は?いや、だが、お前が聖杯を……」
「知らないって言ったわよ。あと少し
違ったわね、私は
「造られた………?
いや、あぁ、そう言うことか……!」
なるほど、と言うことは、元凶は
黒いジャンヌ・ダルクじゃない。
それを聖杯に願い、このジャンヌを造った
ジル・ド・レェか………!
青髭、やはり外道だ。
ホムンクルス並みの酷さではないか。
「私は贋作、あなたたちには
やはり敵わないのが道理ね……」
「………それについて、話がある」
「何か?」
「残念だが、お前は贋作じゃなくなった」
「え………?」
ジル・ド・レェは、このジャンヌを聖杯に願う時、
『フランスを憎むジャンヌ』と願った筈だ。
故にこのジャンヌはIFの存在。
有り得たかも知れないジャンヌ・ダルクだ。
やはり、本物のジャンヌとあの話をして
正解だったのかも知れない。
「人類史のジャンヌ・ダルクが、
本当にフランスを憎んだなら?」
「………どういうこと?
理解が、できないわ」
「サーヴァントは、同一人物でも
違うクラスとして現界することもあるそうだ。
たとえば、青年の姿と、その後の老年の姿、と」
「───ぁ!?」
彼女は声にならない声を上げる。
俺はニヤリと、それを笑う。
「おそらく、お前は白いジャンヌに
憎しみの感情があったと意識されたことで、
贋作じゃない、ジャンヌ・ダルクとして、
英霊の座に登録されたんじゃないか?」
ジャンヌが、あの夜言ったのだ。
『………………恨んだ、でしょうね。
国に尽くして、それでも、
私は見捨てられたのですから』
実は薄々、俺もこいつが偽物ではないかと
思っていたフシがある。
ジャンヌ・ダルクを聖女と決めつけてた俺がいた。
だから、これに気づけたと思う。
「本物が何人いようと別にいいだろ?
──────なぁ、ジャンヌ・ダルク」
俺は笑いかける。
白い彼女も、黒い彼女もジャンヌ・ダルクなのだ。
教科書に乗っている、英雄としての。
「…………ふふっ、そうね。敵なのに、
アンタには本当、すっきりさせられるわ」
「そうかい。んで、ここで燃えるのは嫌か?」
「また燃やされるなんて二度とゴメンよ。
炎は消してあげるわ」
「助かる」
先ほど、入ってきた所の道が崩れ落ちた。
どうやら出られなくなったようなので、
取り敢えず彼女に火を消してもらう。
俺が立香たちの所へ向かうため、
魔術で手榴弾を作ろうとした、その時。
ジャンヌから声がかけられる。
「───最後に、提案があるわ」