長かった、もうセプテムだけで20話以上か………
こりゃ終わるのは2年後くらいかなぁ……
「真機くん、正気に戻るんだ!
サーヴァントは令呪で霊基を修復できる!」
膝をついた真機の意識が消失し、
カルデアの管制室でアラートが鳴り始める。
ロマンは連絡越しに叫ぶが、
真機の意識は完全に途絶える。
職員たちも慌て始め、
そしてロマンが立香に連絡しようとした、
その時だった。
人は、無意識でこそ真価を発揮するという。
それは、無の境地、とでも言うのだろうか。
「マス、ター………!?」
ゆらりと真機が立ち上がる。
その左手の令呪が輝き、沖田を光が包む。
霊基が修復されるが、沖田は驚くだけ。
真機の顔は虚ろで、
まるで魂が抜けたかのようで、その目に光は無い。
「……………」
真機は銃を捨て、左手にナイフを構える。
いや、構えるというより、無造作に
床へナイフを手にした腕を垂らした。
そして────
ナイフを、魔神フラウロスの目玉に突き刺した。
「速っ………!?」
縮地と同格の速度。
まるで瞬間移動したかのような速度だった。
しかも距離は20mはあった筈だ。
その距離を、認識できない程の速度で詰め、
そしてナイフを振るった。
更に真機はナイフを上へ斬り抜き、
地を蹴って魔神の身体を蹴り、上空へと上がる。
「死ね」
ただの一言、それに乗せられた殺気。
言霊、に近いもので、
確実に獲物を仕留める、というその言葉に
乗せられた殺気が、空間を凍りつかせた。
何度も戦場で味わったことのある
沖田ですら背筋が凍り、
フラウロスも魔力爆発で撃ち落とそうとしたが、
その凄まじい殺気に圧倒され動きを止める。
そして、魔神の身体にナイフを突き立てた。
重力による自由落下に入り、更に魔力放出により
威力と速度が底上げされ、
魔神の体躯が縦に切り裂かれる。
甲高い断末魔を上げて、魔神が切り裂かれた
場所から爆発するように光を放った。
「────!!」
その光景に、カルデアの者たちを
含めた誰もが息を飲む。
それは恐怖か、その動きの華麗さか。
流れるような動作で、魔神を終わらせた。
トッ、と軽い音を立てて真機は地に降り立つ。
「………マスター」
「……………」
それは、その声のした方に虚ろな目を向け、
全身の力が抜けたかのようにその場に倒れ込む。
「マスター、だ、大丈夫ですか!?」
沖田が駆け寄り、倒れた真機を抱き上げる。
意識はないが、どうやらそれだけのようだった。
息もしており、命に別状はないようだ。
足音が聞こえ、沖田は振り替える。
マシュ、立香、ネロが走ってきていた。
「あ、いた!」
「沖田さん、真機先輩は無事ですか!?」
「な、何とか………」
『みんな、気をつけてくれ!
まだレフの反応が残ってる!』
ロマンの言葉に、真機以外の全員が
魔神のいた方向を向いた。
そこにいたのは、苦痛に顔を歪めたレフだった。
縦に切り傷のようなものが刻まれている。
先程の斬撃が原因だろう。
「ぐ、……ば、かな………!?
たかが英霊と人間如きに……我が、御柱が……っ」
「そこまでだ、魔術師よ。
貴様の企みもここで終いだ」
「いいや、計算違いだ、そうだ。神殿から、
離れて久しい故に、壊死が、始まっていたのだ。
だが、ククク、私が、
保険を用意していない、とでも?カルデア……」
『!
聖杯の活性化を確認した、
まだ何かするつもりだ、気をつけてくれ!』
レフが聖杯を掲げる。
「来たれ!
破壊の大英雄、〝アルテラ〟!!!」
聖杯の光が周囲を照らした。
そして、光が晴れた時。
「─────」
凄まじい魔力を纏って現れたのは、サーヴァント。
目を開いただけで、威圧が放たれる。
「あれは………!」
「ふっ、ふははははは!!
終わった、終わったぞ、ロマニ・アーキマン!
このサーヴァントこそ究極の蹂躙者──」
「黙れ」
「え」
一閃。
レフが、真っ二つに割れる。
アルテラにより斬られたためだった。
そして、聖杯を拾い上げたアルテラは、
それを吸収し始める。
誰もがその状況についていけず、
言葉を失っている。
口を開いたのは、アルテラだった。
「私は───フンヌの戦士、そして大王である。
この西方世界を滅ぼす、破壊の大王」
そして、その手の剣を振り上げる。
全員が危機感を感じた。
「何か………嫌な感じが、するぞ!!
余にも分かるぞ、4人とも!!」
『これは………この魔力は、対城宝具!?
対城宝具クラスの真名解放が来るぞ!!』
「マシュ!」
「はい!宝具、展開します!!」
沖田はマスターである真機を見直す。
真機の身体が、光っていることに気づいた。
「これは───!?」
沖田は目を見開く。
そして、宝具が解放された、その瞬間だった。
「やっと────我が出番のようだな………!!」
無骨ながら神秘的な剣を持った、
ボロボロのマントを羽織った金髪の男が、
真機の中から覚醒した。