セカイの扉を開く者   作:愛宕夏音

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戦争の支度

エヒトの消えた神門なる扉から神域入れるのは魔人族や魔物だけらしい。やはりというかさもありなんというか、白焔で燃やしても繋がらなさそうだった。香織もティオの再生魔法で復活した為、俺達はこれからの方針を話し合うことになった。

 

「さて……まずは情報の整理だな。……エヒトはユエの身体を掌握するのに3日掛かると言っていた。んで、3日後に神山から攻めて来ると。アイツの性格から言ってこれに嘘は無い。ここまではいいな?」

 

俺は集まった異世界召喚組とシア達を見渡す。召喚組の中でも天之河達はともかく、俺がオルクスに落ちてからほとんど外に出ていなかったらしい奴らはまだ意識が現実に追いついていなさそうだったが……。

 

「アイツはまずこの世界を滅ぼす気だ。その為に魔物や銀色の使徒共を大量に放ってくるだろうことは想像に難くない。そして、俺ん目的は奪われたユエの奪還だ。奴らが襲ってくるのと入れ替わるように俺ぁ神域、エヒトのいる領域へ踏み込む」

 

「私達も行くわ。あっちには恵里もいるもの」

 

「そうだよ、鈴達はえりりんを取り返す為に来たんだから」

 

と、八重樫と谷口が決意に満ちた瞳で俺を見る。

 

「……でも、あの門は天人さんを通さなかった。もしエヒトの意思で通れる者を選べるのなら───」

 

「ていうか、多分そうだろう。だからまずは概念魔法に近いレベルのアーティファクトを作る必要がある」

 

シアの予測はその通りだろう。アイツの性格的に、逆に通してくれる可能性もあるが、それに賭けるのは些か以上に分が悪い。

 

「ふむ。主よ、あの鍵は……」

 

「宝物庫ごとイカれた。ホントはあれで離脱するつもりだったからな。まぁもう無いもんは無い。……一応、羅針盤とかホントに1つしかない物は下の雪原の雪の中に隠してある。鍵さえ作り直せば問題無い」

 

「用意が良いですね……」

 

悲観論で備え、楽観論で行動せよ、だからな。神の使徒を連れてフリードが出てきた時点で魔人族のトップとエヒトが繋がってることは予想できたから念の為、だ。

 

「ちなみにその埋めた中には香織の元の身体も入ってるからな。早く戻らないと文字通り土に還る」

 

「ちょっとぉぉぉぉ!?早く!早く戻ろう!!ねっ!?ねっ!?」

 

自分の肉体の危機を聞いた香織が俺の両肩を掴んでブンブン揺すってくる。

 

「まぁ落ち着け。凍らせてあるから数日単位で大丈夫だ。ほら、作戦会議(ブリーフィング)続けるぞ」

 

それを聞いて渋々、といった体で香織は俺の肩を揺さぶるのを止めて席に戻った。心の中の「多分」は声に出さないでおこう。言ったら俺の内臓が上下左右綺麗にひっくり返るまで揺すられそうだ。

 

他の奴らがティオの言っていた鍵がなんのことやら、という顔をしていたので八重樫が簡単ではあるが代わりに説明してくれた。それを聞いたら人質にされていた方の召喚組はもう一度作れだの何だのと言ってくるが───

 

「……畑山先生に聞いてないのか?俺はお前らとも違う世界から来たんだ。お前らの帰還なんぞよりユエの方が大事に決まってるだろうが。……そんなに帰りてぇなら今から全部の大迷宮を攻略して自分らで概念魔法を作ればいいだろ」

 

大迷宮の場所くらいは教えてやるからと言えば、騒がしくしていた奴らも口を閉じる。……それとも、黙ったのは俺が威圧の固有魔法で脅したからかな?

 

「ともかく、俺はどうにかして武装を整えつつあの神域とかいう所に入るアーティファクトを作る。俺に着いてあっちに向かう奴は?」

 

スッと手を挙げたのはシアとティオ、香織に八重樫に谷口に天之河に坂上。他の奴らは顔を見合わせてオロオロするばかりだ。ま、そんなもんだろう。

 

「じゃあ今手を挙げた中で、香織、お前は残れ」

 

「っ!?なんで───」

 

「お前、その身体じゃまたいつエヒトに機能停止させられるか分からんだろうが。悪いがそれがある以上は連れて行けない。だがエヒトの野郎も地上までは手が届かねぇだろうからな。香織はこっちに残って、攻めてくるであろう使徒や魔物から他の奴らを守るんだ。天之河達が中村の方へ行く以上はお前が頼りだ」

 

「……うん。分かったよ。リリィやミュウちゃんにレミアさん、それに愛ちゃん先生や皆を守らなきゃね」

 

そういうことだ。今の香織ならむしろ天之河達よりも強いし、そういう奴が下にいてくれた方がこちらとしても助かる。

 

「あとは他の奴らだ。お前らはどうする?」

 

俺は、他の召喚組を見渡した。そしてその殆どの奴が俺から目を逸らす。

 

「……どうするって」

 

「お前らはこの世界の人間じゃあない。むしろ勝手に呼び出されたんだ、戦う義理は無いと思うし、あの銀色の使徒は1人でも天之河の10倍は強い。そしてその天之河には引きこもってたお前らじゃ束になっても勝てない。……その上で、だ。戦うというのなら用意はしてやる。やりたくないのならそれも止めない。俺ぁその判断を悪くは思わないし、ユエを取り戻して帰る手段をもう一度作ったら、そん時ゃ全員帰してもやる」

 

「そもそも、勝てるのかよ……。さっきは手も足も出なかったじゃないか」

 

「勝てる。いや、勝つさ。さっき見せたあの銀の腕があればエヒトにも届く。ユエとエヒトを引き剥がす算段は付いてるからこっちの戦いは問題無い」

 

「……それ、信用できるのかよ」

 

さっきからボヤいているのは全員が違う奴だ。それだけ、さっきの戦いは奴らにとって衝撃的であり、俺の戦力を不安視するに至るのには充分だったのだろう。

 

「どっちだっていいが、俺が負ければお前らは死ぬ。それだけだ」

 

俺の言葉に再び全員が黙り込む。自分らでは大迷宮を攻略できないであろうことも、ましてや使徒になんて勝てっこないことも分かっているのだろう。だから何も言えない。コイツらの生殺与奪を握っているのは俺なのだから。

 

「使徒が攻めて来る時にこの世界の奴らが抗えるようには焚き付けてやる。で、お前らがどうするかはお前らが好きに決めていい。……それで、戦う奴はいるか?」

 

この中で手を挙げたのは4人。ミュウとレミアさん、そして畑山先生と遠藤だ。

 

「ミュウもたたかうの。パパやお姉ちゃん達だけにたたかわせないの」

 

「私も戦います。もちろん戦闘なんてできないけれど、それ以外にも出来ることはある筈ですから」

 

「……ミュウとレミアには前線に出るよりもやってもらいたいことがある。そっちに専念してもらっていいか?」

 

俺の言葉に2人は強く頷く。

 

「……畑山先生、アンタが戦うっつうならこの戦争の旗頭になってもらいたい。まぁ、やることはウルの時と同じだけど」

 

「分かっています。この世界の人達にもお世話になりましたし、何より生徒達の為ですから」

 

「……で、遠藤、お前も戦うのか?」

 

以外にも手を挙げた遠藤。コイツは確かに天之河達とオルクスに潜っていたが、大迷宮の攻略には着いてこなかったからここで手が挙がるとは思わなんだ。

 

「あぁ。もうあの時みたいな思いはしたくないんだ」

 

あの時ってのはきっと、魔人族と魔物に追い立てられたあのオルクス大迷宮の話だろう。

 

「……その気があるならそれでいい。……他にいないなら次は具体的な手段に移る」

 

まずハイリヒとフェアベルゲン、帝国だけでなく、俺はイルワの所やアンカジ公国にも転移用の門を置いてあること、そしてその鍵が纏めて雪原に埋めてあることを明かす。他にもオルクス大迷宮の最深部にあるオスカーの邸宅にも置いてあるのだが、こっちは多分俺しか使わないだろう。その上で、エヒトがこの世界を滅ぼす気でいるということを再生魔法を使ってさっきの映像を見せて、トータスの奴らの戦力を募ることにした。その勧誘の役目を担うのは帝国が八重樫、ハイリヒ周辺を畑山先生とリリアーナ、その他は香織と天之河だ。

 

「そこで、そいつらには俺のアーティファクトで武装を行ってもらう。俺ぁオルクス大迷宮の奥に潜って諸々を作る。レミアとミュウにはその時に物の搬送を手伝ってもらいたい」

 

「わかったの!」

 

「分かりました」

 

「香織も、再生魔法で人を集めたら後はこっちに回って素材集めをやってきてくれ」

 

「分かったよ」

 

「シアはフェアベルゲン行ってハウリアと、後はライセン大迷宮に行ってもらいたい」

 

「分かりました。ミレディの協力を仰ぐんですね?」

 

「あぁ。攻略の証も一応渡しておく。シアも終わったら俺の素材集めと兵装の運搬を手伝ってもらう」

 

「はい。多分通してくれるとは思いますが、駄目でも半日で突破します」

 

「頼んだ。ティオは……」

 

「言わんでも分かっておるのじゃ。里帰り、じゃろ?」

 

「あぁ。使徒共は飛べるからな。出来れば竜人族の協力は欲しいな。行きの魔力は俺がどうにかする」

 

ティオが頷くのを見て、次に谷口と坂上を見やる。2人とも決意に溢れた瞳をしている。やる気は充分のようだ。

 

「谷口と坂上はオルクスの魔物を変成魔法で戦力にするもよし、俺を手伝うも良し、だ」

 

「なぁ、神代、俺は……」

 

と、ここまで指示を出した辺りでまだ何の指示も受けていなかった遠藤が不安そうに尋ねる。

 

「遠藤は……そうだな。近代兵器……まぁ結局は銃火器の類だけど、その大雑把な使い方をこっち(トータス)の奴らに教えてやってくれ。お前にも俺から後で軽く教える」

 

とは言っても、俺の作るアーティファクトは実際の銃火器程複雑なものではない。何せ作るのを面倒臭がって安全装置の類がほとんどオミットされてるからな。普段は宝物庫の中に入れてあるから暴発とかしないし。使い方なんて基本的には弾を入れて引き金を引けば銃口から真っ直ぐ弾丸が飛んでいく、それだけだ。そしてその利便性と誰が使っても同じだけの破壊力を持つというのが近代兵器の特徴でもあるのだ。

 

「な、なぁ……俺達は……」

 

だいたい話が纏まり始めた辺りで召喚組の1人が声を上げる。何かと思いきや、自分らは何をすればいいのか、とのことだった。

 

「戦わないのは構わないしそれでその後に不利益を被らせることもしない。けど逃げ場くらいは自分で確保しろよ。ま、ハイリヒの王宮なら匿ってくれるんじゃないの?」

 

リリアーナを見やれば彼女も「まぁそのくらいなら」というような顔だ。それを見た彼らは皆で顔を見合わせた。

 

「あ、あのさ……俺達、戦えないけど、その……武器とか運んだりするのだったら手伝えると、思う……」

 

「私も、あんなのと戦うなんてきっと出来ないけど、でもそれくらいなら……」

 

「……人手は大いに越したことはない。やる気があるなら頼んだ」

 

俺の言葉に皆一様にホッとしたような表情になる。遠藤や先生、それに戦闘力なんて欠片もないレミアさんやミュウすらも戦うと言っているのに自分達は手も挙げられなかったことに、それなりに焦りや後ろめたさがあったのだろう。

 

「話は纏まったな。荷物を拾ったら運搬組はとりあえずハイリヒで待機。後は全員各々の行くべき場所へ向かおう」

 

俺の声に合わせて全員が立ち上がる。まずは下に降りて荷物を拾ってこなくちゃな。

 

 

 

───────────────

 

 

 

再生魔法には刹破という魔法がある。これは一定の空間内の時間を引き伸ばす魔法なのだが、これに聖痕で強化に強化を重ねた昇華魔法を組み合わせて生成魔法で鉱石に付与すれば、今の俺ならば効果範囲内の時間を100倍まで引き伸ばすことが出来る。結果、外での5分はオルクス大迷宮深層のオスカー邸での8時間以上に相当することになった。俺はこの刹破の鉱石を幾つか作り、オスカーの家やその周辺の時間と、鉱石などの素材の採取に出掛けた香織の周りの空間の時間を圧倒的に引き伸ばした。3日は300日に、1週間のさらに半分に満たない日数が実に10ヶ月程度まで猶予が出来た計算になる。

 

俺はその時間でひたすらにアーティファクトを量産していった。外の奴らからしたら運ぶのに苦労するだろうが、そこは運搬用のアーティファクトも作成した。感応石を使うことで使用者の意思に従って動くマシンで人手を確保したのだ。

 

それも、変成魔法との合わせ技により生物のような構造になっているので「ここにある荷物をあそこまで何往復しても運び続けろ」のような単純な命令であれば口頭で伝え、感応石を使わずとも勝手に仕事をこなしてくれる。後で回収して武装させ、地上での戦闘を可能にさせようとも思っている。ともかくそれをミュウにはペットのようなものだと説明して貸与。とにかく手数が欲しいので1体と言わずに数体程作成してミュウとレミアさんの手足とした。

 

そして俺は無限に湧く魔力にものを言わせて、複製錬成や自動錬成を駆使してひたすらにアーティファクトや弾丸を量産。余った時間を使ってエヒトに対する切り札も組み上げていった。その頃になると、フェアベルゲンとライセン大迷宮に出ていたシアが戻ってきた。

 

「天人さん、ただいまですぅ!」

 

「おう、お疲れ。簡単に入れたか?」

 

「はいですぅ。さすがにブルックの泉では反応しませんでしたが、表の入口から入って直ぐに証が反応してあの部屋まで連れて行ってくれました。……もちろん、動く部屋はゴロゴロ転がりまくってましたが、そんなの今の私ならへっちゃらですぅ」

 

「あぁ、うん。アイツまだそんななのね……」

 

流石は筋金入りの性格の悪さだ。

 

「生憎、ミレディさんはあそこからは簡単には出られないらしく、本番までは力を蓄えているそうです。ただ、その代わりに幾つか役立ちそうな物を頂きました」

 

シアの出発に宝物庫までは間に合わなかったので普通に袋を持たせたのだが、そこに入っているであろうお宝をシアはパンパンと叩く。その顔からすれば、かなりの物が入っていそうだ。

 

「へぇ、そりゃ楽しみだ」

 

「……そう言えば、天人さんは今何を作っているんですか?」

 

俺が明らかに兵器の製造ではなさそうなことをしているのにシアは気付いているようだ。まぁ、そりゃあデカい鉱石に魔力を注いでいるだけだからなぁ。

 

「ん、神結晶作ってる」

 

「あれって、私は天人さんが前から持ってた物しか知りませんけど、人の手で作れましたっけ……?」

 

「あれって要は長いこと魔力が溜まることによって起きる現象だからな。今は時間を魔力量で補ってる」

 

兵器の製造もほぼ一段落。エヒトに対する切り札も作り終わった。だが神結晶は便利だからな。エヒトや使徒との戦いでもまた使えるかもしれない。

 

「あ、シア。ドリュッケン壊されたからな。新しいのだ」

 

つい、と俺が顎でしゃくればそこには俺が新たに手掛けたドリュッケンがある。シアはそれを拾い上げ、持ち手に頬擦りしている。ちなみにここを出る前に念の為適当に拾った鉱石でトンファーだけは作って渡してある。付与した魔法は金剛だけだったし、多分使ってなさそうだけどな。

 

「はうぅぅぅ、やっぱりこれですぅぅぅ。この重くて冷たい、固い感触じゃないと駄目ですぅぅ……」

 

と、ドリュッケンを握って持ち上げたシアがうっとりとした顔で頬擦りしていた。

 

いや怖……。「これで敵をグシャッとするのが堪らないんですぅ」とか呟いてるよ。向こう帰ったら9条破りしないだろうな……。

 

「……で、貰ってきたのってどんななんだ?」

 

シアの闇が案外深くて怖いので思わず話題を逸らしてしまう。いや、こっちも重要だからね?

 

「あぁ、そうでした。えと……」

 

ゴソゴソと皮の袋を漁ったシアが取り出したのは灰色のビー玉程度の大きさのものだった。何これ……?

 

「それは、エヒトの神言を防いでくれるものだそうです。今はまだ未完成だそうですけど、天人さんが手を加えれば完成するだろうって」

 

「あぁ、そしたら完成させるからシアが持っててくれ。俺はもうあれは効かん」

 

「……聖痕、ですね?」

 

「うん。白焔の聖痕が開いた以上はあの手の攻撃は俺にゃ効かない。ちなみにあの神言とか言うやつ、魂魄魔法の延長だろうよ」

 

「魂魄魔法、ですか」

 

「あぁ。魂に直接命令してるんだよ。だから否応なしに従わされた。で、それは魂に対する干渉を防いでくれるものっぽい」

 

それが俺が鉱物鑑定と義眼で確かめた灰色の正体。もっとも、今の俺には必要のないものだったのだが。

 

「次はこれですぅ」

 

次にシアが取り出したのは短剣だった。だがただの短剣ではないだろう。やたらと大きな力を感じるのだ。

 

「……短剣」

 

「ミレディさん曰く、神越の短剣だそうです。込められているのは概念魔法。その概念は───神殺し」

 

「へぇ。ま、解放者共ならその概念魔法にも辿り着けるだろうな」

 

曰く、全員でベロンベロンに酒に酔った状態でエヒトの悪口をぶちまけ合いながら作ったものだそうで、少なくともエヒト以外の誰かに効果が届くことは無い、とのことらしい。ユエにまで届いてしまうことだけが心配だったからそれならありがたいな。

 

「さてシア、神結晶の方が上手くいきそうなんで見せてやる。もうちょいこっち」

 

ちょいちょい、とシアを手招きして隣に座らせる。

 

「この鉱石の中は錬成で空洞になっててな。今そこにひたすら魔力を溜めてるんだ。それが一定量まで溜まれば神結晶になる。そんで、そっから更に溜めると神水が出来るっていう理屈だ」

 

「でもそれ、そんなに簡単に溜まるものですか?」

 

「そこはそれ。俺の魔力は今や無限に等しいからな。後は出力量を増やすだけだ。───こうやってな」

 

 

──限界突破・覇潰───

 

 

ゴウッ!と音を立てながら俺から紅色の魔力が噴き出す。俺はその魔力光すらも余さず鉱石の中に作った空洞に注いでいく。いくら俺の魔力量に限りが無いと言っても、実際のところ時間単位に出力できる魔力量には限界がある。蛇口と同じで、捻れば幾らでも出てくるが蛇口1箇所から出せる時間当たりの量は決まっているのだ。

 

だから出力量を増やすには蛇口を大きくするか増やすしかない。そして限界突破はその蛇口を増やす能力だ。その最終派生である覇潰を、さらに昇華魔法と強化の聖痕の組み合わせで引き上げていく。魔力を注ぐ、注いでいく。刹那を引き伸ばした時間の檻の中で、俺はただそれだけに集中していく。聖痕はもう全開だ。そして、セカイの根源から溢れ出る力が時間を凌駕し、遂にその最奥へと辿り着いた。

 

「……これは───」

 

鉱石の厚みの薄い天頂部分を突き破って現れたのは光り輝く美しい鉱石。───神結晶だ。

 

「出来たな……」

 

バタリと、俺は限界突破の副作用である倦怠感に負けて後ろへ倒れ込む。シアは初めて見る大きさの神結晶にしばらく目を奪われていたが、満足したのか大の字に寝転がってある俺に寄り添うように身体を倒した。俺はそんなシアのウサミミをモフりながら頭を撫でる。

 

「あぁ……思ったより疲れた。ちょっと膝貸してくれ」

 

モゾモゾ、と、俺はシアの太ももまで頭を移動させてそこに乗っけて目を閉じる。

 

「その内香織達が戻ってくるからその時にでも起こしてくれ」

 

ミュウとレミアさんは今は兵器を外に運び出し、集まった兵士に持って行かせているところだろう。量が量だけに、全員分を運び出すのにも中々時間がかかっているようだ。

 

「どうぞ、天人さん。おやすみなさいですぅ」

 

シアは身体だけ起こして俺の髪を優しい手つきで梳いていく。超重量の戦鎚を握っているとは思えない程にたおやかな指が俺の頭皮に柔らかい刺激を与えてくる。それは赤子が眠るための揺り籠のようで、シアの指から伝わる感触は限界突破の副作用で倦怠感に襲われている俺を即座に眠りへと誘っていくのだった。

 

 

 

───────────────

 

 

 

武装の量産ノルマは達成したし奥の手も作成し終えた。というより、外と100倍の時差がある工房内の基準だけで言えば時間はむしろ有り余ったくらいだったのだ。俺は当然その時間もそれ以上の武装や兵器の充実に当てていた。だがそれすら終えて今はもう期限の前日の夜。ミュウとレミアさんも明日に備えて寝ている。

 

そして今だに引き伸ばされた時間の中で、俺とシアは最後の戦いへ向けての確認をしていたのだった。

 

「シア」

 

「嫌です」

 

俺が何かを言う前からシアは被せ気味に即答。まぁ、シアは分かっているのだろうよ、俺の言いたいこと、言おうとしていたこと。

 

「下で待っていろと、そう言いたいんですよね?……巫山戯ないでください」

 

シアの瞳には親友を奪われたことによる怒り、敵に対する殺意、そしてユエを必ず取り戻すのだという強い決意に溢れていた。そして今その瞳の中で燃える炎の燃料には、俺に対する怒りも、含まれていた。

 

「シア、俺ぁ───」

 

「天人さんは何も分かっていません。ユエさんは

今ここにはいませんが……それでも言わせてもらいます。私達は……私とユエさんは、いえ、恐らくティオさんも、本当は天人さんに戦ってほしくない。それが私達の本意であり願いです」

 

「……なんで。聖痕の力は戻った。後はユエをアイツから取り戻せば終わりだ。この世界で神を気取ってるだけの奴に今の俺は負けないし、使徒が幾らいたって物の数には入らなっ───!?」

 

俺が言い終わらないうちに、俺はシアに抱き締められていた。どうした?と問うまでもなくシアは言葉を続ける。

 

「そんなのっ!!……そんなの、天人さんと1秒でも長く一緒にいたいからに決まっているじゃないですか……」

 

当たり前じゃないですか、とシアが続ける。

 

「けど、それでも私の生死はユエさんと共にあります。だからもしユエさんを生きて助け出せないとなれば、私は1人でも多くの敵を倒して、そして果てます。それには、天人さんにも着いてきてほしい」

 

それは、きっとシアの心からの言葉であり、ユエもまた、同じ心境であったのだろう。心中してくれとの誘い。本当ならそんなものは重すぎる、無理だと突っぱねるのだろうが、俺からすればこれ程甘い誘いは無い。俺は俺の全てを今すぐコイツらに捧げてしまいたい衝動に駆られる。

 

きっと俺の知らないところで2人は話し合っていたのだ。シュネーの大迷宮では2人が一世一代の大喧嘩をしたとも聞いているし、そこで想いをぶつけ合ったんだろうよ。

 

「でも、どうせならいっぱいいっぱい、一緒にいたいじゃないですか。それでも、きっと天人さんはユエさんの為なら躊躇わずに聖痕の力を使います。それが例え天人さん自身の寿命を縮めることになっても。アイツは強いです。天人さんでも聖痕が無ければ敵わないくらいに。そんな所に使徒まで加わったらきっと天人さんは聖痕を全開にしてしまいます」

 

そんなの当然だろう。むしろ1秒でもお前らといる時間を伸ばすために力を使うのだから。だが俺がそれを口に出す隙間を与えずにシアは言葉を紡いでいく。

 

「だから私達も行くんです。天人さんの負担を少しでも減らせるように。本当は私があの野郎をぶっ潰せれば良かったんですけど……それは叶いそうにないので、悔しいですけど天人さんに任せてしまいます」

 

──それに、ユエさんが大変な時に私だけ指を加えてみているなんてこと、出来る訳がないですぅ──

 

そう言って微笑んだ、その時のシアの顔は、これまで見てきたシアのどんな貌よりも美しかった。

その貌に見蕩れたのか決意に気圧されたのか、俺はシア達のその言葉に、ただ抱き締めて返すことしかできなかった。

 

 

 

───────────────

 

 

 

最後の戦いが始まる夜明け前、俺達はオスカー邸とハイリヒ王国を繋ぐ門が設置された広場から歩みを進め、突貫工事で作られたのが丸分かりの、無骨で不格好な要塞へと辿り着いた。

 

それでも3日という工期を考えたら充分すぎるものだ。道中で雫──さっき、自分も俺のことを名前で呼ぶから俺もそう呼べと言われた──に聞いたところ、どうやら召喚組は兵器の搬送だけでなく陣地の作成や、遠藤に聞いて銃火器の簡単な取扱いについてもトータス組に教えていたらしい。どうにも必死で作業をするこっちの世界の奴らの姿に当てられたようだ。

 

そして、要塞の中にある広間へ行けば、そこにはカムやアルフレリック、ガハルドにリリアーナに畑山先生にイルワにビィズにと、各国や各組織のトップが座っている。何故かウルの町の服屋の店長が堂々と座っているのだがまぁいいや。ユエ達の友達っぽいし。

 

「……さて、残すは兵器の割り振り、だっけ?」

 

俺は席に着くと即話を切り出す。だがどうやら俺が来る前にほとんど話し合うことは終わっていたようだ。俺の生み出した生体ゴーレム達はおおよそがガハルドの元、帝国の指揮下に入るらしい。一部レミアさんとミュウがオスカー邸から指示する奴らもいるが、奴らは奴らで無理に組み込まない方が良さそうだ。何せオスカー邸じゃあ谷口が連れて来た魔物にちょっかいを出されてその挑発に乗ってたからな。ミュウ曰く、喋るし意思疎通も普通に図れるらしい。そんな複雑な機能付けたかな……?

 

また、カム達亜人族は人間族の指揮下には入らずに独自の遊撃隊を組織して、人間族の穴埋めに回るとのことだ。即席の混成軍である以上はそれが1番効率的だろう。特にここは現代の戦争とは違う。いくら俺の武装で個々人の能力を平準化しようがこれまでの遺恨もある。ハウリア達も人間に指示を出されるのは気に食わないだろうしな。そして人間族1番の旗頭は当然ハイリヒ王国王女のリリアーナと"豊穣の女神・畑山愛子"だ。

 

どうにもこの2人の迫真の煽り?演技?に引っ掛かって人間族の士気は最高潮だったらしい。それがこの短時間での要塞の建設と戦場での地形形成、慣れない近代兵器の運用の練度向上に一役買っているらしい。今も外から断続的に、何よりも聞き慣れた、乾いた発砲音が届いてくる。

 

すると、ドタドタと騒がしい足音と共に兵士の1人が首からアサルトライフルを提げて部屋に飛び込んできた。

 

「た、大変です!広場の転移陣から多数の竜が出現!助太刀に現れた竜人族と名乗っています!!」

 

「……来たか」

 

最後のカードのお出ました。

 

 

 

───────────────

 

 

 

「主よ!!妾が帰ってきたのじゃぁぁぁ!!」

 

俺の姿を確認すると、荘厳な黒竜の姿から一瞬で人の姿に戻ったティオは凄まじい勢いでダイブしてきた。それを受け止めてふと周りを見れば他の竜や人間達は皆呆気に取られている。

 

「おうお帰り。随分とド派手に帰ってきたな」

 

「ふふ、そうじゃろう?500年引き篭っておった伝説の竜人のご登場なのじゃ。派手に魅せつけてやろうと思ったのじゃ」

 

地上組はあの使徒共と殺り合う以上、何よりメンタル面が大事になるはずだ。負ける意識があると人間は案外動きが悪くなるもんだからな。奴らと戦うにあたってそれは致命的だ。そして、伝説の竜人族の助勢は彼らのモチベーションを上げる一助となるはずだ。

 

すると、広場にいた6体の竜が一斉に輝き、その光が収まるとそこには和装と思わしき服を身に纏った6人の人間──まぁ全員竜人族だろう──がいた。皆一様にイケメン揃いなのは竜人族の特徴なのだろうか。ティオと違って髪の色も皆随分とカラフルだ。

 

そして、その中から1人、悠然と歩いてくる者がいた。緋色の髪をした美丈夫だ。彼の醸し出す威厳と重みのある雰囲気はそのまま彼が真に"王"であることを俺達に理解させた。

 

「ハイリヒ王国、リリアーナ・S・B・ハイリヒ殿、ヘルシャー帝国、ガハルド・D・ヘルシャー殿、フェアベルゲンの長老、アルフレリック・ハイピスト殿、お初にお目にかかる。私は竜人族族長、アドゥル・クラルスと申します。此度の戦い、我らが竜人族も参加させていただく」

 

門の向こうにはまだ同胞達が控えているのだと言うアドゥル。ていうか今この人自分のことクラルスって名乗ったような……。

 

「……ティオってもしかして偉い?」

 

俺が恐る恐る、まだ俺の胸の中に収まっているティオに問う。

 

「うん?族長の孫娘が偉いのなら偉いのじゃ」

 

と、事も無げに言いやがる。マジかコイツ……。元々様子見でこっちに来てたって聞いていたからまさかそんな重要人物だったとは。

 

「おい貴様」

 

俺がシア達と顔を見合わせていると、藍色の髪をした竜人族が何やら怒気を発しながら俺に突っかかってくるきた。

 

「あん?」

 

いきなりそんなもんをぶつけられて平気な顔をしていられる程俺も大人ではなかったようで、ついイラッとした声を出してしまう。

 

「姫に馴れ馴れしく回されたその腕を退かせ」

 

「いやアンタ誰だよ」

 

「これリスタス。妾の主にあまり失礼なことを言うでない。それ以上はいくら弟分と言えど妾は黙っておれぬぞ」

 

「───っ!?貴女は騙されているのです!竜人族の姫君ともあろう御方がよもやこんな坊主を主と呼ぶなど!!」

 

「リスタス、2度は言わ───」

 

「───ティオ、いい。これは俺の問題だ」

 

ティオとリスタスとか言う奴の間で口論になりそうだったので俺が割って入る。

 

「じゃが主よ」

 

「いいから。……リスタス、って言ったっけ?前にティオから聞いたんだけどさ。コイツは自分の伴侶には自分より強い奴じゃなきゃ認めねーんだってさ」

 

俺は絡んできたリスタスと正面から向き合う。その顔には苛立ちが隠れる素振りも見せずに現れていた。

 

「ふん、それくらい知っておるわ。そのために私は修行を怠ることなく己を鍛え上げながら日々を過ごしているのだ」

 

「だからティオが今こうして俺を好いてくれているってことは俺がティオより強いってことで、お前は俺よりも弱い。……けどま、それでもアンタが認められねぇって言うなら何時でも俺ぁ受けて立つぜ」

 

ティオを腕に抱いたまま、俺はリスタスという竜人族を真正面から見据える。顔立ちじゃあ勝てる気がしないけど、こと戦闘において俺は誰にも負けてやる気はない。それもティオが懸かっているんなら余計にな。

 

「貴様……」

 

「リスタス、いい加減にしなさい」

 

と、俺達の口論にアドゥルが割って入る。

 

「しかし!」

 

「あの者はティオが自ら選んだ男だ。それにほれ、ティオを見るがいい。あれ程に幸せそうに笑うティオを、私は里ではついぞ見ることがなかった。それだけで十分ではないか」

 

「ぐっ……」

 

竜人族族長の言葉にリスタスは押し黙る。それでも歯を食いしばり俺を睨む気概を見せているのだから、里ではティオがどれだけ慕われていたのか分かるってものだ。

 

「では改めて。初めまして神代天人君。君のことはティオから聞いている。魔王の城での戦いぶりも見せてもらった。神を屠るとは見事だった。我々では束になっても敵わないだろう」

 

「初めまして、アドゥルさん。……いえ、俺は下っ端1人殺っただけ。エヒトには倒され、大切な女は奪われました。だから取り返しに行くんです。そして、今度こそあの自称神様を葬る」

 

俺がそう口にした途端、周囲がザワつく。何かと思えば俺が丁寧な物腰で喋ったことがあまりに意外らしい。待て待て待て、今までのは結構意図的なんだぞ。て言うか、今まで俺が強い口調で話したのってフェアベルゲンの長老達と帝国の皇帝くらいだろうが。しかしそんな俺の思惑は周りには全く伝わっていないみたいで───

 

 

──ペカー!!──

 

 

と、いきなり俺の身体が輝いたかと思えば香織が俺に回復魔法を掛けていた。それも解毒とかそっち系の。シアは後ろでドリュッケンを構えている。明らかに俺の頭に狙いを定めて……振り抜く気だ。けど俺の頭は平成生まれなので昭和の理論は通じないと思うんですよね。あと俺の腕の中でティオもちょっと引いている。あのね……。

 

「ふむ、聞いていた話と随分と違う印象を受けた。周りの反応も、普段の君とは違うと言っているようだし……」

 

「……ティオのお祖父さんにはそんな態度取りませんよ。俺だって言葉くらい選びます」

 

「ふはは、ティオの祖父だから、か。ははっ、なるほどな。……では折角だ。私も天人くんと呼ばせてもらおう」

 

そしてアドゥルはそこで言葉を切り、今さっき見せた穏やかな雰囲気から一変した。

 

「あの城での映像は見たと言ったね。あの幼い吸血姫が生きていたとは驚きだ。そして孫娘と同じ人間を愛するとは……縁とは数奇なものだと思う。けれど、君はアレーティア……今はユエと言ったか。彼女を愛していると言いながら今はそうやって我が最愛の孫娘の腰を抱いている。祖父の心境として、やはり孫娘をこそ最愛だと言う者に預けたいと思うのが、当然だとは思わんかね?」

 

「えぇ、それが当然だと思います。そして、貴方には嘘は付きたくないから本当のことを言います。俺はユエだけじゃなく後ろにいる兎人族のシアも愛しています。それに、俺には故郷に残してきた女もいます」

 

俺の言葉にアドゥルや他の竜人族は目を細める。リスタスに至っては顔を真っ赤にして今にも俺に掴みかかって来そうだ。

 

「それでも俺はティオを愛おしいと思っています」

 

俺の言葉に周りがザワつく。ティオもいつもの図々しさは鳴りを潜め、今は顔を真っ赤にして俯いてしまっている。

 

「俺からティオを奪おうとする奴は誰であろうと叩き潰しますし、俺が気に食わないというのなら力ずくで排除すればいい。何時でも何処でも俺は受けて立ちます」

 

俺はさらに強くティオを抱き寄せてアドゥルに、いや、この場にいる全員に向けて宣言する。俺からティオを奪おうものならその一切合切を捻り潰すのだと、知ら示すように。そして、俺から漏れ出た魔王覇気がこの場にいる奴らの口を噤ませる。だが、数秒の沈黙の後にそれを破る者が現れた。───アドゥルだ。

 

「くくくっ……ははははっ!なるほど、我が最愛の孫娘はどうやら真に魔王の手に落ちたようだな!それも、神を屠り世界を救おうとする魔王だ!」

 

そして一頻り大笑いした後、アドゥルはまたこちらを、ティオを見据える。その顔は、1部族の長の顔ではなく、ただ愛おしい孫を送り出す祖父の顔だった。

 

「良い顔をしている。里ではついぞ見ることの出来なかった顔だ。里で言っていた通り、お前は皆を愛し、そして皆に愛されているのだな」

 

「爺様……。その通りじゃ。妾は主だけでなく、ユエ達のことも愛しておる。そして今確信したのじゃ。妾はまた皆にも愛されておるとな」

 

「そうか……。それならば良い。……魔王殿、我が最愛の孫娘を、ティオを頼んだ」

 

魔王……リムルの世界で俺はそれになった。そして、あそことは違う世界でまた俺はそう呼ばれることになるらしい。けどいいさ、魔王でも何でもなってやる。

 

「えぇ、任されました。この命尽き果てても彼女を愛し、この肉体から血の最期の1滴が滴り落ち、魂の最期の1片が燃え尽きるまで彼女を守り抜くと誓います」

 

俺の言葉に満足したのか、アドゥルはまた「かかかっ!」と笑うと振り返り、時間を取らせて悪かったと謝罪を口にしながらこちらの陣営のお偉いさんを連れて会議室の方へと歩き出した。

 

「主よ、1ついいかの」

 

その後ろ姿を眺めながら身体を離したティオが俺の正面に回って問いかける。

 

「先程の言葉、表現しきれんくらいに嬉しかったのじゃ。じゃが、あれは万に1つも最期の可能性を考慮したわけではあるまいな?」

 

ティオのその顔は、誤魔化しなんて許さないという強さに溢れていた。本当、俺の周りの女は強い奴ばっかりだ。

 

「死ぬ迄一緒だと誓うことと、死を覚悟することは違うもんだ。俺ぁ死なねぇし、俺の女は誰も死なせない。この戦いで消えるのはあの野郎だけだ」

 

ティオはそれが聞きたかったのか、「ならば良いのじゃ」と再び俺に擦り寄る。それを見ていたシアも俺の腕に絡み付き、俺はその全身で2人の柔らかさに包まれることになった。

 

これ以上の見世物はゴメンだと、俺は神域突入組を集めて最後の作戦会議を始める。その中で新たなアーティファクトを支給したり使い方の練習をしたりと、最後の戦いに向けて準備を整えていくのだった。それは当然、転移用の鍵を使ってここと繋げてあるオスカー邸、その引き伸ばされた時間の中で、だ。時間は有効活用しなきゃな。

 

 

───そして、夜明けの時が来た。

 

 

黎明の空の向こうから大きな魔力の反応が現れた。その直後───

 

 

──世界は赤黒く染まり、鳴動する──

 

 

──空に亀裂が入り砕けるように割れていく──

 

 

──このトータスにおいて、1つの歴史が終わり、新たな世界に生まれ変わる──

 

 

その瞬間がやって来たのだった。

 

 

 

 

 

 

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