鍛冶師 in Grand Order   作:あの時のアレ

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カルデアにて きゅうけい

人間初対面の人と会うときに最も大切なのは第一印象だろう。

相手に対して良いものを与えることができたのならそれからの関係作りが円滑に進む。逆に悪いものを与えてしまったのならそこから良好な関係を築いていくのは至難の業となる。

 

ここで一つ質問があるんだが

 

「私はあなたが嫌いです。ですのであまり近づかないでもらえませんか」

 

あまり関わってもいない少女からこのようなお言葉をもらった時、いったいどうするのが正しいのか教えてくれませんか

このようになった経緯を説明するため、少し時を戻そう

 

 

第一特異点において無事に聖杯を回収することができた。カルデアに帰還すると押し寄せてきたカルデアのスタッフたちにマスターが褒めちぎられていた。どうやらスタッフの一部にはマスターに特異点の攻略は無理なのではないか、と思っていたものがいたようだ。

本来複数人の魔術師がチームを組んで行うことを魔術の存在すらも知らなかったただの一般人にできると考えられるほど後がない状況だったからだ。

 

それでもやり遂げた。七つの内のたった一つだがその姿にスタッフたちは彼に希望を託すことができるのだ。

特異点を攻略し緊張の糸が切れたのかその場に倒れるように眠ってしまったマスターを部屋に移しマシュも部屋で休ませることに。

俺とスカサハは現地での詳細な情報をまとめるためロマンにダヴィンチちゃんを含めた複数のスタッフとともに会議を行った。

 

フランスにおいてカルデアと敵対するレフ・ライノールの姿が見えなかったこと。その後ろにいる人理を焼却した存在について何も手掛かりを得ることができなかったこと。これからの特異点攻略ではその存在の究明を念頭に置き、現地にて呼ばれる野良サーヴァントと協力関係を築き聖杯の回収を目的として取り掛かることを決定した。

 

冬木での攻略後のように今回も新たにサーヴァントを召喚することになった。マスターが眠っているため彼が起きてからになるため時間がかかるだろうということで俺たちも休息をとるように言われたのだが

 

 

「なんで俺はこうしてお前と一緒にいるんだ?」

「なに、こうして会話を行うのも休息の一つだ」

 

少し付き合え、と言ってくるスカサハ。部屋に戻ろうとしたところを運悪く捕まりそのまま特に悪びれる様子もなく自分の部屋に入るように俺の部屋に入ったスカサハと机を挟み飲み物を手に座っている。それにしてもなぜ俺を話し相手として選んだのか。

 

「簡単なことだ。マスターとマシュは各自休息、そのほかのものは交代で休憩を取りつつ次の特異点を探しておるのだ。お主しか手が空いているものがいないのでな」

「……いわれてみればそうだな」

 

そうこぼしつつコーヒーを口にする。マスターから聞いて初めて飲んだときにはその苦さに慣れなかったが、何度も飲み続けているうちに深みとコク、とでも言うのだろうか気づけばそれの虜となっていた。

まぁ、ダヴィンチちゃんのように香りで銘柄を当てることはできないが

ちなみに今飲んでいるのはブルーマウンテンだ。

 

「それに、聞きたいこともあったからな」

「聞きたいことってなんだよ」

 

こいつほどの英霊が一体なんだというのか

 

「マシュのことだ」

 

なるほど。そういうことか

 

「お主の宝具が他者の宝具を使用可能とし、その名も見破ることができるというのならマシュに力を貸していり英霊の正体もわかるのだろう?」

「ああ、知っている」

 

とくに隠すことでもない。間違いなくダヴィンチちゃんあたりはこのことに気が付いているだろう。

 

「英霊の真名は円卓の騎士ギャラハッドだ」

 

俺の返答にいつもより少しだけ目を見開き驚きの表情を浮かべているスカサハ。

なんで驚いてるんだ

 

「いやなに。こうも簡単にいうものだとは思いもしなかったのでな。私がマシュに言ってしまうかもしれんぞ」

「ハッ、なんだその意味のねぇセリフは。俺のことに気づきながらもマスターたちには言わなかったお前が今更そんなことするわけないだろう」

 

そのことはとても助かっている。俺自身あまり気持ちのいい話ではないのだから。

 

「ああ、そのことか。お主の目がそう語っておったぞ。サーヴァントとして現界するにあたりスキルとして昇華するほどの異常なまでの神への嫌悪。いや、憎悪とでもいえるそれを」

「目は口程に物を言う、なんて言うらしいがどうしてこうも人の上に立つ奴ってのは興味がなさそうに見えてその実こちらのことを見てるんだか」

「それができるから上に立てるのだろう。まぁ影の国では実力がすべてだったが」

 

そういうものなのだろうか。人の上に立つような人間でもないのでそのような奴らのことはわからんな。

 

「て、俺のことよりもマシュのことだろ」

「そうだったな。それで、教えてやらないのか。あやつ自身知りたがっておったが」

「教えないな。それはきっと俺が言うことじゃない、彼女自身が知っていくことだ。だからギャラハッドも名を明かすことなく力を貸すだけにしたんだろ。その意図はわからないが」

 

そうか、と返すスカサハ

 

「他に何か聞きたいことはあるのか」

「いや、聞きたいことは聞けたさ」

「そうか、なら自分の部屋に帰ってくれ。俺寝るから」

「サーヴァントに睡眠は不要だろう」

「気分だ気分」

 

必要ないだけでできないというわけではない。サーヴァントにとって睡眠は娯楽のようなものだ。

 

「そう言うな、シミュレーションルームも使えない今手持ち無沙汰でかなわんのだ」

「なら帰ってねろ」

 

結局この後も部屋に居座られ続け戻った後ようやく寝れる、と思ったらちょうどそこで呼び出される。

……………休息とはいかに

 

 

マスターが目覚めたようなので前回と同じように新たにサーヴァントを召喚するため召喚ルームに集合した。今回は誰が来るのだろうか、理想としては後方から攻撃や支援ができるサーヴァント、アーチャーやキャスターがいいのだが。

キャスターのくせにお前後方支援してないだろって?

弓使わないアーチャーに狂化を全く感じさせない戦い方をするバーサーカーがいるんだ、武闘派キャスターがいても別に問題ないだろ。ないよね?

 

そうこうしてる間にマスターが召喚を始めた。呼ぶことのできるサーヴァントは一体、触媒によるものではなく縁によるもののため完全に運だ。そこ、ガチャとか言わない。

 

部屋の中を光が埋め尽くす。三本の光の輪が一つにまとまりそこに人影が浮かび上がる。

光が晴れるとそこには着物を着た少女がいた

 

「サーヴァント、清姫。こう見えてバーサーカーですのよ?どうかよろしくお願いしますね、マスター様」

 

フランスで共に戦ったサーヴァントだ。戦い方は主に炎を繰りだすといったものだったはずだ。彼女に関してはそれよりも印象的なものがあったからそっちの方が鮮明に思い出せる。

 

「ますたぁ、やっとまたお会いできましたね」

 

この通りマスターにお熱なのだ。今も彼に抱き着こうとしている清姫をマシュが止めている。これから共に戦う仲間としてあいさつをと思い近づいた結果冒頭の言葉をかけられたのだ。

 

その言葉に驚きを隠しきれない。フランスではそんな様子を見ることがなかったのだろうかマスターが理由を聞いている。

俺としても彼女にそういわれるようなことは何もやってないと思うのだが

 

「わたくしは嘘が大嫌いです。そちらの方からはその気配が大きく感じられます」

 

直感によるものだろう。嘘が嫌いだというのなら俺に対して好感を持たないのは仕方ないだろう。俺が自身に施している魔術に気づいたようだがその詳細まではわからないらしい。

疑念の目をこちらに向けている者もいるようだ。だが

 

「確かにお前たちに言ってないことはあるが俺は敵ではなく味方だ。人理修復のためならお前たちに手を貸す、だから召喚に応じたんだ」

「………その言葉に嘘はないようですが、先ほどのわたくしの言葉をお忘れなきよう」

「ああ、これからよろしくな」

 

その言葉に返事はないものの理解は示してくれたらしい。彼女の前では隠し事はできないようだ。

 

「はいはい、険悪になったけど終わった様で何よりだ。頼むから喧嘩してカルデアを壊すなんてことだけはやめておくれよ」

 

それじゃ解散、というダヴィンチちゃんの言葉とともに部屋を去る一同

?どうしたロマン、何か悩みがあるのならマギマリに相談しろって?

よくわからんが試しにとやってみる。どうしたら少女と仲良くできますか、と。

すぐに返信が来た。なになに、「自分のことを正直に伝えるといい」

それができないから相談してるんだが、使えねえな

その後ロマンともめた。マギマリ好きすぎかよ

 

 

召喚から数日、その間に清姫を含めての戦闘訓練を行いつつ次の特異点に各自備えることに。俺と清姫の中は相変わらずだが、マスターとの仲はもうすでに天元突破したようで朝起きたら布団の中にいるのは当たり前になってきており起こしに行くマシュがそれを見てひと悶着起きる、というのがここ最近毎日繰り返されている。

工房にこもって礼装の作成や調整を行い時間間隔が曖昧になってきている俺からすればそれによって朝が来たのだとわかるためありがたいのだが。

 

次の特異点がローマ、時代から推測するに第五皇帝が統治していた時のようだ。まぁそこは問題ではないんだ。レイシフトの関係でマスターとマシュを除いて二人しか選べない、とのことらしい。まず一人は清姫が自ら買って出て残りの一人はスカサハにするべきだと提案しようとしたのだが

 

「なら残りの一人はウルガルがいいだろう」

 

と先手を打たれた。その言葉に露骨に嫌そうな顔をする清姫。嫌そうではなく嫌なんだが。

フランスでの功績から俺を推したようだ。周りのみんなもその言葉に納得したようでマスターからも来てくれと言われたら断ることなんて出来ないな。

許せ清姫、これで(多分)最後だ

スカサハから餞別として魔槍をもらう。影の国の女王直々に槍を渡される事実に驚きを隠せないでいると、「いらないのか」と言われる

だれもいらないなんて言ってないだろ。改めてじっくりと見てみるがさすが伝説の魔槍、今まで見てきたものとは格が違う。

冬木でのアーチャーといいこうも易々と武器を出されては俺の沽券が。

 

一人自分の価値を見直しているとどうやらレイシフトの準備はできたようだ。

行こうか、二つ目の特異点を攻略しに

 

 




次回からローマです

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