魔神となり果てたレフ、その姿は醜悪極まりないもので不快感がこみ上げてくるがそれと同時に今までの敵とは格が違うのがわかる。サーヴァントを見下していたのも納得できる。
『この姿になったからには貴様らにもう勝ち目はない』
消えろ、その言葉とともにいくつかの目がこちらを見る。それと同時に爆発が起きる。マシュが防いでくれなかったら危なかった。ただの一睨みであれほどの威力を出せるとか厄介すぎる。
「マシュ、大丈夫!?」
「はい、問題ありません!」
「攻撃は厄介だがそこに生えているだけ、格好の的だ。さっさと片付けるぞ」
「というかあなた腕とれてますけど大丈夫なんですか?」
「このくらいなら問題ない。それより来るぞ」
目玉から光線が飛んでくる。目玉がいくつもあるため光線の数もその分多いがこちらに狙いを定める必要がある以上攻撃をする前にこちらを見なければいけない。それを見切ることができれば回避できる
なにより相手はその場から動けない。それが何よりの弱点。四方から同時に攻めていく剣で切りかけ炎で燃やし、槍で突いて盾で殴る。
さすがに同時に対処できないのだろう、着実にダメージを与えつつある。
ひとつずつ目玉を潰していく。潰すたびにレフは苦悶の声を上げているが人類の裏切り者、人理を捨てたこいつに情け容赦は一切必要ない。
『貴様らぁぁぁぁぁぁ!!』
体を大きく動かして触手でこちらを攻撃してくるが体にダメージが蓄積されているのか、それほどスピードはない。それを避けてはひたすらに攻撃を続ける。
コイツの焦りっぷりから察するにそれほど余裕もがないのは間違いない。こちらが有利になりつつあるのだがどこか嫌な予感がする。この特異点に来て女神に魔神と神なるものと遭遇したがその時とは違う何か別のもの。
これは一体………
『―――――――――――』
レフが声にならない叫びをあげる。それは悲鳴か、はたして怒声なのか。
自分の周りを爆発させる。とっさにその場から離れてレフに目をやる。しかしそこにいたのは魔神としてではなく人の形をしたレフ、自前であろう緑色のスーツにシルクハットは所々焼けている。
満身創痍、もう彼に勝ち目はないだろう。
「レフ、あなたの負けです。諦めてください」
「ああ、確かに。私はこのざまで君たちは私が想定していたよりも強かった。それは認めよう。だが、わたしはまだ負けていない!!」
室内が光に包まれる。
この光は何回か見たことがある、サーヴァントの召喚だ。
ゾクッッッッッ
「!?」
その瞬間、背筋が凍り付く。。体は動かなくなり周りのものは目に入らず召喚の光だけが映る。
恐怖している。しばらく感じることのなかったそれが俺の体を支配する。俺が、というよりは俺の中にあるもの、それ自体がはるか昔に体験した恐怖を思い出しているような感覚。
召喚してはならないと警鐘が鳴り響く
「誰でもいい、とにかくその召還を止めろ!!でないと
「いや、もう遅い!!」
光が消えようやくそれを見ることができる。
そこにいたのは一人の女性。褐色の肌に白銀の髪をなびかせ体には幾何学的な線が走っている。
「これこそがローマを終わらせるもの。破壊の大お「だまれ」」
「「「!?」」」
一体どうゆうことだ、レフが召喚サーヴァントに切られた。しかも左右に分けるように。レ|フ である。
「何をするぅぅぅぅ!!」と言いながら消えていったレフ。彼が持っていたのであろう聖杯だけがその場に残る。そしてそれを手に取った彼女の中に聖杯が入っていく。
取り込んだことによって無限ともいえる魔力のバックアップが受けられるところも問題だが、手にしている得物がまずい。
一度見ただけなら俺が予想していたものに似ている何かだと思えるが、彼に会ったことで確信に変わってしまった。
あの剣から感じられる気配は神祖ロムルス、軍神マルスの子と同じそれだ。それが意味するところは
「軍神の剣か」
「これを知っている者がいるとは」
『軍神の剣、マルスの剣か!?神が使っていた武器を使えるっていうのか!?』
「まあいい、私は文明を破壊する」
掲げた剣の刀身が伸び魔力によって発生した風が巻き起こる。
「マシュ、防御を!!」
「はい!」
「
「
エクスカリバーに匹敵する勢いのそれが放たれる。マシュの宝具は聖剣を防いだことがあるが神祖にレフと連戦によって消耗している今の状況では厳しい。
宝具と宝具がぶつかり合う。最初は拮抗していたものの押され始める。
「マシュ!!」
マスターによる瞬間強化がかけられる敵の攻撃を押し返すがそう長くはもたないだろう。
一時的に防いでいたがこれ以上は持たないだろう。その時
「
後方から現れた戦車が前に出て攻撃を防ぐ。マシュの宝具と合わさって相殺することができた。
いや、相手が攻撃をやめたというのが正しいだろうか。攻撃が晴れたそこには誰もいなかった。
『敵サーヴァントがそこから離れていっている。この方向だと………ローマだ!!ローマに向かってゆっくりと進んでいっている』
『このスピードなら今から行っても間に合うね』
「ならば急いで向かうぞ、余のローマに向かうぞ!!」
「その前に俺の右腕どこかにないか?」
レフの奴にちぎられたモノだが応急処置としてくっつけられる。酷使することはできないがあと一戦くらいなら何とかなるだろう。
「腕ってこれのこと?どうするつもりなの」
「肩にくっつけてくれ」
ブーディカが拾ってくれた右腕を肩にくっつけてもらい左手で呪術を用いて切断面をつなげる
少し動かして感触を確かめる。問題ないようだ。
「よし」
『いやいやいやいやいや、なんでそんなのでちぎれた腕が動くって言うんだ!?』
「気合で何とかなるんだよ」
『なるほど、時には気持ちっていうのが大切だからね。………てなるかぁぁぁ!!気合でどうこうなる話じゃないだろ!!』
「はぁ、魔術と呪術を併用しただけだ。その場での応急処置でしかないけど」
そんなことより問題はアルテラだ。軍神の剣も脅威だが聖杯を持っているというアドバンテージがあることから冬木での騎士王と同等か、もしくはそれ以上のものだろう。正攻法で勝つのは不可能に近い。かと言って不意打ちをしようにもこの辺りは遮蔽物がないためそれもできない。残る手段は
「誰かが隙を作ってその間にとどめを刺すしかないね」
冬木とオルレアン、二つの特異点を超えてきたおかげとでもいうのだろうか。マスターの目に見えないところも成長している。
手先が少し震えておりアルテラに対して恐怖していることがうかがえる。それもそうだ、この攻撃が失敗したらローマは破壊され人理の崩壊に王手をかけることになる。文字通り後がない。
だがその目は諦めていなかった。
「先輩、私たちならきっと勝てます」
「うん、そうだね。みんなアルテラを倒しに行こう!」
ブーディカの戦車に乗りアルテラの後を追う。通信によれば進行速度は最初から変わっておらずゆっくりとローマへ進んでいるらしい。余裕から来るものか、それなら一泡吹かせてやる。
「みんな、見えてきたよ!」
「よし、ブーディカはこのまま戦車を、清姫は戦車から支援攻撃、マシュとネロとウルガルはアルテラに攻撃をしてくれ」
「わかりました。マシュ・キリエライトこれより戦闘に入ります!」
………この子成長しすぎじゃない?たくましくなりすぎでしょ。なに、現代の子ってこういうのばっかなの?
藤丸立香、恐ろしい子
だけど
「頼もしいじゃねぇか。行くぞネロ!」
「うむ!余のローマを壊させるわけにはいかんからな」
戦車から飛び降り、そのスピードを利用してアルテラに突撃する。ネロとの同時攻撃だったが両方とも防がれる。
「ハアッ!」
その後ろからマシュが盾を振りかざす。避けることができずにわずかだが体勢を崩す、そこを狙って再び攻撃を仕掛ける。
「もらった!」
まずは一撃、そう思ったがアルテラが剣をふるう。しかしその動きは剣としてはあり得ないもの、まるで鞭のように振るうことでこちらの攻撃を完全に防ぎ切った。
「何なのだあの剣は。本当に剣なのか!?」
「神の鞭、その名の通り剣としてだけでなく鞭としても使えるらしいな。………避けろ!」
光の弾を飛ばしてくる。近距離では剣て切りかかり、中距離では鞭をふるう、さらに離れれば光弾を飛ばしそれを利用して距離を詰めてくる。コイツ隙がなさすぎる。
「隙がないのであれば隙ができるまで攻撃するまで!」
難しいことを簡単に言ってのけるとは、だが
「嫌いじゃないな、そういう考えは」
できるできないではなく、やるかやらないか。ただそれだけ。
三方から攻撃を仕掛けていく、アルテラが鞭によって制圧しようとしてくるがマシュの盾が防いでくれるおかげでこちらも攻撃に集中できる。
それにしても不思議だ、サーヴァントを相手に立ちまわることができているネロ。彼女は人間のはずなのだが一体どういうことなのだろうか。まぁ戦力が増える分にはいいのであまり深くは考えないが
さすがのアルテラも三人を相手にするのは手が折れるようで徐々にだがその表情から余裕がなくなっていく。マシュの動きがこの戦況において大きな役割を果たしてくれている。完全とは言えないが敵の攻撃を防ぎ時にはその盾で攻撃に転ずる。
攻防どちらも行える、その有用性がとても大きい。
「――――――――」
剣を掲げて自分を中心として爆発を起こす。
「私は、文明を破壊する。火神現象。マルスとの接続開始」
その言葉とともに空に魔法陣のようなものが展開される。とてつもないほどの魔力が感じられる。
「発射まで、三秒」
魔力が吹き荒れており轟々と音を立てている。
あの規模のものを上空から発射されると避けきれない、それどころかここら一帯が消滅しかねない。
「マシュとブーディカの宝具でもう一回防げるか!?」
「ごめん、私の方は展開できない」
「私は大丈夫です!」
「発射まで、一秒」
「俺が令呪で強化する!そのすきに!」
「ああ、任せろ」
魔力の収束が終わり辺りが静寂に包まれる。
「
空から光が落ちてくる。それはまさしく軍神の一撃、大気が震えているのを感じる。
「令呪をもって命じる!マシュ、あの攻撃を防いでくれ!」
「はい!仮想宝具 疑似展開/人理の礎」
上空から降り注ぐ光とぶつかり合う。先ほどの攻撃とは見るからに威力が段違いである。
「ぐっ、ハアアアァァァァ!!!」
マシュが踏ん張ってくれている今の隙に攻撃を仕掛ける。アルテラは宝具展開中のため動けないはず。
この隙をついて奴にとどめを刺す。
「ウルガル!アルテラの後ろに回り込め!!」
「ナイスだ、マスター!」
令呪によってアルテラの背後に移動する。この距離ならいくらアルテラと言えども対処はできないだろう。魔術で身体を強化して全力の突きを放つ。狙いは霊核、この一撃は避けられない。
「――――――――」
死角からの一撃を体を無理やりねじり剣で受け止める。あの一瞬で宝具の展開をやめて防御に回ったのだろう。恐ろしいほどの反応速度だ。こちらの渾身の一撃を何度も防いで見せるとは。
だが、本命は俺ではない。令呪という切り札を用いての瞬間移動、それは通常の聖杯戦争であれば戦況をひっくり返すことのできる正に切り札ともいえる一手。
その行動そのものを囮とした作戦。決めるのはもちろん
「余だ!!」
アルテラを挟んで俺の反対側、つまり正面からの全体重を乗せた刺突。
その一撃はアルテラの霊核へと吸い込まれる。
力が抜けたようにその場に倒れるアルテラ。
「神の鞭………この私でも壊せないものがあったのか」
そう彼女はつぶやく。
「それは、とてもうれしいな」
そうして消えていくアルテラ。破壊を求めていたその姿は聖杯によるものか、またはレフに召喚された影響なのかはわからない。
本来の彼女は破壊なんてしたくない、優しい人なのだろう。
「戦闘終了、聖杯の回収完了しました。第二特異点突破ですマスター!!」
喜びの声を上げるマシュ、疲れからその場にへたり込むマスター、その場の流れで抱き着いている清姫。それにツッコミを入れるほどの余裕はない。
何はともあれこの特異点も攻略することができた。修正が始まり体が消え始める。
「やはり、消えるのだな」
「はい、俺たちはこの時代の人間じゃないから」
「…………うすうす、そうではないかと思っていた」
その表情はとても寂しそうなものだった。
「この特異点の修正が行われれば私たちがここにいた事実もなくなります」
「それはつまり、余はお主たちのことを忘れてしまうのだな」
そうか、とこぼすネロ。
「また、会うことはできるのか?」
「ネロが英霊になったらいつかまた」
「うむ、ではその時はこの余を存分に使うといい!」
「はい」
体が光となって消えていく
「では、またな異郷のものたちよ」
そう告げた彼女の笑顔はとても美しかった
第二位特異点攻略
何あれ、てなったらエクステラリンク
頭パーになってるんでツッコミは無しで