うちの精霊が病み属性だった件について 作:ダメダメのライトニング
『マスター、貴方がいけないんですよ? 私達がいるのに他の女なんかに目を向けるから……』
果たしてその言葉は俺に向けられた言葉なのだろうか。それとも今、この状況を作りあげてしまった事に対する彼女が感じている罪悪感への言い訳なのか。その真意を知るのは俺の目の前に立つ彼女しかいない。
はぁ、と溜息をつくと拘束されて身動きの取れない自身の身体を首の動きだけで観察する。この身体を縛り付けている機械的な三本の指の正体は《閃刀機-ウィドウアンカー》。その能力は効果無効とコントロールの奪取。体が動かないのは差し詰めコントロール奪取の影響なのだろう。
何故こうなってしまったのか、何処で間違えたのか、それを探し出すべく俺は今日という一日を思い返す事にした。
★★★★★★★★★
『おはようございます、マスター。今日もお元気そうで何よりです』
まだ覚醒しきっていない頭がいの一番に認識したのは、朝の日差しに照らされた金砂の髪と白磁の肌。何かの香水でも使ったのだろうか? 甘い香りが鼻腔をくすぐる。
もし、彼女を街に繰り出せば十人中八人は彼女の美しい目を奪われるはずだ。彼女に目を奪われない者はおそらくホモ。もしくは美しいものを美しいと感じ取れない、人とは違う感性を持つものだろう。はっきりわかんだね。
「ああ、おはよう。……レイちゃん」
ぼんやりと、だがちゃんと
ベッドの上で丁度馬乗りになる形で陣取った彼女は俺からの返事を受けて嬉しそうに微笑んだ。
……何かがおかしい? いや、いつもの光景だ。もう慣れた。
彼女は《閃刀姫-レイ》。そう、アニメ・漫画を履修済みのデュエリスト達なら察して有り余るだろうがカードの精霊だ。カードの精霊については説明不要だろう。なんか、こう、人には見えない幽霊的なアトモスフィアがいて、好かれているとデッキの回転が良くなるとかなんとか……。さらに付け加えるならデュエルモンスターズは古代エジプトの
王の記憶編で色々と説明されていたが、実際のところ俺もよくわからないから大体の雰囲気で理解をしている。
カードの精霊と説明したが、それは遊戯王ワールドの話であって現実の世界にそんなものが存在する筈がない。アレは創作上の話なのだ。なら、何故彼女は俺の目の前に存在しているのか。
それはここが遊戯王ワールドだからだよ! (当然の帰結)
何の因果か知らないが、俺は最近流行りの異世界転生とやらをしてしまったらしい。この世界じゃあり得ない記憶を持ってる事からそう導き出せる。まぁ、遊戯王世界においては転生とかよくある事だし特に気にも止めなかったが。
当然だろう? デュエリストなら(暴論)
ここが数ある世界の中のどの世界なのかもはっきりしている。数年前にロスト事件と呼ばれる誘拐事件があった事でほぼ確定だろう。VRAINSなる世界観に違いあるまい。俺も誘拐されたし。
ただ何というか数ある世界の中で最も科学的な世界線でカードの精霊という
『どうしました? マスター』
「いや、前々から思ってたけど何で俺の呼び名がマスターなのさ? 何か聖杯戦争に参加してるみたいな感じでちょっと嫌かなって思ってただけだよ」
『せーはいせんそう? 私としてはあまり違和感がなかったのですが……。では、これからは司令と呼ばせていただきます!』
「ごめん、やっぱマスターで良いよ」
そうですか? と、コテンと首を傾げる仕草はとても愛らしい。しかし、マスターの他の呼び名の代案が司令とは……。うーん、このナチュラルな軍属感よ。
『マスター、マスター! 今日は私が朝ごはん作ったんです!』
褒めてください! とばかりにビシィッ! と効果音が付きそうな勢いで返事を返すレイちゃん。元となったカードが戦闘職であったが故かよく食べる。普通に流していたが、カードの精霊が食事をとるのは明らかにおかしい。
なんで現世の物に干渉できるんですかねぇ?
加えてさらっと時々実体化しているのが中々気になるが、まあ、全ては些事かなって……。
「変なもの入れてないよね?」
『大丈夫ですよ、マスターの害になるものなんて絶対入ってませんからね!』
彼女はそう返事をすると一階へとトタトタと効果音付きで走っていった。可愛らしいかぎりだ。普段は俺が朝食を作っているのだが、今日はどうやら寝坊してしまったらしい。祝日だから是非も無いよね。
『おはよう、マスター。いつもの如く朝は弱そうだね』
服を着替えてリビングに降りるとそこには美しく流れる銀髪に紅い澄んだ瞳を持つ、何処となく白ウサギを連想させる様な美少女がソファーに寝転んでいた。
「おはよう。ロゼちゃんも朝は弱いの?」
ソファーに寝そべっている彼女は《閃刀姫ーロゼ》。彼女もまた、カードの精霊である。精霊のバーゲンセールかな?
『いや、私はそんな事は無いんだけどね。ただ、このソファーが気持ち良くて……』
彼女が今占領しているのは通称人をダメにするソファー。どうやらこれはカードの精霊に対しても圧倒的な破壊力をもたらす様だ。科学の力ってスゲー!
『ロゼちゃん! 早く来ないと朝ごはん冷めちゃいますよー! ほら、早く早く! マスターも!』
ぴょこぴょことその場で跳ねながら俺とロゼちゃんに呼びかけるレイちゃん。なんだこの可愛い生物は。初めて会った時と比べて性格が大幅に違いすぎる。初対面の時は、もっと切れたナイフの様な殺伐としたS☆A☆K☆I☆M☆O☆R☆I系の女子だった気がしたのだが……。
レイちゃんの作ってくれた朝食は美味しかったとだけ伝えておこう。
朝食を終えた後、猫の様に擦り寄ってきたロゼちゃんと共に人をダメにするソファーの破壊力を存分に堪能しながら今日は何をするか考える。今日は休日。学校に通う必要はなく。一日中自由に使う事が出来るのだ。
んー、と一頻り悩んだ後で一つの結論を出す。そうだ、デッキ調整でもしておこう。この世界ではいつ何処でデュエルを挑まれるか分からない。目と目が合ったら即デュエル! 通行人はどいてたほうがいいぜ! 今日この街は戦場と化すんだからよ! (バトルシティ並みの感想)
勿論そんな物騒(?)な世の中である筈がない。がしかし、いつ何時何が起こるか分からないのだ。デッキは常に調整しておかなければならない。最終確認を怠れば酷い事になる。俺はそれを前世的なヴィジョンから学んでいる。デッキに同じカードが4枚入ってたりする事は稀に良くあるからね。
そうやってデュエルディスクを手に取り、中からデッキを引き抜く。このディスクは記念品。貰い物故にずっと使っているがもはやこれは旧式。時代の流れとは残酷なものだ。
パラパラとカードをめくりデッキ内容を確認する。ふむふむ、成る程成る程。デッキテーマは閃刀姫。総モンスター数が6体、種類は二種類。エクストラデッキは閃刀姫のみ?
なぁにこれ?
世にも奇妙な話をするとしよう。俺は確かに閃刀姫デッキに手札誘発娘達や、G、その他汎用カードを突っ込んでおいた筈だ。にも関わらず、今このデッキにはそのカードはカケラも見つからない。デッキから除外されてしまっている。
この現象は何を示しているのか? 俺はその答えを知っている。何故ならば過去にこれと似たような状況にあった事があるからだ。
「レイちゃん、ロゼちゃん、俺が最後にデッキ調整してたのはいつだっけ?」
『急にどうしたの? マスター。昨日の夜じゃなかったっけ?』
『ええ、それで間違いないと思います』
「じゃあ、君達が俺のデッキを最後に触ったのはいつだった?」
『……昨日の夜だね』
『……昨日の夜です』
「閃刀姫以外のモンスター何処へやった?」
『……貴方の様な勘の良いマスターも大好きですよ!』
ここまで隠す気がないといっそ清々しい。しかも最後にラブコールとはやはり軍人・メンタリティは凄まじいものがある様だ。
『すやぁ……』
おい、狸寝入りするなロゼちゃん。
「で、ホントに何処やったの?」
気を取り直して、というわけでも無いが再び問い直す。割と本気で何処へやったか知りたい。汎用カードは基本高価なのだ。
『え? 裏の井戸に捨ててきましたけど?』
裏☆井☆戸⁉︎
捨てられたカード達が恨みを持って暗黒進化しそうな場所に何でまた……。特に俺のカードはそういう傾向があるし。
ホワイダニットは大体察している。それでも一応理由を聞くのが礼儀というものだ。
『あはは、おかしなこと聞くんですね。デッキはデュエリストにとっての魂なんですよね!なら、マスターの魂であるデッキに私以外必要無いじゃ無いですか。だって、マスターを愛するのも、愛されるのも私じゃなきゃダメなのに……。これでもちゃんと譲歩してロゼちゃんは残してあげたんですよ? 勿論、他のデッキも放り込んでおきました。今頃あの女達もみんな仲良く井戸の底です!』
譲歩とは一体何だったのか。コンマイ語ばりの意味分からなさに思わず顔を顰めてしまう。
彼女達は愛が重い。今回はレイちゃんがやらかしているが、ロゼちゃんも大概だ。
彼女達に悪気は無いのは分かっている。俺も彼女達の事は嫌いじゃ無い。だが、それでもその愛の重さに引いてしまうのは仕方ない事だと思う。
酷い言い方になるのは分かっているが、彼女達と巡り合う以前に出会っていた精霊達の方が良かったと思わない事もない。
「ああ、こんな時に君達がいてくれたらなぁ」
そんな事を考えていたせいか思わず余計な事を口走ってしまった。恐らくそれがいけなかったのだろう。
その言葉を聞くや否やロゼちゃんは《閃刀術式-ジャミングウェーブ》で俺の動きを制限。そしてレイちゃんは《閃刀機-ウィドウアンカー》で俺を完全に拘束してしまった。
★★★★★★★
「斯くして今に至る……、か」
思い返してみたが状況は何一つ変わらず、当然の如く以前ウィドウアンカーに縛られたままだ。
いや、回想挟んでいる間に外れていたらそれはそれでどうかと思うが……。
『じー…………』
何故か終始コチラを見つめてくるロゼちゃん。擬音語を自らの口で言う必要性とは此れ如何に?
『……どうしてもっと私達の事を見てくれないの?』
「……現在進行形でめっちゃ見てるけど……」
返事を返しながらも多分そう言う事じゃ無いんだろうなと考える。俺は彼女達を蔑ろにした事は無い筈だ。だが、思い当たる節が無いかと言えばそれは嘘になる。
『違う、そうじゃなくて……』
何かを言いたそうに彼女は此方を見る。だが、その言葉は途中で言い淀んでしまう。
暫く押し黙っていたかと思うと、やがて意を決したかの様に顔を上げ俺に言葉を投げかけた。
『マスターは今幸せ?』
「君達の束縛がキツいけど世間一般から見たら幸せな部類だと思うよ?」
束縛こそキツいが今のところはそれだけだ。十二次元融合とかそんなのが無いだけ間違いなくマシ。
それに被害が及ぶのが俺だけで止まるならそれに越した事は無い。彼女達が他人に危害を加えようとするのならこの身を張ってでも止めるつもりだ。
『私は今幸せだよ。マスターっていう好きな人が出来た事もそうだけど、かつて殺し合うことしか出来なかった人と一緒に笑い合う光景なんて戦場にいた頃じゃ想像もできなかった。……だから、巡り合わせてくれた上に緩衝材となってでも仲を取り持ってくれたマスターにはすごく感謝してるんだ』
確かに彼女の言うように二人がこの場で出会った時は中々凄まじいS☆Y☆U☆R☆A☆B☆Aだった。前世での設定を見る限り彼女らは敵同士。だが、俺の知る限り和解ルートもあり得なくはない様な書き方をされていた筈だ。今どうなってるか知らないけど。しかし、今ここにいる彼女らは少なくとも最後まで和解は出来なかった様だ。明らかに地雷なので詳しくは聞いていないが、二人の表情を見る限りDT世界並に陰鬱な終わり方をしたらしい。ちなみに修羅場は俺がデュエルマッスルに任せた文字通りの『緩衝材』にならなきゃ今頃色々吹き飛んでいたかもしれない。
『私分かったの。マスターこそが私の守るべき《国》なんだって。今度こそはどんな手を使ってでもマスターだけは守り通す。多分だけどレイも同じ気持ちだと思うよ。マスターが私達を見てくれていなくても構わない。だから、だから…………!』
そこでロゼちゃんは感極まった様に声を震わせた後、言葉を途切れさせる。レイちゃんはその様子をじっと見つめたままだ。俺は当然動けない。
『お願い、私を捨てないで……! ずっと側に居させて、いつまでも一緒に過ごさせて! 私のことを見てくれなくてもいい! 居ないものとして扱ってくれても構わない! だからお願い、なんでもするから最後まで貴方と共にいる事を許して!』
突如として彼女は俺の体に泣き縋り付き始めた。今の彼女は「死ね』と命じたらそのまま実行してしまいそうな危うさを感じる。美少女の泣き顔は美しいと聞くが、そんな事を検証できる精神的ゆとりも無い。何故なら彼女の言葉を殆ど理解出来ていないからだ。何故、どうして、その様な結論に至ったのか、今の俺の脳内は疑問符で溢れかえっていた。
「いや、そうはならんやろ……」
混乱しきった俺はただ彼女の涙を近くにあったハンカチで拭い、そう呟くのが精一杯だった。しかし、そんな俺に救済の手が差し伸べられる。普段クール可愛いロゼちゃんの豹変に絶句している俺を横目にレイちゃんが動いたのだ。
レイちゃんは手を大きく振りかぶると、そのままロゼちゃんの頭に一撃を喰らわせる。ペチィッ! と何とも情けない音が辺に響き渡ったかと思うと、先程とは逆の手を挙げたレイちゃんが『さらにもう一発!』と振りあげたその手をもう一度ロゼちゃんの脳天に振り下ろした。
まるで意味が分からんぞ!
『天翔るdragons inspirationは隙の生じぬ二段構え……』などと曰いドヤ顔をかましているレイちゃんを唖然とした表情で眺める俺。その隣でロゼちゃんは頭を抱えてプルプルと震えていた。頭抱えたいのは俺の方だよ。
『レイ! 何するの!』
ロゼちゃんがレイちゃんに向けて声を上げて抗議する。だが、レイちゃんはそれを聞いても何処を吹く風、終始飄々としている。
『ロゼちゃん、落ち着いてください。マスターが私達のそばから居なくならない様に今、体を縛っているのです。これでマスターは何処にも行けません。心は時間をかけてゆっくりと私達に縛り付けていけばいいじゃないですか』
レイちゃんが蹲るロゼちゃんのそばに寄り添い優しく声をかける。本人達の美少女度も相まってそれは一枚の絵画とさえ思える程だったが、話している内容が内容すぎてハッキリ言ってついていけない。
“────ついて来れるか”
“────ごめん無理”
脳内で背を向けて語りかけてきた赤い幻影には悪いが御退去願おう。流石にこれ以上話がややこしくなるのはNG。
『そうだね……。本当に大切ならどんな手を使ってでも手元に置いておかなきゃ、だね。ありがとうレイ。貴方に会えて本当に良かった……』
頬に伝う涙を振り払い笑顔を見せるロゼちゃん。ライバルが立ち直る姿を見て優しげな表情を浮かべるレイ。イイハナシダナー。
『さて、マスター。もう《ウィドウアンカー》の効果は解けてますよね? もう一度拘束します』
あ、バレてた。まぁ、ロゼちゃんの涙をハンカチで拭った辺りでもう隠す気無かったし仕方ない。隠した所で何処に逃げろというのだ……。
多分、命の危険は無いだろうけど誰か他の精霊とか助けに来てくれないかなぁ?
そんな事を考えながら再びレイちゃんによる拘束を受けていると、先程まで俺を縛り付ける作業をしていた彼女の手が止まる。
『どうしてですか⁉︎何で今目の前にいる私の事じゃなくてまた他の女の事考えているんですか! 今貴方の前にいるのは私です! マスターは私だけを見て、私の事だけを考えていてくれさえすればそれでいいんです!』
ナチュラルに心を読まれた挙句、目の前で突然叫ばれると流石に驚く。その言葉に何も返す事が出来ずに目をパチパチと瞬かせていると、彼女は俯いたまま顔を此方に近づけてきた。
『分かりました。マスターがどうしても分かってくれないなら私にも考えがあります。貴方には私達しかいないって事をその体に教えて差し上げます……』
ゆらりゆらり、と近づいてくるレイちゃん。顔と顔とがくっつく程の距離まで近づくと、彼女はウィドウアンカーで動きを封じられた俺をそのままの勢いで押し倒して、俗に言う床ドンという形へと持ってきた。
こんな状況に追い込まれても俺はどうする事もできないでいる。割と真面目にウィドウアンカーが外せない。このままだと間違いなく襲われる。いや、今襲われているのか。どちらにせよ、今の俺は誰かの助けを待つしかできない哀れな子羊。無力な私を許してくれ……。
『……また私以外の奴の事を考えている……。その顔も身体も目も鼻も口も! 髪の毛の先から爪先に至るまで全部私のものじゃなきゃダメなのに! 何で! 何でこの後に及んで私以外の事を考えているんですか! もう身体に教え込むだけじゃ足りない……。本当に私の事以外考えられない様にする……!』
彼女は俺の上に乗ったままヒステリックに叫ぶと、身につけている服のポケットから何らかの薬品が詰められた注射器を取り出そうとする。終始後ろの方で此方を見ていたロゼちゃんは驚きの表情を浮かべ、手を伸ばしてレイちゃんの行動を止めるべく走り出した。しかし、タイミングが遅すぎる。このままでは彼女がレイちゃんを止める前に何かを俺に投与されてしまうだろう。
ここまでか……、そんな考えが脳裏を過ぎる。今まで何度も死にかけてきたが、まぁそれなりに良い人生だった気がする。
せめて最後に辞世の句でも詠もうと口を開くが、恐らく詠みきる前に謎の薬品を投与されてしまうだろう。
ならば仕方がない、これは詰みというやつだ。言ってしまえば早いか遅いかの違いあれども生き物は結局死ぬのだ。ここは潔く諦めよう、そう思いやがて訪れるであろう死に意識を向けながら目を閉じる。本当に死ぬかどうか分からんけど。
しかし待てど暮らせど中々死なない。恐る恐る目を開けてみると、そこには目を回して転がっている金髪美少女の姿が! ついでに銀髪美少女も気絶していた。何が起こったし。
『あら、もう起きてしまうのね。折角貴方が珍しく無防備な姿を晒していたからいつまでも見ていようと思ったのに……。まぁ、良いわ。それより早く私様を受け入れて闇のフィールで目障りな奴らを皆殺しにしましょう?』
そのままでは風邪を引いてしまうかもしれない(多分精霊は風邪をひかない)と考えた俺が気絶した美少女達に布団をかけていると、頭上からかけられる声が一つ。
彼女(?)は張り付いた天井から壁を伝って部屋の床に降り立つと、その無駄に冗長な身体を使いとぐろを巻く様に俺の身体を隔離する。
ちょうど俺の真後ろに身体が密着するように調節した彼女はクスクスといかにもな笑いを響かせると、俺の耳にフウッと息を吹き込んだ。
反応はしない。最初の頃は一々ビビリ倒していたがそれはもう昔の話。そんな事をしても彼女を喜ばせるだけだ。わざわざ弄られに行ってやる必要はない。
「今回は珍しく殺さなかったんだ。漸く長年の情操教育が実って嬉しいよ、ベエルゼ」
振り返りるとそこには見慣れた異形の姿。何処かのホラー映画の悪霊を彷彿とさせる、やたらと肌色の悪い黒髪長髪の隠れ目の女性。口元に浮かべた微笑は彼女の内なる獰猛さを隠しきれず、万人に恐怖心を抱かせるであろう。だが、彼女の何よりの特徴はそこでは無い。
彼女には下半身が無いのだ。某ヲーでは無い真なる太陽神と融合した6歳児の様に、某様々な時代から集めた最強カードで構成されたデッキを使う未来からの使者が真実の龍と融合した姿の様に、彼女は上半身が巨大な顎門を持つ龍の頭部から突き出ているのだ。
初めてその姿を見た時にはその禍々しさに惚れ、現実として相対した時にはその姿と狂気的な言動に恐怖した。だが今は特に何も感じない。慣れって怖いね。
『私様だって貴方にだけは嫌われたくないのよ? 他の有象無象はどうでも良いけど。あっ、これ井戸に落ちてたカード達。こんな縁起の悪いもの持っていたく無いから返すわね』
縁起の悪さでは段違いな決闘龍である彼女はカードの束を此方に投げて渡す。井戸に落ちていた筈だがカードが濡れてダメになっている様子は無い。井戸水如きが手裏剣にも耐えうる謎素材カードに勝てると思うな!
脳内のハゲが迷言を言い放っているがそんな事はどうでも良い。この状況は決して先程よりマシになった訳では無い。むしろ悪化した可能性すらある。
俺に憑いている精霊のほとんどは精神面に異常がある(直球)のが特徴だ。彼女はその中でも特に異常性が顕著。彼女は愛情の示し方が他者とは異なり過ぎている。
『彼女達を殺さなかった代わりと言っては何だけど……、その、私様のお願いを聞いて欲しいわ……』
媚び諂う様に身体を俺に擦り寄せる。彼女と正面から向かい合う形になった事で龍が持つにしては明らかに異常ともいえる複眼の様な眼が否が応でも目に入る。
彼女なりの愛情の示し方、それは……
『愛しい貴方、私様を他ならぬ貴方の手で
とどのつまり、深夜42時放送の遊戯王GXのヒロインであるユベル方式という訳だ。
ベエルゼは戦闘及びカード効果では破壊されない。後、『魔王龍』だし殺したとしても第二形態『魔王超龍』とかありそう(KONMAI感)これ無理ぞ……(初手サレンダー)
助けて、覇王ガッチャ先輩……!
レイ
言わずと知れた遊戯王界の可愛い枠。アドの取り方が異常。
独占系ヤンデレにしたかった。
ロゼ
言わずと知れた遊戯王界の可愛い枠。
依存系ヤンデレにしたかった。
ベエルゼ
ユベルの系譜。
ユベル
デュエリストの初恋
次回、取り敢えず『城之内死す』デュエルスタンバイ!
デュエルで使用したカード説明について
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作中で全部書け
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カード名、攻撃力、守備力、のみで良い
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あえて何も書かなくて良い
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原作リスペクト(勝手に生える効果説明)
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我が書き換えたのだ