うちの精霊が病み属性だった件について 作:ダメダメのライトニング
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「状況は絶望を飛び越して笑えてくるレベル。キッツイな」
焼け野原状態のフィールドを見て静かに笑う。これは酷い。幾らなんでも絶望的すぎる。だが、それでも諦めるわけにはいかない。
『お願い、ここで諦めて。もう、私はこれ以上マスターを傷つけたくないの』
「それは聞けない相談だよ。俺だって譲れない想いの一つや二つはしっかり持っている。……ここで止まってる訳にはいかないんだ。俺のターン!」
手札0→1
「繋がった! 《命削りの宝札》を発動! 俺の手札が3枚になる様にドローする! ただし、このターン特殊召喚は出来ず、相手が受けるダメージも0になるが今の俺には関係ない!」
手札0→3
空中に現れたギロチンが俺の手を切り刻み3枚のカードを作り出す。「おい、命削れよ」ともっぱらの評判である《命削りの宝札》だが、良い調整を受けて良い感じになって世に現れてくれた。控えめに言って好き。
「カードを2枚伏せてモンスターを裏側守備表示でセット。ターンエンドだ。エンドフェイズ、手札が残っていれば捨てなければならないが、俺の手札は0枚だ」
《命削りの宝札》のデメリットを躱しながら最低限のフィールドは用意する。これで少なくとも次のターンは持ってくれるはずだ。《閃刀》魔法を発動する為にはメインフィールドを開けておかなければならない。故に《プルガトリオ》を退かさない限り強力な効果は使えない。ある意味一安心できる。
── LP2200 手札0
EXモンスターゾーン
なし
モンスターゾーン
裏側守備
魔法・罠ゾーン
伏せカード 2枚
『ここで《命削りの宝札》を引き当てたのは賞賛に値する。けどね、それはただ苦しみを無駄に引き延ばすだけだよ。私のターン。ドロー』
手札2枚→3枚
ロゼちゃんはサレンダーを勧告しながらカードをドローする。彼女はもう勝った気でいるらしい。勘違いしないで欲しい。確かに状況は不利だがまだ俺は負けた訳ではないのだ。
『バトル! 《召喚獣プルガトリオ》でセットモンスターを攻撃!』
禍々しい焔を全身から噴き出しながら地獄の名を冠する3人組は跳躍し、その内の一体がセットモンスターに殴りかかる。残りの2体は俺を直接狙ってきている。貫通ダメージだ。だが、それを普通に食らってやる訳にはいかない。
「罠発動! 《ブレイクスルー・スキル》! 《プルガトリオ》の効果を無効にする! これで貫通ダメージは無しだ!」
「そして、セットモンスターは《ガスタ・イグル》!」
召喚獣プルガトリオ
攻2300
ガスタ・イグル
守400
俺を直接狙った2人は《ブレイクスルー・スキル》で形成された壁に阻まれて攻撃を妨害される。セットモンスターを狙った残りの1体は影に隠れていた小鳥である《ガスタ・イグル》を破壊することに成功した。
「《ガスタ・イグル》が破壊された事でデッキからレベル4以下のチューナー以外の《ガスタ》を特殊召喚する! 来い! 《ガスタ・ガルド》!」
ガスタ・ガルド 星3
攻500 守500
しかし、時すでに遅し。《イグル》の断末魔を聞きつけて新たなガスタの仲間がフィールドに降り立った。
『やはりリクルーターか……。ならバトルフェイズは終了。私はターンを終了する』
リクルーターを警戒して攻撃の手を止めるロゼちゃん。だが、まだ貴様のエンドフェイズは終了してないぜ!
「エンドフェイズ! 罠発動! 《裁きの天秤》! 相手フィールドのカードの数が自分のフィールドと手札の合計より多い場合、その差分だけドローする! 俺のカードの合計は2枚! 対するロゼちゃんのフィールドのカードは7枚!」
『合計5枚ドローだって……!』
これにはロゼちゃんも驚愕を隠せない。5枚のカードドローはこれ程までに追い込まれていなければ引けない数だ。このカードこそが俺の逆転の切り札。手札を潤沢にして次の戦術に繋げる最高の一手だ。
「ドロー!」
手札0→5枚
ロゼ 手札3枚 LP3200
EXモンスターゾーン
トロイメア・グリフォン
モンスターゾーン
召喚獣プルガトリオ
魔法・罠ゾーン
マルチロール
エンゲージ
ウィドウアンカー
イーグルブースター
セットカード1枚
「今の俺の手札は潤沢! さて、一転攻勢と行こうか。俺のターン、ドロー!」
手札5枚→6枚
勢い勇んでカードをデッキから引き抜いた。多少余計なカードが入っているが、この手札なら逆転も不可能じゃない。
「俺のフィールドに風属性モンスターが存在するので、手札から《SRタケトンボーグ》を特殊召喚する!」
SRタケトンボーグ 星3
攻600 守1200
手札6枚→5枚
フィールドに降り立ったのは玩具を模した小型の機械。《SR》はユーゴの使用したカード群。出張パーツとしても本格的に使用しても役に立つ、風属性機械族で統一された優秀なカードたちだ。
「俺は《タケトンボーグ》の効果発動! このカードをリリースしてデッキから《スピードロイド》チューナーを特殊召喚する! 来い! 《SR電々大公》!」
プロペラを回しながら上空に飛び立った《タケトンボーグ》は人形を模したモンスターを引き連れて再びフィールドへと降り立った。しかしそこで力尽き果てたのか、その場に倒れて動かなくなってしまった。
『待って! 私は手札から《儚無みずき》を墓地へ送って効果発動。マスターがモンスターを特殊召喚する度にその攻撃力分のライフを回復する』
SR電々大公
攻1000 守1000 チューナー
ロゼ LP3200→4200
タケトンボーグが命尽きるその瞬間、ロゼちゃんの手札から小柄な体格の半透明な少女が飛び出して彼女に薄緑色の光を与えてライフを回復させた。《儚無みずき》は妖怪少女の1枚。レイちゃんには非協力的だったが、ロゼちゃんの元ではその力を遺憾なく発揮している。一体何が彼女たちの差を分けたんだ。
しかし此処で《儚無みずき》か……。奇妙なこともあったものだ。
「面倒な……。現れろ! アメイジングでスプレマシーな良心回路! アローヘッド確認! 召喚条件は風属性モンスター2体! 《SR電々大公》と《ガスタ・サンボルト》をリンクマーカーにセット! サーキットコンバイン!」
「リンク召喚! リンク2《HSRーGOMガン》!」
HSRーGOMガン リンク2
攻1000
LP4200→5200
召喚されたのは新しいスピードロイド。召喚された勢いに任せて俺のフィールドをアクセル全開にして駆け回っている。ふざけた見た目や行動をしているがコイツの効果はなかなかに優れものだ。
「《GOMガン》の効果発動! EXデッキから星8《スターダスト・ドラゴン》を除外して、デッキからレベルの合計が同じになる様に《SR》モンスターを2体選択する。そしてロゼちゃんにランダムに選ばせて選ばれた方を手札に加えて残りは墓地へ送られる!」
「俺は《SRカールターボ》と《SRパッシングライダー》を選択! さあ、選んでもらうよ!」
《GOMガン》から2枚のカードが射出されてロゼちゃんの目の前で空中停止する。なんとこのカード、ランダム性は高いもののデッキからサーチできるという恐ろしい効果を持っているのだ。
『じゃあ、右のカードにする』
彼女が右のカードに触れると、そのカードは飛び出して俺の手札に収まる。そして反対に左のカードこと《カールターボ》は地面の中に静かに沈んでいった。
「選ばれたのは《SRパッシングライダー》! 手札に加える!」
手札5枚→6枚
「《緊急テレポート》発動! デッキからレベル3以下のサイキック族を特殊召喚する! 来い! 《ガスタの神裔ピリカ》!」
手札6枚→5枚
ガスタの神裔ピリカ 星3
攻1000 守1000
LP5200→6200
ポンッと軽快な音とともに気弱そうな少女がフィールドに呼び出された。ピリカは周囲のモンスター達を警戒して手に持った杖を離そうとしない。逆に無警戒で来られた方が困るので正しい対応だ。
「《ピリカ》の特殊召喚成功時に効果発動。墓地から風属性チューナーを効果を無効にして表側守備表示で特殊召喚する! ただし、この効果で特殊召喚した場合、俺は風属性しか呼び出さなくなるが些細な問題だ」
「《ガスタ・ガルド》を特殊召喚する!」
ガスタ・ガルド 星3 チューナー
攻 500 守500
LP6200→6700
《ピリカ》が杖を軽く振るうと、何処からともなく緑の体色を持った小鳥である《ガスタ・ガルド》が救援に駆けつけた。感動の再会の最中に申し訳ないがすぐさまシンクロ素材になって貰おう。
「レベル3《ガスタの神裔ピリカ》にレベル3《ガスタ・ガルド》をチューニング! シンクロ召喚! これぞガスタの最終兵器! レベル6《ガイガスタ・スフィアード》!」
ガイガスタ・スフィアード 星6
攻2000 守1300
LP6700→8700
召喚されたのは緑の髪をした女戦士。《ガイガスタ・スフィアード》、彼女はかつてヴァイロンの力を取り込んで手に入れた最強の力でガスタ最強とまで言わしめた存在だ。反射ダメージリクルーターはちょっと強すぎる。
「《スフィアード》の効果! シンクロ召喚成功時に墓地から《ガスタ》を回収する。《ガスタ・ガルド》を手札に加える」
手札5枚→6枚
「俺は墓地の《電々大公》を除外して効果発動! 手札・墓地から《スピードロイド》チューナーを特殊召喚する! 蘇れ! 《カールターボ》!」
SRカールターボ 星3 チューナー
攻800 守800
LP8700→9500
墓地から《GOMガン》によって埋葬されたスピードロイドが威勢よく奇跡の復活を果たす。これから活躍してやる、という気概が目に見える。
「俺は《カールターボ》を生贄に捧げ、《SRパッシングライダー》をアドバンス召喚!」
手札5枚→4枚
SRパッシングライダー 星5
攻2200 守2000
が、一瞬にして墓地送り。幾らなんでも哀れすぎる。いったい誰がこんな酷いことをしたんだ! あ、俺だわ。
「《パッシングライダー》の効果! 召喚成功時に墓地からレベル4以下の《スピードロイド》を特殊召喚する! 蘇れ! 《カールターボ》!」
LP9500→10300
と思ったらすぐさま復活。まさかの反復横跳びに《カールターボ》本人が驚いている。若干機械である彼に疲れが見えるのは気のせいではないだろう。
「俺はレベル5《パッシングライダー》にレベル3《カールターボ》をチューニング! 大いなる翼がなんとやら! シンクロ召喚! レベル8《スターダスト・ドラゴン》!」
スターダスト・ドラゴン
攻2500 守2000
LP10300→12800
現れたのは清廉なる白い身体を持ったスタイリッシュなドラゴン。不動遊星のエースモンスターにしてメインヒロイン《スターダスト・ドラゴン》だ。戦闘以外のあらゆる破壊から身を守るその効果は分かりやすく強い。今回は全く活用しないけど。
「魔法カード《スター・ブラスト》ライフを500払って《スターダスト・ドラゴン》のレベルを一つ下げる」
LP2200→1700
手札4枚→3枚
スターダスト・ドラゴン
レベル8→7
「《GOMガン》の効果発動。風属性モンスターを通常召喚する。《ガスタ・ガルド》を通常召喚」
ガスタ・ガルド 星3
攻500 守500
緑の体色を持った猛禽類がもう何度目かで召喚される。別の個体とはいえ大変やな、お前らも……。
「……墓地から《カールターボ》と《タケトンボーグ》を除外して効果発動。自分フィールドの風属性モンスター全ての攻撃力をターン終了時まで800アップする」
墓地でも《カールターボ》は休ませて貰えないらしい。フィールドと墓地で反復横跳びした後は除外ゾーンへと飛び立っていった。お労しや《カールターボ》。今回のMVPは間違いなくお前だよ。
《カールターボ》の献身もあり、フィールドに立つモンスターたちは風を纏って自身の攻撃力を強化することに成功した。
ガスタ・ガルド
攻500→1300
ガイガスタ・スフィアード
攻2000→2800
スターダスト・ドラゴン
攻2500→3300
GOMガン
攻1000→1800
「バトルだ! 《ガスタ・ガルド》で《トロイメア・グリフォン》に攻撃!」
ガスタ・ガルド
攻1300
グリフォン
攻2500
小さな体躯をしたミニサイズの猛禽が、自身より上位の存在であるグリフォンへとトコトコと無謀なる突撃を敢行する。《ガスタ・ガルド》は《カールターボ》の力でパワーアップしているが、それでも弱小モンスターの域を出ることはない。このままでは返り討ちは必死だ。
『一見すればただの自爆特攻だけど《ガイガスタ・スフィアード》が存在する限り《ガスタ》による戦闘ダメージは私に反射される……。そうはさせない! 罠発動《ディメンション・ゲート》! 《プルガトリオ》をゲームから除外する』
《プルガトリオ》の足元の空間が裂けて異次元空間へと吸い込まれて消えてしまう。一見すれば戦力を自らの手で減らしたように見えるが、これでメインモンスターゾーンが開かれた。つまり《閃刀》魔法が発動できるようになったという事だ。
「変わらず《トロイメア・グリフォン》に攻撃!」
『速攻魔法発動! 《閃刀機ウィドウアンカー》! 《ガイガスタ・スフィアード》の効果を無効にする!』
『ただし! 私は《スフィアード》のコントロールを得ない! 《スフィアード》の加護が無くなった今、《ガスタ・ガルド》を守るものは何もない! 迎え撃て! 《トロイメア・グリフォン》!』
ガスタ・ガルド
攻1300
トロイメア・グリフォン
攻2500
「ぐぅっ!」
LP1700→500
体格でも攻撃力でも劣る《ガスタ・ガルド》が加虐的な笑みを浮かべて攻撃を加えてくる《トロイメア・グリフォン》に勝てる筈もなく、アッサリと爆散してしまう。本来なら《スフィアード》の加護を得て勇気ある突撃になる筈だった一撃は、《ウィドウアンカー》によって《スフィアード》がその力を封じられてしまったが為に、ただの自爆へと変貌してしまった。
「だがそれは見えている! 《ガスタ・ガルド》が破壊された事でデッキからレベル2以下の《ガスタ》を特殊召喚する! 来い! 《ガスタ・イグル》!」
ガスタ・イグル 星1
攻200 守400
LP12800→13000
「そしてバトルフェイズ中にダメージを受けた場合、《SRーOMKガム》を特殊召喚する!」
SRーOMKガム 星1
攻0 守800
手札3枚→2枚
《ガスタ・ガルド》が死に際に仲間を呼んだことで、《ガルド》と似た姿を持つ《ガスタ・イグル》が増援に駆けつけた。それだけではなく、《ガルド》の自滅をトリガーにして人形サイズの小さな機械戦士がフィールドに降り立つ。
自爆特攻を誘導される事は読めていた。彼女が折角伏せた《閃刀》魔法を使わない筈がない。なんらかの方法で《プルガトリオ》を退かすことができるのは間違いなかった。なら、それを考慮してダメージを受ける前提で立ち回れば良いのだ。
「《SRーOMKガム》の効果発動! バトルフェイズ中に風属性モンスターのみでシンクロ召喚を行う!」
『結局そうした所で私のライフは削りきれない』
「俺はレベル7《スターダスト・ドラゴン》にレベル1《SRーOMKガム》をチューニング! 神聖なる光がなんとやら! シンクロ召喚! レベル8《クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン》!」
クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン 星8
攻3000 守2500
LP13000→16000
遊星さんのエースモンスターを素材にしてシンクロの名を冠するモンスターを召喚する。スターダストと同じく白を基調とした身体を持つドラゴンだが、身体の随所から生え出した水晶が光を反射してより神聖なる雰囲気を醸し出している。
「さらに、シンクロ素材とした《OMKガム》の効果発動! デッキトップを墓地へ送り《SR》だったら攻撃力を1000アップさせる! デッキトップは……《タスケルトン》! ……攻撃力は変化しない」
『惜しかったね。今の効果が成功していれば攻撃力が上がって私に大ダメージを与えられたのに』
「ああ、そうだな。此処でこれが落ちてくれなければ勝てなかったよ」
自身の10000を越えるライフを削りきれない、と豪語するロゼちゃんを静かに見つめてカードを切る。既に勝利の方程式は完成しているのだ。こんな事が起きるなんて、一体全体どれほどの確率だよ。
『馬鹿な……こんな状況で勝てる訳がない!』
「勝つさ、いつも通りに。《GOMガン》で《グリフォン》に攻撃!」
GOMガン
攻1800
トロイメア・グリフォン
攻2500
《ガルド》の仇! と勢いよく《GOMガン》は熱戦を伝説の生き物の名を冠する悪魔に照射する。だが、その威力では《グリフォン》を倒し切る事は出来ない。そう、このままでは。
『自爆特攻……? いや、コンバットトリックか! 速攻魔法発動! 《閃刀機イーグルブースター》! 《トロイメア・グリフォン》に効果を受け付けない効果と戦闘耐性を与える!』
「ダメージステップ! 速攻魔法《九十九スラッシュ》発動! 自分のモンスターが自身より攻撃力の高いモンスターに攻撃する時、ライフの差分だけ攻撃力に加算する!」
手札2枚→1枚
『なんでそんなピンポイントにっ……! 私たちのライフの差は16000から500を引いた値……』
「つまり15500の攻撃力アップだ」
GOMガン
攻1800→17300
グリフォン
攻2500
攻撃を警戒した《グリフォン》は《イーグルブースター》で急いで距離を取ろうとするが時既に遅し。《九十九スラッシュ》の力で自身のキャパシティを超えてしまうほど大きくなったエネルギー弾を逃亡する《グリフォン》の背中に射出した。尋常ではない速度と威力を込めた一撃は辛うじて原型を留めた《グリフォン》を通過して直接ロゼちゃんのライフを奪い取る。
『14800のダメージ……』
LP16000→1200
「《クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン》で《トロイメア・グリフォン》に攻撃! 烈風のクリスタロス・エッジ!」
クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン
攻3000 守2500
トロイメア・グリフォン
攻2500
そして追撃とばかりに空中で回転しながら《クリスタルウィング》が《グリフォン》を襲撃する。だが、リンクモンスターにレベルはない。故に《クリスタルウィング》の自己強化は使えず、今の攻撃力ではロゼちゃんを倒し切るには至らない。
『このくらいなら……大丈夫』
「俺は墓地の《タスケルトン》をゲームから除外して効果発動! 《クリスタルウィング》の攻撃を無効にする!」
《クリスタルウィング》の突撃が《グリフォン》に直撃する寸前、墓地から飛び出した豚の骨格が味方である筈の《クリスタルウィング》の攻撃を阻んでしまう。突然のことに《グリフォン》は状況が理解できずにオロオロしている。
『攻撃を無効……まさかっ!』
「俺は手札から速攻魔法! 《ダブル・アップ・チャンス》を発動! 攻撃が無効にされた時、攻撃力を2倍にして再度攻撃ができる! 再び《クリスタルウィング》で攻撃! 烈風のクリスタロス・エッジ!』
手札1枚→0枚
クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン
攻3000→6000
トロイメア・グリフォン
攻2500
《クリスタルウィング》は攻撃を阻んだ骨格を踏み台にしてさらに高く飛び上がる。先程よりもより多くの回数分空中で回転してより高い位置から《グリフォン》目掛けてヘルダイブして大激突。盛大なる爆発の後に立っていたのは《クリスタルウィング》だけだった。
『嘘……。そんな……』
LP1200→0
呆気なくついてしまったデュエルの結末の前にロゼちゃんは静かに崩れ落ちる。あれほど勝つと意気込んでいただけにこの終わり方は相当堪えたらしい。なんか申し訳ない気分になってくるな。
『《タスケルトン》を落として《ダブル・アップ・チャンス》はともかくとして、なんで《儚無みずき》使ったらピンポイントで《九十九スラッシュ》引いてくるの……?』
「3積みしてるから」
『他に入れるカード絶対あったよね!』
あまりにも単純明快かつ理論的な答えの前に流石の彼女も苦笑い。負けた悔しさと敗北理由のアホらしさに笑ったら良いのか、それとも泣いたら良いのかわからない様子だ。
『あーあ、負けちゃった……。絶対にマスターを此処から出さないって決めてたのになぁ……』
「悪いけど、俺も本気なんだ。本気でちゃんと皆と向き合いたいって思ってる。だから此処から出て行く。折角作ってくれたのは本当に申し訳ないけど」
デュエルに負けてしょんぼりした様子で座り込んでいる彼女に近づいて、同じ目線になる様に座り込む。そして目線を合わせた上でちゃんと俺の決意を表明した。このことは間違いなく俺がやるべき事だからちゃんと宣言した方が良いに決まってる。
『私たち……《閃刀姫》だけじゃダメなの?』
潤んだ瞳で問いかけてくるロゼちゃんには抗い難い魅力があったが、その程度で止まれる俺ではない。本当に悪いが此処に残ってあげる事は出来ないのだ。
「ああ、文字通り皆だからね。少なくとも、此処から出なきゃ話が始まらないよ。すごく苦労する事は確定だけどね」
『そう……。でもちょっと気が早いんじゃない? まだ、レイも倒してないんでしょ? まだ出られると決まった訳じゃない』
「うぐっ……、まぁ、それもそうだね。レイちゃんを倒してからしか話は始まらない」
予想だにしない方向で攻められてギクリとしてしまう。そんな俺の姿を見てロゼちゃんはクスクスと笑っている。しかし、そんな表情も束の間、すぐさま彼女は真剣な顔に戻って俺に言葉を告げた。
『……私はもうすぐカードに戻されるけど、その前にやるべき事がある。マスター、もっと近づいて』
「ん、分かった」
その真剣な表情にただならぬ物を感じて俺も素直に言う事を聞く。互いに息が届くほどの距離まで近づいたが、それでは彼女は不満らしく、額と額がくっつくくらいの距離まで強引に手で引き寄せられてしまった。
『ん……』
「んん!!」
近づくや否や、彼女は強引に俺の唇に自身の唇を押し付ける。ロゼちゃんは舌を伸ばして上唇と下唇の間に侵入し、固く閉じられた歯を無理矢理こじ開けて俺の舌に彼女の舌を絡ませる。
暫く舌を貪られ、呼吸が苦しくなったところで地面を何度も叩いてギブアップ宣言を行ったがロゼちゃんは完全に無視。彼女が完全に口内を蹂躙し切るまで俺は解放されなかった。
「ぷはぁ! ……今のは……なんか意味あったの?」
『いや、私がやりたいからやっただけだよ』
息も絶え絶えな俺がそう問いかけると、彼女はあっからけんと言い放つ。あの流れでこんな事されるとは欠片も考えていなかった。もっと、こう、重要そうなアトモスフィアあったじゃん!
そんな無言の講義も聞き流されて俺は完全に意気消沈状態だ。だが、まだやるべき事がある。レイちゃんをまだ倒していないのだ。
気を取り直して俺はその場で立ち上がる。せめてカッコつけてからレイちゃんの場所へ向かおう。あれ、そう言えばレイちゃん何処にいるんだ?
『レイがいる場所、マスターなら分かる筈だよ』
その場で右往左往する俺を見兼ねたのか、ロゼちゃんが一言俺にヒントを与える。漠然としすぎてヒントとして成り立っていないが、ロゼちゃんの呟きによりやっと俺にも彼女の居場所の見当がついた。
「ありがとう、ロゼちゃん。俺はレイちゃんの元に行ってくるから」
『私はまだマスターに此処にいて欲しいから、応援はしてあげられないけど気をつけてね』
俺を見送ったロゼちゃんは誰に聞かせる訳でもなく、一言呟いた。
『……実は私も結構独占欲強い方なんだ。マスターには私達のデッキ以外を使わないで欲しいって思ってる。だから……』
彼女の視線の先には一つのデュエルディスク。ロゼちゃんのマスターが使用しているそれは、怪しげな数字の羅列を吐き出してノイズを引き起こしている。その異常事態に彼は気づいていない。
──悪く思わないでね。
主人公くん
使用デッキが『SR霞の谷幻獣機ガスタシムルグ』だった筈。霞の谷と幻獣機は犠牲になったのだ。そう、書き直しという名の犠牲の犠牲にな……。
ロゼちゃん
ライフ回復させまくったらピンポイントで《九十九スラッシュ》食らった人。こんな結末じゃなかった気がするけど、これはこれで良いかもしれない。
ラストは全日本チャンプもやった事がある由緒正しき羽賀戦術、その究極進化系みたいなもの。
デュエルで使用したカード説明について
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作中で全部書け
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カード名、攻撃力、守備力、のみで良い
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あえて何も書かなくて良い
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原作リスペクト(勝手に生える効果説明)
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我が書き換えたのだ