うちの精霊が病み属性だった件について 作:ダメダメのライトニング
言葉が出なかった。先程まで優勢に戦局を進めていたのはレイちゃんだった筈。だが、今、あらゆる流れを支配しているのはメイデンだ。ベクター顔負けの演技力を披露して流れを強引に奪い取ったのだ。
レイちゃんは今3枚の伏せカードを伏せているが、それがどこまで牽制になるだろうか。
『私のターン! ドロー!』
手札1枚→2枚
『私のスタンバイフェイズに《PSYフレームロード・Ω》が異次元より帰還します! 戻りなさい! 《PSYフレームロード・Ω》!』
PSYフレームロード・Ω
攻2800 守2200
レイ 手札1枚→2枚
メタリックな装甲を纏った人型の戦士が異次元から帰還する。と、同時にレイちゃんの奪われていた手札も返却された。
『墓地の《天啓の薔薇の鐘》を除外して発動します。手札から《光の王マルデル》を特殊召喚します! そして《マルデル》の効果発動! デッキから《薔薇の妖精》を手札に加えます』
光の王マルデル
攻2400 守2400
手札2枚
墓地より鳴り響く厳かな鐘の音によって、再び《マルデル》が召喚されてメイデンに新たなモンスターを手札に送り届けると、
『さらに効果によって手札に加わった事で《薔薇の妖精》を特殊召喚します!』
薔薇の妖精
攻600 守1200
手札2枚→1枚
受け取った手札からは間髪入れずに、小さな赤い妖精が飛び出してきた。
『現れて! 黒薔薇のサーキット! アローヘッド確認! 召喚条件は種族が異なるモンスター2体! 私はドラゴン族《ブラックローズ・ドラゴン》と機械族《幻獣機オライオン》をリンクマーカーにセット! サーキットコンバイン! リンク召喚! リンク2《クロスローズ・ドラゴン》!』
クロスローズ・ドラゴン
攻800 リンク2
現れたのは、これまで呼び出されてきたローズ・ドラゴン達とは異なり2色の薔薇をその身から生やす新たな龍。最後のローズ・ドラゴンはメイデンの目の前で高らかに誕生の産声を上げる。
『私は《クロスローズ・ドラゴン》の効果発動! このカードと植物族モンスター《薔薇の妖精》をリリースしてEXデッキから《ローズ》シンクロモンスターをシンクロ召喚扱いで特殊召喚します! 清廉なる花園に芽吹き孤高の薔薇よ! 蒼き月の雫を得てここに開花せよ! 《月華竜ブラック・ローズ》!』
月華竜ブラック・ローズ
攻2400 守1800
クロスローズ・ドラゴンは薔薇の妖精を蔓で縛り上げると、共に自身が発生させた花吹雪の中に入って光と化す。色とりどりの華の乱舞が消滅すると、竜巻の中からブラックローズ・ドラゴンに酷似した龍が現れた。
そのドラゴンの名は《月華竜ブラック・ローズ》。決闘巫女の使役する伝説の決闘竜の1枚であり、決闘竜の中でもかなり異色の立ち位置にあるカードだ。その立ち位置は純粋に悪だったベエルゼとは真逆の物である。
『《月華竜ブラック・ローズ》の召喚時に効果発動! 相手フィールドに特殊召喚されたモンスターを手札に戻します。《シズク》をデッキに戻します!
『くっ! ですが《閃刀姫》リンクモンスターがフィールドを離れたので《閃刀姫ーレイ》を特殊召喚します!』
閃刀姫ーレイ
攻1500 守1500
ブラック・ローズは赤い薔薇の花弁を巻き込んだ旋風を口から吐き出して、シズクを絡めとりその装甲を強引に引っ剥がす。武装を解除されたレイはその場に膝をつき、普段の制服状態に戻ってしまった。
『魔法発動《フレグランス・ストーム》! 私の《光の王マルデル》を対象にして発動します。《マルデル》を破壊して1枚ドロー! それが植物族なら公開してさらにもう1枚ドローできます。私は《ローンファイア・ブロッサム》を公開して1枚ドローします』
手札2枚
マルデルがその身を花吹雪に変えてカードを1枚メイデンに託す。そこには自身が破壊されることへの恐怖は見て取れない。
『その前に《閃刀姫ーレイ》の効果発動! 自身をリリースしてEXモンスターゾーンに《閃刀姫》モンスターを特殊召喚します! 剛力無双! 《閃刀姫ーカイナ》!』
閃刀姫ーカイナ
攻1500 リンク1
隙を逃さずレイちゃんは新たな閃刀姫へと換装する。選択したのは今までに使用してこなかった閃刀姫。黄色を基調とした、カガリやシズクとは比べ物にならない程の重装甲を装備するカイナ。何よりも特徴的なのはその巨大なアーム。そのアームからは他の閃刀姫とは一線を画するパワーが感じられる。
……あくまで感じられるだけである。実際、カイナの効果は防御偏重の効果で構成されていて、カガリやシズクと比べてアドバンテージを得難いモンスターだ。だからこそ、今のレイちゃんのような追い詰められている状態でこそ、その能力は大きく輝くだろう。
『《閃刀姫ーカイナ》の召喚時効果発動! 《PSYフレームロード・Ω》を対象にしてターン終了時までそのモンスターの攻撃を封じます!』
カイナの剛腕がメタリックな戦士を強引に組み伏せる。地面にめり込むように押しつぶされたΩはこのターンの攻撃を封じられてしまった。
『私のフィールドのモンスターが破壊された場合、墓地の《クロスローズ・ドラゴン》の効果を除外して発動します。墓地から《ローズ・ドラゴン》を特殊召喚します。蘇れ! 《ブラックローズ・ドラゴン》!』
『ならば私は速攻魔法を発動します! 《閃刀機ーシャークキャノン》!』
『《シャークキャノン》は相手の墓地のモンスター1体を除外します。さらに私の墓地に魔法が3枚以上ある時そのモンスターを特殊召喚します! 私はメイデンの墓地から《ブラックローズ・ドラゴン》を特殊召喚します!』
ブラックローズ・ドラゴン
攻撃2400 守1800
大地に生え出した2色の薔薇に導かれるように姿を現しかけたブラックローズ・ドラゴンを、レイちゃんはシャークキャノンの吸着力で強引に自分のフィールドに手繰り寄せる。その結果として、メイデンはブラックローズを呼び出せないどころか、みすみす奪われる結果となってしまった。
『そして《カイナ》の効果発動! 《閃刀》魔法が発動したので私のライフを100回復します』
レイ LP1500→1600
微回復。あまり意味を感じられない程の些細さ。なんとも言えない絶妙性能だ。
『来るのが少し遅かったですね。魔法カード《ハーピィの羽箒》を発動します。貴方の魔法・罠カードを全て破壊します!』
手札2枚→1枚
『発動できるカードはありません』
羽箒の巻き起こした竜巻に飲まれて、レイちゃんの伏せカードはなす術なく宙を舞う。
『これで貴方の魔法・罠を警戒する必要はもう無くなりました。私は《ローンファイア・ブロッサム》を通常召喚!』
手札1枚→0枚
ローンファイア・ブロッサム
攻500 守1400
大きな蕾を持つ花が地面から持ち上がる。だが、それはまだ仮の姿。その本当の力はこれから解放される。
『《ローンファイア・ブロッサム》の効果発動! 自身をリリースしてデッキから植物族モンスターを特殊召喚します! 《凛天使クイーン・オブ・ローズ》!』
凛天使クイーン・オブ・ローズ
攻2400 守1300
ローンファイア・ブロッサムの蕾が開花すると同時に、花の中から赤い薔薇の意趣をした残酷な天使が降臨した。その凛とした佇まいからは気高さと同時に深い孤独感も読み取ることができる。
『私はレベル7の《凛天使クイーン・オブ・ローズ》と《月華竜ブラック・ローズ》でオーバーレイ! エクシーズ召喚! 清廉なる森の守護神! 《森羅の鎮神オレイア》!』
森羅の鎮神オレイア
攻2800 守2500
が、そんな意味深な話など完全に無視してエクシーズ素材に使われてしまった。スルーされて若干悲しそうな顔で吸い込まれていくクイーン・オブ・ローズを見ると気が抜けてしまうが、召喚されたモンスターを見てレイちゃんは木を引き締め直す。
蔓延る自然の様な意趣が施された大怪鳥。それこそが森の怒りを鎮める神たるオレイアの正体。射抜くような鋭い視線でカイナを睨みつけると甲高い奇声を発してあらゆる者を威圧した。
『《オレイア》の効果発動! 1ターンに1度オーバーレイユニットを一つ使い、私のデッキの上から3枚のカードを確認します! その中の植物族モンスターを全て墓地へ送りその数だけこのカード以外のフィールドのカードを手札に戻します! それ以外であればデッキボトムへ戻します』
『2体以上の植物族モンスターをめくれた場合に私は敗北する……』
『そう、これが貴方の運命を決めるカード達。まず1枚目《森羅の実張りピース》植物族モンスターです』
『いきなりですか……』
『2枚目《無限泡影》……罠カードです』
『……』
『3枚目……』
『……』
『《ブルーローズ・ドラゴン》……植物族ではありません《森羅の実張りピース》を墓地へ送り《ブラックローズ・ドラゴン》をデッキに戻します』
オレイアは自身が発生させた竜巻をブラックローズ・ドラゴンに叩きつけて吹き飛ばすことで、シャークキャノンによる拘束から強引に解放する。
『そして《ピース》の効果発動。カード効果でめくられて墓地へ送られた時、墓地からレベル4以下の植物族モンスターを1体特殊召喚します! 私は《ローンファイア・ブロッサム》を特殊召喚!』
ローンファイア・ブロッサム
攻500 守1400
『《ローンファイア・ブロッサム》をリリースして効果発動! デッキから《桜姫タレイア》を特殊召喚します! 《タレイア》は自分フィールドの植物族の数かける100攻撃力がアップします』
桜姫タレイア
攻2800 守1200
↓
攻3000
再び返り咲いたローンファイア・ブロッサムの中から現れた、桜をイメージした女王がフィールドに足をつけると、生誕を祝うかのように花が咲き誇った。それらの花はタレイアに祝福を与えて攻撃力を増加させる。
『攻撃力3000……』
『バトル! 《桜姫タレイア》で《閃刀姫ーカイナ》に攻撃! 桜花爛漫!』
桜姫タレイア
攻3000 守1200
閃刀姫ーカイナ
攻1500
タレイアはカイナの懐に飛び込むと、その小さな拳を握り込んでガラ空きのボディに思いっきり叩き込む。予想外にステゴロな桜姫に驚き、反応できなかったカイナは苦悶の表情を浮かべてフィールドから消滅した。
『きゃあああっ!』
レイ LP1600→100
『《森羅の鎮神オレイア》で直接攻撃! これで終わりですっ‼︎』
森羅の鎮神オレイア
攻2800 守2500
レイ LP100
神鳥は優雅に宙を舞い、その口から辺り一面を焼け野原にしてもお釣りが来る程の熱量を持った光線を四方八方に乱射する。そのうちの数本が残りライフ僅かのレイちゃんへと向かうが、
『まだですっ‼︎私は墓地から罠カード《光の護封霊剣》を除外して効果発動! このターンの直接攻撃を封じます!』
墓地から飛来した半透明に輝く剣に阻まれて攻撃を打ち消されてしまった。
おそらく光の護封霊剣はハーピィの羽箒に破壊されたカードの1枚だったのだろう。だが、それならば『2体以上の植物族モンスターをめくれた場合に私は敗北する』という発言は完全にメイデンを騙す為のものだったということになる。レイちゃんの言う通りに2枚以上バウンスされていたら、もっと被ダメージは抑えられていた筈だ。
これはただの予想に過ぎないが、レイちゃんはメイデンのドロー力なるものを信じたのだろう。メイデンは《バック・ジャック》の効果をデッキ操作無しで成功させる程のドロー強者だ。だからこそ、言葉を使って彼女が植物族モンスターをめくれるように誘導したのだと思われる。
だが、その作戦はメイデンを勝利へ導くドロー力と彼女自身の意思とが拮抗した結果、1枚のみめくれるという形になったのでは無いかと俺は予想する。まぁ、完全に妄想なんだけどね。
『またしても決めきれませんでしたか……。ですが貴方の敗北は決定的! 《PSYフレームロード・Ω》の効果発動。貴方の手札1枚とこのカードを除外します。……《ホーネットビット》ですか。悪くはありませんね。私はターンを終了します。そしてエンドフェイズに除外されていた《電脳堺獣-鷲々》は帰還します』
レイ 手札2枚→1枚
電脳堺獣-鷲々
攻2400 守1700
異次元への長旅から機械的な生物が帰還する。これでメイデンのフィールドはさらに強固なものとなった。駄目押しとばかりにハンデスまでされてレイちゃんはピンチ、まさに風前のファイアー。
『閃刀姫ーレイ、貴方のターンですがライフはたったの100。フィールドはガラ空きで手札の情報は割れています。ドローしても2枚だけです。しかも《タレイア》には植物族モンスターを効果の破壊から守る効果があります。諦めて──様を渡せば命だけは助けて差し上げます。サレンダーしなさい』
『…………です』
『はい? 良く聞こえませんでした?』
『嫌です! 私は、私のマスターを貴方達なんかに決して渡しません! やっとなんです。やっと、大好きなマスターを長く続く苦しみから助けてあげられる。そんなチャンスが、最後になるかもしれないチャンスが、私の手に転がり込んだんです! 私は、決して諦めません!』
『ならば、絶望に手を伸ばしなさい! 閃刀姫ーレイ!』
『違います! 私が手を伸ばすのは絶望ではありません。私が手にするのは希望です! 私の…………タァーン‼︎』
手札1枚→2枚
烈泊の気迫を込めてデッキからカードを引き抜くレイちゃん。なんか熱そうなワンシーンだ! 俺の処遇をかけた病み女同士の闘いであるという一点を除けば。もう帰っていいかな? いや、帰る場所無かったわ。
『私は手札から魔法カード《貪欲な壺》発動! 墓地から《カガリ》《シズク》3体《ジーク》をデッキに戻して2枚ドローします!』
手札1枚→3枚
驚きの青さ。リンクモンスター5体が悪趣味な壺に吸い込まれていく。レイちゃんは醜悪なデザインをしたその壺を蹴り上げることで粉砕して2枚のカードを手に入れた。メインデッキに戻したカードは無いので実際強欲な壺と言っても過言では無いだろう。
『メインモンスターゾーンにモンスターが存在しないので《閃刀術式ーシザーズクロス》発動。墓地の魔法が3枚以上なので墓地から《
手札3枚→2枚
閃刀姫ーレイ
攻1500 守1500
最近、彼女を見ていると何度も出てきて恥ずかしく無いんですか? というよりも、お勤めご苦労様です! という感情の方が多く出てきた気がする。閃刀姫デッキの過労死枠ですね。
『《閃刀姫ーレイ》を素材にリンク召喚! リンク1《閃刀姫ーカガリ》! 《カガリ》の効果で私は墓地から《閃刀起動ーエンゲージ》を手札に加えます』
手札2枚→3枚
閃刀姫ーカガリ
攻1500 リンク1
早速デッキに戻したカガリを召喚してエンゲージを使い回す。もはや慣れ親しんだ動きと言っても過言では無い
『《閃刀起動ーエンゲージ》を発動! デッキから《閃刀姫ーロゼ》を手札に加えます! さらに墓地の魔法が3枚以上なので1枚ドロー!』
手札3枚→4枚
『《閃刀姫ーカガリ》を素材にリンク召喚! 疾風迅雷! リンク1《閃刀姫ーハヤテ》!』
閃刀姫ーハヤテ
攻1500 リンク1
召喚されたのは新しい閃刀姫、ハヤテ。巨大な銃火器を構え、緑色の武装を全身に装備したレイちゃんの新たな姿だ。この形態はカイナやシズクとは違い、より攻撃に特化した能力を身につけている。
それは直接攻撃能力。ライフ8000でも攻撃力1500の直接攻撃は中々に痛いのだから、ライフ4000のこの世界における破壊力は尋常では無い。
『《ハヤテ》の直接攻撃でもするつもりですか? ですがハヤテの攻撃力では私のライフは削りきれません!』
ハヤテの召喚に反応して声を上げるメイデン。《リミッター解除》でも有れば伏せカードの無いメイデンは今度こそ確実に終わりだ。だが、レイちゃんの使っているデッキが俺のものであるならばそこに《リミッター解除》は投入されていない。
『心配ご無用です。《ハヤテ》で攻撃するつもりは元よりありません。私は《閃刀姫》モンスターが特殊召喚に成功した事で手札から《閃刀姫ーロゼ》を特殊召喚します!』
手札4枚→3枚
閃刀姫ーロゼ
攻1500 守1500
レイちゃんに続きロゼちゃんも召喚される。しかし、召喚されたロゼちゃんは本人ではないようだ。まぁ、本人は今頃《氷の魔妖ー雪女》とデュエルしているだろうから呼び出されたらなんか気不味いだろうね。
『《閃刀姫ーロゼ》と《閃刀姫ーハヤテ》でリンク召喚! リンク2《閃刀姫ージーク》!』
閃刀姫ージーク
攻1500 リンク2
『《ジーク》の効果発動! 《電脳堺獣-鷲々》を次のメイデンエンドフェイズまで除外します!』
三度召喚された巨大閃刀姫が電脳生物を異次元へと再び吹き飛ばした。だが、ジークの効果を使ってもメイデンのライフは削りきれない。これからレイちゃんはどうするつもりなのか、俺には見当がつかなかった。
『魔法発動! 《閃刀機ーシャークキャノン》墓地の魔法が3枚以上なので貴方の墓地のモンスターを私のフィールドに特殊召喚します。《水晶機巧ハリファイバー》を特殊召喚!』
手札3枚→2枚
水晶機巧ハリファイバー
攻1500 リンク2
『一体何を……』
驚きの吸引力によって墓地から最強汎用モンスターであるハリファイバーが引きずり上げられる。レイちゃんがこの状況でハリファイバーを呼んで何をするつもりなのか。俺も、メイデンも固唾を飲んでその動向を見守る。
『これから見せるのはとっておきのモンスターです。現れなさい! 敗走許さぬサーキット! アローヘッド確認! 召喚条件は効果モンスター2体以上!』
『私は《水晶機巧ハリファイバー》と《閃刀姫ージーク》をリンクマーカーにセット! サーキットコンバイン! リンク召喚! リンク4!』
閃刀姫にそんな召喚条件を持つモンスターはいない。出てくるのは閃刀姫以外のモンスターだ。……嫌な予感がする。レイちゃんは一体何を召喚するつもりなのか。俺とメイデンが見守る中、ソイツは現れた。
粒子が集まり、橙色をした一つの体を構築する。基本となる胴体はマッシブな姿に形作られ、尾にあたる部分は何本にも分かれていた。そして、何より特徴的なのは頭部に蘭々と輝く緑の一つ目。ギョロギョロと不気味に動くその眼はメイデンを捉えると、自身の敵として認識して妖しい輝きを放つ。
「まさか……」
思わず口に出てしまった。だが、俺にはそうしてもおかしく無いほどの衝撃が走っていた。何故ならば、良き力に定評のあるそのモンスターはまだこの世に存在する筈がないからだ。
『これこそが私の愛するマスターに捧げる愛の象徴! 《トポロジック・ボマー・ドラゴン》‼︎』
トポロジック・ボマー・ドラゴン
攻3000 リンク4
だが、嫌な予感とは当たってしまうもの。全体として見ると何処か生物として歪な姿をしたドラゴンが、本来ならばまだこの世に出てくる筈のないデータストームに住むドラゴンが、雄叫びを上げてレイちゃんを守護するようにメイデンの前に立ち塞がった。
「馬鹿な……。ありえない……」
『知らない……。私は《トポロジック・ボマー・ドラゴン》はおろか、サイバース族なんていうモンスター達を見たことも聞いたこともありません‼︎』
メイデンの驚きも酷いが俺の狼狽はもっと酷かった。今の俺はラーの翼神龍のゴッドフェニックスを食らって、生き延びた城之内くんを見た時のマリクみたいな表情を浮かべていたに違いない。
『そうでしょうね。サイバース族は存在が認識されていなかった上に、普通の手段では決して手に入れることのできない種族ですから。魔法カード《死者蘇生》を発動。墓地から《ブラックローズ・ドラゴン》を《トポロジック・ボマー》のリンク先に特殊召喚します』
手札2枚→1枚
ブラックローズ・ドラゴン
攻2400 守1800
『この瞬間、《トポロジック・ボマー》の効果発動! このカードのリンク先にモンスターが特殊召喚された場合、メインモンスターゾーンのモンスター全てを破壊します』
『なんですって⁉︎』
『フルオーバーラップ‼︎』
トポロジック・ボマーの半透明な緑色をした翼から飛び出した同色のギロチンが敵味方問わずにモンスターを引き裂いていく。レイちゃんのフィールドのブラックローズが切り刻まれ、メイデンの桜姫タレイアがギロチンに当たって爆発四散した。これがトポロジック・ボマーの恐ろしい能力。EXモンスターゾーンに存在したオレイアだけは生き残ったが、それ以外のモンスターは全滅だ。
『バトルです! 《トポロジック・ボマー・ドラゴン》で《森羅の鎮神オレイア》に攻撃! 終極のマリシャス・コード!』
トポロジック・ボマー・ドラゴン
攻3000
森羅の鎮神オレイア
攻2800
宙に飛び上がったトポロジック・ボマーは、同じく宙に浮かぶオレイアをターゲットとして認識して熱線を放つ。対するオレイアも自身の操る嵐で応戦するが、あらゆる防御を打ち砕いて突き進むトポロジック・ボマーの一撃になす術なく打ち落とされてしまった。
『きゃあっ!!』
メイデン LP2500→2300
『私のライフはまだ残っています! ですが、これで貴方の攻撃は終わり! 次のターンで……!』
オレイアが倒されても、まだライフは残っていると気丈に立ち上がるメイデン。フィールドのアドバンテージは壊滅したが、事実として彼女のドロー力が有れば手札1枚から逆転することも不可能ではないだろう。
『次なんてありませんよ。《トポロジック・ボマー・ドラゴン》の効果発動。このカードがモンスターを攻撃したダメージ計算後に、その相手モンスターの元々攻撃力分のダメージを与えます。エイミング・ブラスト!』
もっとも、次があればの話だったが。
『そん……な……』
モンスターを失い地面に打ち付けられたメイデンに、覗き込むようにして狙いを定めたトポロジック・ボマーは彼女の足元から爆炎を噴出させる。天を焦がすほどの熱量を秘めたその攻撃を受けて、ついにメイデンは力尽きてしまった。
メイデン LP2300→0
「メイデン!」
彼女の足元で爆発が起こったと同時に、俺は駆け出していた。レイちゃんはさらっと言っていたが、これはダメージが現実のものとして与えられる闇のゲーム的な何か。あんな攻撃を受けてメイデンが無事で居られる訳がないのだ。
爆心地に駆け寄り、砂煙が立ち込める中で辺りを見回してメイデンを探す。すると彼女の姿はすぐに見つかった。
白い枠が特徴的なシンクロモンスターのカードに戻された状態でだ。
そのカードから白い煙が立ち昇っている。まさかとは思うが、これはメイデンの魂が一筋の煙となって天に昇っていくのが見えるとかそういう話なんだろうか。だが、事実としていくら呼びかけても彼女は返事をしない。もしかして本当に死んでしまったのか……?
『だったら良かったんですけどね。安心して下さい。メイデンは力尽きてカードに戻っただけです。しばらくは復活出来ないでしょうけど』
《ガーデン・ローズ・メイデン》のカードを持って爆心地で膝をつく俺にレイちゃんが一言告げる。彼女の言うことを信じるなら死んだ訳ではないらしい。良かった。
『このカードはマスターにとって必要ありませんね』
ひょいっと、彼女は俺からメイデンのカードを取り上げるとそのカードを懐に放り込んでしまった。初期海馬みたいに破らなかっただけマシかな。
そして、彼女は膝を折り曲げて俺と同じ目線の高さになると、俺の目を覗き込んでにこやかに微笑んだ。
『さぁ、マスター! 邪魔者も居なくなった事ですし私達の家に帰りましょう!』
俺の肩をその両手でガッチリと掴みながら。まるで、逃がさないとでも言うかのように。
俺の休日はまだ終わらないらしい。
主人公くん
二代目エアーマン!
レイちゃん
メイデンを撃破するという快挙を成し遂げた主人公属性持ち。なんか心理戦っぽい事してた気もするけどメイデンが勝手に自滅しただけなんだよなぁ。良き力の使い手。
メイデン
お願い、死なないでメイデン!アンタが死んじゃったら主人公くんと交わした約束はどうなっちゃうの⁉︎ここを耐え切れば……まぁ、勝てるか勝てないかで言ったら難しいけどチャンスはあるんだから!
今回、メイデン死んだ!デュエルスタンバイ!
デュエルで使用したカード説明について
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作中で全部書け
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カード名、攻撃力、守備力、のみで良い
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あえて何も書かなくて良い
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原作リスペクト(勝手に生える効果説明)
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我が書き換えたのだ