うちの精霊が病み属性だった件について   作:ダメダメのライトニング

9 / 11
ヤンデレの女の子に養って欲しいので初投稿です。





レベル9

 けたたましく鳴る目覚まし時計を叩いて止めて目を覚ます。目が覚めたのは良いものの、何時になく気怠さを感じる。体を伸ばしてみるが身体が重いのは全く変わらない。

 

「なんか怠いんですけどー」

 

 誰となく呟いた言葉。当然、そんな言葉を拾ってくれる存在などいるはずがないと思っていたが……

 

『ふわぁ……、おはようマスター。どうしたの?』

 

 隣から聞こえてきた眠たげな声が独り言に答えた。首を動かして隣を見る。するとそこには、ロゼちゃんが布団に包まって丸くなっていた。朝にあまり強くないロゼちゃんは、俺の言葉に応えた後すぐに二度寝を開始しようとしている。

 

 そんななんとも言えない姿に溜息をつくと、俺は彼女の方へと身体を向けて、

 

 

 

 ボーっとした表情の彼女の頬に口付けをした。

 

 

 

『はえ?』

 

 何が起こったかわからない、と言った表情を浮かべているロゼちゃん。そんなにおかしな事だっただろうか。恋人同士ならこの程度普通のことだと思うのだが……。

 

『えっ? マスター? え? なんで今日はそんなに積極的なの⁉︎』

 

 困惑の極みといった様子でオタオタするロゼちゃん。さっきほどの衝撃で眠気など吹っ飛んだようだ。それはそれで良かったのだが、ここまで驚かれるとは意外だ。

 

「どうしたのさ、いつもしてることだけど?」

 

『いつも……している?』

 

 その言葉を聞いて怪訝げな表情を浮かべると、彼女は俺に向けて質問を投げかけた。

 

『マスター、私たちとマスターの関係って何かな?』

 

「何って……。そんなのレイちゃんもロゼちゃんも恋人でしょ。他に何かあったっけ?」

 

 奇妙な質問に今度は俺が困惑を隠せない。一体彼女はどうしてしまったのだろうか。そんな当たり前のことを聞くなんて、もしかして最近流行りの記憶喪失ってやつか! 

 

「どうしたの? 大丈夫?」

 

『うん、大丈夫だよ。ちょっと寝ぼけてただけだから。……そっか、そうなっちゃったんだね……』

 

「そう? なら良いけど」

 

 口では大丈夫といいつつも、彼女は何処か辛そうな表情を表情を浮かべている。彼女の意思は尊重するが無理だけはしないで欲しい。レイちゃんもロゼちゃんも俺にとってかけがえのない大切な人だから失いたくはないのだ。

 

 そう、俺は彼女たちを本気で愛している。俺が誘拐された時も彼女たち閃刀姫がいなければどうなっていたかも分からない。施設で孤独に苛まれていた時も手を貸してくれたのは彼女たちだ。初めて出会った日から今日まで互いに助け合いながらずっと共に歩んできたのだ。好きにならない理由がない。

 

『……ねぇ、マスター?』

 

「うん?」

 

『今、貴方は幸せ?』

 

「ああ、この上なく。俺は君たちと一緒にいられるだけで幸せだよ」

 

 即答されたその言葉を聞くと彼女は静かに微笑んだ。

 

『そう……、なら良かった』

 

 その笑みは嬉しそうではあったが何処か悲しげだった。

 

 

 

 

 

 ★★★★★★★★★★★

 

 

「今日はレイちゃんいないのか……。何処いったんだろ」

 

『多分、もう暫くしたら『お腹が減りました(キリッ)』とか言って帰ってくると思うよ』

 

「そんなものなのかなぁ……」

 

 他愛もない話をしながら朝食の後片付けをする。こんな会話をしているのはいつもは既に起きている筈のレイちゃんが何処にも居なかったのだ。こんなのは初めてだから戸惑ってしまう。

 

『あ、これ以上は私がやっておくからマスターはのんびりしてて』

 

「そう? じゃあ任せるね」

 

 何やら俺を台所から離そうとする国際的陰謀を感じる。何がそこまで彼女たちを駆り立てるのか。

 しかし、待っているだけというのも退屈だ。ロゼちゃんにちょっかいでもかけてみようかな。

 

 ソロリソロリと彼女の後ろに忍び寄る。俺が真後ろまで近づいてきても彼女はまだ気付かない。平和ボケしまくってるなこの子。

 

『ふえっ!』

 

 両手を彼女の前に回して真後ろから優しく抱き留める。ロゼちゃんは唐突な俺の行動に驚いて動けない。

 

「いつもありがとう。大好きだよ、ロゼちゃん」

 

『はわわっ……!』

 

 ウイルスで改竄される前の彼なら決してしないような行動に加えて、絶対に言わないような言葉を重ねられたロゼちゃんは、普段のマスターと今のマスターのギャップで混乱し、さらに掛けられた愛の言葉によって言語能力を失うほどに混乱の極みにいた。

 

『はうっ……!』

 

 もはや何処の言葉だとしか言えないようなよく分からない言葉を零しながら、彼女はその場に固まり続けた。その間、ずっと大好きな彼に抱きしめられているので彼女の脳内の幸福メーターは急上昇を記録し続けている。と、同時に本来絶対言わないであろう言葉を彼の意思を捻じ曲げてでも言わせている事実に脳内の背徳感メーターも天を突き刺す勢いで描き始めた。

 

『もきゅう……』

 

 そして遂に、溜まりに溜まった幸福度がメーターの上限を振り切ったことでロゼちゃんの脳は超デッドヒート! と、ほぼ同時に背徳感アクセルもフルスロットル! 幸せと背徳感のキャパオーバーで彼女はその意識を手放してしまった。

 

「ロゼちゃぁぁん⁉︎た、倒れたぁ!」

 

 幸せそうな表情で気絶している彼女をソファまで運んで横たわらせる。無防備に眠っている彼女の額に軽くキスをした後に立ち上がり、ロゼちゃんが途中にしていた洗い物の続きを引き継ぎに行った。

 

「あれ? これは……」

 

 しかし、台所で俺を待っていたのは意外な光景だった。汚れた食器などはそこにはなく、ただデータの塊がモザイク状に蠢いているだけだった。おそらくあの美味しい食事も、綺麗な食器も全部ここから作り出していたのだろう。そう言えば昨日の夜にこの世界はネット空間に作られた世界だと言っていたような気がする。誰が言っていたのだろうか? まぁ、忘れる程度の存在だったのだろう。レイちゃんやロゼちゃんでないならそんな奴のことなんてどうだって良い。

 

 だが、まぁ、だからなんだという話だ。むしろ洗い物する手間が省けたとも捉えることができて感謝する。それに、この世界を作ったのがレイちゃんやロゼちゃんなら俺がそれを拒む必要など全くない。むしろ全然ウェルカムだ。彼女たちが何をしようが俺は間違いなく肯定する。

 

 本格的にやることがなくなった俺は、適当にデッキでも眺めて時間を潰すことにした。閃刀姫のデッキが一つあればそれで充分だと言うのに過去の俺はなんでこんなにもデッキを作ったのだろうか。いつ作ったのか分からない様なガスタ(?)デッキも規定枚数に足りていないし。このデッキには適当なカードでも入れてデッキとしての体裁だけは整えておこう。

 

 そう決めた俺は余り物のカードを探す為に自分の個室へと移動する。これから組み直すガスタの様な何かと、最も大切な閃刀姫以外のデッキはそこら辺に捨て置いておく。閃刀姫と比べれば別に然程大事でもないものだ。

 

 自分の部屋に着くと、床に置かれたボックスの中で乱雑に積み上げたカードの中から使えそうなカードを適当に見繕って投入する。本当に適当なカードを入れるのは決闘者として地味に許せない。だからある程度シナジーのありそうなものを選んでみたが果たして本当に大丈夫だろうか。こういうのが本当に噛み合うかどうかは一度回してみなければ分からない。強い人ならすぐわかるのかも知れないが、俺は何回も試運転して決めるタイプだ。

 

 ロゼちゃんが起きるか、レイちゃんが帰ってくるかした時に調整を頼もうと決めた俺は、強張った身体を伸ばす為に伸びをする。そうすると、必然的に目の前の姿見に映る自分自身の姿を見ることになった。いや、訂正する。正確には自身の首に巻き付く様に刻まれた黒々とした正体不明の呪印を目撃することになったのだ。

 

「何だ……これ。いつこんなの付いたんだ……?」

 

 あまりにも不気味すぎるそれを目の当たりにした俺は、思わず鏡で確認しながら首元のそれを指先でなぞってしまった。

 

「あぐっ⁉︎」 

 

 瞬間、頭に突き刺すような痛みが走った。その苦痛は一瞬では止まらず、まるで頭の中で何かが暴れているかのように激痛が絶え間なく襲ってくる。その痛みから逃れようと必死にもがくも当然それは意味をなさない。

 

 部屋を滅茶苦茶にするだけでは飽き足らず、自分が傷つくことも顧みず爪で壁に傷跡を残してしまうほど暴れ回った後、痛みの引いた俺は頭を抑えながら生まれたばかりの小鹿のように立ち上がった。普通なら突然の頭痛発生への疑問や部屋を壊してしまったことに対する悲しみなどを感じるのだろう。だが、今の俺は生憎普通の精神状態ではない。

 

「まさかこんなことがあるなんて……。全部思い出した。俺はレイちゃんに記憶を書き換えられていたんだ……!」

 

 悲しみ。今の俺を支配している感情はそれだった。強いて言うなら裏切られたという失望が近いかも知れない。ウイルス投与された時には余裕がなくて感じることの出来なかった感情。今なら明確に意識することができる。

 

 何故、俺が記憶を取り戻せたのか分からない。彼女はこのウイルスによる改竄は不可逆だと言っていた気がする。にも関わらず、元の俺に戻れたのはこのベエルゼが残した謎の呪いが効果を発揮したからだ。俺がこれに触れたことで記憶が戻った。ならば何らかの関係があるのだろう。ちょうど、記憶が戻ったと同時にあの黒々とした文様も消えてしまったことも拍車をかけている。もしかしたら、彼女はここまで見通していたのかもしれない。ははっ、まさかいくら何でもそんな筈は……

 

『その傷がある限り貴方は私様のことを忘れたくても忘れられなくなるわ』

 

 ……否定できない。今思えば過去のベエルゼの言葉はそれっぽく聞こえなくもない? かもしれない。とんでもない借りが出来てしまった。今から返すのが怖くなって来たんだけど……。

 

 これから先に待つ滅亡の未来に絶望していると、遠慮がちなノックと共に1人の少女が部屋に顔を覗かせた。

 

『マスター? すごい音してたけど大丈夫……?』

 

「ロゼ……ちゃん」

 

 コテンと首を軽く傾げながら此方を覗き込む彼女は、大人しそうに見えるが実はレイちゃんの共犯者だ。今から何をするかは決めていないが、まだ彼女に正気に戻ったことを悟られてはいけない。申し訳ない気分になるけど、上手く騙さなくては……。

 

「大丈夫だよ。ちょっと小指をぶつけて痛みのあまりに大暴れしちゃっただけだから」

 

 ……我ながら無理があるなコレ。

 

『そうなんだ。小指に足をぶつけたなら仕方ないよね』

 

 嘘だろロゼちゃん! 俺は心底同情したような表情で肯く彼女が悪い奴に騙されないか心底心配になってきた。大丈夫か本当にこの子。

 

『マスター、今からちょっと話したいことがあるから着いてきて』

 

 そう言うと彼女は俺に背を向けて階段を降り始めた。不審に思われない様に俺も彼女の後ろについて行く。

 一階に降りてリビングに入った途端、彼女はピタリと動きを止めた。そして、唐突にクルリと回転して俺の方に顔を向けた。

 

「ん? どうしたの?」

 

『マスター、先に言っておくよ。……ごめんね』

 

 次の瞬間、俺の右足が彼女の赤黒い刀によって斬り付けられていた。痛みはない。設定はまだ生きているらしい。けど、切られた右足は切断こそされていないがロクに動かない。

 

「ロゼちゃんっ! どうしてこんな事を!」

 

 動かない右足を必死に引き摺って逃亡を図る。しかし、素早い身こなしの彼女から逃げ切れる筈もなく回り込まれてしまった。

 

『次は左』

 

 振るわれた刀に咄嗟に使えない右足を挟む。コレでなんとか左足を守ることは出来た。そう慢心したのが悪かったのだろう。次の瞬間、俺は指先一つ動かせない状態で地面に倒されていた。

 

「なん……だと……」

 

『手加減してあるから心配しないで。マスターにはずっとここにいて貰う。そんな体にはなったら不便だろうけど、その間は色々と私がお世話してあげるからなんの心配も要らないよ』

 

「くっ……。何故こんな事を……」

 

 思い通りに動かせない身体にうめきながらもロゼちゃんに突然の凶行の真意を問いかける。ロゼちゃんは、近寄ってきて倒れ伏す俺の顔を覗き込むようにして話し始めた。

 

『記憶を改竄されたマスターはね、普段と比べて僅かに声のトーンが高かったんだ。なんでなのかは知らないけど。でも、今のマスターは普段の声に戻ってた。これはつまり、何かしらの手段を使って元に戻ったって事でしょ? だから、取り敢えず動けないように切り裂いたの。ああ、でも安心して。その傷はすぐ治るから。ここはそういう世界なんだよ』

 

「間違えとか考えなかった訳……?」

 

『ふふ、間違えるなんて冗談。私がマスターの声を聞き間違える筈が無いでしょ』

 

 非の打ち所しか無さそうな理論なのに何故か説得力が大きい。謎の納得を噛み締めていると、彼女はおもむろに立ち上がり、動けない俺を抱えてベッドに連れて行った。抵抗出来ないのでされるがままになってしまう。悲しみ。

 

『そう、動けないのは今だけ。この世界の設定でもう暫くすればマスターの傷は全快してしまう。そうなると、マスターはここから逃げ出そうとするよね。けどね、全快した後にまたすぐ傷つければ話は別。戻る度に傷つけ、傷ついて戻るの無限ループを発生させる。そうすれば此処から逃げ出すなんて本当に不可能になる』

 

「マジでか」

 

『まあ、そんな事しないに越した事はないんだけどね』

 

 そんな事を呟きながら、彼女はなす術なくベッドに連れ戻されて寝かされている俺を押さえ付けながら馬乗りになる。意識したのかしてないのかちょうど、昨日の朝のレイちゃんと同じような構図だ。

 ロゼちゃんは俺の上に乗った状態で、その白魚のように透き通った指先で俺の喉元を優しくなぞった。

 

『マスター知ってる? 人ってさ、簡単に壊れるんだよ。それは勿論マスターだって例外じゃない。外の世界に出ればマスターは殺されちゃうかもしれない。それでも出たいの?』

 

 まじまじと、彼女は俺の顔を覗き込む。体勢のせいで、俺の目元に落ちてきた彼女のサラサラとした綺麗な銀髪が流れるように揺れている。クールな印象を持たせるその整った顔立ちに見つめられると慣れていても流石に照れてくる。銀髪赤目軍服美少女とか属性盛りすぎなんだよ。

 

「俺は安全な世界で過ごしたいと思っている。此処にいるのも悪くないとさえも。けど、俺は外の世界でやるべき事がある。だから此処から出て行かなきゃならない」

 

 そんなロゼちゃんを見つめていると、彼女の願いを叶えてあげたくなるがそうは出来ない。実際、何もしなくても何でも手に入る場所があったら、それは誇張表現なく楽園と呼べるだろう。そんな場所に美少女たちと一緒に住むことに憧れはある。まして、ロクな人生を送って来なかっただけに此処に一生いたいとさえも思ってしまった。

 

 だが、それではダメなのだ。与えられるだけの人生は人をダメにする。まして、与える側が俺の精霊である閃刀姫だと言う。そんな事は認められない。俺は、自分自身が彼女たちに好意を持たれている事を理解している。だが、俺はそれを受け入れることは出来ない。俺の心を奪ったのは今も昔も1人だけだ。その気持ちに嘘はつけない。

 

 虫がいい話だと理解している。好意は受け取らないが、俺の望みを叶えて欲しいなど馬鹿げてる。それでも、だ。俺は俺と彼女たちとの関係を与え、与えられるだけの関係だけで終わらせたくない。俺が彼女たちと築きたいのは互いに助け合う相棒とも呼べるようなそんな関係。片方が片方に注ぎ続ける様な一方通行な関係なんて望んじゃいない。

 

 だからこそ、俺はこの世界を拒絶する。外に出て、ちゃんと彼女たちとやり直すんだ。閃刀姫だけじゃない、皆とだ。

 

『……外で何をしたいのか知らないけど行かせる気はないよ。マスターにとっては私なんて有象無象の1人かもしれないけど、私にとってはたった1人の掛け替えの無い唯一のマスターなんだ。私が先に死んだら悪霊になってでもマスターに取り憑くし、どんな手を使ってでも私より先にマスターを死なせるつもりなんてない。だから絶対に此処から逃がさない。死ぬかもしれない世界に貴方を絶対に行かせない。マスターにはこの幸せ世界で私たちとずっと暮らして貰う! それがマスターにとっても私たちにとっても最高最善なんだから!』

 

「……ロゼちゃんの気持ちは理解した。それでも、自分の考える幸せを押し付ける事は支配と同義だよ。どうしても行かせてくれないなら押し通るまでだ」

 

『でも、マスターに何ができるの? 私1人に制圧されているこの状態で』

 

 ロゼちゃんの押さえ付ける手に更に力が込められた。彼女は必死の表情を浮かべながら、縋り付くようにして俺の体を押しとどめている。彼女に押し潰されている体の部分が軋んで悲鳴を上げるが、それを無視してある事に集中する。

 

「ま、やるだけやってみるさ。罠発動《閃光弾》」

 

 何処からともなく取り出したカード、《閃光弾》を発動して彼女の目を潰す。カードの取り出しにはマジックを使った。彼女たちに見せられるように練習しておいた甲斐があったというものだ。いつでも出来る様に仕込んでおいたのが功を奏した。こんな形で見せる事になるとは夢にも思わなかったが。

 人間相手に《閃光弾》は危険かもしれないが、ロゼちゃんは精霊だ。この程度の目眩しは一瞬だけしか効力を発揮しない。

 

『なっ! いつの間に! くっ……目が見えない……。けど私が抑えている以上マスターは逃げ出せない!』

 

「それはどうかな?」

 

『これは……、ぬいぐるみ? ……《シフトチェンジ》かっ!』

 

 ロゼちゃんはフワフワしているが仮に元軍人だ。完全に不意をついたとはいえその拘束から抜け出せるとは思っていない。だからこその隙の生じぬ二段構え。意表をついてロゼちゃんから脱出できた。あとは、やる事を為すだけだ。

 

『マスターは一体どこに……⁉︎』

 

「此処だけど?」

 

 キョロキョロと部屋を見渡して俺の居場所を探ろうとするロゼちゃんの前に、ドアの前で腕組みしながらもたれ掛かるというなんかカッコいい強キャラ感溢れるポーズを取りながら姿を現した。もう、俺がやれる事はポージングも含めて全てやった。後はなる様にしかならない。

 

『ええ……? 逃げたんじゃないの?』

 

 その堂々とした姿にロゼちゃんも困惑を隠せない。何してんだコイツといった目を俺に向けてくる。やめろ! そんな目で俺を見るな! 

 

「いや、どうせ逃げても追いつかれるし。それなら真っ向から勝負を仕掛けようと思ってね」

 

『それでデュエルディスクを身につけているんだね。分かった。そのデュエル、受けて立つよ。でもマスター? マスターはデッキを持ってるのかな? マスターのデッキは閃刀姫以外私たちが古井戸に捨てた筈なんだけど』

 

 彼女は訝しげにそう尋ねる。俺の閃刀姫のデッキをレイちゃんが持っている以上、彼女の理論によると今の俺はデッキを持っていない事になる。流石にデッキを持たずにデュエルを仕掛けてくる訳がないので困惑している様だ。

 

「あるよ、ここに全てね。あの後、ベエルゼが取ってきてくれたんだ」

 

『……余計な事を』

 

 俺の口から他の女の名前を出されたことで彼女は露骨に不機嫌になる。元々機嫌が良かったわけではないので更に険悪だ。そんな彼女を尻目に、俺はデッキケースからデッキを取り出そうとする。閃刀姫はEXデッキを多用するデッキだ。ならばそのEXデッキを封じてやれば良い。だからこそ高レベルモンスターの少ない閃刀姫に絶大な効果を発揮する《真帝王領域》がデッキに入っている帝王デッキを探しているのだが……。

 

「……あれ? 《帝王》デッキがないんだけど……? てか、ガスタ以外デッキがねぇ⁉︎」

 

 ない。何故かない。ベエルゼが取り返してくれた筈のデッキの9割が消えているのだ。何故だ! 瞬間的に必死で考えて、その理由に思い至った。そういや、改竄されてた時にデッキ下に置いてきたわ。何やってんだミカァッ(冤罪)! 

 

『急にぐだぐだになってきたことに困惑を隠せない。なんで私たちの仕込み以外の部分で苦戦してるの……』

 

 ロゼちゃんは呆れた様にジト目で此方を見つめている。ぐだぐだ粒子が溢れ出てるなぁ(遠い目)

 

「ええい、ままよ! ガスタデッキで行くよ!」

 

『そんな急場凌ぎの型落ちデッキじゃ、私は愚かレイを倒すことなんて到底不可能だよ。だから、このデュエルで引導を渡してあげる。大人しく私たちを受け入れて。start my mission』

 

 

 

「『デュエル!!』」

 

 

 

 

 ロゼ 手札5枚 LP4000

 

 VS

 

 ── 手札5枚 LP4000




主人公くん
早すぎた洗脳解除!ヤンデレに拉致監禁洗脳までされたのに、皆でもう一度やり直そうとか言い始める真性の狂人。流石ベエルゼに選ばれるだけのことはある。マジックをしてるとかいう地味な伏線回収。おれもついさっきまで忘れてたぜ!(正直者)

次回!恐怖の闇鍋ガスタ!そこに颯爽と現れたモルペコが!ありがとうポッチャマ!\イヌヌワン!/

ロゼちゃん
可愛すぎる第一の敵。インセクター流デッキ破壊戦術を使用したにも関わらずあっさり取りかえされる。歴史は繰り返すってな!

ベエルゼ
今日のMVP。ここまでは読んでいた!でも自分が敗北することは読めなかった!

デュエルで使用したカード説明について

  • 作中で全部書け
  • カード名、攻撃力、守備力、のみで良い
  • あえて何も書かなくて良い
  • 原作リスペクト(勝手に生える効果説明)
  • 我が書き換えたのだ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。