暁の水平線に勝利を刻めるか   作:ジャーマンポテトin納豆

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第15話

 

合同艦隊救出から1週間後。

遂に南西諸島攻略作戦が発令された。

 

実施時期は今日より2週間後。

それまでに準備を完全に整えなければならない。

この実施日までの期間にもしっかりとした意味があるがそれは追々説明するとしよう。

 

さて、先ずは参加戦力を記そう。

先ず、空母を主力とした第1機動艦隊だ。

 

 

 

第1機動艦隊

 

航空母艦

 

飛龍(旗艦)

烈風37機 流星32機 彩雲9機 計78機

 

蒼龍 

烈風37機 流星32機 彩雲9機 計78機

 

瑞鶴 

烈風37機 流星32機 彩雲9機 計78機

 

隼鷹 

烈風37機 流星32機 彩雲9機 計78機

 

飛鷹 

烈風37機 流星32機 彩雲9機 計78機

 

天城

烈風48機 流星無し 彩雲無し 計48機

 

 

 

烈風233機 流星160機 彩雲45機 

 

計438機

 

 

 

戦艦

 

金剛  

霧島  

ビスマルク  

ヴァンガード

 

 

 

重巡洋艦

 

鈴谷

熊野

青葉

古鷹

プリンツ・オイゲン

 

 

 

第1水雷戦隊

 

軽巡洋艦

 

能代

 

駆逐艦

 

秋月 

照月 

涼月 

初月

陽炎

雪風 

浦風 

萩風

 

 

 

 

第2水雷戦隊

 

軽巡洋艦

 

矢矧

 

駆逐艦

 

若月 

霜月 

春月 

村雨 

時雨 

響 

 

 

 

 

第3水雷戦隊

 

軽巡洋艦

 

多摩

 

駆逐艦

 

宵月 

満月 

花月 

初雪 

浦波 

菊月 

望月

 

 

 

 

第1航空戦隊

 

飛龍 蒼龍 瑞鶴

 

第1戦隊

金剛 霧島

鈴谷 熊野 青葉

 

矢矧以下第1水雷戦隊

 

 

 

 

 

第2航空戦隊

 

隼鷹 飛鷹 天城

 

第2戦隊

ビスマルク ヴァンガード

古鷹 プリンツ・オイゲン

 

能代以下第2水雷戦隊

 

 

 

第1機動艦隊は総勢40隻、速力の速い艦で固めている。

まぁ隼鷹、飛鷹の速力は25ノットとそこまで速くは無いが主力なので組み込んでいる。

 

更にそこから空母3隻を基幹とする第1、第2航空戦隊に分けられ、その護衛に戦艦を2隻ずつと重巡、水雷戦隊が就く。

まぁ行動は共にするが何かあった場合は別行動を取ったりと臨機応変に対応する事になる。

 

第1航空戦隊は飛龍、蒼龍、瑞鶴を基幹に戦艦と重巡で構成された第1戦隊の金剛、霧島と鈴谷、熊野、青葉が護衛に就く。更に1水戦が護衛に就く。

 

 

第2航空戦隊は隼鷹、飛鷹、天城を基幹としている。だが天城は烈風しか搭載していないので攻撃能力は1航戦より低い。だがそこに第2戦隊ヴァンガードとビスマルクの2隻と重巡古鷹、プリンツ・オイゲンが続く。そこに2水戦が護衛として就く。

 

第3水雷戦隊は機動艦隊として行動する第1、第2航空戦隊を護衛する。

 

 

 

 

今回、新たに編成に組み込んだ航空母艦天城だが、突貫工事に突貫工事を重ね何とか、修理を完了し南西諸島攻略作戦に間に合わせる事が出来た。

工廠の妖精達にかなり無理を言って頼み込み、どうにかして南西諸島攻略作戦の1か月前までには修理を終わらせて欲しい、と。

 

その要望に応え彼らは1か月前、とは行かなかったが20日前にはどうにかして修理を完了、各種検査も異常無し。

訓練も実施日までの34日のみとは言え、行った。他の空母の乗組員とは比べ物にならない練度だが、まぁしないよりはマシだろう。

 

乗組員の訓練は完了しておらず、更に本来ならば天城は定数80機の艦載機を搭載することが出来るのだが烈風48機のみを搭載するだけだ。

戦闘機隊の面々は元々十分な訓練を行っていて、搭載する空母が無かったから実戦に出ることが無かったと言うだけだ。

だがそれでも数がずっと少ないのは事実である。

 

 

にも関わらず何故編成に組み込んだのか。

 

 

理由は空母5隻だけだと敵艦隊との航空戦力差があまりにも開きすぎるからだ。

戦闘機隊は訓練も完了しているからあとは飛び立つための空母が必要なのだ。

だが5隻以外だと鳳翔しかおらず、鳳翔には攻略部隊を載せた輸送船団の護衛に就いてもらう予定だ。速力は25ノットと隼鷹、飛鷹と大差無いが艦載機数が問題だった。

 

零戦ならばかなり詰めれば40機は搭載出来るのだが今回搭載するのは烈風だ。

更に言えば烈風は零戦より機体が大きいから必然的に搭載機数が減る。

 

鳳翔は烈風を20機、対潜警戒用に流星を8機、偵察用に彩雲4機を搭載するのだが魚雷を搭載して流星を発艦させようとすると飛行甲板が短く滑走距離が足りずに海に落ちてしまう。だから鳳翔には対潜爆弾と、25番(250kg)くらいだ。

 

だからあまり戦闘力としては期待出来ない。しかも安全のために輸送船団は第1機動艦隊の後方50海里に配置するので即座の連携は出来ない。

 

話がズレたが、航空戦力を出来るだけ多くするためだ。

なので天城はどちらかと言えば今回は補助空母的な意味合いが強い。

 

 

 

戦艦4隻は全艦が30ノットを発揮する事の出来る高速戦艦だ。

長門と日向をこの艦隊に組み込まなかったのは速力が30ノットに達していないからだ。

それだと艦載機発艦の度に艦隊から置いて行かれると言う事に成り兼ねない。

 

だから長門、日向の2隻は別艦隊に組み込んだ。

 

 

 

金剛以下4隻には対空火器の増設を実施日までに行う事になっている。と言うのも南西諸島、とりわけ主目的である沖縄本島近海や慶良間諸島には偵察の結果、正規空母ヲ級4隻に加えて軽空母ヌ級2隻が確認されている。

ヲ級だけで400機、ヌ級を含めれば500機に達すると予想される。

これだけの数を対空火器の増設も無しに挑めば面白い様にやられてしまうだけだ。

 

更にそれだけでは無く戦艦ル級が4隻に重巡リ級が6隻と主力艦だけでこちらよりも多い。辛うじて戦艦の数が勝っている程度だが今回ばかりはこれぐらいじゃ今までの様に都合良く、そう簡単にこの戦力差を引っ繰り返せるとは思えない。

 

特に問題なのは航空戦力の差だ。

こちらは438機なのに対して向こうは500機。

60機もの差がある。下手をするとそれ以上だ。だから出来るだけその戦力差を埋めなければならない。

 

偵察は第2潜水艦隊と、航空機による強行偵察を行った。

どうやら敵艦隊は沖縄近海に配備されていなかったのだが我々の南西諸島攻略作戦を感づいてか、欧州から戻った南方方面の戦力から割いたようだ。

 

しかも更に増援を送り込もうとしているらしく、南方方面の偵察任務に就いている第1潜水艦隊からの情報だからかなり信用出来るだろう。

 

具体的な戦力や、規模はまだ未確認だが少なくとも空母を4隻、戦艦も同数は間違い無い。更にその随伴艦も多数同時に派遣されるだろうから最低でも30か40隻は下らない大艦隊に達する。

 

沖縄近海に既に存在する敵艦隊を相手取るだけですら戦力的にはかなり厳しい、いや確実に劣勢だと断言出来る。

なのにそこに更に敵艦隊が増援として送り込まれて規模が膨れ上がったら、それこそどうにもならない。挑んだとしても戦力差でゴリ押しされるに決まっている。幾ら原田大佐以下のエースクラスの搭乗員や熟練搭乗員が揃っていたとしても磨り潰されてしまう。

 

その増援敵艦隊が派遣されないギリギリの期間が2週間後、と言う訳だ。

敵の増援艦隊が到着するまでに攻略、と言うよりは敵艦隊の殲滅を完了しなければならない。それさえ出来れば合流されて圧倒的戦力差で戦わなければならないと言う状況だけは避けられる。

 

 

そして上陸する陸軍師団や特別陸戦隊を載せた輸送船団とその護衛艦隊の説明もしなければならない。

先ず護衛艦隊だが、

 

 

輸送船団護衛艦隊

 

航空母艦

 

鳳翔(旗艦)

烈風20機 流星8機 彩雲4機 計32機。

 

 

戦艦

 

長門

日向

 

 

重巡洋艦

 

那智

羽黒

愛宕

摩耶   

 

 

軽巡洋艦

 

天龍

龍田

神通

 

 

駆逐艦

 

東雲

白雲

浦波

狭霧

子日

有明

海風

 

江風

峯雲

藤波

沖波

清霜

 

椿

初梅

 

 

 

 

 

第2戦隊

鳳翔

長門 日向

那智 羽黒 愛宕 摩耶 

 

第4水雷戦隊

天龍

東雲 白雲 浦波 狭霧 子日 有明 海風

 

第5水雷戦隊

龍田

江風 峯雲 霞 藤波 沖波 清霜 竹

 

第6水雷戦隊

神通

桃 椿 楓 樺 楠 初梅

 

 

計30隻

 

 

 

輸送船団護衛艦隊は以上の様になった。

鳳翔だけじゃ航空戦隊は組むことが出来ない。鳳翔は第2戦隊に組み込まれ同戦隊と4水戦と行動を共にする。

 

 

陸上部隊

 

 

上陸部隊先発隊(この部隊は橋頭保の確保を目的とし、本隊の陸軍3個師団の上陸地点を確保するものである)

 

神州丸  

海軍特別陸戦隊呉鎮守府所属 第3歩兵連隊2400名搭載

 

第107号輸送艦  

第3砲兵隊100名及び牽引用装備搭載改造を施した一式半装軌装甲兵車(ハーフトラック、略称ホハ)

 

第109号輸送艦  

各種弾薬、砲弾及び糧食、真水、燃料を合計200トン分、更に輜重中隊160名搭載

 

先ず、先発隊として上陸し橋頭保の確保を担う海軍特別陸戦隊は2000名での歩兵を主力としてそこに工兵、偵察、補給、整備中隊と構成される第3歩兵連隊と九十一式10mm榴弾砲(実際の砲口径は105mm)6門を装備した第3砲兵隊100名からなる。

 

戦車部隊は無し。

 

各部隊装備武器

 

第3歩兵連隊

三十八式歩兵小銃(各人に1丁ずつ)

九九式軽機関銃(分隊事に1丁)

九四式軽迫撃砲(各中隊事)

八九式重擲弾筒(各小隊事)

九八式装甲運搬車(弾薬等運搬目的で各中隊に3両ずつ)

 

以上を装備。(指揮官クラスが装備する拳銃は含まず)

 

 

第3砲兵隊

九十一式10mm榴弾砲6門及び、それの牽引を行うためと弾薬、砲弾等の運搬任務を兼任する牽引用の装備を取り付けたホハ(2トン分の積載が可能)6両を装備する。

 

このホハには九二式重機関銃が取り付けられている。

ただし砲兵隊を守るのは1個小隊50名のみなので敵に接近されると不味い。が、まぁ後方からの砲撃支援が主任務だから別段問題は無いだろう。そうなっている時点で我々の負け、上陸作戦は失敗だからだ。

砲弾の運搬は牽引担当のホハが兼務する。最大12名の兵員もしくは2トンの物資のどちらかを輸送出来る。

 

 

これ以外にも装備している物はあるが大まかな武器のみの紹介に留めておく。

 

 

 

 

続いて陸軍師団。

 

 

第23歩兵師団

上陸予定地点 沖縄本島南部安座間浜 

 

第39歩兵師団

上陸予定地点 沖縄本島南部安座間浜 

 

第3機甲師団

上陸予定地点 沖縄本島南部安座間浜 

 

 

 

2個歩兵師団はそれぞれ13隻の輸送船に搭載される。

 

機甲師団は九五式中戦車48両と機甲師団所属歩兵連隊や偵察、工兵、防空、補給、整備などの各隊と機材等を輸送するための第101号型輸送艦が追加で20隻。

 

更に砲弾薬を輸送する為の輸送船を15隻、予備の武器、燃料を輸送する船が8隻。

糧食、飲料水等を輸送する船が12隻。

 

その他諸々の輸送船を全て合わせて68隻にまで膨れ上がる。

これを護衛するのに30隻の護衛艦隊が付くから全部で98隻の大艦隊だ。

 

これだけの艦や輸送船をどうやって集めたのか、と言うと各地で損傷状態で修理も出来ず放置されていた輸送船や輸送艦を搔き集めて瀬戸内海中の使えるドックを総動員して修理を1秒の休みも無く行った。

 

輸送船、輸送艦は比較的修理は早く終わる。

だが護衛艦隊に最も必要としていたのは護衛艦隊の大多数を占める事になる駆逐艦だ。

以前にも言った通り、戦闘艦艇は大破着底だったりとかなりの大損傷を受けている艦が多い。だが南西諸島攻略作戦は刻々と迫る。待ってはくれない。

 

だから損傷の度合は事前に調べていたから損傷の小さい艦順に修理を行っていった。

訓練は十分ではないが何とか数を揃える事は出来た。それでも単純計算で護衛艦隊の艦艇1隻辺り3隻ないしは4隻の輸送船を守らねばならない。まぁこれでも戦力を揃えられた方だ。当初護衛艦隊は20隻程度になる予定だったんだからな。

しかしながら欲を言わせて貰えばもう10隻とは言わないが6隻は欲しかった。そうすればもう幾らかは余裕が出来たのだが。

 

 

まぁ今どうこう言ってもしょうがない。

今ある戦力でこの作戦を成功させるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

陸軍のそれぞれの師団は同地点への上陸を予定しており、沖縄本島南部の安座間浜と言われる砂浜だ。

候補には北部の伊江の浜や宇佐浜、同じく南部の新原浜などがあったがかなり遠浅で戦車揚陸挺が通れそうにない、との判断から却下。

 

安座間浜は元々観光用として深海棲艦の手に落ちる前は「あざまサンサンビーチ」と言う名前が付いていたが今はもう面影も何もない。

直ぐ近くにホテルなどがあったが瓦礫の山となっているし海水浴なんてとても出来そうな場所じゃない。

 

本島の中間辺りへの上陸も考えられたが北部と南部にそれぞれ戦力を割かなければならなくなり、各個撃破の可能性が出てきてしまうと言う事から断念。

もっと戦力があれば可能なのだがそんなものは無い。

 

そうすると北部か南部のどちらかへの上陸、となったが北部には密林が広がっておりいきなりそこに突っ込むのは部隊への負担が大きいと言う訳で南部の旧市街地等に上陸することになった。

 

安座間浜はそれなりに大きいので上陸に支障はないと思われる。

 

 

 

 

 

さて、大まかな作戦を説明しよう。

 

この沖縄本島上陸作戦、及び攻略作戦は大まかに分けて5つの段階がある。

 

まず第1段階。

航空機による爆撃、戦艦、重巡洋艦による徹底砲撃にて敵の防御陣地を破壊、海岸線に展開されていると思われるPTボートの基地等も存在するので同時に破壊する。これらは戦艦や空母からするとかなり面倒で厄介な相手だからだ。

 

砲爆撃終了後、安座間浜へ先発隊として海軍特別陸戦隊が上陸。

即座に浜から1kmほどまでを確保する。

歩兵連隊の上陸完了後、砲兵隊を揚陸して火力を確保して砲兵隊の支援砲撃の下で更に500m、浜から半径1.5kmを確保する。

確実に1.5kmラインで防衛線を敷き、そのラインを超えて占領を行った後に押し返されても確実にそのライン内だけは確保して置けるようにするのだ。

 

この時、戦艦や重巡の砲弾だと威力が大きすぎて支援砲撃を行えない。だからこその砲兵隊なのだ。

 

ここまでが第1段階。

 

 

 

第2段階

一連の作戦が終了後、第2段階作戦として陸軍の各師団が上陸する。

まず最初に第23、39歩兵師団が上陸。続けて第3機甲師団が上陸する。それが完了後、志喜屋漁港から仲伊保漁港を結ぶラインまで前進、奪還を行う。

この時も事前砲撃を行う予定だ。可能な限り陸上部隊の負担は減らさないといけないが洞窟などに立てこもられて砲撃終了後に出てこられるとなるとかなり面倒だ。

 

元来沖縄の洞窟などはかなり固い材質で出来ていたりするから効果が薄いことも十分にあるのだ。烈風や流星で可能な限り上空支援を行うがその時その時に対処して貰うしかない。

 

 

 

 

第3段階

沖縄本島南部全域の奪還を行う。

この際予想される戦闘の多くが瓦礫の山となった市街地戦である。

どれほど残っているか分からないがかなり厳しい戦いになると予想される。

 

南部奪還後に飛行場を早急に建設、俺の指揮下にある陸軍第32飛行戦隊が進駐、海軍と合同で航空支援を行う。

その為の滑走路の資材となるコンクリートなども後々輸送を行う。

 

 

 

 

第4段階

本島中部までの奪還を目指す。

ここまでくれば当初の上陸予定地点から伸びる補給線が短縮出来る。

 

 

 

 

第5段階 

本島北部の奪還を目指す。 

これが完了すると沖縄本島全域の奪還が完了したことになるのだが、南部と中部とは打って変わって北部は完全な熱帯雨林だ。戦闘の様相はまるっきり変わるだろう。特に航空支援がやりづらくなる。 

木々に隠れてしまって敵の詳細な位置が分かりづらくなると予想される。

 

 

 

これで漸く沖縄本島奪還作戦は完了する。

更に言えば沖縄本島奪還と並行して北部の奪還が完了次第、慶良間諸島の奪還も行う。 

この時、海軍特別陸戦隊を向かわせるが損害の大きさによっては陸軍から幾らか部隊を回してもらう事になっている。

 

 

さてここまで説明したが沖縄本島だけでなく先島諸島なども奪還しなければならないから掛かる期間は全てを通して2~3か月を予定している。

深海棲艦の陸上部隊からかなり頑強な抵抗を受けると予想されている。念の為に予備の師団を2個用意しているが願わくば投入しない事を願いたい。

と言うのも武器の充足率が足りず、戦線投入が出来ない。にも関わらず予備師団とされているのはこの2個師団が他の師団と比べて比較的充足率が高いからだ。

 

だから配備しなければならない小銃や機関銃、車両の数が少なくて済む。と言う事は短期間のうちに実戦投入が可能になると言う事だ。 

実戦どこの部隊もそうだが武器や航空機の充足率は未だに100%とは行かず、50%を切るなんて当たり前だ。もっと低い部隊もザラにあるしもっと低いと10%20%も。

 

だが予備師団に指定された師団は、指定された時点で充足率60%に達していた。 

今現在の充足率は85%程。銃火器の生産は続けられているのであと2週間もすれば充足率は完全となるだろう。 

 

まぁ、それ以前に我々海軍が敵艦隊を撃滅できるかどうかにかかっているのだが。それが失敗すると今までの準備が水の泡、二度と立ち直る事の出来ない損害を負う事になるだろう。

 

 

陸軍の各師団は妖精達の本領を発揮するために俺の指揮下に入る。

既に車両や戦車などの重量物は積み込みが進められ、全国各地の工場で生産された弾薬、砲弾が呉や神戸と言った瀬戸内海の港に集められ、輸送船や輸送艦に積み込まれていく。

それを俺は書類などで処理していく。

 

戦闘艦艇は来る2週間後に備えてギリギリまで訓練を行い、各部の点検や必要ならば部品交換を進めていく。

 

 

 

 

あぁ、そう言えば今日はビスマルクとヴァンガードと面会をする予定だったか。

書類に追われてすっかり忘れていた。

今は……18時か。もう訓練はとっく終わっている頃か。もしかすると風呂にでも入っているのかもしれない。

 

……呼び出すか。一応仕事にも区切りは着いたしな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー side ビスマルク ---- 

 

 

 

 

 

日本に到着して1週間が経った。

日本はドイツと比べると随分と暑いけれどそれにも慣れ始めていた。

今は失った私の乗組員を日本海軍から借り受けてこの艦に慣れる訓練を毎日毎日朝早くから太陽が完全に沈むまで行う。

 

と言うか1つ言わせてほしい。

ドイツ人も勤勉だとか言われるけど日本人、民間の人間も同じなのかどうかは分からないけれど私達ドイツ人以上に勤勉と言うか、働くとか自分の持てる技術を向上させるとか、と言う事に対して貪欲過ぎる。

朝早く、と言うか辺りが明るくなる前から起きて準備を始めて、明るくなり始める頃にはとっくに訓練の準備を終えている。なんなら筋トレをしている。

 

 

初日はただ単に私、ビスマルクに乗組員として配属されたことが嬉しかったんじゃないの?とか新しい物にはしゃいでいるんだ、って艦長達生き残った面々と笑っていた。

 

 

2日目になってもそうだったから日本のコトワザ?の三日坊主、ってやつなんじゃない?って微笑ましく思った。

 

 

3日目もそうだった。

 

 

4日目もそうだった。

と言うか何であいつら、あれだけ長時間訓練をしてから風呂に入って更に反省会までやって、甲板を走り回って体力錬成云々やって……

睡眠時間が5時間とかなのに朝になるとリセットされたみたいにあんな元気に動いているの?教官役の私達が先に倒れるわよ!と思った。

 

 

 

5日目もそうだった。 

と言うか本当に何なの?

これだけ訓練をやっているからか、びっくりするほど私に搭載されている兵器全般の扱いが異常なほど上達している。と言うか寝不足だから寝かせて欲しい。けど助けて貰って更に乗組員まで工面して貰って、色々とお世話になっている手前あまりそう言う事は言いたくない。どうすればいいんだろうか?と考えた。

 

 

 

 

6日目もそうだった。

と言うか待機状態から戦闘準備完了までが5分を切るとかどんな神経しているの?

艦内の移動速度が私達じゃ考えられないくらい速い。聞いてみたら、日本海軍じゃこれぐらいは普通だ、って。しかも戦艦配属になると基本的にこれ以上厳しい訓練を連日、休日無しで行うらしい。今は戦時中だからあれだけど…… やっぱり普通じゃない。

 

 

 

 

7日目である今日もそうだった。

どうやらヴァンガードとプリンツの所もそうらしく、2人共疲れた顔をしていた。

 

 

 

 

 

今日は、私やヴァンガード、プリンツの合同艦隊の艦娘は一度日本海軍全体の練度を見る為に、空母ヒリュウやソウリュウ、同じ戦艦であるナガト、コンゴウ、キリシマ達に乗った。

 

まぁ、結論から言えば尋常じゃない。

訓練1つ取っても訓練中とは思えないぐらいの気迫で、私達に配属された乗組員の数倍、動作が洗練されていた。

 

例えば、ナガトやコンゴウ達の砲撃。

射撃用レーダーを使わずにあれだけの精度の砲撃を繰り出せる事に驚いた。レーダーを装備したら本当にどうなるんだろう……と恐怖した。

 

空母に搭載されている艦載機の搭乗員達も驚くほどに練度が高い。

発艦までに掛かる時間はたったの10分程度。しかも発艦自体も驚くぐらい正確で、空中集合して編隊を組んでいる時もあれだけ接近して何故衝突しないのか不思議なぐらいだったりする。

それをさも当たり前の様にこなす彼らをもってしても深海棲艦の物量の前では苦戦させられる。

 

艦載機の性能もドイツ海軍で使用している艦載機型のBf109Tより総合的な性能は高く、特に格闘戦が異常なほどに強い。

ドイツから輸送船に乗せて運んできたBf109G型じゃ格闘戦になると歯が立たない。高高度飛行性能はこっちが完全に勝っているから急降下一撃離脱に徹すれば何とかなるけど真正面から同高度、格闘戦と言う状況だと確実に負ける。速度面ですら若干負けているし航続距離も日本が上。

 

どのパイロットも高い技術を持つけど、特に精鋭なのはヒリュウとソウリュウの戦闘機隊だ。

ヒリュウに乗っている戦闘機隊の隊長なんかは4対1でも落とされない。なんでも何年も前から最前線で戦い続けて生き残っている歴戦のパイロットらしい。

それ以外の搭乗員も同じ歴戦で、最低2対1ぐらいになっても問題無いように訓練をしている。

 

丸々1日訓練の様子を見て、帰ってくる。

それと同時に提督に対して面会をしたいと言う旨を伝えてもらえるように言っておいた。

 

本国の首相から渡された手紙なんかも渡さなければならないけど、大きな作戦を控えているからどこもかしこも大忙しで暇が無かった。

 

返って来た返事は、明日時間を取る、だそう。

 

何時になるかは分からないが呼び出すから、そしたら来てくれと言う事だった。

まぁ本当は朝一にでも面会したいけど向こうにも都合だったりこんな時局だから仕事が山ほどあるだろう。そんな中無理を言って面会時間を設けて貰うのだから引き下がる。

 

 

 

 

あぁ、そう言えば今度の作戦に私とヴァンガード、それにプリンツも参加する事になった。所属する艦隊なんかは既に通達されていて毎日艦隊運動の訓練を行いながら対空戦闘や砲撃戦の訓練もやる。これがキツイ。滅茶苦茶キツイ。私もかなり長い事最前線で深海棲艦と戦ってきていたから甘く見ていた。

寧ろ配属された日本の妖精を見て思うべきだったのだ、訓練は絶対にキツイ、と。

 

それはさておき、なんでそんな急に私達も作戦に参加するのか。

理由は詳しくは聞かされていないけれどどうやら戦力が足りていないらしい。

 

私達からすると日本海軍は今でも大艦隊を誇っているように見えるけれど実際はそうじゃない。彼女達が根拠地としている瀬戸内海は他の地域に比べると比較的安全で空襲に晒される可能性も低い。

 

だけど日本全国を見ればそうじゃない。例えば首都のトウキョウは瓦礫の山で人っ子1人いない廃墟地帯になっているし毎日の様に爆撃機が飛んできては被害を与える。

 

瀬戸内海のあちこちにも大破着底、浮かんでいられないから小島に座礁させた艦も多い。欧州でも大きな話題になったヤマトにムサシもそうだ。

 

そんな中で使える戦力が、例え別の国の艦であろうとあるのならばそれを頼らなければならないぐらいに日本も追い詰められている。

ドイツやフランスの様に日本は、陸続きの大陸国家じゃない。

イギリスみたいな頼れる国も居ない。アメリカは太平洋を隔てた遥か東。

中国やロシアは内陸に引き籠っているし戦力も無いから使い物にならない。追い詰められている日本はどこの国とも協力をすることが出来ず、援軍を乞う事も出来ない。

 

特に日本は周りの国と私達の感覚からすれば戦争になっていてもおかしくはないぐらい仲が悪い。どうやったって手を組もうとすれば足元を見られる。

だからこそ単独で戦い続けている。ドイツ以上に資源に乏しい国がここまでやれるか?

 

 

それなのに今の今まで島々を奪われても本土だけには絶対に上陸を許さない。 

欧州じゃ北欧のノルウェーやスウェーデン、地中海方面にも深海棲艦の大攻勢以降に強行偵察で棲巣が確認されている。一番最近じゃフランスのブレストにも上陸されて棲巣が構築された。

 

イギリスもポーツマスに棲巣が出来てしまって内陸部か大陸に逃げた。

欧州は各地の要衝を完全に深海棲艦に抑えられて深海棲艦の手に落ちた。

だからこそ私達は何時か欧州を奪還して深海棲艦を叩きのめすために日本まで犠牲を払いながら逃げてきた。祖国を守ると言う事を捨てて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕方、18時頃に呼び出された。

提督である男はどんな人間なのだろうか?未だに顔合わせも出来ていないから少し緊張する。

そもそも私達は彼の事を日本に到着、と言うより救援に来てくれた時まで知らなかった。今の世界は陸続きでも無ければ連絡を取り合う事なんて出来ない。海底ケーブルは深海棲艦によってとっくの昔に分断されている。確か日本と欧州が最後に連絡官を通して情報交換をしたのはスエズ運河防衛戦で撤退したときだったはず。だから2年以上前の話だ。

 

だから存在を一切知らなかった。まぁどうやら日本国内でも機密扱い、それも最上位クラスらしいから民間人は一切知らない。

国家として知っているのは軍の妖精達と日本陸海軍上層部、それも元帥クラスとこの国のエンペラーぐらいかしら?

 

どうにかして情報を搔き集めてもこれだけしか知らない。そもそも下士官クラスにも徹底して箝口令が敷かれていて全然教えてくれない。上からの許可が無い限りは絶対にしゃべらないと言ったところだろうか。 

しかし日本海軍に所属するから最低限の情報共有はしておきたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

呼び出されて、案内の妖精に連れられて執務室に向かう。だけどあの立派なレンガ作りの建物では無いのかしら?

 

「ねぇ」

 

「はっ、何でありましょうか?」

 

「執務室ってあっちの建物じゃないの?」

 

「確かにあちらには執務室がありますが使われていません」

 

「どういう事?」

 

「と言うのも深海棲艦の爆撃で倒壊の恐れがあるからです。実際に補修作業も行われていません。それに使う資材があるならば修理などに回せ、と提督ご自身からの指示でして」

 

確かによくよく見るとあちらこちらにヒビが入っていてボロボロだ。

立て看板もあるし恐らく立ち入り禁止なのだろう。

 

「そうなの。ならどこに執務室があるのかしら?」

 

「あちらです」

 

何処にあるのか聞いてみると顔を向けたのは急造の、しかも何年も使っていると言った雰囲気があるプレハブだった。二階建てで装飾なんて施されていない建てられた時そのまま取った感じだ。

だけどその周りの防備が尋常じゃない。

 

完全武装の陸軍か海軍かは分からないけれど歩兵と思われる妖精が300人、防御陣地を築いているし、それだけじゃなくて対戦車砲や対空機関砲が置かれている。見張り台も四方を囲んでいるし鉄条網や塹壕が掘られて土嚢で作られた機関銃座もあちらこちらにある。

まぁ確かに提督と言うその存在を考えればこれぐらいは当然なのだろうか?イタリアの戦死した女性提督はこれ以上の警護を引き連れていた。

まぁ本人は面倒そうにしていたけれど。

 

多分こういうのって本人の意思とかに関係無しに付けられるものなんだと思うわ。

 

「面会予定の艦娘ビスマルクとヴァンガードをお連れしました」

 

衛門で案内の妖精がそう報告すると身体検査が始まる。

と言うか厳重過ぎない?確かに深海棲艦が紛れ込んでいないなんて保障はないから厳重すぎるなんてことは無いだろうけど……

 

それを終えて防御陣地を抜けて漸く執務室であるプレハブに入る。

執務室は1階にあるらしく、扉に執務室、と可愛らしい字で書かれた看板が掛けられている。

……提督が書いたのかしら?男性と聞いていたのだけれど……

 

案内の彼は執務室のドアをノックする。

 

「提督、ビスマルクさんとヴァンガードさんをお連れしました」

 

「入ってくれ」

 

中から聞こえてきたのは確かにまぎれも無く男性の声だ。

 

「どうぞお入りください」

 

案内の彼はドアを開けて私達に入るように促す。

よし、入ろう。隣にいるヴァンガードも普段は無口で喋らないけれど緊張しているのが分かる。

中に入ると提督と思われる男性に秘書の様な役割を持つ艦娘が1人、机に向かって仕事をしていた。

 

「ビスマルク、参りました」

 

「ヴァンガード、参りました」

 

私とヴァンガードは揃って敬礼をして挨拶をする。

 

「あぁ、態々ご苦労」

 

そう言うと立ち上がって答礼をする。

身長は恐らく180cmくらい?見た目は痩せ型で雰囲気は柔らかい。顔も優しい感じで少なくとも軍服を着こんでいるが軍人とは思えない。

だけどこんな状況だから苦労が絶えず疲れている様子だし目の下に隈がはっきりとある。

 

「お忙しい中、お時間を取って頂き感謝します」

 

「あぁ、元々顔合わせはしたかったから気にするようなことでもない。それで、面会を希望した理由は?」

 

「こちらの手紙をお渡ししたかったのと、代表してご挨拶を申し上げたかったからです」 

 

「手紙?ふむ、今読んだ方が良いか?」

 

「出来ればお早めにお願いします」 

 

「分かった。良ければ座って待っていてくれ。照月、彼女達にお茶でも入れてくれ」

 

「はい」 

 

そう言って提督は手紙を読み始めた。 

そして私達は椅子に座って待つ。そんな私達に出されたのは緑茶と言うやつ。 

一口飲んでみるとコーヒーや紅茶の苦みとは違った苦さを持っている。うーん、美味しい?のかしら?初めて飲んだからイマイチ良く分からない。まぁ不味くはないから良いけれど。

 

 

 

 

 

 

暫くすると、手紙を読み終えた提督は顔を上げた。

 

「……手紙の件、了解した。私が手紙と共に同封されていたこの書類にサインをすれば、君達合同艦隊の艦娘とその艦体、及び妖精は正式に日本海軍籍となる。本当に構わないか?」

 

「えぇ。問題ありません」

 

「私も問題ありません」

 

「……そうか。分かった。ならばサインをさせて貰う」 

 

そう言って提督は万年筆でサインを書き込んでいく。 

 

「……よし、これで君達は正式に日本海軍籍となった。まぁ正確には私の上司である市木大将のサインと認可も必要なのだがな」 

 

「ありがとうございます」

 

「感謝します」 

 

「あぁ、堅苦しい話し方をしなくても良いぞ。話し易い物で構わん」 

 

「そう?ならそうさせてもらうわ」

 

この提督、私達にはそういうけど威厳とかを出すために自分の本来の話し方をしてないのよね。

まぁでもしょうがないか。

 

私が提督に渡した手紙は欧州各国のトップ、いわゆる大統領や首相達の思いを書いたものだ。イギリスはエリザベス女王が直々に筆を執って書いたらしいけれど。

 

提督がドイツ語や英語、フランス語を話したり読んだり出来るかどうか分からないから全部日本語で書いてある。

 

内容としては、欧州や各国の現状など。

更には私達合同艦隊を正式に日本海軍籍とする事。

 

その辺にどんなやり取りとかがあったのかは分からない。

多分その辺の事は手紙に書いてあるんだろうけど機密扱いで私達には読む権限が無い。

 

やり取りが終わって、提督は言った。

 

「よし、これで用件は終わりだな。すまんが見ての通り仕事が残っていてな」

 

「いえ、気にしなくて良いわ。邪魔しない内に私達はもう行くわ」

 

「すまんな」

 

「良いわよ。今度一緒にランチにでも行きましょう」

 

「あぁ」

 

「それじゃぁ失礼するわ」

 

そして私は執務室を後にした。

最後に食事に誘ったけれど普通は社交辞令なんだけど、人間性とか色々知りたいから今度本当に誘おうかしら。

 

と言うかヴァンガード、貴女何で一言も喋らないのよ。

全部私が受け答えしてたじゃない。

 

まぁどうせ文句言ってもそれにも答えないだろうけど。

 

そう思いながら衛門の待機所に居る案内の妖精と共に自分の艦のところまで帰った。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー side out ----

 

 

 

 

 

 





海軍特別陸戦隊の編成は史実とは違います。
連隊では無く中隊規模での編成が通常でした。


深海棲艦にも陸上部隊が居る事にしました。




日本での20mm機銃は他国での扱いは機関砲となります。
どうにも日本と他国での定義が違うらしく……日本の艦娘や妖精が機銃と言っていてもビスマルクを始めとした面々は機関砲と呼んでいるのはそのためです。





次回から本格的に南西諸島攻略作戦が始まります。
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