暁の水平線に勝利を刻めるか   作:ジャーマンポテトin納豆

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第21話

 

 

 

 

過労で倒れてから3か月。

仕事にも復帰して再び、毎日仕事に追われる日々だ。

何故か、仕事に戻ったときに最高に安心した自分が居たのに驚きだ。

 

まぁ、復帰してから1週間ほど以前の様な感じで睡眠時間を削って仕事をしていたら艦娘始め、参謀長達全員にしこたま怒られた挙句、軍令部まで話が行ってしまったお陰で市木大将からも大目玉を食らった。

 

あの人も過労で倒れたがまぁ、そこは別問題と言う事らしい。

 

学習しない俺も悪いのだがそうでもしないと本当に終わらないと言うか、各所で様々な事が滞る。

 

と説明したら更に怒られた。挙句、強制的に2日間の休暇を取らされてまた仕事が出来ないと言う状況になってしまい、流石に俺は学習した。

 

ちゃんと休まないと仕事をさせて貰えない、と。

 

今の所、毎日遅くても11時頃には終了して風呂に入り寝る事にしている。

起床時刻は7時だから最低7時間は寝る事が出来る。これだけ寝れば文句は言われんだろう。今の所文句は言われてない。

 

と言うか何故本当に仕事をしていないか、と監視が付けられるのか。

そこまで信用が無いか。

 

 

とまぁ、俺の事は置いて、実務の方に移ろう。

まず艦隊と航空隊の方だが再建完了、あとはそれぞれの訓練で練度向上を行う段階だ。

これに関しては特筆すべき事は無いのでこれで終わりにしよう。

 

 

 

次は高高度迎撃用戦闘機、震電について。

 

まず搭乗員について。

隊長は蒼龍戦闘機隊隊長が務める事になった。

それ以外の搭乗員に関しては俺がリストアップした人員を多少入れ替えたりしたが概ねそのまま配属を変更。

 

隊長含め20名が、新設された本土防空戦闘機隊に配属された。

本土防空戦闘機隊は、正式名称「本土防空第323局地戦闘機隊」と名付けられた。

だがそのままでは長ったらしいいので略称「第323戦闘機隊」となった。

 

更にはもう1つの戦闘機隊を編成予定で、そちらは未だに機体は全く揃っていないが「本土防空第324局地戦闘機隊」として設立。

既に母艦航空隊では無く各地の航空隊から人員を選抜している。

ただ早くても3か月先までは震電の配備が始まらないのでそれから訓練を行うとなると半年はまだ実戦に出せない。

 

 

将来的にはどちらも全てで60機程までに増やす予定だ。

配備されたのは入間飛行場。そして次の部隊が配置されるのは新たに建設された筑波飛行場となっている。

 

 

更には東海地方と関西、四国、九州にも同様に防空戦闘機隊を配備し本土の守りを固める事になっている。

 

 

 

そして震電の量産に関して。

つい15日前に量産が開始したと言う報告が入った。

 

第1段階の量産でまず25機が生産される予定で早いもので量産第1号機から6号機までを既に新設した迎撃戦闘機隊が受領。

 

整備兵養成も行わなければならないので25機中5機を整備訓練用に回される事になった。

整備に関しては暫くの間は開発などを担当した妖精達が行い、そして整備兵の教育も彼らが担当する。

 

海軍九州航空廠は既に震電の量産を開始しており、続いて海軍関西航空廠と海軍広島工場でも生産予定で既にそのための工場建設が進んでいる。

どちらとも2か月後に運転を開始して、全ての工場を合わせれば月産60機を予定している。

 

 

 

ただ、搭乗員の習熟訓練や整備兵の育成が完了するまでは実戦には出せないので、一応の予定としては3か月先の実戦投入を目指している。

それに伴い震電の戦技研究、戦い方の模索も同時進行中だ。

 

 

 

 

今日はそれに伴い部隊の視察を行っている。

隊長である西中中佐と共に飛行場を歩いて今は機体を見ている。

 

「それにしても、烈風や疾風とは違って随分と奇怪な形の飛行機だな……」

 

「前翼型、俗にエンテ形と言われるものですから確かに見慣れないですな。私も実際に配属されて受領した時は本当に飛ぶのかと驚きました」

 

「どうだ、操縦性などは?」

 

「良好ですね。かなり思った通りに動いてくれます。零戦や烈風に比べるとやはり格闘性能や運動性能は劣りますが、上昇性能や速度性能、高高度性能は圧倒的です。それに急降下耐性も高く、零戦や烈風であればとっくに空中分解していてもおかしくない速度でもビクともしません」

 

「優秀な機体、と言えるか」

 

「そうですね、主装備である30mm機関銃の装弾数が少ない事が問題ですがそれを差し引いても、総合的に見れば優秀であると言えます。ですが実際に乗って訓練すれば分かりますが速度が向上した弊害なのでしょう、一度の攻撃時間、照準器に敵機を収められる時間が極端に短くなっています今まではそんなことは無かったのですが」

 

「なんとも贅沢な悩みだな」

 

「はい、まさか速度が速すぎて悩むことになるとは思ってもいませんでした」

 

「それで、戦技研究の方はどうなっている?順調か?」

 

「そちらは段々と形になって来ています。高速であり尚且つ敵機よりも格闘性能で負けているので完全に急降下一撃離脱専用、と言ったところですね。今の所は急降下一撃離脱を徹底して行う事で固まっており、あとはその急降下一撃離脱戦法の訓練と言ったところです」

 

「やはり難しいか」

 

「かなり難しいですね。一度敵機の上を取れば殆ど無双出来るのですが敵機の上を取ってから急降下しなければならず、その時の速度が余裕で時速900kmを超えますから2000m上空を取ってもたったの数秒しか攻撃時間がありません。その間に如何に正確に敵機に命中させるか、というのがかなり難題です」

 

そう西中中佐は言う。

そして続けて話し始めた。

 

「それに、訓練で相手をする敵機役が一式陸攻なのも問題です」

 

「それのどこに問題が?」

 

「敵の高高度爆撃機は最高速度が時速550kmとかなり高速でその速度を簡単に発揮します。ですが一式陸攻はどれだけ頑張っても時速450km程度しか発揮出来ないので速度差が余りにも大きすぎるのです。これでは実戦に出たときに敵機の速度に戸惑う隊員も出るでしょう。提督、何とかなりませんか?」

 

「なんとか、と言われてもな……時速500km以上を発揮出来る双発機なんぞあったか……?」

 

腕を組んで考える。

単発機であれば陸軍の疾風や海軍の烈風、流星でも可能だが双発機となると……

 

いや、確か海軍が少数配備している銀河が時速550km程を発揮出来なかったか?

 

「……銀河を使ってみてはどうだ?」

 

「は、銀河でありますか。どのような機体でしょうか?」

 

「海軍が開発して少数配備に留まっている双発爆撃機だ。確か速度も時速550kmとは行かないがそれに近い速度を発揮出来た筈だ」

 

「おぉ、それは凄いですね。しかし何故一式陸攻に代わって配備を進めないのですか?」

 

「深海棲艦の爆撃のせいで生産工場が軒並み吹き飛ばされてな。しかも1機作るのに烈風や流星数機分だから、母艦航空隊や各地の航空隊へ送るための航空機生産を優先しているからだ。月産は確か7機程度だった筈だ」

 

銀河は元々、一式陸攻の後継機として海軍が開発したのだ。

勿論海軍での運用が視野に入れられているので魚雷も搭載可能だ。

 

しかしながら烈風や流星の開発や生産を優先し、今現在でも同じ状況が続いている中で生産工場が深海棲艦の爆撃によって破壊されて残った工場はたった1つだけと言う有様。

 

しかも母艦航空隊の航空機や紫電改の生産を最優先にしている為に工場は再建されず、その分の資材は全てそちらに回されてしまい極少数の生産に留まっている。

しかも銀河1機で烈風や流星が数機分生産することが出来るぐらい資材を使うのでそれも要因の一つだろう。

 

なので極少数が配備されるに留まっている。一式陸攻を置き換える事は叶わず未だに一式陸攻は主力機として使用され続けているのが現状だ。

 

だが性能を見れば決して悪い機体では無く、寧ろそれなりに優秀であると言える。

速度面でも一式陸攻より100km/hは勝っているし80番を抱いての急降下爆撃も可能、しかも雷撃まで出来るときた。

 

これを優秀ではないと言うのならばそいつは恐らく無能だ。

 

 

恐らくこの機体ならば深海棲艦が日々飛ばしてくる高高度爆撃機の代わりを務める事も十分に可能だろう、と思って名前を出してみたのだがどうやら存在を知らなかったようだ。

 

まぁ少数しか生産されていないから仕方が無いと言えば仕方が無い。

 

「それはまた、昨今の情勢のせい、と言う事ですか」

 

「そうだ。だがまぁ、実際に仮想敵機としてここに配備されるかどうかは分からないが俺が市木大将に話を付けることぐらいなら出来る。どうする?」

 

「勿論お願いします。出来るだけ実戦に近い方が好ましいので何としても、とは言いませんがどうにかして1機だけでも良いので回していただけませんか」

 

「分かった、視察が終わったらそのまま軍令部にも顔を出す予定だからその時に直接市木大将に話を付けに行ってくる」

 

「ありがとうございます」

 

こうして視察は終了。

 

その後、俺は約束通り市木大将の下を訪れて理由と共に何機かの銀河を、1機だけでも良いので工面して貰えないかと話した。

 

すると市木大将はそういう話ならば喜んで銀河を回そう、と頷いてくれた。

 

「本土防空は今我らが一番に直面している大問題の1つだ。それを解決出来るのであれば幾らでも協力は惜しまないから、何か困ったことがあったらすぐにでも言いに来い」

 

そう俺に言ってくれた時は少しばかりウルッと来てしまった。

 

そして市木大将は配備されている部隊に銀河を4機回すように言って早ければ3日後には到着するであろう、との事だった。

 

俺はそのことを西中中佐に電話で連絡し、その後黒川中将達とも顔を合わせて今回の視察は終了。

 

呉への帰路についた。

 

 

 

 

 

 

 







今回はかなり短いです。
申し訳ありません。
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