暁の水平線に勝利を刻めるか   作:ジャーマンポテトin納豆

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第32話

 

硫黄島奪還作戦発令まで残すは1か月となった。

 

既に1か月前から連山による爆撃が連日行われており、一度の出撃機数は200機を軽く超える。

 

4機一編隊、それを10個40機の梯団を構成し、その梯団を5~7個で毎回出撃を行い硫黄島に対しての爆撃を行っている。

その効果は大きく、艦船に対する爆撃は一切禁じ、硫黄島に建設されている飛行場とその他物資集積所などの重要施設にのみ狙いを絞っているから飛行場は2つが確認されているがそのどちらとも連日の爆撃で徹底的に破壊されて如何な深海棲艦と言えども修理やその資材、物資の補給が追い付いていない様だった。

 

 

連山は最大爆装量である4000kgと言う途轍もない量を一機毎に満載しては飛び立っている。

2000kg爆弾2発を装備したり、1500kg2発、800kg3発、250kg爆弾だったりと出撃の度によって結構まちまちではあるが、理由としては目標によって爆弾の大きさを変えているのだ。

 

ある時は飛行場だから出来るだけ広範囲に被害を与えるべく25番だったり、デカい穴を作ってやろうと2000kg(以降200番と表記する)であったり。

ある時は集積所の物資を焼き払うのが目標だから焼夷爆弾だったり。

 

そしてある時は新しく開発されたタ弾(クラスター爆弾の一種)であったりする。

タ弾は、対地攻撃用に新しく開発された、正式名称『二式25番三号爆弾』と言うもので、簡単に言えばクラスター爆弾の一種である。

 

親爆弾の内部に子爆弾を内蔵しており、基本は25番が親爆弾とされているのだが200番や150番用も開発されて実戦投入されている。

 

25番は黄燐、を主剤とする弾子を1086個を内蔵しており弾子の形状は全長10cmのパイプ状、内部にチオコールテルミット(多硫化系人造ゴム)を内蔵した。

 

親爆弾の尾部に安定尾翼とは別にプロペラ状の尾翼を付けており、投下後に風圧で回転し、螺子状に1本の棒を本体の真ん中を貫通しておりそれが回転して抜けていくと、外殻を固定している螺子が外れるように設計されている。

 

元々は少量の爆薬を使用して外殻を吹き飛ばして散布する方式を取っていたのだが、それだと弾子が誤作動を起こして着火、空中で燃え尽きてしまうという事象が多発したので螺子方式になった。

 

25番であれば有効範囲は半径100m、高さ50~70mの円柱状範囲内で有効であり飛行場爆撃にかなり有効である、と実際に投下した搭乗員や偵察を行った連山の搭乗員からは報告が上がって来ている。

 

 

 

タ弾だけでは無く陸用の200番なんかは飛行場のど真ん中に命中すれば艦砲射撃で受けた炸裂孔以上の大きさの穴を作る。

何せ200番は大和型戦艦の主砲弾よりもずっと重く、そして炸薬量も桁違いなのだから高度8000mから投下された場合の重力加速による運動量も絶大だし、炸裂した時の破壊力も驚きのものだ。

 

ある連山搭乗員は、対空砲火の中に混じって地上の構造物の破片が8000m上空まで飛んできた、なんてことを言う者も居るらしいが本当かどうかは分からない。

 

まぁ、実際の話をしてしまうと、確かに目標事に爆弾を変えているという事情もあるのだが何よりも、爆弾の生産数が追い付かないという本当の実情があるから毎回爆弾の大きさが違うのだ。

 

連合艦隊に供給する分と、日本各地の航空隊に供給する分、沖縄と南方方面に供給する分と結構な量を消費しているのだ。

 

日本本土の航空隊にはそこまでの量を供給せずとも消費していないので問題無いのだが、兎に角、南方方面の物資の消費量が尋常じゃない。

と言うのも、迎撃ばかりに努めている訳には行かず、こちらから敵飛行場に対して爆撃を実施する事もあるし、何よりも敵の爆撃によって爆弾薬庫であったり燃料タンクに爆弾が直撃すると諸共に吹き飛ばされてしまうのだから、その分を運ばなければならない。

 

そして、一番の影響だと言えるのが本土の工場が爆撃によって吹き飛ばされてしまう事だろう。どうにかして再建して稼働し始めても再びの爆撃によって吹き飛ばされてしまうという、ある種のイタチごっこの様な有様である。

 

航空機製造工場に加えて、各種火砲や砲弾薬、燃料精製プラント、艦艇を修理をする為に必要不可欠である鉄鋼の製錬所などありとあらゆる軍需工場が標的とされていて、関東、関西、四国、九州の各地の工場のどこかが毎日爆撃を受けている。

 

せめてもの救いは、連合艦隊の根拠地である呉を含む瀬戸内海沿岸部が我々日本海軍の反抗戦力が駐留しており、後続する人員を育成したりするために関東よりもずっと分厚い迎撃網を構築されているから深海棲艦の連中もそう手出しをしてこない事ぐらいだ。

 

それでも瀬戸内海沿岸の工場だけでは各地の部隊へ補給する分だけの物資を製造する事は到底不可能だ。

どうにかして地下に工場を移管するために工事を進めてはいるが、そもそも工員である妖精の殆どが陸軍所属であるために最前線へ配備されてしまっていて、更には沖縄と南方方面の各島々の要塞化のために技師妖精も殆どが引き抜かれているから遅々として進まない。

 

地下工場建設計画は深海棲艦が現れた当初の10年以上前から行われているというのにそのすべての軍需工場施設を移管する事が出来ていない。

全体の割合としても予定していた数の28%しか移管する事が出来ていない。

 

 

 

 

 

兎にも角にも連山による爆撃は絶大な威力と効果を発揮してはいるが、敵も黙ってやられているばかりでは無く、連山に対する迎撃も当然行われている。

飛行場が使用出来ないので空母艦載機による迎撃を受けるのだが、これがまた厄介だった。

 

連山には八丈島の第1八丈島飛行場(先日このように改名された)と第2八丈島飛行場の両方から陸軍の疾風や海軍の紫電改が護衛に就いているが流石に迎撃機の数が多い。

連山は高度8000~9000mを飛び進むのだが、疾風と紫電改は高高度性能が連山ほど高いと言えず、その3000m下の5000~6000mを飛ぶ。(これだけ高度差があって果たして本当に護衛と呼べるのかどうかは別としてだが)

 

連山の高度に辿り着く前に深海棲艦機は疾風及び紫電改と戦闘をするのだが何しろ数が多い。

 

こちらも両飛行場に更に陸海で1個ずつ、計4個航空隊を送り込みその戦闘機の総数は陸軍は疾風1個飛行戦隊32機が6個なので192機。

 

海軍は紫電改1個航空隊48機が6個なので288機。

 

計480機にも達する戦闘機を毎回200機以上送り出しているのに敵はその1.5倍や2倍の迎撃機を送り出してくるのだから苦戦は免れない。

 

陸海の機数差に関して説明すると、陸軍は主に南方方面と沖縄にその飛行戦隊の大部分を配備して、今現在も連日に渡る南方方面での迎撃戦で失った補充の機体と人員を送り込んでいる。

 

ざっくりとしたものではあるが、日本本土の防空は海軍が、沖縄を含めた南方方面までの防空は陸軍が、と役割分担している訳である。

まぁ南方方面にも海軍航空隊は存在するし、本土にも震電装備の陸軍飛行戦隊や疾風装備の飛行戦隊も存在するので完全に役割分担をされている訳では無い。

 

あくまでも、陸軍は南方方面や沖縄に部隊を多く派遣しているから本土の部隊はその補充うや交代の為の物で出来るだけ消耗するのは避けたいから海軍に本土防空の大部分を任せているというだけの話だ。

 

それに海軍も海軍で母艦航空隊に回すための烈風や搭乗員を優先しているからどうしても完全に本土防空を全て任されるわけには行かないのだ。

特に海戦が終わった直後は母艦航空隊の消耗が激しく、新兵だけでは補いきれずに各地の航空隊から少なくない人数を引き抜いて再編している状況なのだから、これで海軍に本土防空はお任せを!などと言える訳がない。

 

 

 

連山による爆撃だけでなく、深海棲艦の補給艦隊に対する通商破壊作戦も行われている。

第1、第2、第3潜水艦隊全てを中部太平洋方面に集結させての作戦だ。

 

北方、南方両方面の哨戒と偵察任務は海軍の二式大挺や一式陸攻に全て任せている。

 

 

中部太平洋の3個潜水艦隊による通商破壊作戦の戦果は、輸送船215隻にも上っている。

毎回の深海棲艦輸送船団の数は精々が30隻程度で、ドイツ潜水艦隊がやっていたように、群狼作戦(ウルフ・パック)を展開している。

 

深海棲艦の輸送路はたったの一つだけであり、トラック諸島やウルシー環礁を一度経由して、そこからマリアナ諸島経由の輸送路だ。

南方方面からの輸送も考えられるのだがそうなると二式大挺による長距離索敵による哨戒網に引っ掛かる事になるので深海棲艦からするとこちらの方が危険だ。

 

となると先程のトラック諸島もしくはウルシー環礁及びマリアナ諸島経由の輸送路しかなくなるわけだ。

 

群狼作戦と言うのは簡単に言ってしまえばその一つの輸送路に3個潜水艦隊を展開させて、1隻が敵輸送船団を見つけたら周辺にいる友軍潜水艦に報告して叩く、と言うものだ。これが驚くほどに効果を発揮する。

 

しかしながら深海棲艦も輸送船団の護衛も相当な物で戦艦や重巡こそ居ないが、駆逐艦や護衛空母が数十隻も張り付いている。

と言っても、基本的に雷撃を仕掛けるのは夜間だけなので航空機の脅威は無い。

駆逐艦の爆雷攻撃こそ脅威ではあるが歴戦の潜水艦乗り達が航空機の脅威が無い夜間雷撃で早々にしくじる様な事は無い。

 

今の今まで損傷を受けた潜水艦こそあれど、撃沈された潜水艦は無く、日々戦果を挙げ続けている。

 

ただし、この戦法は自軍の暗号文や電文が傍受されていない、解読されていない、と言うさも当たり前のような大前提の下で最大限の効果を発揮する。

 

以前まで、我々の暗号文は深海棲艦に100%、と言うほどでもないがそれなりの確立で解読されていた。

事実、南西諸島と南方方面に対する作戦は深海棲艦に読まれていたし、相応の戦力をこちらにぶつけてきた。

 

こちらは勝つことは出来たし奪還する事も出来た。

だがお陰で艦隊も航空隊も轟沈艦こそ出やしなかったがボロボロにもなった。

 

我々の暗号は深海棲艦に解読されていた、と言う訳である。

まぁこちらも広野中将以下諜報部のお陰もあって完璧ではないにせよそれなりに解読することは出来ていた。

 

 

兎にも角にもこのまま我々の暗号文が解読されている、と言う状況は100%では無いにせよ好ましくないのだ。 

 

そこで我々は暗号に使われる符号を変えたのだ。

と言っても戦時下で、時間も無く緊急性の高い物だったから凝ったものを作成する事も出来ない。

 

だから我々が暗号文に使われる符号を変えた方法と言うのは、至極簡単である。

 

要は、符号をずらしたのだ。

と言っても、とても簡単な物で例えば連合艦隊を表すGF、と言う符号であれば頭のGをずらしてHF、IF、と言ったようにだ。

 

流石にそのままただ単に横に一文字ずらしただけでは簡単に分かってしまうので、1か月事に右へ幾つずらす、左へ幾つずらすと言った形であっちへこっちへずれるようにしたのだ。

 

例えば、1月は右に4文字。

そうするとKFになる。

 

そして2月は左に3文字ずらす。

そうするとHFと言うようになる。

 

以上の様に、その月の頭文字を次の月になったら俺や中代大将達の決定に従ってずらすのだ。

こうするだけで、毎月毎月暗号文の符号が変わるのだから解読する側としてはとんでもなく厄介だろうと言う事はそこまで深く考えなくても分かる事だろう。

 

その符号の伝達は電文で行うなんて馬鹿な事はしない。

毎月と言うよりも、沖縄や南方方面に対しては毎日毎日深山による物資運搬が行われているからそれに積んで、そこから各部隊へ送ればいい。

 

日本本土の部隊には陸路、ないしは空路で送ればいい。

ハッキリ言ってこれだけの手間でこちらの情報が漏れないのだから楽なものである。

 

ただ、問題なのはその幾つずらすと書いてある文書が深海棲艦の手に渡ってしまったら、少なくとも1か月の間はこちらの情報がだだ洩れになってしまうという事だ。

 

何故1か月なのか、と言うとこちらの文書が深海棲艦に渡ったとしてもこちらはそれを知る術が無いのだ。

そりゃ深海棲艦にスパイでも工作員でも送り込めれば良いのだがそんなことは到底、出来る事じゃない。

と言うよりも人間同士の戦争ならいざ知らず、今の戦争相手は碌に敵の情報が丸っきり分かっていない深海棲艦が相手なのだからどうしようもない。

 

まぁ、そう言う訳で潜水艦隊による群狼作戦は1カ月に一度更新される暗号符号のお陰で多少の損傷を負う事はあれど、轟沈艦も出さずに大成功を収めているのだった。

 

これにより、幾ら大規模な護衛を就けていると言っても潜水艦隊の通商破壊作戦によって慎重にならざるを得なくなっているのか、何度も何度も偽装航路を取っているが結局目的地は同じなので大して意味は無い。

 

第1潜水艦隊が一番最初に雷撃を仕掛けたら、その暗号文を受け取った第2潜水艦隊のが敵輸送船団の予想航路に先回りして雷撃を仕掛ける。

 

そして次に第3潜水艦隊が先回りして雷撃を仕掛ける。

 

そして機会があればまた第1潜水艦隊が先回りして、と出来る限り雷撃を仕掛けつつ敵輸送船団の損害を増やしてやるのだ。

 

まぁ殆どの場合、一度仕掛けたら終わりなのだが。

 

 

 

 

 

 

 

「提督、今月の潜水艦隊による戦果よ」

 

「ん、どうだった?」

 

「第1潜水艦隊が21隻、第2潜水艦隊が17隻、第3潜水艦隊は19隻になっているわ。合計で57隻よ」

 

「これで、合計276隻になるのか。これまた随分ととんでもない数だな……」

 

「えぇ、潜水艦隊の皆は良くやっているわ」

 

「確かに潜水艦隊は良くやってくれている。だがそれ以上に、276隻も輸送船を沈められているのにも関わらず未だに前線に物資を届けられる事に、恐怖を通り越して口を開けて唖然とするしかないな」

 

「深海棲艦の物量は、誰もが良く知っている事よ。私だって欧州で嫌と言うほど思い知らされたもの。それに、太平洋の戦いははっきり言って欧州以上に地獄ね。欧州はまだ各国が近い距離にあったから一緒に戦えたから幾分か楽だったし、イギリスって言う大艦隊を持ってる国もあったからこっちと比べるとまだ楽ね」

 

今週の秘書艦であるビスマルクと共に一時補給の為に呉に帰港した潜水艦隊からの報告書を提出してくる。

ビスマルクも随分と日本語が上手くなった。

 

難しい日本語も操るし、読むこともできる。

最初は彼女達海外艦の面々は秘書艦業務を行わせる予定は無かった。

 

だが、どうやらプライドが高いビスマルクやリシュリュー達は自分達に仕事を任せられていないという事がどうやら、お気に召さなかったようで直談判しに来たのだ。

 

「私にも秘書艦とやらをやらせなさい!と言うか他の皆が出来ているのにこの私に仕事が任せられないと言うの!?」

 

だそうだ。

まぁ、はっきり言って機密云々と色々とあったから渋っていたのだが……

 

「この私が、命の恩人である貴方達に不利益な事をするとでも?そのぐらい守るわ」

 

との事だった。

正直、信用したいのは山々だったんだが連合艦隊司令長官の職を任せられている以上、幾ら共に戦っている仲間だとしてもそう簡単に信じてしまうのは避けなければならない事だった。

 

だが、彼女達の意思も相当に堅いらしかったらしく頑として譲らなかった。

 

そこで、俺が海外艦達や日本艦娘達に説得される形で妥協する事になった。

流石に全員を認める訳には行かないので、各国から1人ずつ出す事にした。

 

ドイツはビスマルク。

 

イタリアはリットリオ。

 

フランスはリシュリュー。

 

イギリスはウォースパイト。

 

以上の4名が海外艦の内の秘書艦となった。

スウェーデンやオランダ所属のゴトランド、デ・ロイヤルなどは別にやらなくても、と言う感じだったので本人達の自由意思に任せたところ、訓練等も行わなければならないので辞退する、との事だった。

 

彼女が言った、欧州の方がまだ楽な戦いが出来たというのもしょうがない話なのだ。

イギリスと日本の艦娘保有数はイギリスの方が多い。

 

元々艦娘とその艦体はかの大戦中に戦った艦や建造、計画されていた艦などだ。

それは、簡単に言ってしまえば当時の艦艇保有数が直結するという事だ。

 

当時、日本海軍はロンドン海軍軍縮条約などの影響もあって、世界第3位の規模を誇る海軍ではあったがその実、アメリカとイギリスとの間にある差は大きかった。

 

開戦してからと言うもの、開戦初期こそ優勢ではあったが徐々にアメリカはその圧倒的過ぎる工業力に物を言わせて駆逐艦だけでなく正規空母や戦艦を大量産してその数に圧倒的な差があった。

 

イギリスだってロイヤル・ネイビーの名に恥じない規模の艦隊を保有していた。

欧州での戦いが主だったから太平洋での戦歴はそこまで聞かないが、規模だけならば日本よりも上だ。

 

それが直接、この深海棲艦との戦いに艦娘とその艦体数に直結しているのだ。

 

しかも欧州は各国が陸続きで、イギリスは島国だがそれでもドーバー海峡はその気になれば鍛えた人間ならば泳いで渡れる距離にある。だからこそ地中海も十分に守れたし、北海油田なども維持し続けられた。

 

アメリカは大西洋を渡って欧州戦線に戦力を派遣する事はしなかった。

と言うのもアメリカは東西の長い海岸線を守らねばならないし、それに加えてグアムなどの南洋に広がる島々も幅を利かせていたから守らねばならなかった。

 

ハワイ奪還作戦で大規模な戦力を失ったアメリカにも日本にも到底、出来る事では無かった。

 

 

 

 

まぁ、この話は関係無いので止めよう。

 

兎に角、潜水艦隊による通商破壊によって276隻にも上る輸送船を沈められているのに、今だにこうして送り込んできているのだからその物量には閉口するしかない。

 

だが、それでも影響はある様で偵察によると深海棲艦隊の行動はかなり制限されているらしい。

それもそうだ、燃費も何もかもが悪過ぎる姫級に加えて新種の深海棲艦まで引っ張り出して来たのだから輸送船団を全て無事に送り届けなければ到底維持することは出来ない。

 

それに加えて潜水艦隊がついでと言わんばかりに、まぁ命令したのは俺なんだが、機雷を硫黄島近海にばら撒いて、ばら撒いて、ばら撒きにばら撒いた。

 

それによって硫黄島近海に到達した輸送船も機雷に触雷して沈む艦もある様だった。

深海棲艦の姫級を始めとする戦闘艦艇も機雷に加えてこちらの潜水艦隊の動きもあってそう易々と動く事も出来ず、基本は硫黄島から10km程度の辺りで停泊しているのが現状だった。

 

硫黄島の航空基地も運び込まれる資材よりも爆撃で出来る損害の方が大きく、しかも最大240機の連山から落とされる爆弾は最大960t。

確かにこれほどの量の爆弾を一度に落とされれば復旧に必要な期間は如何な深海棲艦と言えども1カ月は必要だ。

 

連山による爆撃を迎撃しない訳には行かず、潜水艦隊による通商破壊も無視出来る損害では無く、このままいけば、硫黄島奪還作戦開始時の1か月後には相当に疲弊した深海棲艦隊と戦う事になり、空母艦載機もそこまで脅威にはならないだろうと思われる。

 

今までの戦いを考えれば、幾らかはマシな戦いをすることが出来るかもしれない。

 

 

 

 

 

「ほら、提督!今日はもう仕事終わりよ!」

 

「いや、まだこの書類が……」

 

「駄目よ。もう8時よ?良い子は晩御飯を食べてお風呂に入って寝なさい」

 

「いやだがな?」

 

「この書類だけとか言って、まだ30cmも高さがある書類の束よ?こんなのやってたら日を跨いじゃうじゃない。それに、また倒れたいの?ホウショウ達に怒られたい?」

 

「……分かった、分かったから」

 

「それなら良いわ。ほら、食堂はまだやってるはずよ。行きましょう?」

 

「あぁ、分かった」

 

「全くもう、日本人はワーカーホリック過ぎよ。訓練でも何でもかんでもそう。全く、少しは息抜きする事を覚えたらどう?」

 

そう言ってビスマルクに無理矢理、お小言を頂きながら仕事を終了して食堂に揃って行った。

と言ってももう誰も彼もがとっくの昔に食事を終えており、たった2人だけの食事となったが。

 

どうやら、食事を取りに来ないから今の今まで待っていてくれたんだそうだ。

本当に申し訳ない。

 

 

 

 

 

 

 

「それにしても、良い子なんて年齢じゃないんだがな?」

 

「あら、私からしたらまだまだお子様よ?あまり言いたくないけど私、あの戦争の時から数えたら80歳越えよ?」

 

「……すまんかった」

 

「別にいいわよ。でも他の子達の前では考えるのは止めた方が良いわね。金剛なんて余裕で100歳超えるし」

 

「分かったから、もうわかったからそれ以上言わないでくれ……」

 

どうにも、ビスマルクに良い子と子供扱いされたので少しばかり反論して見たらとんでもない反論が返って来た。

いやもう、頭を下げるしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

硫黄島奪還作戦まで残り1か月。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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