暁の水平線に勝利を刻めるか   作:ジャーマンポテトin納豆

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視察任務
第42話


三日後に視察任務が迫っている。

と言ってもこれと言って何か差し迫った問題と言うものは無い。

強いて言うとすれば、視察任務に訓練中であった、

 

 

戦艦

榛名

 

 

軽巡洋艦

阿賀野

 

 

駆逐艦

時津風 山風 暁 若葉 初雪

 

 

給油艦6隻

神威 速吸 鷹野 龍舞 塩瀬 高崎

 

 

以上の艦が随伴、遠洋航海訓練が繰り上げで実施、それに伴って訓練課程全体が短縮されたことぐらいだろうか。

理由としてはそれまでの訓練を粗方終えているからだ。

 

残すは遠洋での長期間、長距離航海訓練だけだからだ。

そして、実地での補給訓練を、三航戦相手に行うことも予定されている。

 

今回の視察について来れば、それらの訓練を丸々行えるから、これ幸いという事で連れて行くことに。

もし戦闘になったとしても参加はさせず、退避させる事になっている。

 

 

 

 

 

給油艦6隻

 

 

神威 速吸 鷹野 龍舞 塩瀬 高崎

 

 

ついでだから、この6隻に関して少しばかり説明しよう。

 

神威は、燃料だけを艦隊に補給するわけでは無い。

正確には、燃料や潤滑油などに合わせて、肉、魚、野菜、氷、水も運ぶことが出来る。

 

これは殆どの給油艦に当て嵌まる事なのだが。

 

神威は元々、水上機母艦として改装される予定であったのだが、それは結局中止となっている。

 

というのも俺がこの世界に来る前、輸送作戦に置いて深海棲艦の通商破壊によって多数の輸送船や給油艦が沈められた。

それによって艦隊に随伴して補給任務が行える艦が大きく激減した。

だから、神威を水上機母艦にしてしまえば艦隊に随伴しての補給任務を行える給油艦の数がさらに減ってしまう訳で、そうなると作戦行動を取る、若しくは指揮する側からすると大きな問題だ。

 

輸送船やタンカーから受け取る事も可能なのだが、本来の目的は補給では無い。

それなりに手間も掛かるし、専門の訓練も施さなければならない。

それらのタイムロスなどを考えると、当時の追い込まれつつあった陸海軍には到底存在しえない余裕だったのだ。

だから神威はそのまま給油艦として存在する事となったのだが、結局、南西諸島からフィリピンに至る最後の反抗作戦に置いて深海棲艦の機動部隊に神威含む補給部隊が補足され、護衛に就いていた艦隊含めて殆ど壊滅的な被害を負った。

 

輸送船20隻、タンカー含む給油艦25隻。

 

この内、輸送船は間宮も含んでいたが17隻が轟沈、給油艦25隻の内、生き残ったのが上記の6隻、と言う訳である。

 

 

神威の性能諸元を記す。

 

全長     152.18m

総トン数   10222総t

速力     19ノット

燃料     2000t

航続距離   17140海里/11ノット

乗組員    約200名(上下あり)

 

搭載能力(補給用)

 

重油    11398.2t

潤滑油   15000ガロン(3.8L計算で57000KL)

 

貨物庫容積 500t

内訳 牛豚鶏肉を含む獣肉、魚肉、野菜、氷の各冷蔵庫約7000立方フィート

 

缶用清水  359.5t

雑用清水  368.78t

飲料用清水 103.75t

 

兵装    40mm4連装対空機関砲2基

      25mm3連装機銃4基

      20mm4連装対空機関砲4基

   

搭載艇   内火挺1挺 カッター3隻 通船(はしけ船とおもってくれればよい)1隻

   

その他   6tデリック1本 1.5tデリック3本

 

 

おおまかな性能諸元は以上だ。

本来、石炭と重油の併用であったが今回の修理によって機関を重油専燃缶に変えたため重油のみとなっている。

それに伴い、載炭装置の取り外しなどがあったりする。

 

重油専燃缶、と言うのは、重油のみで動かす事の出来る蒸気タービン機関の事だ。

これを神威は2基搭載している。

 

それによって神威の速度が4ノットほど上昇、巡航速度も1ノット上がっている。

 

補給用燃料に関して言えば、流石に戦艦への補給ともなると流石にそう何隻も補給は出来ないが、それでも艦種によるが戦艦2~3隻への補給が可能な量だ。

秋月型駆逐艦だと、10隻分ほどの補給量になる。

 

潤滑油、と言うのは主砲の旋回装置や砲閉鎖機、機関部のギアなどに挿す潤滑油の事だ。

これが無いと砲撃も航行も出来なくなるから、重要なものだ。

 

それに加えて食料を500t分の搭載が可能。

ただ、艦隊への食料補給は基本的に間宮とその他の輸送船頼りなので、あくまでも補助的な意味合いがある。

それらの事を考えると神威は戦艦や空母などの大型艦挺では無く、駆逐艦などの小型艦艇への補給がメインとなるだろう。

 

 

 

 

 

次に速吸だ。

 

 

 

 

 

全長    約161.10m

水線長    約157.25m

垂線間長 153.00m

最大幅     20.10m

 

ボイラー主缶  簡易重油専焼缶2基

補助缶     円缶2基

 

主機      艦本式タービン1基

 

速力     18.5ノット

燃料     重油2,000トン

航続距離 9,000カイリ /16ノット

乗員     乗員約300名

 

兵装      40mm4連装対空機関砲2基

        25mm機銃3連装4基 

        20mm4連装機関砲4機

 

 

搭載艇 9m内火艇2、9mカッター2 13m特型運貨船1

 

 

補給物件

重油            9,800トン

軽質油(航空機用ガソリン) 100KL(92トン)

機関用潤滑油        100kL(92トン)

真水            750トン

10cm高角砲弾薬     7000発

40mm機関砲弾      30000発 

25mm機銃弾薬      90000発

20mm機関砲弾      30000発

 

野菜    2,800人分/2週間(20トン)

糧食    1,100人分/1ヶ月分(57トン)

糸屑    10トン

 

 

 

5tデリック 2本

3tデリック 2本

 

 

 

以上の様になっている。

速力は、今回の修理の際の機関部の変更によって2ノット向上。

兵装に関しては、神威同様、対空能力を向上させるべく、25mm3連装機銃と20mm4連装機関砲をそれぞれ4基づつ装備している。

 

元々は12.7cm連装高射砲が装備されていたのだが、遠中距離の対空射撃は護衛艦に任せ、同高射砲を取り外してそのスペースに上記の機銃と機関砲を搭載。近距離対空火力に絞った。

 

 

基本的に対空射撃、と言うのは遠距離から始まり中距離、近距離となっていく。

さらに、近距離を遠中近と分けることが出来る。

 

 

遠距離を担当するのは戦艦や重巡などの大口径主砲。

 

中距離を担当するのは軽巡や駆逐艦などの小口径主砲に加えて、戦艦、重巡、空母に搭載されている高射砲。

 

近距離を担当するのは各艦に装備されている対空機銃や機関砲。

 

 

以上の様に各艦が持ち得る火力をそれぞれの距離を担当し、区画を振り分けて敵機に対応する。

そりゃ、戦艦の主砲を近距離での対空射撃に使おうなんて奴は普通居ない。

 

ここで日本海軍が40mm機関砲や20mm機関砲を採用した理由がある。

と言うのも、25mm機銃や13mm機銃だと、射程の問題があるからだ。

 

先程、近距離を更に遠中近距離に分けられる、と言ったが正にこれが理由だ。

元々、海軍で使用していた25mm機銃は、炸裂弾が無いとは言え、航空機相手に25mm弾を撃ち込むのだ、当たればただじゃすまない。

それに13mm機銃だって優秀だ。

 

7.7mm機銃ははっきり言って現状の航空機相手だと豆鉄砲だろう。

辺り所によってはまぁ、落とせるかもしれないがそれでも何百発と撃ち込まなければならないしそれならば25mm機銃を満載した方が良い。

だが、そうすると25mm機銃では近距離の中での近距離、分類的には極近距離に対応する事が難しいのだ。

13mmだって、優秀といえば優秀だが25mm機銃と比べるとやはり威力の面で見劣りしてしまう。

 

そこで海軍は極近距離に対応するために実績のある20mm機関砲と、25mm機銃では対応できない、近距離の中での遠距離を対応するために40mm機関砲を採用した、と言う経緯がある。

 

現在、海軍艦艇にはそれぞれの対空機銃や対空機関砲が深海棲艦の航空機の脅威に対応するべくそれこそハリネズミとでも言えるほどを装備させている。

 

以前、25mm機銃を廃止した、と言ったが結局のところ、対空火器の密度の問題で25mm機銃も引き続き使用される事となった。

ただし、以前の25mm機銃とは全く別物の改良を施してある。

 

まず、弾薬の給弾方式だが、こちらはベルト給弾式に改造された。

元々25mm機銃は弾倉給弾式、アサルトライフルなんかと同じようなやり方での給弾だったのだがこれだと1つの弾倉に装填されているのは20発だけ。

元々、15発弾倉だったのだがこの弾数だと射撃効果を最も上げられる時点で一弾倉15発を撃ち尽くす事が多く、弾倉容量を25発程度に増やすように前線からの指摘で増やしたのだ。

だが、25発を弾倉に満数装填してしまうと、どういう訳か給弾不良、所謂ジャム、と言われる状態や排莢不良、弾倉のバネ部分などお破損と故障が起こり易いことが分かっていた。

 

事実、海軍の教本には、

 

 

最大装填数25発。

ただし、満数の装填を行うと給弾不良や排莢不良等の故障を来す恐れがある。

解決策は、25発以下、理想としては20発程度の装填が望ましい。

 

 

 

と書かれているのだ。

これでは25発装填出来ても意味は無いし、前線からの報告である25発程度に増やして欲しいと言う要求を満たせていない。

そこでどのように改善すれば良いのか、と言うと単純な解決策として30発程までに装弾数を増やせばいいのだ。

 

そうすれば25発ほど装填しても問題は無いだろうし、射撃効果を上げられるだろう。

だが、考えてみて欲しい。

 

25mm弾と言うのは、単純な直径だけで2.5cmとなる。

それを30発ともなると弾倉一つの大きさが75cmとバカげたことになるのだ。

しかも1発当たりの重量が700gもあり、30発計算で21kgになる。

弾薬だけでこれだけの重量になるし弾倉自体の重さも加えると22kg以上となる。

 

これらの重量を考えると30発弾倉と言うのは、運用面からすると明らかに宜しくない。

弾薬運搬係は、木箱に複数の弾倉が入っている状態で運ぶのだ、5つだと考えれば100kgを軽く超える。

これでは迅速な給弾はどうやったって不可能だ。

台車の様なものを使うと言う解決策もあるにはあるが、それ以外にも搭載しなければならないものがあるので、台車は野晒し状態でしっかりとした手入れを行わなければ錆び付いてイザと言う時に使えない。

 

それを考えると精々が20発ほどが限界なのだ。

それでも弾倉合わせて15kgを超える重量になるのでアレだが、それでも22kgを超える弾倉を扱うよりはマシだろう。

 

結局、これらの事情から30発弾倉を採用するという事は見送られていた。

 

 

 

そして、もう1つの解決方法がベルト給弾式にすると言う方法だ。

これは、弾倉を一々交換せずとも50発長さ125cmのベルトを打ち切るまで交換する必要が無い。

弾倉5つ分の射撃を休まずに行えるのだから、効果は圧倒的だ。

 

それに、給弾係の負担も減る。

ただ、一度行う負担は35kgのベルトを交換しなければならないので大きくなっているが、1人では無く2人での作業となるので17。5kgづつの重量負担となるから30発弾倉を1人で交換するよりはまだ楽だろう。

 

 

 

そして特に際立った改造と言えるのが、ジャイロスコープを応用しての機銃の水平を保てるように改造したことだろう。

 

艦の揺れなどが起きると当然、固定されている機銃などでは当然だが狙いが狂う。そこでジャイロスコープをヒントに水平を保てるようにしたのだ。

 

ジャイロスコープと言うのは、何と言えばいいのか、船や航空機、ロケットなどの自律航法に使用される装置の事だ。

これをヒントに水平を保つ事が出来るよう応用した、と言う訳だ。

ただし、あくまでも水平を保つだけなので当然それ以外の用途では使用出来ないだろう。

 

しかしながら改造の効果は大きかった。

これによって艦の揺れなどがあっても水平に保たれる事になり対空射撃を行う際に、狙いが付けやすくなり命中精度も向上。

 

極端な話をしよう。

例えば、紙の上で誤差が1度、2度と言う程度であれば、その先に広がる幅はたかが知れているだろう。

だがこれが、航空機の運用や砲撃、射撃という事になってくるとその幅はとんでもなく広がる事になる。

 

2度の角度で開いて飛んで行くとして零戦で考えてみよう。

折り返し無しで3000km以上を飛べるのだから、3000km先では凄まじい誤差になる。

 

砲撃戦であっても、30kmや40kmで考えれば最小で150mや大きくても250m程の艦挺を狙う事を考えれば誤差と言う言葉では片づけることが出来ない差となってくる。

ただし、これらは修正が容易だ。

照準の付け方も、光学機器を使って照準を付けるし、何よりも戦艦の大口径主砲ともなると主砲自身がデカいから波の影響を受けにくいのだ。

 

だが、対空機銃ともなるとそうはいかない。

同じ戦艦の艦体に乗っているのにどういう訳か艦の揺れの影響を受けると言う、素人からすれば訳が分からん。

 

小さい分、光学機器を装備させることも出来ず、という事は25mm機銃であれば有効射程3000mの距離を目視だけで狙いを付けなければならないという事だ。

まぁ、そんな最大有効射程で撃っても当たりはしないので大体は2500~2000m程度で撃つ事が殆どだ。

ただし、これらの距離の判定は難しいのだがそれらの話は止しておこう。

 

どちらにせよ2000mなんて言う、対物狙撃銃で考えても光学機器であるスコープを覗いての射撃だし、一発一発をしっかりと狙っての事だ。

人間を狙うのではなく航空機なのだから、的がデカいから問題無いだろう、と言う考えは甘い。

航空機と言うのは確かに的は人体よりもデカいが、移動速度が遥かに早いという事を考えて欲しい。

それを、ただの人力で狙って撃つのだから命中精度なんて数千発撃って1発2発程度しか当たらないだろう。

だが、それを今までは弾幕、と言う形で補ってきた。

 

だがそれにも限界がある。

だからこそ効率化を図らなければならないという事だ。

 

元々、20mm機関砲や40mm機関砲はベルト給弾というよりも、弾薬クリップのような形のものを給弾していく、と言うような感じだ。

機関砲上部に給弾口がありそこにドンドン入れていく、と言う形での給弾だ。

 

 

 

どちらとも海軍内での正式名称は決められていない。暫定的にだが、

 

20mm機関砲の方を、『五式二十粍対空機関砲』

40mm機関砲の方を、『五式四十粍高射機関砲』

 

と呼んでいるが、殆どの場合20mm機関砲、40mm機関砲と略称されている。

 

 

 

話を戻すと、給油艦各艦は近距離での対空射撃のみを担当させる、という事だ。

 

本来、速吸は対潜用に爆雷と流星の搭載出来るのだが、それらは護衛艦に任せるし、補給艦は補給艦としての任務に専念せよ、という事でそれらに類する装備を全て取り外している。

そして空いたスペースに機銃と対空機関砲を、という事だ。

 

それに、空母に対する流星の補給は後述の鷹野型給油艦3隻に任せる事になっている。

 

 

 

 

 

 

 

次に鷹野、龍舞、塩瀬について。

 

この3隻は同型艦なので説明は一括とする。

 

 

 

 

全長   160.00m

最大幅  20.20m

 

機関

主缶   二号乙一型ロ号2基

補助缶  2基

主機   二号丁一型タービン1基、1軸19000馬力

速力   20.0ノット

航続距離 18ノットで10000海里

燃料   重油3240t(満載)

 

 

兵装

40mm4連装機関砲4機(片舷2基ずつ)

25mm機銃3連装4基(片舷2基ずつ)

20mm4連装機関砲 4機(片舷2基ずつ)

 

カタパルト  一式二号11型射出機2基

航空機    流星14機(補給物件として)

乗員     計365名

 

 

 

補給物件

重油         6800t

軽質油        290トン(400KL)

潤滑油        103トン(飛行機用95KL、機関用65KL)

真水         300トン

10cm高角砲弾薬  3000発

40mm機関砲弾   30000発

25mm機銃弾薬   30000発

20mm機関砲弾   30000発

 

爆雷         60個

爆弾         50番14個または25番28個

野菜         17t(2,000人2週間分)

糧食         22t(550人1ヶ月分)

糸屑         10t

 

 

 

 

 

 

鷹野型給油艦は、装備を見て貰えれば分かる通り完全に空母と、そしてその護衛の駆逐艦に対する補給を目的としている艦だ。

流星14機をカタパルト射出して空母に着艦させるのだ。

 

3隻で42機となるが、これだと空母2隻分の流星にすら満たない。

だが、戦闘で消耗したときの事を考えると、42機と言う数は馬鹿にできない。

この42機が居れば、攻撃を1隻に集中させれば空母の撃沈だって夢ではないからだ。

 

という事は、この42機が海戦の勝敗を決める事にも十分に成りえる、という事に他ならない。

あとは、搭乗員の練度がモノを言うが、それを考えずに数だけで見た場合はそうなる訳だ。

 

速吸は、どういう訳か流星を搭載して軽空母みたいに扱うと言う設計思想だったので、それならば空母に任せておけばいいじゃないか、という事である。

しかも流星を出撃させると、速吸には飛行甲板が無い。

 

という事は、その流星は味方の空母か飛行場に着艦するしかない訳だ。

ならば速吸も補給用として載せれば、と言うかもしれないが、鷹野型と比べて搭載出来る数は6機と半分にも満たない。

この数ならば、載せないで自艦の防御能力を高めた方が良い。

 

確かに、先程言った事と矛盾するかもしれないが、運用観点からするとある程度の纏まった数が欲しいのだ。

でなければ無理して搭載する程の価値が無い。

 

しかも、航空機と言うのは燃料搭載状態でなくとも、状況によってはかなり燃える。

しかも、給油艦と言う性質上、多量の燃料や銃砲弾を満載している訳だから、小さな火災、それこそボヤ程度でも致命傷、轟沈の可能性すらあるのだ。

考えても見て欲しい。

機銃弾、機関砲弾だけでも10万発近い数を搭載していて、更に10cm砲弾と燃料に爆弾や爆雷だぞ?

1発の機銃弾でもそれらが積載している場所に命中して見ろ、結果はどうなるか分かり切っている。

しかも給油艦と言うのは、輸送船よりは防御力があるとは言ってもマシ程度。

駆逐艦と同等かそれよりもあるかないかぐらいなのだ。

 

戦闘機にですら沈められる可能性がある、と考えるとどれだけ防御力が低く、これらの可燃物を満載している状態が恐ろしい事か分かってもらえるだろうか。

 

本当は、安全面を考えると鷹野型3隻にも流星を搭載させずに対空機銃や対空機関砲を搭載させたかったのだが、現場レベルの戦術面で考えると補給用の流星だけでもあれば頼もしいのが確かなのだ。

 

どちらを取るか天秤に掛け、中代大将達と考えた結果が、速吸には搭載せず、鷹野型には搭載する、と言う何とも中途半端な結果になった。

今後の作戦での状況を見て、搭載を止めるか、続けるかを決定する事にはなっているのでまだマシだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次に高崎について。

 

 

 

 

 

 

全長      108.50m

 

最大幅    15.00m

 

ボイラー   艦本式重油専燃缶2基

主機      艦本式タービン2基

 

速力      16.0ノット

燃料      重油 240t

 

航続距離    4000カイリ /14ノット

 

乗組員     168名

 

搭載能力 補給物件

 

軽質油     1500KL

機関用潤滑油  150KL

真水      50t

 

 

対空機関砲

対空機銃弾   計200t分

 

各種航空機材  5t

野菜      8トン(500人、10日分)

 

 

兵装

40mm4連装機関砲3基 (艦首1基、艦前部方舷1基づつ

25mm機銃3連装3基  (艦尾1基、艦後部方舷1基づつ)

20mm4連装機関砲4基 (艦前部、後部それぞれ方舷2基づつ)

 

搭載艇 9m内火艇1隻、9mカッター2隻、6m通船1隻、13m特型運貨船1隻

 

その他

20トン・クレーン1基

5トン・デリック1基

 

 

 

 

 

 

この給油艦は、艦艇用の重油では無く航空機用の軽質油、ガソリンと機関用潤滑油の補給が主な任務だ。

それに加えて真水や40mm、25mm、20mmと言った各種対空機関砲弾、対空機銃弾の補給を行う。

 

対空兵装は他の給油艦と比べると弱いような印象を受けるかもしれないがそうでもない。

給油艦としては割と強い方だろう。

 

なんなら駆逐艦と比べても強力かもしれない。

 

 

 

 

 

それぞれの給油艦の配属は、

 

速吸、鷹野、龍舞、塩瀬の4隻を第一機動艦隊に配属。

 

神威 高崎の2隻が第一護衛艦隊に配属する。

 

それに伴って、第一補給艦隊と第二補給艦隊が編成される。

護衛には修理中、若しくは訓練中の駆逐艦と軽巡を付ける。具体的な数は決まっていないが、軽巡1隻と駆逐艦6隻ほどをそれぞれ護衛に就ける予定だ。

 

間宮に関しては何かしらの作戦行動の際は第一補給艦隊所属となる。

ただ、護衛の手間を省く為に殆どの場合は第一護衛艦隊と行動を共にする。

 

 

ともかく、給油艦に関してはこんなものだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほいじゃ、視察に行くとしましょうかねー」

 

「護衛、頼むぞ」

 

「あいあーい、任せといて」

 

視察任務で、出航する日。

艦隊旗艦である隼鷹に乗り込み、将旗を掲げる。

 

相変わらず、隼鷹は軽い感じだが固っ苦しくなりがちの軍務だ、これぐらいの感じで付き合える方がこちらとしては有り難い。

規律の話をしてしまうと俺も納得しなければならないのだが。

 

それでも参謀達とも良好な関係を築けているだろう。

 

 

 

 

先ず、視察を行うのは硫黄島だ。

飛行場などの復旧状況と、防御陣地などの構築状況を見る。

 

飛行場が使えないので、内火挺などで上陸せざるを得ないのは仕方が無い。

その際は普段着ている二種軍装を脱いで、三種軍装に着替える。

 

 

一種軍装

冬服であり真っ黒で遠目に見た感じ帽子をかぶっていなければ学ランを着た学生の様にも見えるものだ。

近くで見れば階級章などがごちゃごちゃしているから丸わかりなんだが。

 

個人的には一々季節で衣替えするのが面倒なので別に俺としては二種軍装のままでもいいと思っているのだが、どうにもそれだと格好がつかないという事で毎回鳳翔が態々出してくれるのだ。

なんだか、俺の中で鳳翔の立ち位置がどんどん母親になっているのは気のせいじゃない。

 

 

二種軍装

所謂夏服で、恐らく海軍の軍服と言うとこれだ、と思う人も多い真っ白な軍装の事だ。

こいつの難点は、飯を食う時に上着を脱いでおかないと跳ねて汚してしまう可能性がある事だろう。

 

書類仕事を中断するのが時間的に勿体無くてそのままペンを握りながら食事をしていた時に、手元が狂って味噌汁を思いっ切りぶちまけたことがる。

いやもう、悲惨だった。

真っ白の軍服が味噌汁の茶色で染められて、まぁ大変だった。

 

そのあと、結局また鳳翔に食事の時は仕事を中断して食事に専念しなさい、と怒られたのはいい思い出である。

 

 

 

三種軍装

所謂、陸戦隊指揮官でカーキ色の、陸軍で使われている戦闘服の様な感じのものだ。俺の指揮下には陸軍師団と陸戦隊もあるために渡されているのだろう。

でなければ、艦隊指揮官なのに渡される必要あるか?と言う話である。まぁ、こういう物は全部纏めて渡されるものなんだろうな。

 

 

 

 

艦隊は第三航空戦隊に加えて第二戦隊の戦艦3隻が随伴する。

 

 

 

第三航空戦隊

 

隼鷹 飛鷹 グラーフ・ツェッペリン アークロイヤル

 

 

 

第二戦隊

 

戦艦

 

ビスマルク ティルピッツ ヴァンガード

 

 

 

第三戦隊

 

戦艦

 

リットリオ ローマ 

 

重巡洋艦

 

青葉 古鷹 

 

 

 

第三水雷戦隊

 

軽巡洋艦

 

多摩

 

駆逐艦

 

宵月 満月 Z1 初雪 浦波 菊月 望月 Z3 村雨 霜月 春月

 

 

 

 

 

第五戦隊

 

戦艦

榛名

 

 

軽巡洋艦

阿賀野

 

 

駆逐艦

時津風 山風 暁 若葉 初雪

 

 

給油艦

神威 速吸 鷹野 龍舞 塩瀬 高崎

 

となっている。

 

第五戦隊は暫定的な編成なので、今後解体される可能性がある。

特に、給油艦は今後の配属が決まっているから、間違いなく編成から外されるだろうからな。

 

個人的な意見としては編成などの手間を考えるとそのまま第五戦隊として存続させるか、この編成のまま第一補給艦隊、第二補給艦隊としてもいいんじゃないか、と思っている。

 

理由としてはこのままの編成でも高速艦隊として運用出来るからだ。

給油艦6隻はそれなりに速度が出るし、戦艦が1隻護衛に就いていれば、戦力的な不安こそあれど将兵達の心理的な安心感は居ると居ないでは天と地ほどの差と言ってもいいぐらいには、全く違う。

 

そうしないにしても、比叡と駆逐艦を追加で5隻ほどここに編成すれば高速艦隊としてしっかりとした体を成しているからそれなりの戦力として使えることが出来る。

独立した打撃艦隊として運用してもいいし、どこかの航空戦隊に空母の護衛として入れても良い。

 

ただ、主砲の打撃力を考えれば、空母の護衛に就けると言う方が現実味があるだろう。

打撃力と言う面で見れば、山城の方が主砲搭載数が多く上。そこに長門か日向を加えた方がまだ火力がある。

 

もっと言ってしまえば大和と武蔵の2隻の方が圧倒的な火力を発揮出来るのだから、この2隻を主力とした打撃艦隊とすれば態々引き抜いてまで打撃艦隊を編成する必要は無いしな。

 

大方、空母の護衛として編成するという事で落ち着くだろう。

どこの航空戦隊に配属するかはまだ分からないが。

 

 

 

 

陣形は、何時も通り輪形陣となっているが少し変わった形をしている。

 

 

 

 

 

 

        多摩

 

   浦波 リッ  ロー 菊月

 

  宵月 隼鷹    飛鷹 Z1

        

  満月 グラ    アー 初雪

 

   望月 青葉  古鷹 Z3

    

        村雨 

 

     霜月    春月

 

        阿賀野

       

        榛名

 時津風  神威  速吸  山風

      鷹野  龍舞 

   暁  塩瀬  高崎  若葉

       

        初雪    

 

        

 

 

 

 

 

 

 

 

以上の様になっている。

瓢箪をさかさまにしたような感じだ。

 

これならば、万が一戦闘となった場合でも榛名以下第五戦隊を分離する事は簡単だ。

そうしたら、霜月と春風を前進させ。青葉と古鷹の斜め後ろに付けて村雨を下がらせればしっかりとした輪形陣がすぐに出来上がる。

 

 

陣形についても、これと言って説明する事は無いので、このぐらいだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しかし、こう平穏な海だと何と言うか、気が抜けそうになるな……」

 

今まで、誰かしらの艦体に乗り込んで海に出ると言うと基本的に作戦であったり、迎撃戦であったりと戦闘になる事が多く常に気を張り巡らしていたのだが、今回は視察任務と言う今までに無かったタイプの任務だから、戦闘を前提に動いている訳では無いからどうも気が緩みがちになる。

 

それでも念の為に偵察機を飛ばしてはいるし、警戒しなければならないのだが。

 

今の発言は指揮官としてあるまじき発言だな。

まったく、階級が高くなればなるほどおいそれと下手に発言すら出来んのが辛い所だ。

 

「あぁ、駄目だ駄目だ。書類仕事の一つでもあれば気が引き締まるんだがな」

 

「書類は全部取り上げられちゃったもんねー」

 

「鳳翔に飛龍と蒼龍のやつ、これ見よがしに視察任務ついでに書類仕事から離れて少しは休めと言って来てな。その分の書類の決裁は重要なもの以外は飛龍に裁量を与えて来たから溜まる事は無いと思うが、書類を相手にしている時は訓練に参加させてやれないのが申し訳ない」

 

「なーに、提督が隠れて徹夜するのが悪いんだよ。バレないとでも思ってんのかい?」

 

「……何の事だか分からんな」

 

「おっ、白を切るとは良い度胸してるね。帰ったら鳳翔さんに報告だな」

 

「悪かった。悪かったから鳳翔に言いつけるのだけは止めてくれ。まーた同じことで怒られたら今度こそは許してもらえそうにないんだ」

 

「それじゃ今は大人しくその椅子に座ってるこった」

 

隼鷹は、本当に酒さえ入らなければこうして気を使ってくれたり周りをよく見ていたりと優秀なんだがなぁ……。

どうして酒を飲むとあそこまで人が変わるのか不思議でしょうがないぐらい酷くなる。

 

流石に本人も、動けなくなるほどは飲んだりしないがそれでも俺からすればとんでもない量を飲んでいる。

 

あれだな、口を開かせると駄目な残念美人ってやつだ。

他にも那智とかが該当するか?あいつもあいつで結構酒癖と言うか、飲むとダメダメになるタイプだからな。

 

 

隼鷹に言われた通り、艦橋にある指揮官席に大人しく座っているのだがどうもやることが無いと落ち着かない。俺も立派なワーカーホリックという事か。

 

「……隼鷹、何かやることは無いか?どうにも落ち着かん」

 

「はぁ?ったくこの社畜根性の凄まじい提督殿は仕方ないねぇ……。本当は隈も酷いし寝ろよ、って言いたい所なんだけど流石にこんな真昼間から戦闘も無いのに寝らんないとか言われそうだし。そうだねぇ……。それじゃ、艦内でも見てきたらどうよ?それなら身体動かすし色々と見たこと無いもんあるかもよ?」

 

「イザってときはどうする?俺が居なかったら大事だろう」

 

「そん時は私が対応するよ」

 

「分かった。ある程度見て回ったら戻ってくるからそれまでは頼む」

 

「あいよ。副長、提督を案内してやって」

 

「はっ、了解しました」

 

と言う訳で隼鷹の提案により艦内を回る事にした。

思えば、ちゃんと艦内を見て回ったことが無いから良い機会かもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

艦橋は何時もいるから、勝手知ったるなんとやら、だが飛行甲板に出てしまうともう全然違う。

普段は艦橋から見下ろしているだけだったから、待避所や高射砲、機銃座に行くと丸っきり違う様相だ。

 

今日も今日とて訓練に励んだり、それぞれの銃砲座の整備を行ったりしている様子を見ることが出来る。

 

「お疲れ様です!」

 

基本的に、こうやって集団でいる場合に階級が高い者が現れると、一番最初に挨拶をするのは一番最初にその階級の高い人間を認めた者、となっている。

 

艦橋に一番近い、と言うよりも艦橋そのものに設置された4基の40mm対空機関砲座と25mm単装機銃2基と、

艦橋横(第一罐室強圧通風孔と第三罐室強圧通風孔の間)に増設された2基の40mm対空機関砲座が一番近いのだ。

 

この艦橋周りの機関砲座、機銃座の操作に関わる兵士とは割と顔を良く合わせる。

何せ外に出ればすぐそこにあるのだから、艦橋周りだけなら把握しているからな。

 

「ご苦労。そのまま作業を続けて構わんぞ」

 

「はっ」

 

答礼をして、態々手を止めて敬礼をしてくれる彼らに気にせず続けるように、と促す。

やはり、俺が居ると緊張するのかさっきよりも動きが硬いような感じがする。

だがそれでもよく訓練しているのが分かるぐらいには慣れている動きだ。

 

ほう、あんな風に銃身を掃除するのか。

何となく、座って操作してみたい、と言う気持ちもあるがこれ以上邪魔をするわけには行かないな。

 

さっきから配属されて、実戦を経験していない新兵が緊張して俺が気になるのかチラチラ見てくる。

あ、今班長に小突かれたな。

 

「おい、失礼だろ!盗み見るんじゃねぇ!」

 

「す、すいません!」

 

いや、このままここに居たら本当に邪魔になるな。

 

「班長、邪魔をして悪かったな」

 

「いえ、なんら問題もありません!」

 

「そうか。それではな。北浜もだが皆も頑張れよ」

 

「はっ!」

 

最後に新兵の北浜(名札を見た)含めて軽く激励をしてその場を去る。

いやはや、戦闘中にぶっ放すところは何度も見たことがあるが整備をしている場面は見たことが無かったな。

あるかもしれないが、頭の中で作戦を考えたり戦術を練る事に集中しすぎていて全く記憶にない。

 

基本的な、軍艦の一日を軽く書いて行こう。

 

0500 「総員起こし」のラッパで起床(冬季は0600に変更される)

 

それから体操、「両舷直、露天甲板洗方かかれ」の号令で甲板を皆で掃除するのだ。これが慣れるまでは思ったよりも辛いのだ。それが終わると朝食となる。

午前中は主に各科ごとの日課手入順行を行ってから昼食。

午後は配置教育(訓練の事)、武技や体技(剣道、柔道、相撲)もしくは整備作業を行って1600~1700の間に課業終了。

この課業終了時刻がバラバラなのは、風呂に入ることが許されている日の場合、訓練終了後にすぐに入るからなのだが、一斉に終わらせてしまうと艦内の風呂の数は限られているから当然、血気盛んな兵士達が多い空母、特に搭乗員や機関員達が騒動、主に喧嘩や乱闘騒ぎを起こすのだ。

だから時間をずらして訓練を終わらせるのだ。

 

停泊している時は、許されたものに限り上陸が許されているから上陸する。兵は四日に一度、下士官は二日に一度外泊を許されていた。勿論許された、と言うだけでは上陸が出来ないので書類を書き込んで許可を取らなければならないのだが。

もっぱら上陸すると、風呂に入る機会が限られている艦体勤務の妖精達は鎮守府などが所有する浴場に真っ先に向かって汚れを落としてから、後々別の事をするらしい。

 

この上陸に関しては停泊している時は、門限を多少過ぎてもまぁお咎めなしとなるのだがこれが何かしらの作戦や、そうでなくとも出航する予定があるときに一秒でも遅刻すると大事になる。

最悪、軍法会議に掛けられるぐらいの重罪なのだ。

 

そりゃ、遅れる事で航海予定や作戦そのものが遅れを来す事になるのだからしょうがないと言えばしょうがない。

 

俺は停泊している時は、執務室兼自室のプレハブに籠りっきりだからな、風呂とかは毎日入ることが出来る。と言うよりも威厳を保つとかなんとかで毎日入る事、と仕事優先で四日ほど風呂に入らなかったらこれまた鳳翔達に説教を食らった経緯があるんだがな。

まぁ、こんな感じだろう。

訓練内容はその日ごとに違うし、停泊している時は付近の飛行場に艦載機は全て降ろしているからそちらから飛び立っての戦闘訓練になる。艦自体の戦闘訓練は基本的に一斉に行われるものだし。

 

 

 

 

 

 

 

 

「副長は艦内を巡検したりするから、艦内に詳しいんだったな」

 

「はい、誰よりも詳しいと自負しております」

 

「巡検は大変だろう?」

 

「はい、上から下まで隅々ですから骨が折れます」

 

 

基本的に、副長の仕事と言うのは艦長や艦娘の補佐だがそれとは別の重要な役割もある。

 

 

その前に艦長と艦娘の待遇について話さなければならない。

艦娘についてだが、階級は艦種にもよるが大体大佐程度の扱いを受けているのが殆どだ。

この大佐、と言う階級は戦艦や空母などの大型艦の艦長を務める事になる階級だ。

 

基本的に何かしらの例外が無い場合、戦艦や空母の大型艦の艦長は大佐、副長は中佐と決まっている。

例外と言うのは戦闘中に艦長が負傷、または戦死した場合だ。

この時に副長が生き残っていた時は艦長の命令か、若しくは自動的に指揮権を継承する事、となっている。

 

副長も負傷したり戦死したりした場合は副長の下、各科の科長である少佐か中佐に更に引き継がれる。

 

 

 

 

で、話を戻すがそこに艦娘が入ってくると、大佐程度の階級を持っているのだがそうなると艦内に同じ大佐階級が二人もいる事になる。そうなると指揮系統などが面倒になるのだがは問題無い。

 

艦娘が先任として扱われるから同じ階級の艦長が居ても、序列的には艦娘>艦長となる訳だ。

 

 

 

基本的に、艦長と艦娘には執務をを行う公室以外に専用の私室、寝室、浴室が与えられている。

食事ももっぱら艦長室などで摂る事が殆どだ。

対して副長と言うのは士官室で他の士官達と共に食事を摂っている。

 

艦長や艦娘のこうした高待遇は、威厳を保つ為のものだとおもってくれればよい。

俺の場合、作戦などで参謀長達と共に乗艦している時は彼らと共に食事を摂るから、乗艦している時は余程の事が無ければ一人で食事を摂るという事は無い。

陸上で執務をしている場合は、艦娘達と食堂で摂る事も多いし一人での食事、と言うのは意外と少ないものだ。

 

ただ、先程の説明の通り艦長や艦娘は違う。

そこで一歩間違えると艦娘と艦長は艦内で孤立する事になる。

 

その孤立を防ぐ、役割を持つのが副長という事だ。

艦娘は艦そのものの指揮があるし、艦長だって同じようなものだからおいそれと艦橋などから降りる事は出来ない。

この二人と接するのは艦橋に務めている者達や二人に食事を運ぶ給糧員ぐらいなものだ。

 

そう考えると、かなり繋がりは限られる。

しかも、艦長はまだしも艦娘は彼ら妖精達からすると、相当恐れ多い存在、のような感じで扱われているらしく、艦長以上に接する機会が無い。

と言うか周りが避けていくような感じを考えて貰えればいいかもしれない。あれだ、モーゼのような感じだな。

 

 

そんな状態だから、艦娘と艦長の意図を伝えるには相当手間がかかる。艦娘や艦長自身が動くというのもあるが、物凄く多忙なのだ。

艦長が艦内で必要な物などの書類を作成して艦娘はそれをチェックしたり、と結構忙しい。

そんな暇は無いし、あるんだったら休みたい、と言うのが本音だろう。

 

それらの忙しく、自分達の意図を伝えられない二人に代わって、乗組員達に意図を伝えるのが副長の役割だ。

 

それとは別にもう一つ、重要な役割がある。

その多忙な艦娘と艦長が落ち着いてそれぞれの仕事に専念できるようにするには、当然騒ぎなんていうのはあってはならない。

 

簡単に言うと、艦内を纏め上げて『軍規、風紀の維持』を行う事が最も重要な仕事だ。

先程説明した課業の采配は副長が決める事であったし、訓練後も副長は多少前後するが2000~2030の間に『巡検』と呼ばれる仕事もしなくてはならない。

 

巡検とは言ってしまえば、艦内に異常が無いかを見て回って確認する仕事だ。

特に気を付けるべきは火の管理だ。

 

軍艦に限らず、殆どの艦船は火災が起こると最悪轟沈、と言う事態になり兼ねない。

特に軍艦に関しては、弾薬などの爆発物を扱う事もあって、弾薬庫や空母であれば航空機用燃料タンクなんかに火が回るともう手が付けられない。

資源輸送任務で攻撃を受けた輸送船で火災が発生、必死に消火作業をしても収まらず、結局自沈処分、となる輸送船も少なくは無い。

 

それは当然軍艦にも言える事で、何よりも細心の注意を払って神経を使わねばならないことだ。

 

また、海と言う塩水に囲まれた場所を行き来する艦船にとって、飲料水や雑用水と言うのはとても貴重だから、それらの管理をするのも副長の仕事だ。

航海中にこれらの真水が不足すると任務業務に重大な支障を来たすからだ。

 

水を飲まねば生きていけないし、雑用水は装備の手入れに必要不可欠。

潮風に晒され続ける艦と言うのは一瞬でも手入れを緩めると直ぐに錆び付いて動かせなくなるのだ。

そんな状態で戦闘が始まったとなれば、目も当てられないだろう。

海上では真水と言うのはとても貴重なのだ。

 

特に軍艦は装備を満載しているから、水を搭載出来るスペースに限りがあるから特に貴重だ。

 

だからこそ雨が降るとバケツなどを使って雨水を搔き集めるし、その隙に身体を洗う事もあるのだ。

以前飛龍に聞いたことだが、どの艦でも変わらない。

 

あとは、出航前に上陸した乗組員が全員居るかを確かめ艦娘と艦長に報告するのも副長の仕事だ。

 

それらの艦の運用維持に関わる仕事を副長は一手に引き受けて管理するのだ。

 

 

艦内のあちこちを上から下へ向かって見て回る。

艦橋周りから始まり、飛行甲板、艦に装備されている対空機関砲、対空機銃座、対空砲座を見て回って艦内に入る。

食堂や機関室は勿論見て回ったし、普段下士官や兵卒たちが寝泊まりする部屋も見て回った。

何と言うか、どこもかしこも男ばかりだから、むさ苦しいと思ったが、新鮮な体験だったな。

 

隼鷹の全長は219.32mと他の空母と比べると小さいが、艦内を歩いて回るともっともっと大きいのではないか、と思うぐらいには大きく感じられる。

これ、俺が一人歩き回ったら間違いなく迷子になるぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、お帰り。どうだった?」

 

「まぁ、初めて見るものばかりで楽しかったし学ぶことも多かったよ。発艦作業を見ることが出来たのも良い経験だったな」

 

艦橋に戻ると隼鷹が出迎えてくれる。

艦長はどうやら仕事をする為に公室に行ったらしい。

 

「だろ?私の体の中堪能してくれたようで何よりだ」

 

「お前、言い方ってもんがあるだろう」

 

「いやいや、実際の事じゃん?」

 

「はぁ、まぁいい。何か異常はあったか?」

 

「いや、これと言って何も無いね。穏やかなもんだよ」

 

「それならばいい」

 

ふぅ、と提督用の席に一息付いて座ると直ぐに食事が運ばれてくる。

 

「ほら、提督、晩飯だよ」

 

「なに?もうそんな時間なのか」

 

「提督、結構長い時間見て回ってたからね」

 

「そうすると、昼飯の後からだから4時間以上見ていたという事か」

 

「そうなるね」

 

「いや、すまないな。迷惑掛けた」

 

「なーに言ってんの。こんぐらい別にいいさ。今の提督にはこれと言ってやらなきゃならない仕事も無いからね」

 

なんだか、そう言われると複雑な気分だな……。

まぁいい、今回は大人しくしておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




『ガロン』

ヤード・ポンド法に置いての体積の単位。
国や用途によって定義が異なるが基本的には3.7L~4.6Lの範囲内にある。

日本国内で使用出来るのは米国液量ガロン(3.785412L)のみ。





40mm機関砲の装弾方法で分かりやすいのは、

「俺は君のためにこそ死ににいく」

と言う映画の戦闘シーンでしょうか。

すいません、どうも参考映像になりそうなのが見つからなくて……。
現代版の改良されたものだと結構あるんですが2次大戦の時のものとなると結構見つけられなかった……。

まぁ、ある程度の想像で宜しいのではないでしょうか。
それが嫌だ、と言う方は申し訳ありませんがご自身で調べて頂けると幸いです。

それか、AC-130ハーキュリーズと言うガンシップの動画が分かりやすいかもしれません。
あれにはこの地上攻撃用火器として40mm機関砲が採用されているので。














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