暁の水平線に勝利を刻めるか   作:ジャーマンポテトin納豆

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大規模輸送作戦
第4話


呉鎮守府に着任してから早くも6か月。

その間、季節は夏から秋に移り変わりそろそろ台風が吹き荒れるだろうかという時期だ。

 

今の今まで潜水艦隊に燃料と航空機生産に必要なボーキサイト、クロム、ニッケルやコバルトと言った希少金属のみに絞って輸送したお陰か今では当初よりも随分と状況は改善した。

 

 

まずは343空と32飛行戦隊は予備機を除いて全員に機体が行き渡り、燃料の事情でローテーションになってしまっているが日夜訓練に励んでいる。

驚いたことに栃木の山中で勉学に励んでいた時は毎日毎日、当たり前のように定期便と呼ばれる爆撃を受けていたのだがここ呉はそんなことはなかった。

それどころか空襲警報が鳴るのも3日に一度ほどだ。

お陰で機体とパイロットを消耗せずに済んだ。ただ予備機は未だに届いていないので1機でも失ってしまうと大ごとだ。

 

そして各地の航空隊にも補充の戦闘機や新型戦闘機が少しづつ、少しづつだが行き渡り始めている。

 

更に嬉しいことに、ここに来て航空機生産に必要な資源を輸送してきたおかげか新型機の開発が進み、更に新型機の開発が終わりその量産型の生産が続々と始まったのだ。

 

 

今現在海軍が主生産している戦闘機は紫電二一型(これより後は紫電改と記述)だ。

烈風は艦載戦闘機の為に343空向けに少数生産だが紫電改は本土防空の要として各地の生産工場で増産が始まっている。と言ってもやはり資源の問題で細々としたものになってしまっている。

 

 

紫電二一型は紫電改とも呼ばれる。

紫電改二との違いは、紫電改は陸上に建設された飛行場から飛び立つのが目的だが紫電改二は艦載戦闘機としての改造を施されているという違いがある。

紫電改二には紫電改にない空母に着艦する為のアレスティング・フックを装備したりと結構な違いがある。

それに比べ紫電改は飛行場から飛び立つのでアレスティング・フックなどの空母に搭載するための装備は搭載されていない。

武装は20mm機銃を4門とかなりの重武装で、大型爆撃機にしても戦闘機を相手にするにしても十分な威力がある。

 

紫電改二は既に艦上戦闘機の座を烈風に譲ったため、生産は部品のみで機体は生産されておらずそのまま各地の航空隊に配備されている。

 

 

そしてもう1機種。

俺達の艦隊の為の新型攻撃機である流星だ。

この機体は雷撃と爆撃を同時にこなせる機体として開発が進められつい先日ようやく量産段階にこぎつけたのだ。

重量が重かったりと多少難点はあるがそれまでの九七艦攻や天山に比べると性能は良い。

 

流星の開発完了と同時期に俺が市木大将宛に母艦戦闘機隊錬成完了の報告を上げたため、ならば機動部隊を再建するためには攻撃機も必要だろう、とのことで量産をしないという方針を翻し順次量産を開始。

今は第1次量産段階で、予備機以外の量産は動かせる空母が増えると同時に量産を行う。

 

それに伴い343空には流星が現段階で24機配備されている。

これでは対艦攻撃兵力としては数が少なく魚雷を抱いて敵艦隊に向かうのは無茶だが船団護衛に必要な対潜哨戒任務は十分にこなすことが出来る。

 

作戦決行時期までには32機の流星が配備される予定だ。

 

今は改良型の開発を行っていると聞くし、このまま進めば戦力も大幅に回復することが出来る。

 

 

 

 

そして、それに伴い2か月前に軍令部、正確には市木大将から指令が届いた。

 

「護衛艦隊ヲ編成シ、複数ノ輸送船ヲ伴ウ大規模輸送作戦ノ準備ヲ開始セヨ」

 

俺の指揮下にある輸送船13隻と、その護衛艦隊で資源の大規模輸送作戦を行う算段を立てているらしい。

 

どうやら市木大将は今ならば大規模輸送作戦が成功すると見ているらしい。

確かに備蓄資源の量も着々と増え続け今では、集めた燃料を使い編成にもよるが軽空母までなら動かせる状態になった。流石に正規空母や戦艦ともなると無理だが。

 

確かにこのまま更に備蓄燃料を増やすのも一手だがこの大規模輸送作戦を実施するだけの価値は確かにある。

まず輸送船の中にはタンカーが4隻存在する。

この4隻全てに原油を満載し持ち帰ることが出来たのなら、艦体の稼働艦艇の制約を大幅に緩めることが出来る。

 

そうなれば更に輸送作戦を実施できるしそうなれば鋼材の輸送も再開し損傷艦の修理も出来る。

 

本来なら南西諸島を先に奪還して海路を確保した上で実施するべきなのだが今現在俺達には南西諸島を奪還するだけの戦力は無く、奪還することが出来たとしても維持が出来ない。上陸部隊の陸軍師団を運ぶための船は足りていないし常日頃から南西諸島海域を警備するための船も無い。もし深海棲艦が再び侵攻してきた時はそれこそ日本の終わりだ。

 

 

 

 

大規模輸送作戦に関する大まかな作戦に関しては中代中将が立ててくれるようだが細かいところはこちらに任せるとの事だった。というのも何が起こるか分からないというのが正直なところで細かい指示も出してしまうとその通りに動きすぎて不測の事態が起きた場合に対処できなくなるかもしれない、という心配もあるからだ。

 

そこで俺はこう考えた。

今の時期、夏から秋にかけての時期は台風が頻繁に発生する。

だからその台風を隠れ蓑にしてしまえばいいのではないかと考えたのだ。

 

台風の中であればいくら深海棲艦と言えども艦載機は飛ばせない。

しかしそれはこちらも一緒だ。

 

中代中将に聞いてみたところ、賛成は出来ないと言われてしまった。

 

彼女によると、

 

「確かにその作戦ならば安全性も大幅に向上するし成功すれば大きな戦果となる。しかしながら今の輸送船の乗組員にはそんな嵐の中を航行出来るだけの技量が無く、衝突の危険性があまりにも大きすぎる」

 

「それに艦娘やその艦体、妖精達をもってしても嵐の中を突き進むなんて事をすればどうなるか分からない。さらに付け加えるとすればタイミング良く台風が発生してくれるという保証もない。流石に運頼み、神頼み過ぎる」

 

らしい。

確かに言われてみればその通りだ。

 

もっと言ってしまえば気象衛星は飛んでいてもその電波を受信するための施設や設備は破壊されてしまって正確な気象予報は得られない。

 

良い考えだと思ったのだが駄目だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

艦娘と乗組員である妖精達も大規模輸送作戦に備えて俺からの命令により機銃座を動かせないが対空戦闘などに精を出し練度向上に努めている。

艦を動かせず、やきもきする中で懸命に訓練している姿は本当に頭が下がる思いだ。

 

艦娘や妖精達との関係はと言うと俺自身はかなり良好だ、と思っている。

駆逐艦娘達は、テーブルに飾ってあった花のお礼を言った後からやけに懐かれたし、彼女達には来るべき戦いの日の為に可能な限り欲しい物は戦意高揚の為に仕入れた。

 

妖精達にも、菓子類や酒と言った嗜好品を時折差し入れて、それを抜きにしても良好な関係だろう。

 

 

 

 

さて、今現在俺の指揮下にある戦力は着任当初と変わりない。

というのも前述のとおりだが損傷艦の修理より燃料、航空機生産に必要な資源の輸送に完全に舵を切っているため修理するほどの鋼材は無い。

 

そもそもの話だがドックが空襲などで破壊されている場合が多く入渠が出来ない状況だ。それでも呉海軍工廠のドックに空襲を免れたドックが1つだけあるのでそこに駆逐艦を2隻入渠させ少ない鋼材で修理中だ。

 

というのも空母の護衛をするためにどうしても駆逐艦が必要なのだ。

今の数でも足りなくはないが損傷した時の事を考えるとどうしても交代要員が必要だという判断を下した。

 

他の空母や戦艦の艦娘には悪いが今ここで一つでも選択を間違えてしまうと本当に取り返しのつかない事態に成り兼ねないのだ。

 

秘書艦は継続して長門に務めて貰っている。

特に俺が指示を出して決めているわけじゃなく時々、長門以外の艦娘も秘書艦につくことがあるが基本的には長門だ。

きっちりしているので書類関連なんかの整理もやってくれるし本当にありがたい限りだ。

 

今はまだ資源輸送と岩国飛行場の仕事しかしていないから空いた時間で長門を始めとした戦艦組には砲戦の知識を。

鳳翔を始めとした空母組から航空戦の知識を。

重巡、軽巡組からは雷撃戦に関しての知識をそれぞれ教えて貰っている。

 

驚いた事に戦艦金剛や重巡鈴谷、軽巡天龍は、失礼だが正直馬鹿なのではないか?と疑っていた。

いやだって金剛はイギリスで建造されたという経歴があるからか語尾がなんか片言だし、鈴谷は平和な町中に居ればただのギャル女子高生にしか見えない。

天龍は天龍で俺と話す時、何故か擬音ばかり使うから何が言いたいのかさっぱり分からない時がある。まぁ龍田が説明してくれるので何とかなるが。言い換えてしまえば龍田が居ないと天龍の話は理解が出来ないという。

 

そんな3人だが教えて貰う時に大丈夫か……?と思ってしまったがそれは大間違いだった。何と言えばいいのか、本当に普通に教えて貰えることが出来た。

なんなら天龍に至っては寧ろ分かり易かったりした。いわゆる姉御肌で面倒見がかなり良く分かるまで延々と説明と解説の為に付きっ切りで面倒を見てくれた。

3人とも口ではなんだかんだと文句を言いながらも最後の最後まで面倒を見てくれるのでとにかくありがたかった。

それ以外の艦娘達も同じように俺が納得するまで付き合ってくれた。

 

 

いやしかし本当に覚えなければならない事が多く大変だ。

取り敢えず時間が出来たら教えて貰った事を書き記したノートを必死に読み返したり、食事時でもノートを開いて読み込んでいたら鳳翔に行儀が悪いと怒られて取り上げられてしまった。

 

 

 

 

 

 

それはさておき、大規模輸送作戦の件だが既に作戦は開始されている。

 

先ず今現在行っているのは潜水艦隊による輸送作戦の一次中止。

1か月前から潜水艦隊の輸送作戦も一度中止して偽装している。

要はもうこちら側に船を動かせるだけの燃料が無いと思わせるためだ。

幾ら潜水艦隊と言っても発見されていることはあるだろうしそれを考えると必要だ。

 

だから潜水艦隊による輸送作戦を中断しているのだ。こうすることで深海棲艦の警戒を緩くし少しでも成功率を上げようとしている。

 

 

 

次に頃合いを見て護衛艦隊は輸送船団を伴い南方のインドネシアにあるパレンバンに向かいそこで先ずは燃料の元である石油と航空機生産など様々なことに必要不可欠なゴムを積み込む。

 

同時に航空機生産に必要不可欠なボーキサイト及び希少金属を積み込む艦隊とはここで分かれる。

距離的には相互支援が可能な距離なので特段問題は無いだろうと思われる。

 

この時同時に第1潜水艦隊が石油を、第2潜水艦隊はボーキサイトなどをそれぞれともに積載する。

ただし出撃日時は潜水艦隊は護衛艦隊及び輸送船団より3日ほど先に出撃し偵察任務との兼務となる。

合流後は前衛哨戒を任せるためもし敵艦隊と遭遇した場合は即座に護衛艦隊に報告、出来るだけ身を潜めてやり過ごし、それが出来ない場合に限り攻撃を許可している。

 

搭載兵装は魚雷に限り満数搭載予定だ。

伊400型の艦娘達に限って言えば艦首発射型魚雷を8門装備しているが、魚雷を20本搭載可能。

 

 

とざっくりと説明したが大体そんな感じで作戦を進めていく。

 

 

 

しかし既に伊400を旗艦としている第1潜水艦隊は出撃し敵情報収集任務に就いている。連続行動時間は約4か月。航続距離は潜航をせずに水上を航行した場合は14ノットで37500海里と無補給で地球一周が可能な航続距離を有している為、偵察などにはもってこいだ。

 

 

 

そして作戦参加艦艇、及び編成は以下の通り。

 

 

第1護衛艦隊 

 

航空母艦1隻 飛龍(旗艦) 搭載機 烈風37機、流星16機、彩雲9機。計59機。

重巡洋艦1隻 摩耶

軽巡洋艦1隻 能代

駆逐艦5隻 秋月、照月、宵月、満月、花月

 

 

 

 

第2護衛艦隊 

 

航空母艦1隻 蒼龍(旗艦) 搭載機 烈風36機、流星16機、彩雲9機。計58機。

重巡洋艦1隻 那智

軽巡洋艦1隻 矢矧

駆逐艦5隻 涼月、初月、若月、霜月、春月、

 

 

 

 

第3護衛艦隊

 

重巡洋艦1隻 鈴谷(旗艦)

軽巡洋艦1隻 神通

駆逐艦5隻 陽炎、雪風、浦風、萩風、村雨

 

 

 

 

輸送船団 

 

タンカー 11隻

輸送船 9隻

 

 

 

 

戦闘艦艇23隻輸送船20隻の計40隻にもなる大艦隊だ。これらの艦隊全てで必要燃料数は以下の通り。

 

 

空母 飛龍 3750トン

   蒼龍 3400トン

 

重巡 摩耶 2318トン

   鈴谷 2243トン 

   那智 2214トン

 

軽巡 阿賀野型 1429トン

   神通 重油1050トン、石炭580トン

 

 

駆逐艦 秋月型全て合わせて 10800トン

    陽炎型全て合わせて 2488トン

 

 

重油 29692トン

石炭 580トン

 

プラス輸送船団分と補給分の燃料をタンカーに乗せて行くため更に余裕をもって25000トン分追加される。

合計すると凡そ55000トン分の燃料を消費する。

正直、これだけの量を使ってしまい、作戦が失敗したとなると後々、かなり厳しくなる。

 

しかし成功したときは見返りが莫大だ。

輸送船団のタンカーの割合が多いのはそれも理由の一つだ。

今回護衛艦隊だけでこれだけの燃料消費量だが、しかしながら今回のタンカーは最大で30000トンの石油を積める。

 

戦時緊急増産型として79隻と数多く生産されたこのタンカーだが残っているのは16隻のみ。それ以外は深海棲艦の通商破壊部隊によって沈められた。

 

今回は11隻のタンカーが参加し補給艦として艦隊に燃料を補給する役割を担う3隻を除いて全艦が無事に日本に帰れたとすると240000トンと、消費した4倍強の燃料を持ち帰ることが出来る。

どれほどの量を補給するかにもよるが、空いたタンクには石油を積み込めるしもう少し持ち帰れる量は増えそうだ。

 

 

 

 

 

さて、それでは次にそれぞれの艦隊について説明しよう。

その前に正規空母である、飛龍、蒼龍を艦隊に選んだ理由だが、燃料の搭載量が少なくて済む。ただこれだけの単純な問題である。

先ず瑞鶴だが満載状態での重油搭載量は5069トン。

一応軽空母の分類になっている隼鷹、飛鷹は満載で重油4117.89トン。

飛龍は満載3750トン。

蒼龍は満載3400トン。

 

 

比べてみると明らかだが飛龍、蒼龍の方が消費燃料が少なくて済むのだ。

正直な話、これにはかなり驚いた。

先程隼鷹と飛鷹を一応軽空母の分類と言ったのもこれが原因だ。正規空母扱いの飛龍、蒼龍よりも搭載燃料が多い事のどこが軽空母なのだろうか。

 

それこそ飛龍と蒼龍の方が軽空母になってしまうじゃないか。

まぁ搭載機数の問題だったり色々とあるんだろうがこれは議論するべきことではない。

 

航続距離の問題だが飛龍、蒼龍でも十分だという結果になった。両空母共に航続距離は約7700海里になるので十分往復は可能。

 

 

 

 

第1、第2護衛艦隊は対空戦闘を主目的とし対空兵装を充実化させた。

対空、対水上電探をそれぞれ装備し、摩耶に関しては砲塔の1基を撤去して機銃を増設、駆逐艦達はソナーこそ装備しているが爆雷投射機、爆雷、魚雷を撤去してそのスペースに機銃を増設した。

 

 

第3護衛艦隊だけは対空戦闘ではなく、砲撃戦や水雷戦、対潜水艦戦をこなすための装備になっている。

那智は対水上、対空電探を装備し、神通以下は各種ソナー、爆雷、魚雷を装備。

 

 

 

 

今現在も準備は進められており作戦参加艦艇には出来るだけ対空電探、対水上電探を装備させるために改装中。

ただやはり電探は装備できる艦が少なかった。

そもそも在庫と言うか、生産数が極小だったためにそれはしょうがない。

 

ソナーは装備させることが出来ただけマシか。

 

 

 

飛龍、蒼龍の搭載機についてだが基本は防空に徹底して務める方針だ。

343空を全て艦載し、対潜哨戒を行うために流星を16機ずつ搭載する。まぁ敵艦隊の陣容によっては爆弾なり魚雷なりを抱いて攻撃隊として向かわせることもあるかもしれない。

 

偵察に関しては彩雲を8機ずつ、計16機装備。これらで担当する。

 

それぞれの空母の艦載機に関しては次の通りだ。

 

飛龍

烈風 45機(補用8機)

流星 16機

彩雲  8機 

 

合計 69機

 

 

蒼龍

烈風 43機(補用7機)

流星 16機

彩雲  8機

 

合計 67機

 

2空母合わせて136機。

これらの艦載機は折り畳み式翼を採用しているため搭載機数が多くなった。

 

と、艦隊の航空兵力の陣容に関しては大体このぐらいだろう。

 

 

 

艦載機隊に関して言えば343空は流星隊が配備される前に空母での発着艦訓練は終えている。少ない燃料をやりくりして空母を動かしての訓練だ。

 

流星と彩雲に関しては今現在も錬成中だがあと4日ほどあれば完了出来ると報告を受けている。

 

 

輸送船団だが追加でタンカーが7隻追加で派遣された。

先程説明したがこの11隻のうち3隻は補給艦として燃料に不安が出てくるであろう駆逐艦や軽巡に適宜補給を行う予定だ。

 

揚陸艦である神州丸も輸送船団に加えてはどうかという意見も出たが速力が最大で20ノットほどしか出せない。

 

それに比べてそれ以外のタンカーや輸送船は最大で26ノットを発揮出来る。

この艦隊はどちらかと言うと高速艦隊に分類することが出来るのでその中に最大20ノットしか発揮出来ない艦が居ると万が一空襲や敵艦隊と戦闘になった場合、艦隊全体が一番遅い神州丸の20ノットに合わせざるを得なくなり高速での離脱が出来なくなる。

そういうわけで神州丸の参加は見送られた。

 

それら全てを考えた上で、市木大将と中代中将からGOサインが出たのは10日後。出来るだけ隠密性を高める為に夜間の出航になる。

まぁ40隻もの大艦隊で行動するのだから隠密性もクソも無いんじゃ……と思ってしまうがそれだけ必要なものは多く、期待も大きいのだから何としても応えなければならない。

 

作戦決行日までの間、艦艇用燃料、航空機用燃料や砲弾薬、対潜爆弾、艦船用爆弾、魚雷の積み込み作業を行う。妖精達には交代で休暇を取らせた。

既に作戦については説明済み、参加艦艇の発表も行った。

 

そうしてようやく10日後。

 

 

 

 

 

 

 

大規模輸送作戦決行日が来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

「提督、現在時刻2300。出航時刻だよ」

 

「分かった。それでは、この作戦の成功を祈ろう。艦隊抜錨!!」

 

飛龍から報告を受けた俺は抜錨命令を出す。

すると参加艦艇40隻が勢ぞろいで一斉に錨を巻き上げる。

真っ暗な夜の闇の中、最低限の船の明かりだけが灯っているのが良く分かる。

 

俺は飛龍に乗り込み艦橋で椅子に座っている。

横には飛龍が立っていて、さらに俺達の周りには艦長や副艦長、参謀だったりが囲んで立っている。

 

参謀である山田大佐と艦長を務める木村大佐は、もう二度と船を動かすことが出来ないと思っていた、とボロボロと大粒の涙を零しながら俺に感謝の言葉を述べてくる。

 

しかし俺はそんなことはないと思う。

俺がやったのはあくまでも燃料を集めただけに過ぎず、今の今までもう二度と艦を動かせないかもしれないのに各所の整備や維持を行って来たのは彼らだ。

それが無ければ幾ら燃料があったとしても動かす事は出来なかっただろう。

 

 

 

 

 

先ず豊後水道を抜けたのは第3護衛艦隊だ。

前路対潜哨戒の為に先に出て行ったのだ。

 

第3護衛艦隊旗艦、那智から異常無しの報告が入る。

 

その報告を受けた後、続けざまに第1、第2護衛艦隊が豊後水道に入り抜けていく。

 

全艦隊が豊後水道を抜けたのを確認後、各艦隊に集合命令を通達。

事前に知らせておいた配置で艦隊を組む

 

先頭を進むのは雪風。鈴谷を挟んで陽炎と浦風がそれに続く。

その後ろは神通を真ん中に萩風と村雨が。

更にその後ろに飛龍と蒼龍が陣取り後ろには横一列5隻を4列で進む輸送船団。

 

その左右を第1、第2護衛艦隊の空母随伴艦が固める。

 

タンカーを中心に輪形陣を組むような形だ。

 

それぞれの艦同士の距離は200m。

 

 

        雪風

     陽炎 鈴谷 浦風   

     萩風 神通 村雨

  照月  蒼龍  飛龍   涼月

     タ タ タ タ タ  

  摩耶           那智

     タ タ タ タ タ

  能代           矢矧

     輸 輸 タ 輸 輸

  秋月           初月

     輸 輸 輸 輸 輸 

  宵月           若月

 

     満月     霜月

 

       花月 春月

 

 

 

 

 

 

 

「対潜、対空警戒を厳となせ」

 

「了解」

 

艦隊が陣形を組み終わり次第、対潜警戒、対空警戒厳の命令を下す。

幾ら夜間だと言っても油断はできない。むしろ潜水艦にとっては夜こそが本領を発揮し、狩りの時間と言っても過言ではない。

大型の偵察機ならば夜間でも十分飛べるし発見されることは出来るだけ避けたい。

 

 

 

航路は大陸寄りの航路を行きたいのは山々なのだがそちらを進むと南西諸島方面を支配下に置いている深海棲艦の索敵網に引っ掛かる恐れがある。

偵察の結果、何故か大陸寄りの航路よりも太平洋の方が敵艦隊の数が少なかったのだ。普通なら太平洋側にも同じくらいの深海棲艦が居てもおかしくはないのにも関わらず。

 

グラフに纏めて見ても大した変化は無くどういうわけか敵艦の数が減少傾向にすらある。市木大将以下、中将達で頭を捻っても結論は出なかった。

減っているというのならそれはそれで構わない、作戦を決行するにあたっても寧ろ好都合ですらある、という結論に至った。

 

ただそれでも何かしらの理由がある筈で、それが判明していない以上最大限警戒しながら大規模輸送作戦を実施すべきとも。

 

中代中将と西村中将は実施に渋り、やはり延期すべきとの意見だったが深海棲艦の数が減っているのなら好機でもあるのでは、という事で実施に至った。

 

 

今現在艦隊は豊後水道付近で集結、陣形構築後、南下していき太平洋に出て行っている途中だ。

フィリピン海の真ん中あたりに差し掛かったら台湾とフィリピンのイトバヤット島の間を通過するためにそちらの方に向かって針路をとる。

 

道のりは艦隊速力18ノットを保って進んでいく。

凡そ行き帰りで2週間を予定している。資源の積み込みにどれぐらいの日数が掛かるかによってはかなり前後する。それに航行中も偵察機と前衛哨戒任務に就いている第2潜水艦隊から敵艦隊発見の報告が入れば出来るだけ戦闘を避け、こちらも見つからない様にするためと目的を悟られない様に欺瞞航路をとる可能性もある。そうすると距離にもよるが1、2日程度の延長は想定範囲内だ。

 

 

 

 

 

 

 

3日後、針路をバシー海峡へ取って進んでいる。

 

「提督、あと凡そ350海里でバシー海峡に差し掛かります」

 

航海長の妖精が俺に報告を上げる。

 

「バシー海峡に敵影は?」

 

「3時間前に届いた第2潜水艦隊からの報告では無し」

 

敵影は無し。

だが報告を受けたのは3時間も前だ。海峡に差し掛かるまで5時間もある。

このまま進んだ時にもし敵艦隊が居たとしたら待ち伏せされてしまう。

 

それならば偵察機を出した方が良いだろう。

 

「海峡に向けて偵察機を出す事は?」

 

「準備に1時間ほど頂ければ可能だよ」

 

飛龍に聞いてみると可能だという。

それなら決まりだ。

 

「よし、準備を進めてくれ」

 

「何機出しますか?」

 

「4機だ。バシー海峡からルソン島の間に向かって放射線状に放ってくれ」

 

「分かりました。艦長、偵察機出撃準備始め」

 

「了解。格納庫、偵察機出撃準備始め。偵察機出撃準備始め」

 

「提督、偵察機の件なんだけどちょっとまだ距離が遠いんだ。だから出来ればあと30か40海里ぐらい進んでから偵察機を出すことにしない?」

 

「今の距離では無理か」

 

「無理じゃないけどもし敵機に襲われたりした時に逃げ回ったり速度を上げたりしたら燃料が足りなくなるかも」

 

「……分かった。発艦は丁度300海里地点にしよう」

 

「ありがと提督。艦長、聞いてたね?」

 

「はい、しっかりと。発艦は海峡から300海里地点で偵察機発艦、ですね」

 

「うん、それじゃ宜しくお願いね」

 

さて、一応出来ることは全部やった筈だ。

しかしこれから先、どうなることやら……

 

 

 

 

 

 

 

「提督、偵察機発艦しました」

 

「分かった。それじゃ報告を待とう」

 

「提督、昼食をお持ちしました」

 

「ん、ありがとう。頂くよ」

 

偵察機が無事発艦したという報告を受けると続いて昼食を態々持って来てくれた。献立は握り飯が4つと味噌汁に沢庵だ。

 

「申し訳ありません、本来ならば士官用の食事をお出ししなければならないのに……」

 

「あぁ、全然気にしていないから。寧ろこういう簡単な物の方が俺は良いよ。何せ貧乏舌だから変に凝ったものを出されると緊張しちゃって駄目だ」

 

何と言うか個人的にだが俺は高級食はあまり口に合わない。

そりゃたまになら分厚いステーキとか食いたいとは思うがそんなのがしょっちゅう出てきたら嫌になる。それに士官用の食事はフルコースみたいなやつで、テーブルマナーやらなんやらと面倒というのもある。

 

だから握り飯の様に簡単に、手軽な方が俺としては望ましいのだ。

鎮守府では艦娘の皆と同じものを同じ場所で食べるからそう言った心配は無いのが気楽な所か。

 

「そうですか……」

 

「確かに提督って食事とかあんまり気にしてる節は無いなぁ。偶に提督に言われて長門は先に食堂に来てるのに肝心の提督は来なくて。今じゃ絶対秘書艦と一緒に来るように、って厳命されちゃったもんね?」

 

「それは言わない約束だろう?何故だか鳳翔には逆らえんのだ……」

 

鳳翔と言う艦娘が居るんだがこれがまた母親の様でどうにも逆らえない。本当に注意されてしまうとどうしようもない。

 

「あはは、ごめんごめん」

 

「まぁしかし、提督になる前は本当にただの、特技も何もない一般人だったからな」

 

「でも、提督が現れて私達の指揮を執るって聞いた時は本当に驚いたなぁ。全然知らされてなかったし噂程度なら聞いてたけど何処からか流れた嘘だと思ってたし」

 

「我々もです。何処からか流れてきた噂程度にしか受け取っていませんでした」

 

「まぁ、そう取られても使方が無いな。実際かなり急だったのは確かだ。それ故に教育を受けたのもたったの3か月だけだ」

 

「でも鎮守府に来てからは私達からも色々と教わってるでしょ?有名なんだよ、提督は勉強熱心だって」

 

「いや、当然の事だ。皆の命を預かるんだし中途半端な真似は出来ないし、何より俺がしたくない」

 

「でもそれでご飯時までノートを開いて鳳翔さんに怒られてたら元も子も無いと思うよ?」

 

「それは言わんでくれ……あの時は本当に怖かったんだから」

 

飛龍と会話していると張りつめていた艦橋内に笑いが起こり少しだけ雰囲気が和らいだ。

 

 

 

 

 

 

 

「提督、昨日からずっと起きていられるのですから少しばかり仮眠を取られては?」

 

「いや、皆が頑張ってくれているんだからこれぐらいは、な」

 

確かに昨日から一睡も取っていないが、緊張からなのか、それともアドレナリンが出ているのかは分からないがどうにも眠くないのだ。寧ろかなりしっかりと目が覚めている。

それに今寝てしまうとそれこそ緊急を用する時に反応が鈍くなるかもしれないからあまり寝たくないのだ。

 

「ですがこれから忙しくなると予想されます。その中でお倒れになられては大事です」

 

「そうだよ提督。大丈夫、偵察機から報告が来たらちゃんと伝えるから」

 

「む……」

 

確かに参謀と飛龍のいう事にも一理ある。

ここぞという時に倒れる方が一大事だ。俺と言う提督が居るという強みを生かせ無くなってしまう事は出来るだけ避けたい。2人の言う事に従う方が良いか。

 

「確かにその通りだな……分かった、少しばかり休ませてもらうよ」

 

「うん、そうした方が良い。それじゃぁ艦長、私は提督を部屋まで送るから戻ってくるまでお願いね」

 

「はっ、了解しました。提督、おやすみなさい」

 

「あぁ、お休み」

 

飛龍と共に艦橋から降りて自室に向かう。

タラップを降りて、艦内に入っていく。歩いていると時折擦れ違う下士官だったりの妖精達に敬礼され、答礼を返しながら自室に向かっていく。

 

自室に着いてドアを開ける。

すると中は軍艦の艦内とは思えない意匠を凝らしてある。

上着を脱いで三角ハンガーにかける。するとふと後ろから飛龍が声を掛けてきた。

 

「提督さ、もう少し肩の力を抜いた方が良いよ」

 

「どういうことだ」

 

「提督さ、普段から難しい顔してるの自覚してないでしょ」

 

「何?そうだったのか……」

 

「まぁこんな状況だからしょうがないとは思うけど、ずっと張り詰めたままだといつか糸が切れた時、本当に倒れちゃうよ?」

 

「……そうだな。でもそうは言ってられない。俺が踏ん張ればそれ以上に飛龍達艦娘や妖精達の負担も大きく減る。それに少しでも選択を誤ればどうしようもないほどに今以上に追い込まれて取り返しがつかなくなる。だから今ここで気を抜く事は出来ないのだ」

 

確かに睡眠もしっかり摂らなければならないとは思う。

だがそれは平時に限っての事だ。今はそんな呑気に構えていられる情勢では無い。ただでさえ艦娘や妖精達には負担を強いているのに俺が休んだら更に重く圧し掛かってしまう事になる。事実、俺がやらなければならない、俺にしか出来ない事も数多い。

 

「でもそれで提督が倒れたらそれこそ取り返しが付かなくなっちゃうと思うんだけど。……これ本当は話さないはずだったんだけどね、皆心配してるよ。確かに勉強しなきゃいけない事も沢山あるだろうけどそれにしても頑張りすぎだって。執務室とか自室の明かりがついてるの、何度も見たことあるし、警備任務についてる妖精も毎日だ、って」

 

「……」

 

「金剛は寝てくれないのなら一緒に寝てしまえば寝てくれるとか、鳳翔さんはベットに縛り付けてしまいましょうか、って言ってたよ。個人的には実行に移される前に生活習慣とかしっかりした方が良いよ。ちゃんと食べて寝てお風呂に入って。それから仕事をすればいいの」

 

「……そうだな。善処するよ」

 

流石に金剛や鳳翔の提案だけは避けねばなるまい。

そんなことされても寧ろ寝れなくなってしまう。

 

「うん。……ちゃんと一人で寝れる?」

 

「寝れるとも。何歳だと思っているんだ……」

 

恥ずかしいやら情けないやらという感情で手で顔を覆ってしまう。

既に誕生日を迎え21歳になった。そんな男が何故に年上の女性に1人で寝られるかと心配されなければならないのか。

それほどに今までの俺は生活習慣が乱れていたか?それでも毎日3時には寝て6時には起きるようにしているのだがなぁ……

 

正直余りにもやらなければならない事などが多すぎてそんな誕生日を迎えたと言う実感は一切無いのだが。誕生日を1か月以上過ぎてからふと、そう言えば俺21になったのか……、と思い出したぐらいだ。

 

「それじゃぁちゃんと寝てね。それじゃお休み提督」

 

「あぁ、お休み」

 

飛龍はそういうと艦橋に戻った。

しかし、うぅむ……

それほどまでに俺の生活習慣は乱れていたのか……

全くそんな実感は無いのだが他人から言われてしまうと事実なのだと認めなければなるまい。

思わず腕を組んで唸ってしまう。

 

……鳳翔に怒られる前に戻さねば。飯もちゃんと食べて睡眠も摂るようにしよう。

 

そう決意してからズボンを脱ぎハンガーにかけてからベットに潜り込む。

 

300海里で偵察機を放ったから、早ければあと2時間ほどでバシー海峡上空に到達するはずだ。それから敵艦隊の有無を確認するから報告の電文が届くのはそれからだ。長ければ3時間程度の睡眠だ。

それまでは言われた通り、しっかりと寝ておこう。恐らくこれから先大忙しになる筈だからな。

 

ベットに潜り込んで10分ほどで俺は眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー side 山田 ----

 

 

 

俺は今航空母艦飛龍に載っている。

役職は343空所属の艦上偵察機である彩雲のパイロットだ。

343空は元々防空戦闘機隊だったと聞くが今では流星や彩雲を装備する立派な母艦航空隊だ。

 

元々俺は所属が千歳飛行場の偵察員として零式水上偵察機を操縦していた。

その前はフィリピンのダバオ飛行場で偵察部隊所属の艦攻に載っていた。あの時はまだ天山艦攻を使用していたから偵察専用の機体は無く速度が遅くて苦労したな。

 

同じ機に乗っている石田とはその時からの付き合いだ。

あの時はまだ新米で周りをきょろきょろと見回して落ち着かず、その時新しく配属されたのが石田だけだったから周りの全員から坊主と呼ばれてなんだかんだ言いながらと可愛がられていた。

そんな石田も今じゃ立派に自分の役割をこなせるようになった。

 

まぁ、ダバオにいた時の仲間達はもう俺と石田を入れても数えるのに両手で十分足りるほどまでに減ってしまった。

つい先日もその内の1人が戦死したと知らせが届いた。

 

俺達だけじゃない。

1人、、また1人と櫛の歯が抜け落ちていくようにどんどん熟練も新米も区別無く死んで逝く。

明日は俺か、それとも隣に座っている石田か。はたまた一緒に煙草を吸った奴か。飯を共に食べて笑いあった奴か。

 

そう思って毎日毎日過ごす。

 

 

ところがそんな状況の中、石田と共に飛行場司令室に呼び出されるといきなり配置が岩国になると言われて。

 

「今更こんな状況で配置が変わるだと?何の意味があるんだ……?」

 

と首を傾げていた。

まぁ上からの命令なので岩国飛行場に行ってみるとそこにあったのは、今時珍しい70機を超える航空隊だ。それも陸軍と一緒に駐屯しているのだから驚きだ。しかもどちらとも陸軍海軍では最精鋭と名高い343空に32飛行戦隊だ。

 

(これはただ事では無いな……)

 

と考えていると、偵察隊に配備された機体は新型の彩雲だった。

 

彩雲を受領した後に始まったのは文字通り月月火水木金金と言い表せる程の猛訓練。

機体に慣れるための操縦訓練を2か月。

 

一体なんの為に今頃こんな訓練をするのか不思議でしょうがなかった。

先に配備されていた戦闘機隊の連中に聞いてみても、誰もが、

 

「俺たちゃ、母艦航空隊だろうが」

 

と、ニヤッと笑って言うだけ。

 

2か月の猛訓練の末、操縦に慣れて漸く一息つけるな、と思った瞬間始まったのはなけなしの燃料を使って空母を動かしての着艦訓練地獄。

その頃からどうやら何か大きな作戦を控えているらしい、と我々妖精の間で噂になった。と言っても戦闘機隊の連中は知っていたのか大して驚きもしなかったが。

 

でなければ空母を瀬戸内海だけだが動かして艦載機の発着艦訓練などやる必要もないし、そもそもの話、全国中の航空隊から手練れを集めて編成する必要も無い。

 

 

そしてその噂は的中。

提督から作戦の説明を受けた艦娘飛龍さんから俺たちは説明を受けた。

 

大規模輸送作戦を実施するとの事。

確かに今の日本には艦を動かすための燃料も航空機を生産するためのボーキサイトも無い。損傷艦の修理をするための鉄鋼はとっくの昔にそこが尽きて今じゃなけなしの鋼材を集めて駆逐艦2隻を修理するのがやっと。

 

それを考えればなるほど、どこかの奪還作戦よりもずっと重要だ。

だが同時に思った。

 

「こりゃ相当な大博打じゃないか」

 

と。

何故なら出撃したこの陣容を考えればそれこそ本当に失敗したときに取り返しが付かなくなる。

まぁ確かにやる価値はあるが、どうにも腰が引けてしまう。

だがここまで来た以上やるしかない。腹を括った。

 

 

そして実施された大規模輸送作戦は、今まで潜水艦隊が命懸けで運んできた燃料を使っての作戦だ。投入戦力は正規空母2隻と重巡3隻に軽巡3隻、駆逐艦15隻、2個潜水艦隊までも投入する万全っぷり。

 

輸送船団は20隻を数える。

輸送船の数を考えれば駆逐艦だけでもあと、もう5隻は欲しい所だったが本土の防衛もしなければならない以上これが限界か。空母ももう1隻いれば出来る事の範囲が大きく広がるのだが艦載機が無いから出撃してもただ燃料を無駄にして、デカい標的にしかならない。

 

それでもこれほどの艦隊が動くのは、何時以来だろうか?

 

思わずその姿を見て涙が零れそうになったのは俺だけではない。

彩雲に共に乗る偵察員の石田も並んで立っている時に少しだけ涙ぐんでいた。

 

 

 

 

さて、そんな艦隊の一員として出撃してから数日。

格納庫内に偵察機の出撃準備の命令が放送された。そしてにわかに慌ただしくなる格納庫内。出撃するのは俺の機を含めて4機の彩雲だ。

 

整備員によって燃料が積み込まれ、銃弾の装填が行われ、エンジンの点検が行われていく。そしてそれらが終わり昇降機(エレベーター)によって甲板に彩雲が上がっていく。

 

その最中、俺は飛行隊長兼戦闘機隊長である原田大佐から説明を受ける。

 

「今回はバシー海峡からルソン島間の偵察を行ってもらう。これより4機を放射線状に進み、敵艦隊の有無を確認してきてもらいたい。場合によってはそれを超えて更に奥を偵察してもらう。高度は5000m。貴官らを収容する地点は、バシー海峡とルソン島の中間地点より東に200海里だ。……何か質問は?」

 

「「「「「「「「無し」」」」」」」」

 

「よし、良いか?必ず生きて帰ってこい」

 

「「「「「「「「了解!」」」」」」」」

 

「諸君らの武運を祈る。それでは作業に掛かれ。別れ」

 

「「「「「「「「別れます!」」」」」」」」

 

号令で一斉に愛機に向かって走る。

 

「ご武運を」

 

「ありがとう」

 

整備員から言葉を受け取り操縦席に入り発艦準備を進める。

既に暖機運転は済み、あとは発進するだけだ。

 

飛龍は艦首を風に立てて合成風力を作り出す。すると今まで甲板に吹いていた風よりもずっと強い風が吹き始める。

こうすることで短い飛行甲板上でも十分発艦が可能になる。

 

そして遂に車輪止めが外され、発艦始めの旗が振られた。

それと同時にブレーキを外しフルスロットルまで一気にスロットルを押し込む。

 

彩雲は飛行甲板を駆けてだんだんと速度を上がっていき、一瞬ふわりとした感覚が全身を襲った。それが甲板から離れて飛び立ったことに他ならない事実だ。

 

操縦桿を少しずつ引き起こし高度を上げていく。

暫くして高度5000mに到達した。

計器を確認し、何処にも異常が無いことを確かめる。

そして後ろの偵察員の石田にも確認する。

 

「石田、異常はあるか?」

 

「いいえ、ありません。すべて正常です」

 

ようし、それじゃぁ偵察しに行くとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

進み続ける。多少雲が多いがこれならばまぁ、高度を500mほど落として飛べば特段問題無く偵察出来る。

思った通り500mほど高度を落とすと周りに雲は無く上に広がっているだけだ。気を付けるとすれば雲の中から敵機が俺達に向かって急降下してきた時に直前まで察知出来ないことだが俺達の彩雲のエンジン音以外には何も聞こえないから大丈夫だろう。それでも警戒はしなければならないが。ただ同時にもし敵に発見されそうになったり襲撃を食らった時に雲の中に逃げ込める利点もある。

 

辺りを見回すと久しく見ていなかった南洋の海が広がっている。

空から見ると、遠くの海面が太陽に照らされキラキラと光っている。この光景だけならば本当は戦争なんてしていないんじゃないか、と勘違いしてしまいそうだ。

 

あぁ、やはり日本の海とは全然違う。とても綺麗だ……

 

「石田、俺達は帰って来たんだな……」

 

「えぇ、まさかもう一度この目で南の海を空から拝めるとは……感激です」

 

帰って来たと言う訳ではないがそれでもそう感じてしまう。石田の声も心成しか震えている。

 

しかしそう長くは感傷に浸っては居られない。俺達は一番ルソン島寄りを飛んでいるから計算上、そろそろルソン島が遠目に見えてくるはずだからだ。この辺りは完全に深海棲艦の支配領域だ、気を抜いては居られない。

 

本来の索敵は敵を見つける事が最重要目標だが、今回ばかりは見つからないでいて欲しいと願うばかりだ。輸送船団の安全の為と言う事もあるが今回は敵艦隊とやり合えるだけの戦力は無い。流星だって空母2隻で32機だけ。

 

これが敵の哨戒艦隊で最大でも軽巡くらいまでしかいないようなのなら砲撃戦でも航空攻撃でも潰せるだろうが戦艦や空母を含む有力な艦隊が相手ともなるとかなり厳しい。

 

航空戦だと空母ヲ級は1隻で90機程の艦載機を搭載しているから2隻も出てきてしまえば圧倒される。

幾ら防空に専念したと言っても厳しい戦いを強いられる。

更に周辺にいる敵艦隊に通報して集まってこられると、輸送船団の護衛なんて出来るわけがない。

 

砲撃戦にしても戦艦相手だとかなり厳しいと言わざるを得ない。

こちらには戦艦なんて1隻もいないのだからタ級1隻でさえ負けうる。必殺の酸素魚雷を叩き込めることが出来れば当たり所によっては一撃でも撃沈可能だが、駆逐艦は魚雷を降ろしてその代わりに対空機銃を搭載したから装備しているのは重巡だけ。一斉射を行っても連装魚雷だから片舷6本。命中率は相当低い。

 

1本でも命中させたいのならば通常5000mから放つ所を最低でもその半分は距離を詰めなければならない。当然敵弾の命中率も上がるし戦艦からすればこんな距離は主砲の最大射程からすれば超至近距離。寧ろ命中させられない方がおかしいぐらいだ。

 

それに空母は対艦攻撃用の航空魚雷や爆弾も余り搭載せずに来ている。その分航空機用燃料と戦闘機の機銃弾や対空砲弾を多く搭載しているが機銃掃射で戦艦や空母は沈められない。全力攻撃を一度でも行ってしまえば航空魚雷は無くなってしまうし爆弾も残り少ない。空母や戦艦と言った大型艦を沈めるのには魚雷が必須。爆弾でも空母なら飛行甲板に叩き込めば使用不能に出来るが修理されてしまえば最低でも戦闘機の発艦は出来るようになってしまう。

 

それらを考えると出来るだけ敵艦隊と遭遇せずにパレンバンまで行って呉に帰る事が最良だ。

 

 

 

 

「石田、敵艦隊は確認出来るか?」

 

「今のところは見えませんね……」

 

石田は双眼鏡を覗いてあちらこちらを見回しているが発見は出来ない。

左側を見れば遠くの方にルソン島とバブヤン諸島が見えるし、右側にもバリンタン海峡とルソン海峡が見える。その向こうにはバテーンズがある筈だが俺達からは見えない。2番機なら見えていることだろう。

 

どうするか……この辺りに敵艦隊が見えない事からして敵艦隊が存在していない事は確かだろう。だが更に奥側がどうなっているのかが不安要素だ。

 

もし今見えている先に敵艦隊が待ち伏せをしていた場合、艦隊は奇襲を受けることになる。対空電探や対水上電探を装備しているからどちらかと言うと強襲になるか。

 

どうする?

 

燃料計を見てみると、飛龍が遊弋している海域まで戻る事を考えれば……

飛龍を探し回る事にならなければまだ幾らかは進めそうだ。

 

良し、艦隊の安全の為にも行こう。

 

「石田、もう少しだけ偵察をしたい。もしかすると艦隊に戻れなくなるかもしれない。それでもいいだろうか?」

 

「山田さん、そんな無粋な事聞かんでくださいよ。まだ死ぬと決まったわけじゃないんです。それに俺たちが今ここで引き返したら偵察機に乗っている意味が無いでしょう?」

 

「……その通りだな。よし、行こう。変なことを聞いて悪かったな」

 

「いえ、気にしないでください」

 

石田はそう言っているが実際は死ぬ覚悟を決めたのだろう。振り向いて見ると額に大粒の脂汗が浮かんでいる。

 

俺は今更だ。とっくの昔に何時でも死ぬ覚悟は決まっている。

だがしかし、先に死んでいった戦友に恥じない働きをしてからでないと死に切れんからな。

 

 

 

 

 

 

 

あれから進んできた。今の所敵艦隊は発見出来ていない。

 

……やはり敵艦隊はこの近辺の海域に存在していないのか。

 

そう考えて機体を翻し空母に戻ろうとした時だった。不意に石田が声を上げた。

 

「!!山田さん!!航跡が!」

 

「何!?どこだ!!」

 

「前方のかなり遠くにうっすらと!あれは波なんかじゃない!」

 

出来る指差した方を双眼鏡で見てみると、確かにそこには航跡がうっすらと残っていた。それを見て即断した。

 

「よし、行こう。ここで帰ったらここまで進んできた意味が無くなってしまう!」

 

「はい!勿論です!」

 

石田の指示に従って機首を航跡の方に向ける。

暫く進むと双眼鏡を覗かなくても確認出来るようになった。

 

航跡に沿って飛んで行くと、その先に確かに敵艦隊が存在していた。

双眼鏡を覗いて敵艦隊の陣容を確認する。

 

「ありゃぁ、空母だな……それも2隻もいるぞ……」

 

「えぇ、重巡と、戦艦も1隻いますね……」

 

その艦隊は空母2隻、戦艦1隻、重巡1隻、それの随伴艦が10隻ほどの艦隊だった。

空母の数は同数、戦艦は向こうの勝ち。重巡の数と軽巡以下の随伴艦の数はこちらが勝っている、か……

 

「空母と戦艦の艦種は分かるか?」

 

「空母の方は……あれは……どちらともヲ級ですね……飛行甲板のデカさがヌ級じゃないですね。戦艦の方は……恐らくル級かと」

 

「ヲ級2に、ル級1か……艦隊じゃ相手出来んな」

 

「えぇ、ヲ級もですがル級と言うのが辛い。砲火力もですが対空火力もタ級より上ですから攻撃隊を向かわせたら迎撃戦闘機と相まって相当被害がでるでしょうね……」

 

「こっちに気が付いていないのか?どう見ても迎撃戦闘機が発艦している様子が無い」

 

「もしかすると電探を作動させていないのでは?この辺りは奴らの完全な支配領域です。気を抜いていたりしてもなんらおかしくはありません」

 

「そうだな……よし、空母に帰投しよう。敵が探知出来ない距離まで離れたら電文を打つ」

 

「了解」

 

気が付かれていないのなら好都合だ。

このまま離れて行こう。もう少し偵察をしたいんだがこれ以上飛ぶと帰れなくなる。

 

 

 

 

 

「石田、電文を打て」

 

「了解。電文打ちます」

 

『バンギー湾ヨリ南西ニ70km地点で敵艦隊発見ス。空母ヲ級2、戦艦ル級1、重巡1、随伴艦多数』

 

『敵艦隊ノ針路ハ北西、速度凡ソ18ノット。敵艦隊ハ我々ニ感ズカズ。1543』

 

「電文打ち終わりました」

 

「よし、警戒を厳となせ。飛龍に帰るぞ」

 

「はい」

 

電文が打ち終わったという報告を受けた後からは、俺達は無言だった。

 

燃料計を見るとかなりギリギリになるな……頼むぞ、飛龍までもってくれよ。

 

俺はそう願った。

今は飛龍に無事辿り着ける事を願うばかりだ。

 

 

 

 

 

 

ーーーー side out ----

 

 

 




流星と流星改の違い

艦これには今現在流星と、流星改の二機種が実装されています。
しかしながらその違いについて知っているという提督の方々は、個人的に多くないんじゃないか?と言う勝手な考えからここに記述させていただきます。

ただし、あくまでも一つの説なので話半分に読んでくださっても構いません。面白半分でなるべく理解しやすいように書いているので変なところがあるかもです。
……ぶっちゃけゲーム内では性能表で見比べられますし(小声)




流星は設計を尾崎紀男氏が、製造は愛知航空機が担当。
初飛行は意外にも1942年12月と思いのほか早い。(作者はそう感じました)
それまでの艦載機は戦闘機、爆撃機、雷撃機、偵察機と用途ごとに開発設計が行われていた。

そうです、皆さん大好き九九艦爆ちゃんや九七艦攻ちゃんです。

しかし従来の九九艦爆の爆弾搭載量では防御力が向上した艦船に対しては威力不足。かといって重い爆弾を括り付けることもできない。(空母に対してですらそうだったのだから戦艦や重巡洋艦に対しては余計に)

「なら新しく作る機体はもっと強度を増してもっとちょこまかと動けるようにしたろ」

と考えるのは当然の結果。
それに加えて雷撃機ももっと機敏に、そして機体強度の向上が望まれていた。
そこで誰かが考えて閃いた!

「あれ?なんか必要条件が同じっぽい?同じっぽい!」

と。そんなわけで雷撃も爆撃もこなせる機体として企画されました、それが流星です。
さらにいえば空母には搭載できる機体の数に限りがあるので空母の運用面から見ても良いじゃん!という感じだった。

それに加えてそれまでは艦攻が担当していた偵察任務を専用の偵察機である彩雲が担うことになったのでその引き換えに機種統合という理由も。

そんなわけで当初は一六試艦上攻撃機として愛知航空機に開発がスタート。
B7A1の略符号を与えた(ここは流星会の話と繋がってくるので重要)

機体性能の要求に関しては細かく書くと面倒なので重要そうなところだけ。

・1機種で水平爆撃、急降下爆撃、雷撃を可能とする。

・最大速度は各種爆弾を搭載した状態で高度5000mで555.6km/h以上。

・爆弾搭載の場合、800kg1発、または500kg1発、または250kg2発、または60kg6発のいずれも装備可能であること。

・魚雷搭載の場合、850kg1発、または1000kg1発のいずれも装備可能であること。

・武装は翼内7.7mm機銃2丁、後上方7,7mm旋回機銃1丁(後々、翼内20mm2丁、後上方13mm旋回機銃1丁に変更)。

・空戦性能は九九艦爆に匹敵する運動性以上。

・構造は堅牢、整備が簡単、生産が簡単で量産性が高いこと。

(ほぼ全部書いちまったぜ……)

まぁ正直、この要求はめっちゃ難しかった。
まぁ攻撃能力と堅牢だの整備が簡単だの量産性云々などに関しては譲るとしても、空戦性能が九九艦爆以上って無理に決まってんだろ、と作者は思います。

だって九九艦爆って元々の機体は九六式艦戦ですよ?
有名な堀越二郎技師曰く、零戦よりも会心の作だぜ!っていうほどの機体と同じくらいの空戦性能とか無理。
そもそも本家の戦闘機以上の空戦性能を求められても、ねぇ……?


更に愛知航空機は既に実戦投入されている機体の量産やら改良やらに追われてただでさえ忙しいのにそんな時にこの命令。

そりゃ当然試作作業は停滞しますよ。

しかも完成した試作1号機は海軍から重量過多の判定を受けてしまう。
自重(爆弾とか燃料とか装備していない時の重量)だけでも3トン。爆弾、燃料を搭載すると5トンを超えちゃってまぁ大変。
その時同時に進められていた空廠式カタパルトの射出能力を超えちゃって、着艦制動装置も従来の物が使えない。(新しく設計されていた三式着艦制動装置は大鳳と信濃しか装備していなかった)

だから重量軽減のために日本軍お得意の防弾装備を装備するのをやめて、更に空戦フラップやらなんやらを取り外して軽量化した。
なのに!翼内増槽とか諸々の追加装備を求められて、軽量化すんのか重くなるのかもう訳が分からず迷走状態。

そんな時、戦局はまぁ、空母沈められたり米軍が太平洋の島々に攻撃してきた李上陸してきたりと艦隊航空戦ではなく陸上基地からの遊撃戦に変化したこともあって流星は忘れられちゃったのです。

だけどそんな時、艦これにも実装済みの陸上攻撃機である銀河を夜間戦闘機に改造しちゃうぞ!となってその不足した分を補うのに陸上爆撃機として再び日の目を見ることに。

ただ前述のとおり、試作1号機の段階で重量過多以外にも、強度不足、楕円形の主翼の空力特性が悪かったりと問題が多かった。そこで試作2号機からは主翼を、主翼後端が直線となったテーパーよくに変更されるなどの全面的な改修を施された流星にB7A2の略符号が与えられたりしてこれが関係者の間で「流星改」と呼ばれたという言説がある。

はい、ようやく登場しました流星改。
ただこの説、どうにも違うらしい?

設計者の尾崎技師によると

「え?そんな改造してねぇよ?……もしかして軽量化するのに一部の設計を変えた時と、量産に備えて設計図面の様式を変えたことが間違って伝えられちゃったんじゃね?」

とのことらしい。
そうすると量産型まで含めてが「流星」であって、流星改はエンジンを強化した性能向上型だろ、という指摘があるんです。



……分かってもらえました?
あ、分からない、そうですか。






(そもそもの話、流星って空母に結局重量が重すぎて搭載出来なかったんじゃ……)

(もし搭載出来たとしても搭載出来たのは大鳳と信濃だけ……)

(しかも結局陸上攻撃機として使われたから艦載機じゃないんじゃ……)

なんて思ったり言ったりしてはダメです。
運営が艦攻として流星をゲームに登場させているのならそれが真実なのだから。

(最後の最後に運営に全力でゴマすりしていく提督の鏡こと、作者。これで次のイベントの新実装艦が一発で手に入る筈!)





艦隊の配置図の挿絵を描こうと思ったんですけど無理だった……
一応文字で打ち込んで表してみたんですけど見づらかったら消します。
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