作戦開始1ヶ月前。
準備は大詰めであり、残るは陸軍部隊の移動のみとなった。
残る移動部隊は1個師団のみであり、それに加えて進出を予定している陸軍飛行戦隊が間借りする形で各地の飛行場に1週間前に移動する。
我々が相対することになるであろう、敵戦力は1個空母機動艦隊と見積もられている。
凡その戦力は今現在のところ、空母10〜15隻、戦艦10隻、巡洋艦20隻と判明している。
空母の数がかなり曖昧なのは、我々が流した偽の情報によるものだ。
実は北海道での事があったからその脅威を排除する為に北方方面で大規模攻勢を企てている、と言う情報を流したのだ。
流石にそのまま流しては敵だって偽だと分かるから、情報を集めて精査すれば辿り着くぐらいの程度で流し続けた。
深海棲艦も、北方で負け大陸まで押し込まれたらカナダやアメリカと繋がる恐れがあることから、我々に大敗して空母も戦艦も丸々失い、防衛の目処が全く立たないことから各方面の戦力引き抜きを余儀無くされたらしい。
事実、南方方面、豪州方面、中部太平洋方面全ての方面において空母、戦艦など主力艦の数がかなり減っている。
ただし、南方への攻撃もあり得ると読まれているだろう。
どちらの方面も、通信量が増えている。
今のところ、北方方面で確認されている戦力は空母が20隻を超えると報告が来ている。
戦艦や巡洋艦を含めたらかなりの数だ。
しかしアンドレアノフ諸島の敵基地は未だ再建されておらず、ダッチハーバーに拠点を置いている。
潜水艦隊に命じてフィリピンと北方方面の通商破壊を強化している。
両方の通商破壊を強化したのは、やはりどちらが狙いか絞られないようにする為だ。
既に敵の輸送船をかなりの数を沈めており、潜水艦に限りブルネイ湾に建設されたブルネイ潜水艦基地を拠点としている。
本当なら一航艦もブルネイに移したいところなのだが出来ないでいる。
理由は幾つかあるが、最たる理由は一航艦を移すことにより、その分の補給量が増えることだ。
艦隊全体の人員数は陸軍の師団規模で、主力艦だけで10個師団に届きかねない。
軽巡洋艦や駆逐艦まで含めたら、とんでもない人数になる。
陸軍部隊と合わせたら何十万と言う数になる。
そんな補給量、今の我々には到底賄えるものでは無い。
だから本土から艦隊を前進させられていない。
補給状況は今のところは問題は無い。
海軍の新兵達は輸送船団の護衛任務によって少なからず実戦を経験済みである。
実戦経験のある無しはかなり違う。
陸軍もジャングルでの戦い方をしっかりと履修し、練度は十分。
問題は戦車が道路以外の場所での移動が制限されることだろう。
Ⅲ号やⅣ号戦車とは違い、パンターは車体そのものが大きくなったことから木々に引っ掛かる。
ティーガーと違ってパンターは超信地旋回が出来ない。
まぁ、通れると言えば通れるが、基本は道路を利用しないと足回りやエンジンに与える負荷が所要範囲内であるとは言え多過ぎて故障の原因に繋がる。
しかもどんな地形なのか、偵察である程度把握しているとは言え段差から落ちるとかしたら最悪だ。
登れるなら良いが、登れない場所に落ちたら戦車は爆破して放棄するしかない。
未開とも言えるジャングルを進軍する為に、専門の工兵隊には木々を伐採しつつ進む為のデカい丸型の電動鋸を装備したⅤ号開削機と切り倒した樹木を退かすためのⅤ号引揚機が新たに開発され配備されている。
作りは戦時で急造したのだろうなと分かる簡素なナリだが、開発にはかなりの年月が費やされている。
元々南方のジャングルを進軍するには、補給などのことも考えて十分な幅の道が必要だと考えられていた。
しかし資材が無かったことで脆い作りしか出来なかったこと、それを克服しても試作した車両が能力不足であった、などがあって配備には至らなかった。
開削機も引揚機も、色んな問題を抱えていた。
流石に回転する鋸の歯が欠けたり、外れたりして吹っ飛んでくなんて危な過ぎる。
吊り上げ自体は出来るがバランスが取れなくてひっくり返ったり、樹木の重さによっては吊り上げが出来ないとかもう散々だった。
幸い死傷者は出なかったから良いものの、実験的に配備した工兵隊からは非難轟々だった。
だから沖縄や南方方面などの防御陣地構築や鉄道建設には物凄い年数が掛かったのだ。
工兵どころか歩兵から戦車兵、砲兵に至るまで航空機搭乗員以外は根こそぎ建設に動員した、と言えばどれだけのものか分かるだろう。
しかし開発に時間を掛けたとあって能力は申し分ない。
車体のベースは部品などの互換性を考えてパンター戦車のものを流用。
砲弾や砲塔を載せなくて良い関係から重量増加は過大ではない。
一応の自衛用としてMG34車載機関銃を正面装甲部に1丁、左右に1丁づつMG42を露天で載せているが、作業中は邪魔なので取り外され歩兵が護衛している。
付けるか付けないかかなり意見が分かれたが、護衛が歩兵しか居ないことからその中で自衛時に火力を上げるならば搭載した方が良いだろう、と判断され搭載している。
開削機は円形の回転式電動鋸を1機装備している。
1両につき、4mの道を切り開ける。
2両並べれば8mになる、十分な広さだ。
引揚機は重量15tまでのものを吊り上げられる回転式のクレーンが乗せられている。
固定式なら25tまでを吊り上げられるのだが、そこまでのものとなると戦車や自走砲などしかない。
建設資材を吊り上げるぐらいならば、15tで十分と判断された。
1個独立工兵大隊には、
歩兵 2個小隊100人前後
工兵 200人程度
開削機4両
引揚機16両
大型ハーフトラック 30両
整備兵 50〜70人程度
ベルゲパンター4両
ハーフトラック6両
大体最大で370人程度が属する部隊だ。
ハーフトラックには人員の他に、必要な資材やらを積んでいる。
実を言うと、我が軍で最も機械化が進んでいるのは独立工兵大隊だったりする。
部隊の人員がどれだけ車両移動を行えるか、と言う機械化率がある。
独立工兵大隊は部隊の性質上、100%である。
戦闘団の工兵も、工兵に限れば機械化率は100%である。
配備されている車両の特殊性が高い為に専門の整備兵が随伴している。
しかし火器は精々自衛用の小銃や車載機銃のMG34、MG42、数門のパンツァーシュレック、あとは全員が扱えるパンツァーファウストぐらいだ。
パンツァーファウストやパンツァーシュレックが我が軍に多用される理由は、電池を必要としないからだ。
欧州軍の持ち込んだ技術の中にはM1バズーカと呼ばれる対戦車、対物用のバズーカもあったのだが、問題点が一つ。
電池が無ければ動作しない。
電池と言うのは小さくてもそこそこ重量が嵩む。
しかも、使用が想定されている南方方面は高温多湿で電池は腐食しやすい。
と言う事は、電池を常に補給し続けなければならない。
ただでさえ補給線はギリギリなのに、電池が加わったらより負担は増して圧迫するだけである。
しかしパンツァーファウストもパンツァーシュレックも電池を必要としない。
パンツァーシュレックは電池の代わりにダイナモで発電、点火する。
それに加えて、パンツァーファウストは大量生産が容易であり、新兵だろうが民間人だろうが大して訓練をしなくても扱える。
ついでに言っておくと型式にもよるが、10回程度は再利用も可能だ。
だから二種が選ばれたのだ。
理由も無しに選んだりしない。
理由があるからこそ、選ぶのだ。
引揚機の数が多い理由は、架橋戦車ではどうやっても渡れない川や谷がある場所に橋を架けたりする為だ。
これだけの数があれば橋などすぐに架けられる。
資材は切り倒した樹木が幾らでもあるからな。
見た目はパンターの車体に、砲塔の代わりにクレーンが乗っかっているみたいなものだ。
俺は割と好きな見た目である。
開削機は、一両だけだと作る道の幅が足りなくて2両を前後に左右にずらして走らせないとならないが、人力で道を切り開いたりするよりは遥かにマシだ。
こちらは引揚機と違い、無理矢理鋸を乗っけた、みたいな感じだ。
なんと言うか、こう、えも言えぬダサさがある。
一部マニアに人気が出るタイプだな、これは。
どちらもその性質上、出来るだけ簡略化や簡素化を施したとは言え複雑な機構を備えている。
だから専門の整備兵が付き添い、基本的に整備点検修理を交代で行わせる。
重量物を持ち上げたりなど、負荷の掛かる作業を担うから整備はおろそかに出来ない。
投入される独立工兵大隊は、4個大隊である。
主任務は、最前線で道を切り開いたり架橋を行うのが2個大隊。
後方地域で架橋や上陸地点に簡易的な港を作ったりなどするのが2個大隊。
陸軍の部隊は全て準備が完了し、あとは作戦開始を待つばかりである。
海軍は海軍の必要な残りの準備を進めねばならない。
にしても、やはり戦争と言うのは金が掛かる……。
艦1隻を維持するのにも、電力の関係で罐の火を落とすことは出来ないから、幾つかの罐を交代で常時焚いていることになる。
それだけで燃料代は嵩むし、それに加えて食事代、練時の訓練用弾薬や実弾。
艦や施設の維持費なども加わり、兵士達の給料も払わねばならない。
遺族年金だって馬鹿にならない金額だ。
そこに陸軍の分も加わるのだから、それはもうとんでもない金額である。
当然と言うべきか、国の財布を握っている財務省からは連日どうにかならないのかとせっつかれている。
どうにか出来ていたらとっくの昔に改善しているだろうに。
今はまだ、減らしても良いが、全ての奪還地域と本土を引き換えに出来るのならば、と言って押さえているが何時まで保つか……。
出来ることなら軍事費を半分程度に抑えて、抑えた金額を医療や教育、インフラ整備の為に民間に投資したいぐらいである。
今でも日本は医療、教育に関しては戦前と同様だが、やはり金が無い。
教育に関しては良いが、医療は特に酷い。
病院は軒並み閉鎖状態で、それを軍が軍病院として購入して医者などを軍属という形で雇っているような状況だ。
他の分野、製造業なども同じで鉄道に関しても以前説明した通り軍属の人間は多い。
それだけで軍の予算が増え続ける。
では何故国では無く、軍なのか?だ。
理由はその方が国にとっても軍にとっても都合が良いからだ。
軍のものにしてしまえば、防衛に関して一々面倒なやりとりを挟まなくていいし、金勘定が楽である。
それに国家存亡どころか、人類の存亡を掛けた戦争中だ、軍の予算だと、そうしておいた方が議会を納得させやすい。
金が絡む書類を見ると、兎に角溜め息を吐いて頭を抱えてしまう。
海軍基準ではあるが、参考程度だとこれぐらいの金が必要になる。
一番分かりやすい、と言うか誰もが知っている大和型戦艦で例えよう。
既に大和と武蔵の分の予算は、とっくの昔から海軍予算案に浮揚作業分と修理作業分予算が毎年組まれており、修理が終わって訓練が始まったら更に維持費等が掛かり続ける。
ここでは面倒なので信濃も纏めてしまおう。
大和、武蔵、信濃の3隻は停泊しているだけで1日辺り50〜60tの重油を消費する。
これは艦内に電力を供給する為のものである。
今の日本の物価は1円辺り、戦前の約700倍。
算出した値に700を掛ければ、戦前の値段が出る。
これを踏まえた上で、これから記される金額は戦前の物価の凡そ全て2倍程度になると思っておいて欲しい。
ただし、あくまでも全て軍のみのもので民間のものではない。
石油の値段は現在1t辺り、300〜400円。
その時その時で上下するので余り正確では無いが、平均的な値であれば340円と言ったところか。
1日に消費される最大値である60tで考えると2万400円。
年間で約750万円も掛かる。
それが3隻分で、約2千2百5十万円。
次に艦の維持費だ。
艦体
約180万円
機関
約16万円
砲熕(主砲、副砲、対空砲、機銃等の火器全般)
約450万円
水雷
約10万円
航海
約50万円
電気
約130万円
無線
約100万円
約936万円。
信濃は戦艦ではなく、46cm砲や副砲を搭載していないから砲熕が除外されたり、各部の金額もかなり変わる。
とは言え空母に必要な専門の装備などもあるので結局のところ、値段は余り変わらない。
3隻で大体2600〜3000万円は掛かる。
因みにであるが、水雷、と言うのは水中聴音機や水中探信技儀などの事である。
決して魚雷だとかではない。
魚雷を載せていたらこれぐらいでは済まない。
なんせ酸素魚雷の維持などにはとんでもない金額が掛かるからだ。
燃料費と維持費を合わせると3隻で約5300万円。
ただし、ここに作戦行動をとった場合の燃料は含まれていない。
満載時6300tを換算し、半分の3150tの補給を1回受けたと仮定する。
合計で9450t、約321万円ぐらいだろう。
3隻で約963万円。
これを合わせたら約6263万円。
戦前の価値にして約440億。
これだけで地方都市一つぐらいなら賄える。
そこに人件費が掛かる。
司令部を乗せるか乗せないかで上下するが、司令部を乗せた場合乗組員の人数は大和、武蔵が約3400名。
信濃は3000名ほどだ。
准士官までの人員を除くと、大体3200人が大和型戦艦には乗り込む。
大体一番多い曹長から二等兵までの下士官や兵卒の給料は以下の通り。
曹長約300人
1等75人
1800円(126万円)
計13万5000円(9450万円)
2等75人
1680円(117万6000円)
計12万6000円(8820万円)
3等75人
840円(58万8000円)
計6万3000円(4410万円)
4等75人
768円(53万7600円)
計5万7600円(4032万円)
軍曹約350人
1等150人
720円(50万4000円)
計10万8000円(7560万円)
2等100人
624円(43万6800円)
計画6万2400円(4368万円)
3等100人
552円(38万6400円)
計5万5200円(3864万円)
伍長約800人
580円(40万6000円)
計46万4000円(3億2480万円)
兵長約800人
372円(26万400円)
計29万7600円(2億832万円)
上等兵約800人
252円(17万6400円)
計20万1600円(1億4112万円)
二等兵約400人
216円(15万1200円)
計8万6400円(6048万円)
計588万3200円(41億1824万円)
1隻辺りの人件費だけでこれだけの金が掛かる。
3隻分になると、123億5472万円。
これに士官以上の階級者分が加わるのだ。
尋常じゃない。
維持費と燃料費、人件費の3項目を合わせたら563億5472万円にもなる。
ここまでの金額ならば地方都市の予算、都市によってはお釣りが来る。
大和型戦艦の主砲弾を1発撃つのに装薬などを含めて約2000円(140万円)掛かる。
長門が約1400円(98万円)であることを考えると1.4倍の値段が掛かる。
燃費の話もしよう。
まだ大和が試験などを終え、実戦配備をされていないから改装前の各艦と大和で比べるが、許してほしい。
空母 赤城 0.395t/km
空母 瑞鶴 0.223t/km
戦艦 大和 0.262t/km
戦艦 扶桑 0.233t/km
戦艦 金剛 0.349t/km
巡洋艦 利根 0.145t/km
巡洋艦 長良 0.135t/km
駆逐艦 陽炎 0.067t/km
駆逐艦 朝潮 0.068t/km
実を言うと、皆から燃費が悪い悪いと言われたりイメージを持たれたりするが、大和は燃費が悪い、と言うわけでは無い。
寧ろ他の大型艦と比べても大差無く平均的、それどころか寧ろ良い方、と言ってもなんら問題無い。
朝潮型の排水量は2000t程度しかなく、72000tもある大和の約2.77%しかない、
排水量、要するに船の重量が大和の2.8%しかない朝潮型が、同じ距離をほぼ同じ速度で航行するのに大和の26%もの燃料を消費する。
赤城の燃費に至ってはなんと大和の5割増し。
皆曰く、艦娘の赤城も馬鹿みたいな大食らいだったらしいがうーむ……。
金剛は大和より約33%は高燃費。
金剛の排水量は大和の半分程度しかないのに、である。
このことを考えれば、大和の燃費がわりかし良い方である、と言うのは明らかだ。
いずれにせよ、莫大な金が掛かるのは間違いない。
海軍と陸軍を合わせたら、恐ろしい金額だ。
提出される書類に書かれている金額を見るたびに性根が庶民だから、頭が痛くなる。
どうやって軍事費を減らすか、頭の痛い問題だ。
しかし多分、戦争が終わるまでは無理だろうなぁ……。
欧州奪還なんてしようものなら膨れ上がるのは目に見えているし、減らすどころか増加するばかりだ。
勝利の為に奪還地域が増えるのは望ましいことだが、奪還をどんどん推し進めていないのは、金と言う問題があるからだ。
戦力不足以上に金が無いのは問題だ。
世の中は基本、資本主義である。
どれだけの大兵力を有していたとしても、金が無ければ武器兵器を作ることも出来ない。
何をするにしても、結局金が無ければ何も出来ない。
奪還地域の維持にも莫大な金が掛かる。
それは艦隊を維持し運用していく以上の金額が発生する。
だから下手に奪還地域を増やしたくないのが事実だ。
奪還するにしても、場所を選ばねばならない。
戦略的に奪還する価値があり、尚且つこちらに利益を齎し受けた損害などを補える場所でなければならない。
我々の問題点として、確かに兵站が弱いだとか金が無いだとか色々あるが、何よりも問題なのは戦争を行う上で協力者が居ないことだ。
もっと簡単に言うなら、共に戦える存在がいない。
だから奪還も最優先であるが、何よりもまずは協力者、共に戦える存在を作ることが課題だ。
それを考えると、まずもって隣の国々は役に立たない。
それどころか敵対の可能性すらある。
実際、戦争が始まった初期の頃は事実上の紛争状態になったのだから。
戦争に発展していたら、間違いなく深海棲艦との戦いよりも先に人類同士の戦いで人類は、世界は滅んでいただろう。
そんな国々と共同戦線を構築することなど、少なくとも無理である。
しかも大陸に攻勢を開始したら常に陸続きで、敵と陸続きの前線を守り続けねばならない。
補給線は伸びるだけであり負担は重く、得られるものと言えば南方方面で賄える資源ぐらいでそれ以外は何もない。
となれば大陸への攻勢はまず有り得ない。
様々な問題に、頭を悩ませつつ解決策を探し、一つ一つ潰していく。
銃を持って戦えない俺には、それが唯一出来ることだからだ。
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作戦決行日。
艦隊全てが罐の火を入れ終え、出港準備が整っている。
やはり出港は夜間になる。
昼間と違って夜間は視界が効かない分、それだけ悟られにくい。
「提督、三航戦から入電」
「読み上げろ」
「敵潜探知セズ。航路ノ安全確実ナリ。以上です」
「分かった。飛龍、艦隊の状況は?」
「準備万端、何時でも出港出来るよ」
飛龍の返答を聞いて、頷く。
「艦隊抜錨。第一護衛艦隊、一航戦、二航戦の順で出る」
「了解」
出港のラッパが第一護衛艦隊から鳴らされ、次々と豊後水道に向けて出ていく。
続いて我が一航戦が出港し、二航戦が出港する。
戦闘が厳しくなると予想され、各個撃破を避けるために第一護衛艦隊と敵艦隊を撃滅するまでは行動を共にする。
沖縄沖で輸送船団と合流し、第一護衛艦隊と輸送船団を一航艦の後ろに就ける。
敵艦隊の撃滅が終了したならば、すぐさま上陸を開始し、第一護衛艦隊はカリマンタン島へ第一次第二波上陸部隊の輸送船団を迎えに行く。
一航艦は到着までの間、第一次上陸部隊の支援を行い上陸が終わったら速やかに沖縄へ陸軍部隊を迎えに行く。
その間第一護衛艦隊は上陸支援を行い一航艦が第二次第一波上陸部隊を連れてくる。
それを繰り返すのだ。
豊後水道を艦隊が抜け、宮崎県沖に到達すると艦隊陣形を組み替える。
「艦隊輪形陣」
「艦隊輪形陣、宜候」
空母を中心とし、その周りを戦艦、重巡が囲んで更に周りを軽巡、駆逐艦が囲む。
「艦隊輪形陣に変更完了。全艦異常無し」
「艦隊進路240」
「進路240、宜候」
命令を下し、艦隊の進路がフィリピンへ向けられた。