マリアナ諸島への作戦発令が決定され、実施時期は半年以内とされた。
この間に各方面に展開していた連山を一度本土へ戻し、硫黄島、パラオ、コロニアへの再配置が行われている。
理由は噴進爆弾を運用出来る部隊が彼らだけだからだ。
生産だけで無く機体の改修も順次進められているが、それでも纏まった数を新しく配備するにはどうやってもマリアナ諸島奪還作戦までに間に合わないから配置転換をする他無いのである。
硫黄島とパラオ、よりマリアナ諸島に近いコロニアへの物資備蓄も進められている。
この3島が作戦の要、連山の前線拠点、補給拠点となる訳である。
硫黄島には陣風2個飛行戦隊、連山60機が配備されている。
パラオには艦隊の補給に必要物資を載せた輸送船が数十隻待機しており、マリアナ諸島近海で作戦行動を行う艦隊に必要とあればすぐさま補給が可能な体制を整えている。
連山240機が配備され、マリアナ諸島に対する爆撃の主力を担っている。
コロニアには島の南部に飛行場が置かれ、防空用に陸軍2個飛行戦隊と連山が120機配備されている。
他にもコロニア港の周辺には陸軍向けの物資が急増された多数の倉庫に大量に積まれている。
ここが陸軍への補給拠点となる。
トラック諸島にも連山180機が各島にある飛行場に分散配備されている。
トラック諸島の飛行場は戦闘機を展開するには十分な大きさだが、纏まった数の連山を1か所の飛行場に配備するには不十分な大きさだ。
だからウェノ島、ポル島、トル島、フェファン島の4島に分散配備されている。
ウェノ島には一番大きな飛行場があり2個飛行戦隊、他の3島に1個飛行戦隊が配備されている。
他にも陣風を装備する陸軍飛行戦隊が8つ、300機ほどが配備されている。
水上機基地には哨戒用の二式大艇がある。
トラック諸島は文字通り、陸海軍にとって中部太平洋上の最重要拠点として整備されつつある。
今のところ、計画されているのはウェノ島とトル島に入渠ドックを備えた工廠を建設する計画があるが、時間などの問題もあるので建造中の浮ドックを配備する計画とどちらが良いか検討中だ。
パラオには輸送船だけでなく、修理や摩耗した砲身交換なども行えるように工作艦も4隻待機している。
八幡型工作艦と呼ばれる4隻はイチから新しく設計した特務艦である。
大元の設計自体は戦時急造型輸送船のものを流用しているが、異なる点が幾つかある。
まず全長が違うことだ。
通常の戦時急造型輸送船は、兵員輸送型であれば全長180m、搭載能力は人員2500名と個人装備類一式纏めて一度に運ぶことが出来る。
しかし工作艦4隻は全長が230m、全幅35mと海軍の中でも中々に大型の部類になり、空母や戦艦などに匹敵する。
勿論大型化した理由もある。
各戦艦の主砲身交換を前線でも可能にする為であるのと、その為の格納庫や他の修理、改装等を随時前線で行えるように、各種工作機械などを載せる為だ。
元々巡洋艦ぐらいの主砲身ぐらいまでならばどうにか前線でも交換が可能であったが、流石に戦艦ともなると日本本土に戻るか各地の工廠でしか交換が出来なかった。
これでは不便な為に、工作艦にその能力を付与したわけである。
それでも工作艦が2隻いないと主砲身の交換は出来ないが、前線で出来るのと出来ないのでは全く話が違う。
ローテーションを組んで、1〜2週間は掛かっていたのが1日あれば交換が修理し、戦線復帰が可能となるのだ。
艦中央部は露天作業場で、大型クレーンが2基、中型クレーン2基、小型クレーン2基の計6基を備えている。
対空兵装を艦首付近に40mm4連装機関砲を2基、艦橋横と艦橋の左右に25mm3連装機銃と20mm4連装機銃を2基づつ、同単装を2基づつ。
艦尾付近に40mm4連装機関砲を2基、25mm3連装機銃と20mm4連装機銃を2基づつ。
同単装を2基づつ。
武装はこれだけで、艦内甲板全てを含めて残りは全て工作機械が占めている。
1番艦 八幡
2番艦 下瀬
3番艦 来栖
4番艦 宇治
5番艦 大垣
6番艦 三島
7番艦 桐生
以上が各地で任務に就いている。
今回は2、3、6、7番艦をパラオに集めたわけだ。
工作艦の他にも浮ドックが建造中である。
こちらが就役すれば工作艦をより柔軟に運用することが出来る。
全長320m、全幅60mにもなる。
内側のレールにガントリークレーンを備え、外側のレールには通常のクレーンが左右に2基づつ計4基が備えられる。
戦艦、空母の修理も可能であり、特に艦隊における数的主力たる駆逐艦に至っては丸々6隻を同時に修理可能となっており、大破しても即座に浮ドックに入れ、修理、戦線復帰が可能となる。
改装にも対応出来るし、機関部の入れ替え、と言うような大規模な修理や改装でも工作艦と連携することで可能になる。
とは言え流石にそこまでの修理となったら普通に各地の工廠でやった方が効率は良い。
海軍の中でも特に重要な戦力になるのは間違いない。
1隻が訓練中、もう1隻が艤装中、もう1隻が建造中であるが、訓練中の1隻は早ければ今年中に、もう1隻は来年春頃には任務に就く事が出来る予定だ。
建造中の1隻も特に問題が起きなければ来年の10月初めには就役し再来年2月初頭には前線配備となる。
前線と言っても、実際に配備されるのは後方の泊地が主になる。
所属としては補給艦隊の扱いになる。
移動の際に護衛の都合が付き易いからだ。
自走も可能で最大15ノットを発揮出来るが、他に比べて遅いので、前線に送られる手順としては以下の通りになる。
我々が制海権、制空権を確保した後に補給艦隊が投錨地などに拠点構築、その後、補給艦隊と共に護衛艦隊に守られながら前線へ赴く。
こうでもしないとデカくて遅く、しかも工作に能力を殆ど振り向けているから自衛火器は殆ど無い、と言う格好の的にしかならないのだ。
それに自衛火器と言っても40mm4連装機関砲が四隅に1基づつの4基、37mm、25mm、20mmの単装機銃が片舷に2基づつしかなく、対潜装備はもちろん無い。
だから他者から守ってもらう事が前提の艦なのだ。
南洋作戦で消費し尽くした噴進爆弾が新たに大量投入が予定されている。
しかし相手は堅牢な地下要塞を多数要するのだから前回の作戦の比では無い消費量となるだろう。
それにしても、今までデカいのと数があるだけで最低限維持されていただけの硫黄島飛行場が活用される日が来るとは思ってもいなかった。
マリアナ諸島奪還に向けてと、本土防空の要たる硫黄島は飛行場を拡張したは良かったが、電探基地を設置して守備隊を置いただけで終わっていた。
作戦前に配備されていた航空機と言えば、連絡用と人員輸送用に連山4機、哨戒用に二式大艇12機と言う、飛行場の規模に比べて余りにも小さなものだった。
実際硫黄島の役割は重要で、本土防空における要衝中の要衝ではあるのだが、電探基地と哨戒戦力、防衛用の陸軍部隊さえあればそれだけで戦略価値があるので態々大量に航空機を配備して補給量を増やす必要までは無かったのだ。
陸軍の守備隊が2個師団4万名ちょっとに加えて野戦重砲連隊1万名と独立工兵大隊が1つがあるが、その殆どは防御に重点を置いた編成で積極的攻勢は想定していないものになる。
硫黄島守備隊に限らず各地の守備隊の目的は救援が来るまでの間を兎に角持ち堪える事だ。
守備隊の性能的にはパッシブディフェンスに能力の殆どを割り振られている状態でアクティブディフェンスと言えば万が一の戦車戦に備えてティーガーⅡが1個大隊とそれに追随する為の機械化歩兵が400名ほどなのだ。
とは言え硫黄島と言う小さな島で戦車戦が起きるとは考えにくい話ではあるが。
敵が来襲するとなればまず間違いなく爆撃で飛行場は無力化されると想定されており、そこに多数の航空機を配備するのは戦力と資源、時間の無駄と割り切っての措置だ。
それでも大規模な飛行場が建設されたのには、先ほども言った通りマリアナ諸島奪還作戦が発令されるかもしれないと言うのに加え、中部太平洋に対する睨みを効かせる為だ。
どうなるか分からないが、前線基地として好立地だし一応造っとこう、と言うのが実際のところで、実際に使われるかどうかは怪しいと言うのが陸海軍双方の認識であることは間違いなかったのに、そこにまさかまさかであるから、誰もが建設しておいて良かったと胸を撫で下ろしているのである。
『提督、入っても宜しいですか?』
「構わん、入れ」
「失礼します」
報告書を持って榛名が入って来る。
届いた報告書を受け取るように頼んでいたから、各方面から届く書類を抱えている。
厚さは1cmにもなる量だ。
「連山部隊の再配置が全て完了しました。備蓄状況は8割と言ったところです」
「予定通りだな。陸軍の方は?問題無く準備は進んでいるか?」
「パラオに行われた爆撃によって弾薬輸送船が1隻沈みましたが、代わりを手配しました」
「周りの船に被害は?」
「離れた位置に投錨していましたので、破片が飛び散り軽微な被害を被った輸送船が何隻か。そちらも工作艦によって点検、必要な艦は修理済みです」
「それなら良い」
泊地や港、投錨地では弾薬輸送船とタンカーは積載物がある場合、他の船舶や艦艇から最低2kmは離れた位置に投錨、停泊するように決められている。
数千t、数万tにもなる大量の燃料、砲弾薬や装薬、爆薬を積んだ船が炎上すれば、誘爆は免れない。
その際に近くに他の艦艇がいると被害が拡大してしまう。
タンカーが被弾炎上となったらもっと悲惨になる。
爆発でもすれば火が付いた燃料を爆発で周囲に撒き散らすのだ、上からそんな燃えている燃料を被ったら消火など望めないだろう。
そういった事態にならないように、給油や給弾の際を除いて他艦艇から距離を取って停泊させるのだ。
海中に落下した砲弾薬も爆発すれば危険なので、工兵隊が爆薬を仕掛けて吹き飛ばす。
タンカーが沈んだ場合は速やかに流出した燃料を回収させる。
マリアナ諸島の各島に築かれた地下要塞は堅牢極まり無く、全く今までと同じように上陸すれば陸軍の被害は計り知れない、それこそ作戦そのものを中止する事になり得る。
煙幕で遮ると言う手法も、結局はその場凌ぎでしかなく、事前に射撃諸元を出しておいて、そこに撃ち込めば煙幕の効果も著しく低下する。
戦艦による艦砲射撃も分厚い岩盤に阻まれて、徹甲弾でも中々効果は出ないだろうし、かと言って英軍が欧州から逃げてくる時に持ち込んだ馬鹿みたいな大きさの爆弾なぞ、重過ぎて連山含めて搭載出来る航空機は無い。
開発するにもそんな余裕も時間は無いし、ましてや資機材も無い。
今はあるものでどうにかするしかない。
ーーーー side 浜根 ーーーー
左右に首を振ると、特徴的な濃紺と濃緑色の迷彩塗装が施された連山200機近くが重層編隊を綺麗に組んで飛んでいる。
第15爆撃隊の部隊指揮官である自分でも中々見ることが無い光景で、とても力強い光景だ。
飛行場の規模と数がもっと大きければ、もっと数を集められるんだが、生産能力も考えたらこれが限度だろうな。
以前の濃緑だけの迷彩は、陸地の上空なら良いが、海上だと逆に目立って敵機から視認されやすいと言う致命的な欠点があった。
そこで新しく、濃緑色に加えて濃紺を加えた迷彩を新しく開発したと言う。
機体下面は今まで通り、下側から上空に紛れられるように明灰白色で塗られている。
今回は硫黄島、パラオ、コロニア、トラック諸島からの一斉出撃、同時攻撃になる。
これは敵機の迎撃を分散させる為で、爆撃で敵飛行場を無力化したら、各地の待機している連山が時間差を開けて続く。
私達も明後日に再出撃の予定が入っており、それを10回ほど予定されている。
4機1小隊が縦に3つ並び、1中隊を構成しそれが横や縦に並んでいる。
合計15中隊、180機。
指揮下にある6個大隊の内の5個大隊を率いての出撃だから、殆ど全力出撃のようなものだ。
マリアナ諸島に対する爆撃の1番槍を任されたのが我々で、作戦初動の要と言える光栄なことだ。
連山の翼から、1基辺り2600馬力を発揮するエンジン4基が轟音を上げながらプロペラを回している。
高度6000m、エンジン快調、各種計器に異常は無し、往復10時間の旅路だ。
「少将、そろそろ昼食にしましょう」
「そうするか。田島、先に食っていいぞ」
「良いんですか?ありがとうございます、お先に頂きます」
副機長の田島大尉に先に食事を摂らせる。
連山には私を含めた操縦士が2名、通信手兼衛生兵1名、爆撃手1名、電探手1名、航法手1名、機銃手6名の計12名が搭乗している。
交代で食事を摂らせ、自分も田島大尉と交代して操縦席の後ろに下がる。
「お疲れ様です、機長の弁当箱はあちらに」
「ありがとう」
爆撃手の飯田が指差す棚には、俺の名前が書かれた出撃前に持たされた弁当が置いてある。
12名分の食事を入れておく為の保冷箱や保温箱に纏めて入れられ、食べるときに取り出して食べるのだ。
連山も最近は乗り心地がとてもよくなった。
以前に比べて長距離飛行長時間任務が当たり前になってきたことで、連山には狭いながらもトイレが備え付けられているから便意を我慢しながら飛ばなくて済む。
以前の連山に乗っていた頃は便意を我慢し過ぎて膀胱炎と便秘になって暫く待機命令が下ったこともある。
酷い奴だと尿道結石になって病院に担ぎ込まれて手術した奴もいるぐらいだ。
その点、こういうのはとても有難い。
連山が正式採用される前から一式陸攻や銀河など幾つもの爆撃機に乗って来たが、連山の乗り心地は別格だ。
一式陸攻や銀河は高度を取れば取るほど寒さに耐えながらの飛行だったが、連山は機内も与圧されていて温度が保たれて薄着でも寒くない。
食事も充実しているし、便意との戦いをしなくても良いし、仮眠用の折り畳みベッドもある。
こういったものを必要だと認めて装備の為の改修を許可してくれる提督には感謝せねばならんな。
「おっ、今日は巻き寿司か」
6本ほどの直径3cmの巻き寿司が入っている。
具材はそれぞれ別で、味もしっかり楽しめる。
具材を見てみると、赤身の魚やきゅうり、卵焼きと様々だ。
航空機搭乗員で良かったと思う点の一つがこの出撃時に渡される弁当の豪華さだな。
鮪の巻き寿司を一口齧ると、鮪の美味さと海苔の風味、米の味が口の中全体に広がる。
キュウリの巻き寿司も、キュウリの歯応えと音が気持ち良い。
卵焼きは甘い味付けで思わず笑みが漏れてしまう。
しょっぱい味付けの時もあるし、全く飽きることが無い。
ちゃんと醤油も小さなボトルに入れられている。
飲料はラムネが各人2本づつあるので、1本開けて飲みながら食べる。
これから戦地に向かうとは到底思えない様子だが、恐らく敵機の盛大な歓迎を受けることになるだろう。
撃墜されれば、死ぬ可能性もあるのだから全員覚悟は出来ている。
機体には脱出した際のサバイバルキット、小さく折りたたまれている救命ゴムボートが載せられているし、全員必ず脱出用パラシュートを装備させているが爆散したら意味は無い。
墜落するときの角度や速度、ロールしたりしていたら脱出も難しい。
「今日の弁当は大当たりでしたね」
「あぁ、作戦前に補給艦隊が入港していたから、その時に運ばれて来たんだろうな」
補給艦隊様様だ。
どこぞの誰かが補給艦隊は全軍の女神とか言っていたが、あながち間違いではないな。
特に間宮さんが来た時にだけ買えることの出来る菓子類と来たらもう、買えなかったときの気分は絶望の一言に尽きる。
食べ終えたら手を合わせ、操縦席に戻る。
空には何も無く、雲が遠くにちらほらとある程度。
そんな良い天気でもグアム島に近付くにつれて、徐々に緊張感が高まって来る。
航法にミスが無ければ、グアム島まで500kmの位置になる筈だ。
「全機周辺警戒厳、電探点け」
各機に装備されている電探の探知距離は50km、編隊の前後左右を進む警戒機は爆撃能力は無いが早期警戒管制機としての性能を求めたものであるから探知距離は我々の機体よりも遥かに長い。
暫く進んでいると、警戒機から無線が入る。
『敵機接近、前方130km、機数100機、高度5000、時速450km』
「全機敵機接近、戦闘用意!」
すぐに機内の空気が張り詰めた。
20分ほど進むと、敵機に1000mほど高度優位を奪われた状態で敵機が襲い掛かって来た。
敵機の発射炎や、連山の防御火器である20mm機銃の敵よりも幾分か大きな発射炎があちらこちらで起こる。
私の機体にも、敵機が襲い掛かって来る。
敵の銃弾が機体を叩く嫌な音が連続して聞こえる。
続けてもう2機が右斜め前から突っ込んでくるのが見えた。
「山田、石畝、右斜め前1時方向敵機!」
機体前方上部と下部にそれぞれ備え付けられている20mm連装機銃を操る2人に伝えると、少し遅れて旋回し終えた機銃が敵機に向かって射撃を始める。
ぱっと見た感じ、敵機に命中弾があった様に思えたが、キャノピーにも数発命中し、防弾ガラスに蜘蛛の巣のようなヒビが入る。
「敵機の機種は分かるか!?」
『P‐51とF6Fが半々ぐらいです!』
機体後方の機銃に就く根岸が答える。
どちらの機種も12.7mm機銃だが、なんせ撃ってくる弾数が多い。
連山の防御力は20mm機銃を想定しているが、12.7mm弾でも大量に撃ち込まれれば結果は同じだ。
会敵から10分、ついに撃墜される連山が出た。
あれは、4大隊の佐々木機だ。
古株の機長に率いられた機で、実戦経験が豊富な男達が乗っていた。
敵機の攻撃を受けて撃墜される機体が何機か出ると同時に、爆弾を捨てて引き返す機体や不時着水をする旨を伝えて高度を下げていく機体もある。
苛烈な迎撃を受けつつ進軍し続けると遠くにグアム島が見えてきた。
上空に侵入すると、敵機が離れていき、代わりに対空砲の苛烈なお出迎えが始まった。
あちこちで敵弾が炸裂し、破片を撒き散らし、機体を破片がカンカンと叩く音がする。
するとその内の1発がどこかの機に直撃し、搭載していた爆弾に誘爆したのか凄まじい爆発と炎で周囲の連山を何機か巻き込みながら爆散していった。
何処の機かは確認している余裕は無い。
今は自分達が爆弾を投下して任務を達成し、そして生き残る方が重要だ。
「教導機、敵飛行場に照準合わせ!各機は教導機に続く!」
『了解!』
「爆弾倉開け、投弾用意!」
駆動音と共に爆弾倉が開かれ、中に収められた対地爆弾や焼夷弾が投下されるのを今か今かと待ち侘びている。
『投下、投下、投下!!』
爆撃手が声を上げると同時に、爆弾が地上目掛けて落下していく。
4t分の爆弾が一気に無くなったことで、機体が軽くなりふわっと持ち上がる。
それを抑えて、暫く直進した後に、旋回して戦果確認を兼ねながらパラオを目指す。
どうやら上手い事敵飛行場に爆弾の雨が降り注いだらしく、滑走路やその周辺から黒煙が上がり、燃料か爆弾、機銃辺りに誘爆したのか派手に燃え盛っている場所もある。
道中で集計した結果、撃墜されたのは27機、撃破判定となったのは31機。
合計で58機を失うことになり損害も大きかったが、戦果も十分だろう。
パラオに戻ったらすぐに報告書を書く。
搭乗員は爆散した機とそれに巻き込まれた2機を除いて、全員が無事に二式大艇に救助されたと聞いて安心した。
重軽症者も多数いたが、死ぬよりかは遥かにマシだ。
翌日、被害が拡大した要因を護衛戦闘機が無かったから、と通達が来ると同時に2日間攻撃を中止、戦力の補充に専念せよと通達が来た。
出だしから若干躓いた気がしなくも無いが、連絡機が沖縄経由で飛んでくると中止になった理由が分かった。
どうやら提督が護衛戦闘機を就ける為に空母を手配してくれているらしい。
どの空母が来るかは分からないが、30機でも護衛戦闘機が就くのなら有難い。
ーーーー side out ーーーー
マリアナ諸島に対する準備攻撃は前もって開始されている。
先ずは焼夷弾に若干の通常陸用爆弾を混ぜて絨毯爆撃によって島々を焼き払うことから始まった。
ジャングルに覆われていては正確な敵情の把握は出来ない。
ジャングルを焼き払ったらば、露出した敵陣地や砲陣地、隔壁に隠された各種重砲などを噴進爆弾や200番爆弾で叩く。
十分な効果は望めないかもしれないが、ある程度の効果は見込める。
1週間も続けていると、焼夷弾によって焼き払われた島々は緑が完全に失われ、土が剥き出しの茶色の禿山状態になっているのが航空偵察写真で簡単に分かった。
写真はまずモノクロ写真で撮影され、機械処理や人の手によってカラー化される。
ただ単純にモノクロ写真なだけよりも、時間と金は掛かるがカラー化された写真の方が作戦を進めるのに都合が良い。
陸軍や陸戦隊には各小隊長クラスにまで写真が配られ、どのような状態であるのかが分かるようになっている。
地図だけよりも、互いに照らし合わせることが出来るから、これがあれば南方作戦の時などジャングルの中で1週間も迷う部隊が出るなんてことも無かっただろう。
マリアナ諸島に対する爆撃は順調に進んでいる。
当初は敵機による迎撃もあって撃墜される連山もあったが、葛城、阿蘇の2隻を派遣して護衛戦闘機を就けたり、潜水艦隊による敵艦隊攻撃や輸送船狩りを続けた結果、敵機の活動は小さくなり飛行場は復旧されなくなった。
どうやら飛行場の復旧に労力を割いても無駄だと判断したらしい。
問題は敵艦隊の動向が今回も分からないことだ。
敵艦隊に対して噴進爆弾による3波の攻撃を仕掛けたところまでは良かった。
空母や戦艦は狙わずに巡洋艦以下の艦艇を狙うように指示してあった。
元々大型艦に対しては噴進爆弾は貫徹力不足で効果が薄いと分かっていたし、特に戦艦相手には精々上部構造物を破壊できるぐらいの貫通力しか無い。
だから狙っても意味が無いとしたのだ。
勿論それ以外の艦艇にはかなりの大打撃を与えたし、実際に戦果確認の為の偵察ではサイパン島のラウラウ湾やテニアン島、グアム島近海に幾つもの黒煙が立ち上っていた。
恐らく駆逐艦や巡洋艦あたりの防御力だと噴進爆弾の破壊力には耐えられずに撃沈となったか、或いは被弾炎上中であったのだろう。
それで損害を与えると艦隊を置くのは宜しく無いとしたのか近海から全く姿を消したのだ。
順当に考えれば、ハワイ諸島方面に移動したのだろうが今の段階ではどこに行ったのか分からない。
偵察は続けているが、航空偵察では航続距離が足りないし、潜水艦隊は時間が掛かる。
もし再度敵艦隊が出てきても良いように、準備は整えておかねばならない。
作戦準備が整い、出撃した艦隊がグアム島沖に並ぶ。
戦艦は主砲を島に向けており、いつでも砲撃を行えるように備えている。
「改めてこれだけの艦隊が並んでいると、壮観だな」
ポツリと漏らし、窓の外を眺める。
主力たる第1機動艦隊がグアム島沖に大挙して並んでいるこの光景と言うのは、やはり圧倒される光景だ。
今は連山が煙弾を投下し、上陸地点であるグアム島ポリロック湾近辺を煙幕で覆っていく。
続いて戦艦、巡洋艦、駆逐艦達が前進し、次々と砲撃を開始する。
「艦砲射撃開始しました」
「敵からの反撃はあるか?」
「今のところは何の反応もありません。このままで進めば良いのですが……」
「敵だって海岸線での防御なんぞ意味が無いことぐらいは今までの戦訓で十分に理解しているだろうさ、内陸部に全兵力を集中させているんだろう」
北部は平坦で、あまり防御には適していないが、上陸地点があるグアム島中央部から南部かけてには小高い山々が多数連なったりして存在している。
敵はここに戦力を集中して、こちらの攻撃を弾き返そうとしている。
1m厚のコンクリートがあれば、たとえ大和や武蔵による砲撃でも徹甲弾を使って尚且つ直撃させなければ破壊は出来ない。
だったら辺り一帯丸ごと三式弾で焼き払う方がまだ良い。
或いは航空機で直接叩くぐらいだ。
丸々3日間の煙弾を混ぜた砲爆撃を加え、僅かに残っていた木々も全て焼き払われた。
「陸戦隊の第1波が出撃します」
砲撃と煙弾、そしてロケット弾と爆弾をぶら下げた陣風、流星の支援を受けながら大発が並んで海岸に突っ込んでいく。
先に歩兵が上陸し、海岸堡を幾らか確保したらすぐに輸送艦が突っ込んで戦車や自走砲、対空戦車など重装備を上陸させる。
付近の機雷や地雷は全て除去してあるから心配は要らない。
双眼鏡を覗くと、やはり排除しきれなかったか、或いは新しく布陣したのか敵からの攻撃を受けている。
大発に向かって撃たれた砲弾が海面を叩き、水柱を何十本も乱立させるが煙弾によって視界を遮られているおかげで1発も大発を捉えることは、幸いにして無かった。
発砲炎に向かって陣風がロケット弾や爆弾を落とし、地面から爆炎と土煙が上がるとすぐに攻撃は収まった。
『第1波接岸!!』
陸戦隊と繋がっている無線から報告が入る。
双眼鏡を覗くとタラップを下ろした大発から陸戦隊員が次々と走り出て、遮蔽物に隠れていく様子が見える。
陸戦隊員達は皆軽装だ。
背嚢などは背負っておらず、個々人が身に付けている装備と言えば鉄帽と小銃に装填された弾倉1つ、予備弾倉6つの計7つ。
弾倉入れをぶら下げた弾帯をベストからぶら下げ、ベストには他に水筒と携帯円匙、救急ポーチ、それに1日分の食事が入ったポーチが付けてある。
軽機関銃の場合は射手が機銃を持ち、弾薬手が2人付いて自身の装備に加えて250発の弾帯が入った弾薬箱を2つづつ、装填された分を合わせて計1250発持つ。
陸戦隊員の装備はこれだけで、より長い時間を戦わなければならない場合など、それ以上の物資は接岸した輸送艦や大発が運び、直接受け取る。
上陸戦時は特に無防備かつ敵から狙われやすい。
海岸線、上陸に適した場所は遮蔽物が無い事が殆どだ。
背嚢やらを背負ったりしていては迅速な行動が出来ない。
ましてや、場合によっては舟艇を捨てて海に飛び込まねばならない場合もあるが、そんな時に余計な装備を身に付けていたら溺死待った無しである。
そこで取り敢えず上陸時に戦えるだけのものを持っていれば良いと割り切った訳である。
本格的な地上戦は陸軍に任せているし、陸戦隊は何度も言うように上陸戦専門、その時だけ全力で戦えれば良いのだ。
丸々2個連隊の歩兵が一斉に海岸に上陸している様は中々見られるものでは無い。
陸戦隊員を載せた大発動艇が100隻、波間を掻き分けて変わる変わる砂浜に乗り上げては兵士達を下ろしていく。
第2波は戦車や自走砲、迫撃砲などの重機材を載せた輸送艦だ。
海岸に向かって突進していく。
「第2波、出撃します」
艦橋の皆は固唾を飲んで見守っている。
幾らか抵抗はあったが、損害は無く無事に重機材の揚陸が開始されたと報告が入る。
「取り敢えず、これで一段落か……」
艦橋の中は、俺を含めて皆が安堵のため息で満たされた。
3時間ほど戦闘が続き、海岸から1kmほどを陸戦隊が確保し、物資の揚陸が開始される。
するとあちこちから敵兵が突然現れ、混乱状態に陥った。
『地下から敵が現れました!くそ、連中全く損害らしい損害を喰らってない!!』
『敵の抵抗がかなり強い、後退許可を!』
「提督、どうされますか?」
「海岸線から500mまでへの撤退を許可する。陸軍師団の揚陸準備を急がせろ」
3時間掛けて奪い返した1kmを、たったの10分程度で半分も失うことになるとは。
どうやら敵は余程マリアナ諸島での戦いを入念に進めていたらしい。
しかも地下坑道を張り巡らしてあるのか、あちこちから現れては消え、を繰り返しているらしく敵に対して有効な反撃手段が無い。
航空機は味方との距離が近い事や、攻撃位置に付く前に敵が隠れてしまうことから援護は出来ない。
少しすると山々から、隠れていた敵砲兵による砲撃まで始まった。
煙幕で遮られているとは言え、やはり事前に諸元を算定していたのか、上陸地点に向けて砲弾、それも15cm以上のが飛んで来ている。
これはどうやら、厳しい戦いを覚悟せねばならないらしい。
敵が神出鬼没に現れる地下坑道や、その出入り口をしらみつぶしにしていくしかなく、火炎放射器、或いは戦車の榴弾、爆薬、ガソリンで一つ一つ潰すしか対抗手段は無い。
陸戦隊の損害は大きく、2個連隊は合わせて1127名の死傷者を、たったの半日の戦闘で出した。
本命の陸軍が大挙して上陸すると、陸戦隊はすぐに交代し再び接岸した輸送艦や大発に分乗し載ってきた船に戻った。
怪我などで、必要な者は病院船に移された。
病院船も戦時急造型輸送船を病院船として内部の設計を変えたものだ。
基本的な艦型は輸送船型と同じであるが、内部は傷病者の収容、治療に適した設計に直されている。
左右舷側に6つづつの患者を運び入れる為のクレーンが備えられている。
病床数は300床、重症者用のものが100床、合わせて400床となる。
手術室は30室であり、作戦時は基本的に常に稼働状態にある。
理由は勿論傷病者が先頭によって常に発生するからだ。
建造された経緯は、実は首都直下型地震が大きく影響している。
実はあの時、被災者の救助や治療を行う手立てがかなり不足していた。
それにより初動対応が遅れたのだ。
空輸では機材人員共に足りず、重傷者から優先しての治療となったから、治療待ちの軽傷者が行列を作る事になった。
作戦においても輸送船内に手術室と医務室があるとは言え、それは精々手術室1つと20床かそこらの病床だけで、どう足掻いても診療所レベルの域を超えなかった。
戦闘で発生する負傷者はこんなものでは到底足りない。
そこで新しく病院船を建造するに至った訳である。
それ以前からも病院船の必要性は解かれ、実際に建造案を唱えていたがいかんせん普通の輸送船の建造すら足りていない状況があの時は続いていたから、最新の医療設備を大量に搭載し、しかも衛生面やらの諸課題をクリアしながら建造となると、年単位の建造期間が掛かる。
そんな長期間ドックを占領されては敵わないということで、建造に時間が掛かる病院船の建造は後回しにされてしまっていたのだ。
総建造数は8隻である。
今回の作戦にはその内の3隻、鷹野丸と氷室丸、天塩丸が参加している。
「陸軍の第13師団が上陸を完了、現在第23師団が上陸中です」
「13師団の状況は?」
「内陸部に向けて敵坑道やその入り口、陣地、トーチカを一つ一つ潰しながら徐々に前進しているとの事です」
第13師団は元々岩手県に駐屯、訓練していた師団の一つであるが、パラオの奪還作戦の際に前線投入され、作戦による損耗を補充する為に一時本土へ戻った。
豪州奪還作戦、ニューギニア奪還作戦でも激戦を繰り広げ、ソロモン諸島奪還作戦に際しては予備師団として待機し、戦いに参加していたから連戦に次ぐ連戦であると言えよう。
とは言えしっかりと補充、訓練、休養は取らせてある。
師団長は中井兼光少将である。
経験は浅いとは言え、師団長として初めて参加したニューギニア奪還作戦では優れた指揮能力を見せている。
第23師団は沖縄奪還戦以来数々の作戦に参加してきた歴戦中の歴戦師団となる。
駐屯は沖縄であり、そこから各戦地へ送られており、戦闘経験が最も豊かな師団の一つとなる。
ほぼ全ての作戦に参加しており、何よりも数多くの戦場を戦い抜いた兵士達の練度や経験は、訓練などでは得難いほどに高い。
師団長の佐伯秦六少将も優秀かつ歴戦だ。
階級は変われども、数々の作戦や戦闘に指揮官として参加している指揮官であり、南方方面奪還作戦から最前線に立ち続けている。
「山中からの砲撃は?」
「煙弾によって妨害していますが、やはり事前に射撃諸元を算定していたのか、煙幕越しでもそれなりに正確な砲撃が飛んできているようです。他にも敵歩兵と戦車による奇襲、ダグインした戦車による擬似的な移動可能なトーチカ、地下坑道を使っての遊撃戦等々、抵抗は激しいの一言です」
「どれぐらいの敵火砲、敵兵力が生きている?」
「あれだけの砲撃をしてきていますから、恐らく8割は生きているかと予想されます。敵兵力はざっくりと、甘く見積もっても7万は下らないかと。10万ぐらいはいても驚きはありません」
「こちらの損害は?」
「13、23師団合わせて死者1000名、負傷者約2500名。戦車、自走砲、対戦車自走砲、対空自走砲全て合わせて71両が撃破、または擱座となります」
「損害はかなり大きいか……」
想定内とは言え、心配になる数字だ。
上陸戦からそう経っていないにも関わらず、これだけの損害を出したのはかなり久しぶりだ。
「船上待機中の第17師団と第41師団の投入はやはり出来ないか?」
「今よりも前進し、奪還地域が増えれば可能ですが、今上陸させてしまうと混乱が生じたり、万が一の際に撤退などが出来なくなってしまうので、今はまだ投入を控えた方が宜しいかと」
「艦砲射撃で十分に支援してやれ。山に立て籠もる敵さえ押さえられればかなり楽になる筈だ」
「了解しました」
輸送船や輸送艦の上には未だに第2陣として第17師団と第41師団、第3陣として第3師団、第44師団が控えている。
さらに装甲戦力として第13機甲連隊、予備連隊として第20機甲連隊が待機している。
第13、第20機甲連隊は、他の機甲連隊とは装備が違う。
今回作戦に投入される機甲連隊は全て合わせて4つになり、第2機甲師団を構成する。
この機甲師団に属する4つの機甲連隊は、他の機甲師団などと違い装備する戦車がティーガーⅡ重戦車となる。
元々、この機甲師団は防衛用師団の一つであったのだが作戦に転用される事になった。
マリアナ諸島の各島に存在する敵要塞や防御陣地からの攻撃を受け、耐えながら前進しなければならないと想定される中で、パンター戦車では不十分とされたからだ。
自らの防御力で敵の攻撃を確実に弾き返しつつ、攻撃をも行えないとならない。
事実、既に上陸した陸戦隊や師団のパンター戦車の損害は今までに比べてかなり大きい。
これは敵歩兵からの地下坑道を活用した戦術によるものもあるが、敵の砲陣地や対戦車陣地からの攻撃もある。
パンターの装甲厚は車体前面100mm、砲塔前面110mmであるが、ティーガーⅡは車体前面160mm、砲塔前面185mmとなる。
両車共に傾斜装甲を採用しているが、やはり防御力はティーガーⅡが圧倒的に高い。
しかも今回戦っているのは、敵の新型主力戦車であるM26と戦車砲などよりも強力な榴弾砲などだ。
M26はパンターに対して機動力では劣っているが、攻撃力と防御力では勝っており、しかもこの作戦では狭い島での戦闘だから機動力は殆ど意味を成さない。
圧倒的に防御側の敵が有利なわけだ。
となるとそれよりも強力な戦車が無ければ戦闘は困難になる。
そこで投入部隊全てに行き渡らせることは出来ないので、第2機甲師団を投入したわけである。
「参謀長、機甲連隊のどちらかだけでいい、早急に上陸させられないか」
「1個機甲連隊なら、と言いたいところですが機甲連隊故の規模ですから難しいと言わざるを得ません。なにせ戦車だけで100両を超えますから」
「やはり厳しいか」
一応聞くだけ聞いてみたが、やはり難しいか。
あれだけの規模の部隊を新たに送り込もうとしたら混乱してしまうだろうし、やるならばどちらかの師団を後退させなければ厳しい。
丸1週間の激戦の末、ようやく上陸地点から南北5km、西に2.5kmの地域を奪還し終える事が出来た。
第17師団と第41師団は合わせて戦死者2141名、戦傷者3102名を出すこととなり一時後退、部隊再編となった。
代わりに2個機甲連隊と4個師団が満を辞して上陸。
再編を1週間後に終わらせた第17師団と第41師団は島北部リンディアン岬周辺に陸戦隊と共に再上陸。
若干の抵抗を受けたものの僅か1週間で飛行場4つを奪取。
南部での激戦が嘘であるかのようであった。
南部に近づくにつれて抵抗は激しくなっていたが、それでも戦死者212名、戦傷者314名であった。
すぐさま飛行場の整備復旧が行われ、完了すると陸軍航空隊が配備された。
各飛行場に1個飛行戦隊、陣風36機づつが置かれる。
他には旧アンダーセン飛行場に対地攻撃仕様の銀河と連山を4機づつ装備する第12対地攻撃隊が配備された。
母艦航空隊も引き続き近海警戒を行い、戦艦や重巡は交代で対地支援の為艦砲射撃を続けている。
北部を奪還し終え、残るは南部に広がる山岳地帯であるがこちらではまさに地獄のような戦いが繰り広げられている。
敵は尾根伝いに多数の地下陣地や坑道を作り観測兵を置き、弾着観測をしている。
しかもあちらこちらに洞窟、地下坑道があるからこちらの艦砲射撃や爆撃で潰そうにも、その時には敵の砲撃は終わった後、観測兵はさっさと逃げ隠れしてしまう。
前線では陣地を巡って血みどろの奪い合いが毎日行われている。
沖縄奪還戦の如く、白兵戦すら起きている。
しかも厄介なのは、敵は昼間には防御に徹している事だ。
敵の攻撃は必ず夜襲、太陽が沈み辺りが暗闇になってから行われる。
戦力としてはM26を数両、多くても10両程度に、歩兵を100〜150を伴っている程度ではあるが、全く油断が出来ない。
なんせ戦車を盾にして突っ込んで、それに歩兵が伴って暴れてくるものだから突破力が高い。
この戦車歩兵共同突撃を粉砕するには、まず何にせよ突破力の要である敵戦車を撃破しなければならない。
しかしM26を安定して撃破するには戦車が必要であり、歩兵の対戦車火器では真正面から撃破するのは困難だ。
歩兵が単独で撃破するならば、側面攻撃しかない。
正面からやるならばパンツァーシュレックで履帯を破壊した後にパンツァーファウスト辺りで側面から撃破するか、予め敷設した対戦車地雷で吹き飛ばすしかない。
その点、我々はパンターとティーガーⅡ、新たに送り込んだ対戦車自走砲のナースホルンがあるからまだ良いが、全ての前線にこれらがあるわけではない。
ナースホルンは88mm対戦車砲から、現在10cm対戦車砲に換装し、これを装備している。
この対戦車砲は元々は海軍の10cm対空砲を対戦車砲に改良したもので、砲弾不足などに陥った場合は互いに砲弾を融通する事が可能だ。
ティーガーⅡも現在10cm対戦車砲の搭載をするべく、設計などを行っている最中である。
連隊固有の戦車はまだ前線に配置されているが、より強力なティーガーⅡやナースホルンは幾らか後方にあるから、夜襲が起きたらその都度遊撃に出掛けなければならない。
前線が食い破られてしまうのも仕方が無い。
支援もこちらができるのは殆ど無い。
艦砲射撃をしようものなら白兵戦で殴り合いが起きているど真ん中に戦艦の砲弾を落とす事になり、味方諸共吹き飛ばす事になるし、夜間の対地攻撃支援はまだまだ現状技術的な問題により困難。
赤外線暗視装置の性能と敵味方の識別を確実に出来る技術があれば夜間対地支援攻撃が可能になるが現状は全く性能不足。
結果、前線部隊が独力で戦ってもらうしか無いのだ。
第一機動艦隊
第一航空戦隊
艦隊総旗艦兼旗艦 飛龍
蒼龍 瑞鶴 加賀
第一戦隊
戦艦
金剛 霧島 長門 リシュリュー
重巡洋艦
鈴谷 ザラ ポーラ
第一水雷戦隊
軽巡洋艦
能代 阿賀野
駆逐艦
秋月 照月 Z3 陽炎 雪風
浦風 萩風 初梅 初雪 浦波
ーーーーーーーーーーーーーーー
第二航空戦隊
旗艦葛城
阿蘇
第二戦隊
戦艦
ビスマルク ティルピッツ ヴァンガード
重巡洋艦
熊野 アドミラル・ヒッパー プリンツ・オイゲン
第二水雷戦隊
軽巡洋艦
矢矧
駆逐艦
若月 村雨 時雨
綾波 朧 夏雲
暁 雷 電 響
ーーーーーーーーーーーーーーー
第三航空戦隊
旗艦隼鷹
飛鷹 グラーフ・ツェッペリン アークロイヤル
第三戦隊
戦艦
リットリオ ローマ 比叡 榛名
重巡洋艦
青葉 古鷹 足柄
第三水雷戦隊
軽巡洋艦
多摩 由良
駆逐艦
宵月 初雪 浦波
望月 村雨 霜月
ーーーーーーーーーーーーーー
第一護衛艦隊
第四航空戦隊
旗艦 鳳翔
神鷹
大鷹
第四戦隊
戦艦
日向 山城 クイーン・エリザベス
ウォースパイト
重巡洋艦
那智 羽黒 愛宕 摩耶
第四水雷戦隊
軽巡洋艦
名取 天龍 龍田
駆逐艦
花月 涼月 グレカーレ
リベッチオ ジャーヴィス
マエストラーレ 東雲 白雲
浦波 狭霧 子日 有明 海風
江風 峯雲 霞
ーーーーーーーーーーーーーー
第二護衛艦隊
第五航空艦隊
軽空母
旗艦 龍驤
海鷹
第五戦隊
戦艦
ラミリーズ ネルソン
デューク・オブ・ヨーク
重巡洋艦
キャンベラ ゴトランド
デ・ロイヤル
第五水雷戦隊
軽巡洋艦
神通 鬼怒
駆逐艦
沖波 清霜 白雲 有明
長月 荒潮 親潮 黒潮
竹 桃 椿 楓
樺 楠 大波 涼波
柿 梨
第一補給艦隊
軽空母
旗艦 千代田
重巡
加古
軽巡洋艦
名取 鬼怒 大井
駆逐艦
白雲 有明 長月 荒潮、親潮、黒潮
磯風 時津風 山風 初春 若葉
給油艦
神威 速吸 鷹野
龍舞 塩瀬 高崎
給料艦
間宮
装甲艦隊
空母
旗艦 大鳳
信濃
戦艦
大和 武蔵
重巡洋艦
筑摩 最上
軽巡
酒匂
駆逐艦
春月 初月 満月 長波 Z1 Z3 菊月 霜月 藤波 雄竹
ーーーーーーーー
南方航路護衛隊
第1護衛隊
駆逐艦
艦隊総旗艦兼旗艦 夕雲
海防艦
占守
対馬
第2護衛隊
駆逐艦
旗艦 江風
海防艦
三宅
佐渡
第3護衛隊
駆逐艦
旗艦 初雪
海防艦
国後
石垣
松輪
ーーーーーーーーー
母艦航空兵力
飛龍
陣風41機 流星32機 彩雲9機 計82機
蒼龍
陣風41機 流星32機 彩雲9機 計82機
瑞鶴
陣風41機 流星52機 彩雲9機 計95機
隼鷹
陣風41機 流星32機 彩雲9機 計78機
飛鷹
陣風41機 流星32機 彩雲9機 計78機
天城
陣風37機 流星36機 彩雲9機 計82機
阿蘇
陣風37機 流星36機 彩雲9機 計82機
グラーフ・ツェッペリン
陣風37機 流星20機 彩雲6機 計63機
アークロイヤル
陣風37機 流星24機 彩雲6機 計67機
加賀
陣風70機 流星48機 彩雲6機 計124機
鳳翔
陣風24機 流星12機 彩雲4機 計40機
大鷹
陣風24機 流星12機 彩雲4機 計40機
神鷹
陣風24機 流星12機 彩雲4機 計40機
海鷹
陣風24機 流星12機 彩雲4機 計40機
龍驤
陣風24機 流星12機 彩雲4機 計40機
千代田
陣風24機 流星12機 彩雲4機 計40機
大鳳
陣風57機 流星12機 彩雲9機 計78機
信濃
陣風106機 流星12機 彩雲6機 計124機
陣風730機
流星352機
彩雲120機
計1202機