東方鬼神録   作:ヘタレ寝癖人間

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そいつは客!?サグメの隠謀!

あれから一週間怪我の治療で今豊姫と依姫の屋敷に匿われている

 

つか、依姫は戦いの最中とっとと帰れって言ってたような・・・・

 

そして、幻想郷に帰るにはあと1ヶ月掛かるらしい

 

零「はぁ、心配だぁ・・・」

 

鈴仙「それを言うこと137回。蛮奇さんと小傘ちゃんがそんなに信用出来ませんか?」

 

鈴仙が俺の包帯を取り替えながら言ってくる

 

零「いや、心配なのは二人じゃなくて二人に降り掛かる非日常の話さ」

 

鈴仙「例えば?」

 

零「そうだな・・・家に我儘なお嬢様が落ちてきたり、そのお嬢様の国を守ったり?」

 

鈴仙「ハハハ・・・ま、まさかぁ・・・」

 

鈴仙は苦笑いを浮かべながら包帯を巻き終わる

 

鈴仙「はい、終わりです。そろそろ動いてくれても大丈夫です」

 

俺は立ち上がって腕を回す

 

零「んじゃ、散歩してくる」

 

俺は扉のノブに手を掛けると鈴仙が肩に手を掛ける

 

鈴仙「ちょ、ちょっと待ってください!」

 

零「?どうした?」

 

鈴仙「ひ、一つだけ警告が・・・」

 

零「警告?」

 

鈴仙「兎は年中発情期ですから捕まったら・・・」

 

零「つ、捕まったら・・・?」

 

鈴仙「確実に襲われます」

 

零「りょ、了解・・・」

 

俺は館を出て辺りを散策する

 

零「何か、中華街みてぇだな・・・」

 

そう、至って昔の中国の様な街並みだ

 

零「・・・・・・」

 

俺は辺りを見る

 

三人・・・いや、四人か?

 

四人くらいの兎が俺の後を銃を持って着いてきている

 

俺は角を素早く曲がる

 

兎達も追いかけてくる

 

俺はもう一度角を曲がって偶然見つけた公衆トイレに駆け込む

 

兎達が行ったのを確認すると扉を閉めてもたれこむ

 

零「はぁ、何なんだ一体・・・」

 

そこで俺は見てしまった

 

片翼の女性を・・・

 

???「・・・・・・・・・」

 

零「・・・・・・・ど、どうも・・・」

 

女性はハッと我に返ると持ち物置き場からスケッチブックとペンを取り出し何かを書き始めた

 

???『キ、キャァァァァァァァァァァァ!!!!!!!////////』

 

女性はスケッチブックの文字を見せながら顔を紅くする

 

零「いや、遅い!後、何でスケッチブック?」

 

???『口は災いの元』

 

零「あぁ、うん。なるほどね。でもそれ使っても意味が通らなきゃ災いの元だろ?」

 

???『違う』

 

零「え?違うのか?』

 

???『私が口に出して言ったことは反対になる。私にもこれは扱いきれていない』

 

零「・・・・・・・・・・」

 

俺はただただ困惑する

 

さすがの俺も反対を元に戻す事は出来ない

 

???『ところで貴方、鬼人正邪って子を知ってる?』

 

零「あ?正邪?どっかで聞いたような・・・」

 

???『本当!?』

 

零「あぁ・・・確かあれは・・・」

 

俺が言葉を繋げようとすると扉が開いた

 

玉兎「動くな。動いたら頭を撃ち抜く」

 

俺が後ろを向こうとすると冷たい物が後頭部に当たった

 

玉兎「月の都に侵入した挙げ句サグメ様をフシダラな目に!」

 

零「え?いや、それはしてない・・・」

 

玉兎「問答無用!」

 

零「アァァァァァァァァァァァ!!!」

 

こうして俺は奉行所にしょっぴかれた

 

お奉行「これより大通り公衆トイレ痴漢事件の詮議を行う!それでは、詮議開始」

 

俺はお奉行と何故か弁護士をしている鈴仙とこれまた何故か検事をしているドレミーを見る

 

ドレミー「被告人、風切零は本日大通りの公衆トイレにて被害者、稀神サグメが用をたしている所を無理矢理侵入。サグメ様を襲っていた疑いがかけられています。これは明らかに痴漢行為である。暴行罪が妥当かと。兵も確認しております。詮議に掛けるまでもなく被告人は有罪かと」

 

鈴仙「意義あり!」

 

奉行「鈴仙弁護人」

 

鈴仙が手をあげて奉行が名を呼ぶ

 

鈴仙「被告人がサグメ様の居たトイレに侵入したのは事実です。しかしこれが故意であるものなのか、痴漢を目的で行われた物なのかは甚だ疑問であります!この事件は事故である可能性が高い!犯人は何者かに追われてたまたま入ったトイレにサグメ様が居たと思われます!よって私は被告人の無罪を主張します!」

 

色々とツッコミたいことはあるがさっきからサグメ様サグメ様ってアイツけっこう偉い奴なのか?

 

ドレミー「偶然?トイレ鍵が掛かっていた扉を無理矢理抉じ開けていたのに?」

 

え?あれ鍵掛かたの?

 

それにしては・・・

 

鈴仙「意義あり!そもそも!被告人は女の人に興味がありません!それに色仕掛けを掛けよう物ならその者は問答無用で優しさの暴力にやられます!つまり!被告人は同性愛者です!」

 

鈴仙の主張に目の前が真っ白になる

 

いや、俺だって女の子に興味あるよ!?

 

つか、いつ色仕掛けされたんだ?

 

ドレミー「意義あり!そんなわけ無いでしょう!現に夢では皆の見る彼がケダモノで・・・」

 

鈴仙「意義あり!証拠ならあります!」

 

鈴仙が写真を取り出す

 

そこには永遠亭で入院している俺の隣で寝ている皆だった

 

鈴仙「これが何回も続いて手を出さない・・・つまり!被告人は女の人に興味が無いんです!」

 

お奉行「被告人の意義を認める!以後被告人はゲイであると認識するように!」

 

認識するように!、じゃねぇよ!何か俺が変人みたいじゃねぇか!

 

そして、鈴仙!何やってやりました顔で親指立ててんだ!?中指立てんぞ!?

 

鈴仙「お奉行、ゲイである被告人がサグメ様に痴漢をしたとこじつけるからには余程の確固たる証拠があったんでしょうね。その証拠を明確に示して頂きたい!ドレミー検事に証拠品の提示を求めます!」

 

お奉行「うん。ドレミー検事、証拠を示したまえ」

 

お奉行に言われるとドレミーが溜め息を付く

 

ドレミー「被告人の部屋を徹底的に調べた結果、このような物が出てきました」

 

全員が中を覗く

 

そこにあったのはいかがわしいビデオの数々

 

ドレミー「このような下品な物、神聖な詮議の場、ましてや穢れを許さぬ月で出したく無かったのですが・・・」

 

俺は膝を崩す

 

あんなもの身に覚えもない

 

ドレミー「所持数およそ三十枚、中には痴漢物も有りました。被告人の異常なまでの性への執着がこれで分かっていた頂けたかと思います」

 

ど、どうしよう・・・

 

何かもう取り返しの付かない所まで来やがった!

 

てか、鈴仙!今度は何だ!?その軽蔑しきった目は!?

 

鈴仙「意義あり!ドレミー検事が示すこれらの物は証拠品としては不十分です!中を改めてさせてください!ビデオの再生を要求します!」

 

お前只みたいだけだろ!?

 

ドレミー「意義あり!お奉行!弁護人の要求は本件から逸脱しています!中身など確認しても意味がありません!」

 

お奉行「検事の意見を却下!弁護人の要求を認める。ビデオを再生しなさい」

 

お前も見たいんかい!

 

おい、これ何の裁判だよ!?

 

何だよこれ?えぇ?

 

一体何が・・・

 

鈴仙「意義あり!」

 

何に対してだァァァ!?

 

鈴仙「零さん!やっぱりおっきな方がいいんですか!?私のじゃ不満ですか!?」

 

零「何がだよ!?俺何も見えてねぇよ!」

 

お奉行「私は巨乳派です!」

 

零「誰もテメェの意見は聞いてねぇよ!」

 

こうして全てのビデオの鑑賞が終わった

 

お奉行「弁護人、これらの証拠に対し主の意見が聞きたい」

 

お奉行鼻血垂れてるよ!

 

鈴仙「問題無いでしょう。男性なら誰でも異性に興味があるのは当たり前の事。被告人のコレクションは一般的な男子の思考を越えるレベルでは無いと思います」

 

いや、君さっき俺の事ゲイだの女の子に興味が無いだの言ってなかった?てか、顔赤いぞ?大丈夫か?

 

鈴仙「むしろ、こう言うものを持っていない方が異常でしょう」

 

俺持ってないんだけどもしかして異常?

 

鈴仙「それともドレミーさん。貴女はこう言う物を一本も持っていないんですか?」

 

ドレミー「しかし、三十本は一般的に見ても多いと思われます。お奉行、お奉行の意見をお聞かせ願いたい」

 

お奉行「・・・・被告人のコレクションは証拠不十分と見なす!」

 

三十本以上あるみたいだけど!?

 

鈴仙「ドレミー検事!貴女はさしたる証拠もなく被告人を犯人と決めつけ・・・ドレミー「ちょっと待った!」」

 

ドレミー「私、詮議の前に被告人の身辺調査をさせてもらったのですが今までの経歴、交友関係まで調べた結果面白いことが分かりましてね、そこに居る鈴仙弁護人は地上に堕ちた穢れた存在であるのですが、そんな者が地上から来たものの弁護をしていいものか甚だ疑問です。どうですか?傍聴席のみなさん!」

 

「帰りやがれ穢れた兎!」

 

「そうだ!そうだ!」

 

「こんの穢れコンビが!」

 

後ろからゴミが飛んでくる

 

お奉行「静粛に!」

 

お奉行が叫ぶが収まらない

 

俺は鈴仙を見る

 

今にも泣きそうな顔をしている

 

次にドレミーを見る

 

ドレミーは不敵な笑みでこちらを見た後奉行を見る

 

ドレミー「お奉行、これ以上の詮議は時間の無駄かと。被告人風切零に厳正なるお裁きを」

 

零「ちょっと待ったァァァァァァァァァァァァ!!!」

 

俺が立ち上がって叫ぶ

 

お奉行「被告人、静粛に!」

 

零「静粛に?これが静粛に居られるか!鈴仙を見ろ!何処が穢れてやがる!何を持ってテメェらが鈴仙を罵る資格がある!んなのはここに居る誰も持っちゃいねぇ!鈴仙はな、優しいんだよ・・・。永琳と一緒に怪我した奴を治して笑顔で見送る。そんな鈴仙だから俺は好きだし護りたいと思った。穢れがどうとか知るか!俺は俺の思った通りに生きる!」

 

鈴仙「零さん・・・・」

 

しばしの沈黙の後拍手が聞こえた

 

その拍手の主はまさかのお奉行だった

 

お奉行「素晴らしい!やはり貴女は貴女なのね、零」

 

零「お、お奉行がオカマになった・・・」

 

ドレミー「違いますよ。あの方は・・・」

 

お奉行の後ろにあった襖が開く

 

そこにいたのはパソコンを持ったサグメだった

 

零「・・・・・なぁ、誰かメガネある?」

 

傍聴席の兎の一人からメガネを借りる

 

それをサグメに掛ける

 

鈴仙「あの・・・何してるんですか?」

 

零「おぉ、スイッチだ!」

 

ドレミー「す、スケッ〇ダンスですか・・・」

 

サグメ『に、似合ってる?』

 

零「おぉ、似合ってるぞ。お奉行の声で言われると何ともあれだけど・・・」

 

ドレミー「いやー、すいません。試すような真似をして・・・」

零「ためす?」

 

俺は頭に?を浮かべる

 

鈴仙「この詮議は痴漢の詮議では無くて、零さんが月に仇成す穢れた者かどうかの詮議だったんです」

 

サグメ『そして、これで全てがハッキリした。被告人、風切零は・・・無罪!そしてこれより私、稀神サグメ、および綿月家の客人としてこの月に迎え入れる!あ、これにて閉廷!』

 

何はともかく一件落着・・・なのか?


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