咲夜に連れられて迷いの竹林に入る
咲夜「ここに異変の首謀者がいるの?」
零「それは分からない。でも手掛かりはあるはずだ」
咲夜「・・・・・そう」
咲夜が歩きだし俺も後を着いていく
何処からか狼の遠吠えが聞こえてくる
咲夜「・・・・どうやらお出ましみたいね」
俺が構えると後ろの茂みからなにかが飛び出してきた
咲夜がナイフを投げるとなにかがナイフを弾く
なにかが地面に着地してようやく姿を見ることが出来たか
零「影狼・・・」
影狼「ずいぶんと遅い到着ね。そこまで姫に苦戦したのかしら?」
咲夜「ずいぶんと口の減らない野良犬ね。ちょうどいいわ。この剣のサビにして上げる!」
そう言うと先ほどのナイフとは違う短剣を投げる
影狼はまた短剣を弾くと飛び掛かり俺の喉元に赤い爪を突きつけた
しかし次の瞬間視界が変わる
隣を見ると咲夜が短剣を構えながら影狼を睨む
影狼「お笑いものね。今まで蛮奇ちゃん達を護っていた貴方が今や足手まといにしかならないじゃない」
俺は血が出るほど下唇を噛む
影狼の言うことは正しい
影狼「最も、心配させたら護ってても意味がないけど」
零「・・・あぁ、確かにお前の言う通りだよ・・・。おらアイツら護ってたつもりになってただけだ。心配させてちゃ護ってるなんて言えねぇわな・・・」
俺は木刀を握る
異様な妖気が手に絡まるが気にせず抜く
零「でも俺は戦う!皆に傷ついて欲しくねぇから!」
影狼「そのせいで蛮奇ちゃんが何時もどんな気持ちなのかアンタには分からないの!?」
影狼は爪を突き付けて走ってくる
俺はそれを避けて影狼の溝を木刀で撃つ
零「知ってるよ。知ってるから戦ってる。皆を護るために・・・皆を悲しませないくらい強くなるために」
影狼が倒れて木刀を収める。すると先ほどまで黙っていた咲夜が近付いてくる
咲夜「この野良犬も大概だけどアンタも大概よね・・・」
零「あ?」
咲夜「悲しませない為に戦ってるはずが結局は悲しませてるだけなんてね」
俺は話を聴きながら倒れた影狼を竹に座らせて咲夜を見る
零「戦いなんて皆そうさ。悲しみしか生まない。戦いに勝つってこたぁ必然的に負かした相手を悲しませてんだよ」
咲夜「・・・・・それでも戦いを選ぶのね。そんなに戦いがお好き?」
零「誰が・・・。俺だって痛いのは嫌さ。でも俺が戦わなきゃ皆居なくなるような気がしてな。俺が俺じゃなくなるような・・・そんな気が。・・・切り裂きジャックもこんな気持ちだったのかな・・・」
俺が空を見ながら話しているといきなり咲夜が震えだした
零「?咲夜?」
咲夜「な、何でも無いわ。それより早く行きましょう。まだ蛮奇って言う娘が残ってるんでしょ?」
零「お、おぉ・・・」
咲夜はまた俺を担いで飛び立った
しかし先ほどの咲夜の目はまるで何かを恐れているようだった