零「て、てゐ?何でお前が知ってるんだよ?」
てゐ「私にこの話をしたのはお前ウサ」
零「え、そうなの?」
俺が思い出そうとするがやはり思い出せない
てゐ「仕方無いウサね。鳥獣伎楽も終わって次は九十九姉妹withHウサね。じゃ、第二幕の始まり始まりウサ」
これはむかーし昔、諏訪の国譲りの少しあとの物語
神の子一人有り
名、風切零
またの名を黒夜叉大権現
零「・・・・・どうしよ・・・」
彼は今、困っていた
そう!すごく困っていた!
零「諏訪子様の元を離れて早一年。・・・・・・暇だ・・・」
そう、零は諏訪の土着神の元を離れて旅をしていた
しかし如何せん彼は暇を持て余していた
零「そもそも何で旅に出たんだっけ?・・・・あ、そうだ。海賊王に為るためだ。海賊王に俺はなる!」
零がそう叫びと近くススキの原っぱに何かが落ちるのが見えた
零「何だぁ?」
零が何かが落ちた場所に向かって歩き出した
そこに居たのは片方の羽を捥がれた女と捥がれた羽にくるまれた赤子であった
零「・・・・・いやいやいやいや、これは無い」
零は首を振りながら目の前の光景を見なかったことにしてその場を立ち去ろうとする
すると赤子が大きな声で鳴き始めた
零は立ち止まり振り返り溜め息を付く
零「あーハイハイ!分かったよ!」
零は女と赤子を担いで歩き出した
しばらくして小屋を見つけた零は小屋で二人を下ろして寝かし付ける
零「女の方は良いとして赤ん坊がなぁ・・・。こんな事になるんだったら侍従達に赤子の世話の仕方を聞くんだった・・・」
零を育てたのは土着神の侍従達だった
だから零は土着神よりも侍従達に懐いていた
零「やっぱ乳か?俺出るかな?」
・・・・・出るわけ無いウサ
何だかんだ零が思考錯誤していると女が目を覚ました
零「あ、起きた?」
???「・・・・・・・・・」
女は辺りを見渡してから零を見る
零「俺は零だ。お前さんの名前は?」
女は何かを言おうとして口を塞ぐ
零「何だ?喋らないのか?」
女が頷く
零「・・・・・その怪我じゃまともに動けねぇだろ。幸い家主は居ないみたいだししばらくは護ってやるよ。こう見えて神様見習いだしな」
女が深々と頭を下げた
零「礼なんて別に良いさ。それよりお前さんはその赤子を世話してやんな」
零が小屋を出て月を見る
零「今日は満月だ・・・」
てゐ「てな感じに、それからお前は三人仲良く暮らしたウサ。でも時は非常で月の連中が女を連れ去ったウサ」
蛮奇「それで!その女って誰なのよ!」
蛮奇がくいぎみに聞いていく
てゐ「女は連れ去られる前日に一言こう言ったウサ。天探女、と。まぁ、零がめんどくさいからって勝手に稀神サグメって改名したんだけど・・・」
蛮奇「アンタ・・・記憶無くす前からそんなんなのね・・・」
零「・・・・・・・・・・・今日は満月、か・・・・」
俺はただ月を見つめた