え?うちの妹が「炎帝」?んなわけない。   作:ジョニーK

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お久しぶりです。
久しぶりに書こうかなってなったので更新。

()は心中ボイスです。


拳聖と炎帝

未だにゼノスは混乱中だが、ミザリーと合流することになった。待ち合わせ場所は、NWOを始めた際に最初に降り立つ街の噴水前の広場。

このゲームが発売してからそこまで日が経っていないということもあり、人々が多く行き交い賑わっている。

そんな中を、走りながらも器用に人々の隙間を通り過ぎるゼノス。気付けば噴水が見える位置にまで来ていた。

 

「さて、ミザリーはっと・・・」

 

顔を動かしながら目的の人物を探す。ミザリーは金髪緑目、身長も高く何より男性キャラクターの目を引く美人さん。更に今回は「炎帝」という二つ名持ちの人物と一緒だ。そんな二人が噴水前の広場という目立つ位置にいれば嫌でも人の目を引くというもの。どれだけ混雑していようと、人々の目線を頼りに向かえば問題なかった。

 

「お待たせ」

 

ゼノスは右手を軽く上げて二人に話しかける。その瞬間、周囲からざわめきが起こった。

 

「拳聖だ」

「炎帝と聖女と知り合いなのか?」

「俺前、聖女と狩りしてるのなら見たぞ」

「どういう関係なんだ?」

「とりあえず今日の掲示板のネタはできたな」 

 

等々、勝手に盛り上がっている。ゼノスとミザリーは待ち合わせ場所を間違えたと後悔した。そして、呼び出したミィはというと、周囲の視線や言動など気にせずゼノスを見ていた。それはもう獲物を見つけた獣かの如く、全身を舐め回すように。そんな視線に気づいたゼノスは苦笑するしかなかった。

 

「とりあえず場所を移さないか?」

 

「えぇ、ミィもよろしいですか?」

 

「・・・」

 

この状況に堪えきれなくなったゼノスの提案にミザリーが同意し、ミザリーがミィに確認するも反応がない。

 

「ミィ?」

 

「あ、あぁ。私は構わない」

 

ミザリーがもう一度呼び掛けるとようやくミィが反応した。ミィの反応に二人は首を傾げるも、すぐに移動を開始する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は移りとある森の湖。この湖の回りにはモンスターがいない。プレイヤーにとっての街以外に存在する休息スポットである。ミザリーとミィはゼノスに案内されここにたどり着いたのだが、この場所は初めてだったらしく周囲を警戒している。

 

「ここにモンスターは出ないから安心してくれ」

 

「そうなのですか?」

 

「あぁ。この先を進んでいくと拳闘士の洞窟っていうダンジョンがあるんだが、街と洞窟の中間辺りにあるのがここなんだ」

 

そこまで説明してゼノスは二人に向かい合うようにして座る。そんなゼノスを見て二人もゼノスと向き合うようにして隣同士で座る。

 

「モンスターが出ないなんてなぜわかる?」

 

「え?そりゃあ検証したからですよ」

 

「それはどういった?」

 

ミィのもっともな質問に何でもないということのように応えるゼノス。検証という言葉に若干嫌な予感もしつつ聞かずにはいられないミザリー。

 

「ん?そりゃあ半日ここで寝てたんだよ」

 

ゼノスの返答に絶句する二人。それなりに付き合いのあるミザリーですらこの反応である。いかにこの男がおかしいか理解できたかと思う。職業選択の時といいこれは酷い。

 

「さて、それじゃ本題なんだが、えっと、ミィさんが俺の妹だとかなんだが・・・」

 

二人の反応を無視して話を進めるゼノス。ゼノスにとってはあの炎帝が自身の知る妹とはかけ離れた存在であり、早くその真実を知りたいが為である。

炎帝は赤髪赤目、炎魔法を得意とするプレイヤー。曰く、その振る舞いは皇帝の如し。曰く、その炎は全てを焼き尽くす。曰く、ミィ様尊い。

最後のは一部のプレイヤーだろうが、ゼノスが知る炎帝の情報はおおよそこんな感じである。

 

(皇帝のような振る舞いはロールプレイなのかもしれないが、果たして妹がそんなことができるのだろうか?否、断じて否である!)

 

と心の中で否定する。

では、ゼノスのリアルの妹とはどのような存在なのか。

容姿はゲームだからある程度は弄れるので除外するとして、性格は気が弱く小心者。友人と呼べる存在はそれなりにいるようだが、そんな性格のせいかリーダーシップとか無い。小さかった頃は何をするにもゼノスの後についてくる。今でも仕事の長期休暇の際に実家へ帰れば、甘えてくる等々、明らかに正反対の特徴である。

 

「ミザリーから貴方のことを色々と聞かせてもらった」

 

「・・・例えば?」

 

ミザリーに対して批難の目を向けると、言葉には出さないが両手を合わせて頭を下げ謝罪している。そんな仕種も可愛いので許してしまいそうになるこの男もチョロイもんである。可愛いは正義である。

 

「ミザリーのことは責めないでやってくれ。私が無理に聞いたのだ」

 

「あ、あぁ。そうですか」

 

「ゼノス、本当にごめんなさい」

 

「もう済んじまったことだし気にすんなよ」

 

今度は言葉に出して頭を下げ謝罪するミザリーに、ミィの言葉もあり許したゼノスは、ミザリーの頭に手を置きポンポンと小さい子をあやすようにする。

 

「あ、あのゼノス?」

 

「ん?どしたよ?」

 

「許してくれたのは嬉しいのですが、その、少し照れくさいのですが・・・」

 

「す、すまん!」

 

ミザリーは頬を染め頭ポンポンされているため自然と上目遣いになり、その普段の大人らしい彼女とのギャップの可愛らしさにやられたゼノスも照れたようで、飛び退くようにして元の位置に座り直す。

置いてきぼりにされたミィはというと、ゼノスを睨み付けていた。それはもう人を殺せそうなほどだ。

 

「ゼノス」

 

「は、はい!?」

 

ミィの恐ろしい声と雰囲気にあてられ、ゼノスとミザリーは先ほどまでの甘々空間から戻されすぐさま正座をする。

 

「色々と話すより、簡単に私が貴方の妹であると確認することができる方法がある」

 

「そ、その方法とは?」

 

「今から私が兄のスマホに電話をし今起きたことを話す。いいな?」

 

「え?そ、それはちょっと・・・」

 

「い・い・な?」

 

「イ、イエス!マム!」

 

ミィの有無を言わさぬ雰囲気に負け敬礼するゼノス。

そしてゼノス達一行は街に戻り、それぞれログアウトしたのだった。

街に戻る途中、襲いかかるモンスターを得意の炎魔法で虐殺していく炎帝がいたとかいなかったとか。




ミィとの絡みというよりはミザリーとの絡みが多いような・・・。
し、仕方ないよね!ゲームの付き合いが長いのはミザリーだし!

ちなみにミィに対して敬語なのは、初めて話すからという理由です。
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