Fate/kaleid liner advanced プリズマ☆サクラ   作:風早 海月

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キャスター、第1回戦

 

 

 

 

「午前0時1分前…油断しないようにね、イリヤにサクラ。敵はもちろんだけど、ルヴィアがどさくさ紛れに何をしてくるか分からないわ」

(なんでそんなにギスギスしてるのかなぁ…)

《お二人の喧嘩に巻き込まないでほしいものですねー》

 

と凛の陣営。

 

「速攻ですわ。開始と同時に距離を詰め一撃で仕留めなさい」

「はい」

「あと可能ならどさくさ紛れで遠坂凛も葬ってあげなさい」

「……それはちょっと」

《殺人の指示はご遠慮ください》

 

とルヴィアの陣営。

 

(この世界のエーデルフェルトが日本に嫌悪していないのは分かるけど…この2人っていわゆる凸凹コンビなのかな?)

 

それを見て若干達観して微笑むサクラ。

 

凛は電波式腕時計を覗き、時間を見る。

 

「行くわよ…3、2、1…」

 

《限定次元反射路形成!鏡界回廊一部反転!接界(ジャンプ)!》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5分後―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

通常空間に戻ってきた5人は死屍累々だった。

 

《いやー、ものの見事に完敗でしたねー。歴史的大敗です》

「なんだったのよあの敵は…」

 

ルヴィアがサファイアを捕まえて八つ当たりをする。

 

「ちょっとどういうことですの!?カレイドの魔法少女は無敵なのではなくて!?」

《わたしに当たるのはおやめください、ルヴィア様》

《ルビーサミング!》

「メガっ!?」

 

サファイアを横に引っ張っていたルヴィアの目にルビーがステッキの柄の尻で攻撃する技…ルビーサミングをお見舞する。

 

「れ、レディの眼球になんてことを…!」

《サファイアちゃんをいじめる人は許しませんよー》

 

目の痛みに地面をゴロゴロと転がるルヴィア。

 

「まあ、Aランクの魔術障壁を超えてきたってことはつまりは…それ以上の火力があちらにあったってことですね」

《そうですとも!魔法少女が無敵だなんて慢心もいいところです!もちろん大抵の相手なら圧倒できるだけの性能はありますが…それでも相性というものがあります》

 

サクラは魔術師2人に同意を求めたが、それより先にルビーの方が同意する。

 

「…で、その相性最悪なのが…アレだったわけ?」

 

上空にいる敵。それが作る大量の魔法陣。いわゆる陣地作成スキル…確実にキャスターだ。さらに、こちらの攻撃手段である魔力砲すらも魔力指向制御平面と呼ばれる魔術防壁で散らされ、サクラの遠距離での攻撃すらも物理防御障壁で無効化されていた。

 

「まるで要塞でしたわ…あんなの反則ですわよ!」

《あれはもう魔術の域を超えてましたねー。そりゃ障壁で相殺しきれないわけです》

「痛かったよ…」

 

イリヤはステッキの自動回復があるから治るけど、サクラは治るのに多少時間がかかるので少し羨ましかったりする。

 

《あれは現在のどの系統にも属さない呪文と魔法陣でした。恐らく失われた神代(かみよ)の魔術と思われます》

「あの魔力反射平面も問題だわ…あれがある限りこっちの攻撃が通らない」

《攻撃陣も反射平面も座標固定型のようですので、魔法陣の上まで飛んで行けば戦えると思いますが…》

 

ステッキ2本と凛が攻略法を考えていると…

 

「…と言ってもねぇ…練習もなしにいきなり飛ぶなんて…」

「あ、そっか…飛んじゃえばよかったんだね」

「……………」

「え、なに?」

 

凛の発言に、イリヤはさも普通と言わんばかりに浮遊していた。それを見た凛は一時的に思考停止。

 

「ちょっと!!なんでいきなり飛べるのよ!?」

《凄いですよ、イリヤさん!高度な飛行をこんなにサラッと!》

「そ、そんなにすごいことなの、これ?」

 

イリヤは知らない。魔術の世界で飛行というものがどれだけ難しいか。しかも、ルビーとサファイアを使った飛行は魔術とも違うため…

 

「わたしやルヴィアでも丸一日訓練してやっと飛べるようになったのよ!?」

「強固で具体的なイメージがないと浮くことすら難しいのに…いったいどうして…」

「どうしてと言われても…」

 

 

イリヤは魔術に囚われていない。なぜなら彼女は魔術と関わっていないから。だからこそ…

 

「魔法少女って飛ぶものでしょ?」

 

―――なっ…なんて頼もしい思い込み…ッ!

 

イリヤのちょっと偏った知識と価値観によってそれは成し得る。

 

 

 

しかしながら、美遊は昼間に判明した通り、頭も良く運動も出来るパーフェクトガール。だからこそ…

 

「負けてられませんわよ、ミユ!あなたも今すぐ飛んでみせなさい!」

 

だが、少しうつむき加減でピクリとも動かない美遊。

 

「ミユ!」

 

ルヴィアの呼び掛けに…

 

「人は…飛べません」

 

―――なっ…なんて夢のない子供…ッ!!

 

となる訳である。

 

 

ルヴィアは美遊をドナドナして捨て台詞を吐きつつ河原から姿を消したのだった。

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

翌日…

 

 

休日だったこともあり、イリヤは森へ練習に、サクラは凛に呼び出されていた。

 

「休みの日に悪いわね」

「いえ、遠坂さんも色々聞きたいんですよね」

「ええ、まあね」

 

そう、凛からの事情聴取だ。新都の小洒落たカフェの奥の個室に人払い結界を敷いている。凛がその燃費の悪い魔術のため経営しているカフェらしい。普段は一般人の店長に任せているらしいが。

 

「悪いけど、調べさせてもらったわ…確認するけど、遠坂の家系ではないのよね?」

「…ええ、私は孤児でしたから」

「孤児…ねぇ。あんたの魔術回路、明らかに魔術師の家系のものよ。初代でその魔力行使量はありえないわ」

 

魔術回路は内臓のようなもので、増やすことは普通は出来ない。それが魔術師の家系が代を重ねる理由の一つでもある。初代…つまりなんの魔術的操作もされずに生まれた人の魔術回路は平均して20本。27本の魔術回路を持つ衛宮士郎は比較的初代としては多い方だったのだ。

では、今のサクラの状態は…と言うと、魂は衛宮士郎であり、肉体は間桐桜だ。肉体と魂の齟齬で魔術回路が使えないはずだが、桜の100本もの魔術回路を士郎(サクラ)が使えるようになっている。そのため昔の衛宮士郎よりもかなりの魔力を保有している。だからこそ、かなり余裕を持った投影が可能なのだ。

 

「これ以上は今は話す気はありません」

「…そう。まあ魔術師だもの、等価交換は当たり前よね」

「…そういうことにしておいてください」

 

凛はグラスに入った冷えた烏龍茶をストローで啜る。

 

「さて、ならこちらからね独り言よ。私が調べた結果だけど、衛宮家の魔術は以前封印指定されていたらしいわ。時計塔の資料漁ったから確かな情報よ。それによると衛宮家の魔術は時間操作系。魔法に迫るものらしいわ」

「……」

「でも、あなたはそんな魔術使ってない…衛宮家の魔術師では無いわね。どこで魔術を…っていうのが当面の疑問ね」

 

サクラはティーポットのカバーを外して、カップに保温していたアッサムを注ぐ。シュガーポットの蓋をあけて、角砂糖を2つカップに落とす。それを口に運び、ソーサーに戻す。

 

「…等価交換といきますか?」

「あら、なにかしら?」

「あなたは私に飛行魔術を教える。私はあなたに私の情報を渡す。どうですか?」

「…あのキャスターとやり合うつもり?私とルヴィアも単体じゃあ成功率低い上に自由には動けないわよ?」

「大丈夫です…飛べますから」

 

そう、時計塔に留学する前の話。

遠坂家で見つけた黒魔術(ウィッチクラフト)の本にあった箒飛行を桜が楽しそうに見せてきたのを良く覚えている。

女性魔術師が箒に乗るのは魔術基盤・黒魔術の一種で全世界に神秘設定がされており、女性の魔術師が箒を使用すると「地に足がつかなくなる」「大地から追放される」等の魔術特性が発露しやすい。推進方法は最大瞬間風速的なジェット飛行法、低燃費でのんびり空を行くエーテルセイル帆船法、目的地に楔を打って魔術アンカーで引っ張ってもらう蒼崎橙子立案のアンカーアトラクションアセンション、通称トーコトラベルがある。戦闘に用いるならジェット飛行法が最適解だ。

 

「いいわ。ならまず行かないといけない場所があるわ」

 

 

 

「え?」

 

 

 

 

 






この後、2話~3話かけてキャスター戦とセイバー戦を描くつもりですが、その前に、サクラは飛行魔術のために……


なお、飛行魔術についての設定はなるべく原作準拠にしていますが、作者はプリヤ以外の型月作品をあまり知らないので独自設定も多分に含まれます。ご了承ください。
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