Fate/kaleid liner advanced プリズマ☆サクラ 作:風早 海月
文量少ないことも謝罪します。
中途半端になりそうだったので、切りました。
突然だが、サクラの普段着は出かけ用の『桜』が着ていた様な服と学校の制服以外では、大してオンナノコな服は避けている。もちろん
桜が着ていた様な服ならまだ抵抗はないのだが…
「はい、次これね」
凛は何度も何度も少女趣味全開なキュートでメルヘンな服たちをサクラに試着させる。
「日本という土地で、空を飛ぶなら魔女っ子スタイルよ」
と凛はとんがり帽子を頭に載せる。
「うーん…やっぱりリボンの方がいいかしら?ジ〇リの魔女っ子は濃紺のワンピースに赤いリボンよね」
もはや仮装大会と化している。
「まだやるんですか…?」
「あら、女性の魔術師が空を飛ぶには黒魔術の箒が1番よ。そして、この日本という土地で最も根深い箒飛行のイメージはジブ〇よ」
「メタァイ!しかも偏ってるぅ!」
魔術基盤の話を少し。
魔術の各流派が世界に刻み付けた魔術理論のことで、既に世界に定められたルールであり、人々の信仰がカタチとなったものだ。より具体的には、人の意思、集合無意識、信仰心などによって「世界に刻み付けられている」と言える。
各門派毎に成立している
「信仰心」と言っても宗教的な信徒であることを示すのではなく、「知名度」に言い換えられる。
例えば、「幽霊」という神秘の存在について、現代の人間の大半は否定的な意見を持っている。しかし、現代の科学では「ない」とも言い切れない。「ひょっとしたらあるかも」という考えは、無意識のどこかにある。そういった「疑念」的なものも、信仰心には含まれる。
つまり、広く大勢の人間に知られていればいるほど魔術基盤は強固なものになる。
魔女が箒で空を飛ぶ―それは創作や言い伝えや伝説などによるイメージが広く浸透している。つまり、「魔女が空を箒で飛ぶ」という魔術基盤を強く強固にしている。
物理事象から離れた魔術は魔力を爆食いするため、一般的な魔術師が飛行するならば霊脈などのフォローは必須。
その上、魔術師とて人の子である。つまり飛ぶ感覚を知らないため魔術であってもきちんと飛ぶことが難しいのだ。
さて話は戻るが、凛がサクラに魔女コスの着せ替え人形をしているのは「魔女」に近い格好の方が飛行しやすいからだ。…または凛がそう思い込んでいるからだ。
「…うん、これにしましょう」
ようやく凛が合格点をつけたのはパステルカラーで彩られたオーガンジーを多様しているかわいらしいドレス風のワンピースに同じ色合いのオーガンジーのリボンをいつもしている位置につけた姿だった。
「…まぁハイヒールじゃないだけマシかな」
黒の地に白のレースや黒のリボンでかわいらしいフォーマルシューズだ。
「最悪走ることも想定してるもの。それにしても…キツくないかしら?靴」
今履いている靴は20.0の靴。イリヤでさえ21.5なのだから、10歳で130cmの身長では一回りから二回り小さめと言える。
「大丈夫です」
サクラは再三言っているが、桜の身体を素体とした人形だ。成長の限界が近づいているのだろう。
「そ、ならいいわ。じゃあ森で飛行練習よ!」
☆☆☆☆☆
「それで?話を聞かせてもらおうかしら?」
凛はきっちりと約束を守り飛行魔術の練習後、カフェに戻っていた。
「…では頭を柔らかくして聞いてくださいね?」
サクラは目の前のカップにティーポットからアッサムの紅茶を注ぐ。そこに角砂糖2個を落とし、ミルクを加える。
「まず理解していただきたいことは、私は
「平行世界…」
ミルクティーとなったカップを持ち上げて傾ける。舌を湿らせて話を続ける。
「魔術師にとって、魔法とはたどり着くべき終着点のひとつ。例えば遠坂家は第二魔法を目指して宝石魔術を研鑽してきている。他にも第一、第三、第五魔法があると言われており、現在知られているのは第二魔法の大師父と第五魔法の蒼崎青子だけ」
「トラブルメーカーね」
「…………… 遠坂さんが言う?」
「何か言ったかしら?」
凛の笑顔は満面の笑みだったが、オーラは黒い。地獄耳極めたり。
「さて、魔法と1口に言っても、魔術師は大いなる流れに触れる以上、必ず魔法に類される代物があるはず。例えば衛宮の時間操作。時間操作は恐らく第五魔法に類される。だが、それは魔法の域であって魔法でない」
「それで?」
サクラはミルクティーを再び傾ける。頭を回転させるのに忙しく糖分を欲していた。
「端的に言えば、第二魔法の平行世界の運営によって作られる衛宮士郎の可能性存在が私、衛宮サクラです」
「は?」
「魂は変化しない。そう言いたいのでしょう?無論です。遠坂さんは第二魔法をよく知っているから分かると思ったのですが、第三魔法の系統もある程度知っているのですか…まぁ、それはいいとして……」
サクラは今はまだ言うべきでないと、聖杯戦争を伏せて話すのに気を使っていた。
「衛宮士郎はとある魔術的な秘密を抱えていました。それは魔法にも匹敵するもの。だが、彼はへっぽこ魔術師だった。強化や解析でさえ苦労するほど。彼の属性が
「…あなたも剣を使ってたわね」
「ええ。慣れ親しんだスタイルを変えてまで勝てる相手でもないですから。…それを隠すために、そして、バレても降りかかる火の粉を払えるように…と大師父へ弟子入りした挙句、ここにいます」
その端折って順番を互い違いにした説明に凛は混乱していたが、それはサクラの思うツボだった。衛宮士郎時代ならばこんなずる賢い謀略などできはしなかっただろうが、今は衛宮サクラなのだ。………女って怖い。
「今言えるのはここまでです。ちなみに、この世界の衛宮士郎は過保護に魔術とは一切の関わりを持っていないので、その点は配慮してあげてください。あなたがお兄ちゃんに恋をしているとしても、何も手も口も出しませんから」
「はぁ!?ちょ、そんなことないわよ!」
「目は口ほどに物を言う、と言いますよ」
「―――――ッ〜〜〜!!!」
顔を赤くして固まる凛に、微笑んだサクラはティーカップを空けた。
☆☆☆☆☆
「ねぇ、サクラ。その服で行くの?」
「……うん」
昼間に練習したドレス風のワンピース姿のサクラ。少し透け感があるが、何層も重なったオーガンジーやその最下層のシルクっぽい布に阻まれて透けてはいない。(別に作者は見たかった訳では無い。ないったらない)
右手にはしなやかな雰囲気を纏うニスの綺麗な箒が握られて、左手には黒い洋弓を握っていた。
河原に着くと、そこには既に凛とルヴィアと美遊が待っていた。
「お待たせしました」
「時間ちょうどよ。さぁ、リターンマッチよ!」
途中のサクラのセリフが分かりづらいのはあえてです。凛がなるべく曲解するように仕向けています。皆様にえ?と思われてしまう文だと思いますが、その点ご了承ください。
次はキャスター戦、その次でセイバー戦をやります。もうしばしお待ちを。