Fate/kaleid liner advanced プリズマ☆サクラ 作:風早 海月
上空で待ち構えるキャスターの攻撃をかいくぐり、イリヤが飛翔する。その隣には魔力による足場を作って跳躍する美遊と、箒に横座りして飛ぶサクラ。ちなみに、横座りなのは跨ぐと擦れて痛いようなむず痒いような変な感覚になるからだ。
作戦は至って単純。
柔軟な発想力を持ち、魔力砲の運用の上手いイリヤが撹乱。
空中機動力が低く、遠距離からの攻撃ができるサクラが援護。
突破力を持ち、ランサーの
という塩梅だ。
《このまま魔法陣の上まで飛んでください!そこならこの攻撃は届きません!》
キャスターの上空陣地の形は下層から、攻撃陣、魔術防御障壁、物理保護障壁、魔力反射平面の4層構造。攻撃陣からは物理干渉能力のある魔力砲が飛んでくるため、魔力反射平面より上に行けば攻撃陣からの攻撃は防げる。懐に潜り込むのと同じ考え方だ。
「
サクラはその背中にある矢筒から矢を抜いては強化して攻撃を繰り返す。これはルヴィアの出資でこの地域の弓矢を扱う店から買い取ったもので、魔術的に拡張された矢筒でかなりの本数を残弾として残している。その数なんと初期値で807本。そんなになんに使うのやら。これだから成金は…
《さあさあ、この空がバトルフィールドですよー!敵勢力を排除して制空権を我が物にするのです!》
「な、なんかテンションたかいね!」
イリヤがルビーを振るって弾幕を作り出す。その弾幕は絶え間なくかなりの濃さがあった。
(うわ…イリヤってばやっぱり魔力量はすごいな…でもあっちの美遊ちゃん…彼女も一般人ではない…どころか無駄が多少多いだけで魔力の放出量はイリヤ以上?……ありえない。あのクラスの魔力出力はカレイドステッキでは説明つかない)
第二魔法を知っていること、桜(サクラ)の魔力感受性が高いこと、投影の関係上魔力運用に造詣が深くなったこと、その他色々な要素が集まった結果として美遊への疑心を募らせる。
だが、そんなことを考えている余裕はないと強化と射に集中する。弓だけは一流となれた士郎と、桜にとっての士郎との思い出であること、その2つの要素が合わさりサクラの射る矢は超高ランクの矢よけの加護を有さない限り必中である。全能力をつぎ込めば恐らくランクAの矢よけの加護も突破できる可能性がある程に。
もちろんこのキャスターにはそれは無い。貫通力や威力は凛やルヴィアの宝石魔術の火力と比較して低いので予め展開されている防壁に阻まれるが、それに処理を集中すればイリヤたちが楽に動けるようになる。
(この位置なら…!)
「いける…!」
「やっておしまいなさい、美遊!」
サクラ・凛・ルヴィアの魔術師組の意見が一致した。美遊は『ランサー』のクラスカードを
「『ランサー』
だが、サクラもまた失念していた。キャスターが消えた。そして、突然消えたキャスターに、美遊は動きを止めてしまった。
背後にいきなり現れたキャスターに凪払われる。
腐っても英霊であり、身体強化もしているのだろう。かなりの威力を持ったそれは美遊を一撃で負傷に持ち込んだ。つまりそれはカレイドステッキの持つ防御を突破したということ。
地面に叩きつけられた美遊。それはあの砲撃の嵐の的となるのと同義だった。
「イリヤ!フォロー!」
それだけ叫ぶと、矢を番えるのを止め、宝石剣・突を構える。
「
宝石剣から汲み出された莫大な魔力を、桜の小聖杯の一部に注ぎ、
桜の小聖杯は汚染されてしまったことから、今サクラの中にある小聖杯はあくまで欠片に過ぎない。だが、その機能は完全には失われていない。時間とともに切除した部分を回復するようにこの体自体が作られている。
これはサクラの身体は成長がどこまでできるか分からず、宝石剣による大魔力に耐えられない可能性があったからだ。かつての衛宮士郎の魔術回路はそれに耐えられるだけの、魔術回路の頑丈さがあったが、この身体にはそれがない。
「転移魔術…」
《ここまで来ると厄介ですねぇー》
「まぁアレでも世界の認める英雄の1人の写し身だから…」
腐っても英霊、である。まぁ反英霊もいるが。どちらにせよ力はそれなりにあるはずだ。
「サクラ、何か手はあるの?」
桜の身体を使っているからか固有結界の展開が出来ないサクラは、切り札を欠く。が、それに代わる火力を今は持っている。
「手はある…が、時間がかかる」
美遊とサクラとイリヤの視線が交わる。
☆☆☆☆☆
「
小聖杯とは、サーヴァントの魂を抱えるための器だ。それは魔力の一時保持としても有用であり、それを活かしたサクラの切り札のひとつだ。
宝石剣・突から得られる莫大な魔力を小聖杯に溜め込み、一撃の火力を底上げするというもの。その魔力量は推定でサーヴァント2~3騎分にも相当し、その威力は単純に
イリヤが全力で撹乱し、時間を稼ぐ。美遊は飛行魔術を止めたサクラの足場作りと固定砲台としての援護射撃だ。
サクラは美遊に頷きかける。美遊はそれを確認して、サクラを横抱きに抱えて跳ぶ。この切り札の弱点は行動デバフ的なものがかかることだ。
「極大の…散弾!」
キャスターの展開する魔力指向反射平面を利用して、イリヤは間接的にキャスターを攻撃するが、子弾が多く1発1発の威力は低いだが、それを受けた瞬間、一瞬だけ止まる。美遊の位置取りは悪くない。あとは決めるだけだ。
「
鏡面界を揺るがし、実世界にすら届きそうな火力が空間を切り裂く。
土煙が晴れると、そこにはもう魔法陣は掻き消えていた…というか大威力砲撃に魔力指向反射平面が耐えられなかったのかもしれないが。
「魔法陣が消えた…ってことは」
《そうです!我々の勝利ですよー!》
美遊はホッとして気を緩めた。だが、その瞬間、直感と視界の端に違和感が走った。
「……ッ!?」
鏡界面ギリギリにどデカい魔法陣が3つ。全てのリソースで空間爆撃を仕掛けようとしていた。
美遊は一瞬の思考で攻撃を選択したが…それは判断ミスだ。間に合わないことは明白だった。だが…
「
イリヤが砲撃を放ったのだ、
「
イリヤの砲撃を足場に加速し、ランサーの
美遊はキャスターをカードにしたのを今度こそ確認して、回収した。
次からはみんな大好きアレが出る予定です!
桜と言ったら…ね?