【4コマ小説】死んだVtuberと異世界と。 作:ケータリング
私はよく知りません。
おそらく200~400字程度でオチをつける短文形式だと思うのですが、コンテストなどでも定義がまちまちですね。
場面のつなぎを考えなくていいので書きやすい形式だと思います。バトルが始まると短く分けることは難しいので、そこは諦めましょう。
二日目の朝。
目が覚めると、ちょうど日が昇るところだった。
何でこんなところにいるんだっけ……。
ああ、地球じゃないのかここは。
ベッドじゃないので背骨がばきばきだ。やっぱりアウトドアは合わないな。
時刻を確認しようとスマホを見ると午前11時。うん? 昨日は気がつかなかったけど、時間がずれているのかな。別の世界ならおかしいことではないけど。
そういえばプラティがいないなあと思っていたら、上空からゆっくりと降りてきて近くに着地した。どこにいたんだ?
「マスター、おはようございます」
「おはよう、プラティ。今の、何をしているんだ?」
「飛行訓練です。魔法で空が飛べるのですが、何分設定だけで、実際にやるのは初めてなので」
「へえー」
「それでですね、改めて遠くまで見ていたんですけど、何の陸地も発見できません。ここはかなりの孤島ですね」
地球は丸いから地上だと半径5キロくらいしか見えないって話だった気がするけど、空からでも見えないならどうしようか。
「あっ、あとですね……この島の中心に
「祠? なんでこんなところに。後で見てみるか」
それよりも今は飯だ。
「プラティも好きなもの注文していいぞ」
「わあい。……ところでマスター、マスターは死んじゃってるのにこのお金はなくなったりしないんですかね……」
「うーん、プラティとして稼いだお金だし、僕が死んだからどうこうって話にはならないと思うけど。ちょっと心配になってきたかも」
◇ ◇ ◇
「それで何がいい? パンにしようと思うんだけど」
「まず、あんパンと牛乳は外せませんね……」
「張り込みでもするのか? あんパンなんてしばらく食べてないな」
「それは病人にあんパン持ってくる人間もいないでしょう」
「いや病院に搬送されてからは急転直下だったし。それ以前ならね」
「カレーパンもいいですね。血糖値上がりそうですけど」
「電子生命体に血糖値なんてあるのか? 僕は惣菜っぽいの選ぶけど」
揚げパンとか菓子パンとか、朝から食べるには重い。
◇ ◇ ◇
適当に朝食を済ませて、プラティが確認したという祠を確認しに行く。
ちょっとその前に包装のゴミを……。
――
プラティが何か魔法を発動させると、その手の中に赤い炎が発生しビニル包装は赤熱して融け消えた。
「お前、そんなことできるなら昨日一から火を起こす必要なかっただろ」
「いいえ、マスターが楽しそうに火を起こしていたので、それを無駄にしてはいけないかと思った次第です」
「それはいつ無駄になるかの違いでしかない」
「尤も、昨日の時点では自分に何ができるかまだ分かっていなかったのです。今も検証しているところですが」
「なら仕方ない。……えっと? 僕が寝てる間にこんな危険な魔法を試してたのか?」
「……そうですね。祠に向かいましょうか」
「おい」
◇ ◇ ◇
小さな島なので、林があっても大した量ではなかった。流石に裸足では歩きたくない場所だが。いややっぱり軍手くらいは必要だったかも。
林の中には直径10メートルほどの開けた空間があり、その中心に小さな祠があった。
「
祠の中には要石のようなものが鎮座している。その表面には何かの文様が描かれていた。
「サッカーボール?」
「亀甲じゃないですか?」
「なるほど」
亀甲。亀の甲より年の劫。ぜんぜんわからん。
何か意味のある亀甲なのだろうかと眺めていると、ポケットのスマホがぶるぶると震えた。
「えっ、何?」
Vtuberのときは、業務でPCメールだけを使用していたから通知なんてこなかった。電話の呼び出しでもない音声だし、ちょっと不思議。
開いてみると、カメラ画面のようなもの。
封印を解除しますか。“はい”/“いいえ”。“はい”を選択。
すると目の前にある要石が輝きだした。ああ、こういうものか。
周囲には金色の鏡が壁のように広がっていく。
「ちょっとマスター、何をやってるんですか」
変なことをしてしまったようだ。
「悪い」
「全く。……結界です。ちょっと逃げられませんね、勝つまでは」
いつの間にか周囲は金色の舞台へと変わっていて、正面には祠ではなく緑色の鎧を身に着けた騎士のようなものが立ち塞がっていた。武士でもないのか。
プラティに後ろへ引っ張られるようにして投げ飛ばされる。襟を掴んだのか、危うく首が締まりかけた。
「今は私がどうにかやってみます」
プラティのあいまいな宣言。これは僕が不注意だった。
緑の騎士がちゃきりと音を立てて剣を構える。
同時に、プラティの両手両足に強い光が発現する。
魔力開放:【
プラティを中心とした光は細い光の筋のように収束し、手足にそれぞれ三つの縞模様を描いた。
緑の騎士が剣を振り上げると、その時にはプラティの右腕から放出された衝撃波が騎士にぶつかっていた。何をしたのかは見えなかったけど、右腕だけが動いているから多分そう言うことだろう。スマホにもそう
しかし鎧が甲高い音を鳴らしたにもかかわらず、緑の騎士は全く意に介さずに突撃を続ける。剣がプラティに振り下ろされる、のか振り下ろされたのか。速すぎて見えない。しかしプラティは何の動作もなくふわりと空へ舞い上がっていた。両の手からの光で魔法円を描いている。出現するのは激しい炎、そして巨大な氷柱。
二つの攻撃が緑の騎士に命中するけれど、スマホによるとダメージになっていない。
「プラティ! そいつに魔法は効かないみたいだ」
「はぁ? ……実戦これが初めてなんですけど。いきなりそんなのってありますか? やりますけど」
プラティはそれならば、と両の手を合わせる。一瞬で光の輪が形成され、そこから引き抜かれるようにして
「まだまだ私の番ですよ」
プラティの姿が一瞬にして消え、緑の騎士の背後に現れる。振り向くより速く一突き。鎧の上からの攻撃で、緑の騎士を大きく突き飛ばした。
「物理的なダメージはあるみたいですね……それでも耐久力もありますか」
緑の騎士はダメージを感じさせない様子で立ち上がる。
踏み込み。
緑の騎士とプラティが激突する。剣を矛で受ける。長さが違うので間合いを取っている限りはプラティが有利のはずだが、緑の騎士は矛を捌いて少しずつ前進してくる。プラティは苦しそう。【転移】を使用すれば間合いは自由に取れるはずだけれど。多分、慣れてない。
プラティの体勢が崩れ、弾き飛ばされる。プラティが取り落とした三叉の矛も別の方向へと落ちた。
「プラティ!」
緑の騎士が追い打ちをかけようと剣を振り上げる。流石にまずいんじゃないのか?
「まだ……舞えます」
――
三叉の矛がプラティの手に突然に移動し、騎士の剣を受け止めていた。自分のものは瞬時に手元に呼び寄せることができるようだ。
プラティは遥か上空へと転移する。
「私、分かりました。この結界は上には限度がないみたいですね。質量攻撃なら何とかなりそうです」
プラティが天に手をかざすと、巨大な魔法円が描かれ、それに見合った巨大な鉄球が出現する。
――
鉄球が振り下ろされる。どこにも逃げ場はない。鉄球による一撃は、緑の騎士を跡形もなく押し潰した。
「あのまま潰されるかと思った」
「流石にやりませんよ」
僕は衝突の直前でプラティに回収され、上空から様子を眺めていた。