イマジンズ、転生す   作:ねこどん

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7話 俺、ようやく参上!!

 フシュルルルルとヴァイオレンスドーパント(以下Vドーパント)は息を吐き、身体を上下させる。最早それはダインだった頃の面影はなく、完全に怪人と化していた。

 

 大きく膨れ上がった上半身に太ももよりも太くなった腕。左手首は球体となり、身体のあちこちには板状の突起が刺さっているかのように見える。顔はツルリとしたのっぺらぼうで唯一口があるくらいか。

 

「なんだありゃ!?あんな魔物もいんのかよ」

 

 モモタロスが驚きの声をあげる。しかしスタッシュがそれを否定する。

 

「人が変化する魔物なんて聞いた事ないよ。リビングデッドだって死体に魔法をかけて操っているだけだ。あれは生きた人間が変化している。全く見当がつかないよ」

 

 じりじりとVドーパントはモモタロス達に近付いてくる。デネブが堪らず指鉄砲を撃ち、牽制する。

 

「ここは俺が食い止める。みんなは今の内に逃げてくれ」

 

「何言ってるんだい。アンタにゃ1000Lの貸しがあるんだよ」

 

「わかってる。それも必ず払う。だから今は…」

 

 Vドーパントの渾身の左ストレートがデネブの頬を撃ち抜き、近くの木に激突する。立ち上がろうとするが思いの外ダメージがきているようで足がふらついて上手く立ち上がれない。

 

「デネブ!」

 

「僕がいこう。元はと言えば僕達が招いた事態だ。それにあんな姿になったとは言え、ダインは僕らの大切な仲間だ」

 

 スタッシュが疲弊した身体を奮い立たせ、前に出る。それを見たドクトルは演技かかった口調でハンカチで目元を拭う。

 

「満身創痍の身でありながら仲間の為に怪人となった元仲間を討伐しようとする。なんて素晴らしい美談だ。泣かせてくれますねぇ。ですが変身もできないあなた方では私のVドーパントを倒す事はおろか、致命傷だって与えられませんよ」

 

 その言葉にデネブはハッと閃く。そしてモルガに向かって叫んだ。

 

「変身?そうだ。モルガ!俺にアレを使わせてくれ!アレなら俺がゼロノスになれる!」

 

「はぁ!?何言ってんだい!そんなやったらめったら商品を使わせる訳無いだろバカチンが!」

 

「おいモルガ!今の話本当か!?」

 

「モモすけまでなんだい。アレはね、さっきの薙刀とは訳が違うんだ。アタイがどれだけ苦労して手に入れたかわかってんのかい?」

 

 モモタロスがモルガに詰め寄った。しかしモルガはそれを拒む。そうしている間にVドーパントは近付いてくる。

 

「チッ、『零下の地に宿りし精霊の力。フリージングストーム』!」

 

 ティニーが詠唱をし、杖の穂先から吹雪が螺旋状に巻き起こり、Vドーパントを包む。吹雪の冷気がその肉体を徐々に凍りつけてゆく。

 

「吹雪とは何だか運命を感じさせる魔法ですねぇ。しかし…その程度では足止めにもなりませんよ」

 

 ドクトルが口角をぐにゃりと歪ませ笑う。雄叫びをあげてVドーパントは気合いで氷を砕き、何事も無かったかのように腕をぐるぐると回す。そして標的をティニーに絞り、真っ直ぐ突っ込んできた。

 

「何!?ちょっ、来ないで」

 

 魔法を破られた事で動揺したティニーは動くことができず、その場から動く事ができない。

 

「やめろ!」

 

 デネブが飛び出してVドーパントの足にしがみついた。ティニーにぶつかる手前でなんとか止められたが、代わりにそれを振り払おうとするVドーパントは暴れ、デネブに拳を何度も振り下ろす。

 

「なぁモルガ。出し惜しみしてる場合かよ。おデブがいくら頑丈だってそう長くは持たねぇ」

 

「モルガ。私からもお願いよ。もしアイツを倒せるなら力を貸してちょうだい」

 

 サリィの懇願を聞いて、ラックも身体を起こしてモルガに頭を下げた。

 

「僕からもお願いだモルガ。君が大変な思いをして手に入れた物なのかもしれないけど、ここでやらなきゃみんな死んじゃうかもしれないんだ」

 

 そこで漸くモルガは根負けした。深くため息をついてやれやれと首を横に振る。

 

「わかった。わかったよ!ならくれてやる。ただし、お代は高くつくからね?」

 

「上等だぜ。いくらでも払ってやらぁ」

 

「いい返事だモモすけ。その言葉忘れんなよ?」

 

 笑ってモモタロスに手を差し出した。交渉成立ということなのだろう。モモタロスはその手を取り、握手を交わす。

 そしてモルガは置かれたリュックの方へと走る。しかしあと少しという所でリュックは突然炎に包まれた。

 

「そう易々と使わせる程、甘くはないですよ。さぁ、Vドーパント。さっさと他の生ゴミを片付けてしまいなさい」

 

 目の前で燃え盛るリュックをモルガは絶望したように地面に膝をつく。ドクトルの指示にVドーパントは答えるかのように咆哮した。

 

「ゴァァァァァァッ!!」

 

 既にぐったりとしているデネブを蹴りあげて吹き飛ばす。ゴロゴロと数回転がって、やがてデネブは力尽きたようにうつ伏せに倒れた。

 Vドーパントは猛進を止めず、サリィとティニーを巻き込んでモルガの方へと突き進む。しかしスタッシュが飛びかかってVドーパントを羽交い締めた。

 

「ダイン!もうやめてくれ!僕達の事がわからないのか!?」

 

 悲痛の叫びも虚しく、Vドーパントは背負い投げの要領でスタッシュを振り払い、地面に叩きつけられたスタッシュを何度も踏みつける。いくら鎧を着ているとはいえ、ダメージが蓄積しているスタッシュの身体は限界を迎えようとしていた。

 

「ははははっ。さっきまでの勢いはどうしましたか?これではギルドの面子丸潰れですねぇ!」

 

「は、ははは。あはははは」

 

 突然モルガが笑いだして、ふらっと立ち上がった。その様子をみてドクトルは憐れむ。

 

「希望が潰えて気でも触れてしまいましたか。やはり脆い存在なのですねぇ」

 

「いいや。アタイはまともだよ。余りにアンタが滑稽なもんで可笑しくってさ」

 

 モルガの思いがけない言葉にドクトルは呆れたように返す。

 

「何を今更…。そういうのを負け惜しみというんですよ。知りませんでしたか?」

 

「負け惜しみねぇ。それはアタイらじゃなくてアンタが言うんじゃないかい?」

 

 流石にムッときたドクトルは口調を強め、持っていた本をパタンと閉じる。

 

「何を言い出すかと思えば。この悲惨な状況でよくそんな事が言えますね」

 

「はん、もうこっちの準備は万端なんだ。モモすけ!必要な物を思い浮かべてさっき渡した物を振るんだ!」

 

 目を見開き、ドクトルはモモタロスの方を向く。モルガに言われた通りにモモタロスは掌から四角い小石の様なものをこぼした。それはそれぞれの角が金で装飾されたダイスであった。

 ようやくそこでドクトルは気が付いた。先程の握手は和解の為などではなく、ダイスを手渡す為のものであった事に。

 

「そ、それは『創造主のダイス』。何故そんなものが!」

 

「もう驚いたって止まりゃしないよ。文字通り賽は投げられたんだ」

 

 ダイスは地面に落ちて数回バウンドして転がり、5の目が出る。

 するとモモタロスの前方の次元が歪んで渦を作り、そこからデンオウベルトとパスが現れた。それを掴んだモモタロスはそのままラックに憑依する。

 

「これだぜこれ!ありがとうなモルガ」

 

「礼はいい。みんな身体を張ってくれたんだ。やっちまいな!」

 

 Mラックは腕を回し、ベルトを装着させる。そしてバックルの脇に付いた赤いボタンを押した。ベルトはけたたましくサイレンのような待機音を発し、ベルト中央が赤く点滅する。

 

「言われるまでもねぇぜ。変身ッ!」

 

 大振りにパスをセタッチするとベルトはそれを認証し、音声が流れた。

 

 〘ソードフォーム〙

 

 Mラックは電王プラットフォームになる。そして赤い装甲が宙に現れてそれぞれ肩や胸に装着してゆく。最後に頭を走るレール状のライン、デンレール沿って赤い桃型のレリーフが後頭部から顔の方へと流れてゆく。それが一気に展開し、顔に装着された。

 Mラックは電王ソードフォームへと変身をとげ、スタッシュとの戦いで見せたポーズをとる。

 

「俺、ようやく参上!!」

 

 

 *

 

 

「まさか、そんな馬鹿な!変身しただと!?」

 

 ドクトルは目の前で起こった事を信じられないと言わんばかりに言葉を並べる。電王ソードフォーム(以下電王SF)は首を回しながらそれを否定するかのように言い放つ。

 

「さっきからごちゃごちゃとうるせーんだよ。まぁこうして変身できたんだ。今までの借りを返させてもらうぜ。それとな…」

 

 腰に備えられたデンガッシャーを慣れた手つきで次々と組み立ててゆく。そして最後のパーツをとりつけるとシャキンと赤い刃が顔を出す。

 

「俺は最初から最後までクライマックスだぜぇぇぇ!」

 

 叫んで電王SFはVドーパントに思い切りヤンキーのような蹴りをお見舞する。よろけたVドーパントに追い討ちでデンガッシャーを振るい切りつけた。更に2撃目3撃目とテンポ良く攻撃を浴びせていく。

 

「随分と調子こいてくれたじゃねーか。今までやられた分はキッチリ返させてもらうぜムキムキ野郎!」

 

 Vドーパントも負けじと応戦するが電王SFはそれを軽々交わし、お返しとばかり切りつけてゆく。圧倒的な力の差があっという間にそれまでの形勢を逆転させる。遂にVドーパントは膝を着き、追い詰められた。

 

「さっさと終わらせるぜ。お前だって元はあのキザ野郎の仲間だったんだ。今楽にしてやるよ」

 

 パスを再びベルト中央にセタッチし、勢いに任せてパスを放り投げる。〘フルチャージ〙という音声と共にベルトはデンガッシャーにフリーエネルギーを送る。それが赤い稲妻となり、刀身を包む。

 

「必殺!俺の必殺技…」

 

 デンガッシャーの刃が本体から離れ、宙を舞う。電王SFがデンガッシャーを左右に振るうと刃もきりもみ状に回転をしながら、動きに合わせて2回切りかかる。

 

「パート5!」

 

 掛け声に合わせて刃がVドーパントを縦に両断する。刃が放出するエネルギーをモロに浴びたVドーパントはそのまま断末魔をあげて爆散した。刃はまたクルクルとデンガッシャーに戻り、電王SFはそれを軽く肩で担いだ。すると変身は解除され、ベルトもパスも細かな粒子となって虚空へと消えていった。

 

「はぁ…、やれやれ。まさか変身できるとは想定外でしたねぇ。まぁ貴重なデータは取れましたし、指輪の有用性もわかりましたから良しとしますか」

 

 ドクトルはいつの間にか気を失っているダインを担ぎ、呆れたようにため息をついた。スタッシュが慌てて追うも、ドクトルはさぁっと幽霊のように何処かへ消えていった。

 

「ダイン!クソッ…」

 

 仲間を救えなかった悔しさから地面に拳を叩きつける。ティニーがそっとスタッシュの肩に寄り添い、スタッシュは涙を拭いた。

 

 

 *

 

 

 あの戦いの後、騒ぎを聞きつけた他のギルドメンバーや王都の憲兵隊にラック達は保護された。怪我の酷さは個人差があったもののほぼ全員が治療を受ける事になった。

 

「ったくよ。アイツらどういう神経してやがんだ?俺があのムキムキ野郎と戦ってなけりゃ今頃ここだって無事に済まなかったんだぞ?」

 

「モモタロスを見るなり5人で取り押さえるのもどうかしてるよね。スタッシュさんがすぐ止めてくれたから良かったけどさ」

 

「良かねぇよ!勘違いされる身にもなれってんだ!っててて…」

 

「それは仕方ないんじゃない?その見た目だとどうしてもね…。まぁでも今回の事でギルドは貴方の事を周知してくれるらしいからここら辺では大丈夫なんじゃないかしら?」

 

 3人は仲良く同じ部屋のベッドで横になっていた。ギルドが手配してくれた王都にある病院の一室である。

 今回結果的に彼らの行動は王都を怪人から守ったと評価され、感謝の気持ちとして好待遇で治療を受けていた。デネブとスタッシュは特に怪我が酷かったので別室で治療を受けており、治療を終えたノエルとティニー、モルガはその付き添いをしている。

 モモタロスは寝返りをうちながらサリィに文句を垂れた。

 

「それよりサリィ。オメーこの中で1番ピンピンしてんのになんでここにいんだよ。部屋が狭くなるじゃねーか」

 

「アタシだって怪我してるの。そりゃ2人に比べたら軽い怪我かもしれないけど」

 

「それにしてもここの治療は凄いらしいね。ギルドの人が言ってたけど、大体の怪我なら一晩寝れば治るんだって」

 

「確かに凄いけどそれならギルドだけでなくてもっと多くの人が利用できるようにするべきだわ。困っている人は沢山いるでしょうに」

 

「そうだけど普通の病院でも3日あれば大体の怪我は治るんだし、ここはギルド専用だから特別早いんじゃないかな?」

 

 ラックの言葉にモモタロスは思わず半身を起こす程ギョッする。

 

「はぁ?そんな事ある訳ねーだろ。あのーほら、骨が折れたり色々あんだろ?それが3日って有り得ねぇだろ」

 

「え?どこも治癒魔法を使ってるんだから治るに決まってるじゃない。何驚いてんのよ」

 

 ラックもサリィと同じように「何を驚いてるんだろう」と顔に書いてある。確かに思い起こしてみればポーションと呼ばれる薬をたらふく飲まされ、次の日には怪我が完治(とは言え多少の痛みは残る)していた。

 深く考えてもよくわからない原理ばかりと気付いたモモタロスは考えるのをやめてふて寝しようと腕を枕にして目を閉じる。

 

「おーすモモすけ。具合はどうだ?」

 

 デネブの付き添いをしていたはずのモルガが豪快に病室のドアを開ける。真っ直ぐモモタロスの所に来ると満面の笑みで話しかけた。

 

「どうしたんだモルガ。やけに嬉しそうじゃねぇか」

 

「デネブの治療が上手くいってね。臨時収入も入るしそりゃ嬉しくもなるさ」

 

 ニコニコと奇妙なくらい愛想の良いモルガにモモタロスは片眉を持ち上げて聞いた。

 

「臨時収入ぅ〜?なんだよそれ。ギルドの連中がくれるのか?」

 

「まったまたとぼけちゃって。ダイスの代金だよ」

 

 そこでようやくモモタロスは戦いでのモルガとのやりとりを思い出した。上体を起こしてゴソゴソと自分用のがま口財布を取り出す。

 

「そういやそうだったな。でいくらだ?おデブの武器が1000Lなら1万くらいで足りるだろ」

 

 するとモルガは目をパチクリしたかと思うと「あははは」と笑い出す。

 

「本当にモモすけは冗談が上手いね。そんな安く買える訳ないだろ。そんな安価だったらこちとら商売上がったりだよ」

 

「え?じゃあいくらなんだよ?」

 

 右手の平を差し出し、満面の笑みでモルガは答える。

 

「しめて3000万Lになります」

 

「さ、3000万!?なんだよそれ。ふっかけるにも程があんだろうが!」

 

 余りの高額にモモタロスは語気を荒らげる。しかしモルガは澄ました顔で首を横に振る。

 

「お前さんが自分でいくらでも払うと言ったんだぞ?それに3000万なんて安い方だ。相場で言えばあの『創造主のダイス』は2億はくだらん超レアアイテムで、そこをアタイは身を切る思いで売ってやったんだ」

 

「嘘だろオイ。な、なぁダック…」

 

 助けを求めるように2人の顔を見るがラックもサリィも目を合わせてくれない。申し訳なさそうにラックは言った。

 

「ごめん。さすがにそんな大金持ち合わせて無い…」

 

「力になってあげたいけど、アタシも貸せられる程ないのよね…」

 

「そんなマジかよ…。えぇっとモルガさん。ちなみに返品は…」

 

 恐る恐る尋ねるモモタロスにモルガは悪魔的な笑みで返す。

 

「個体によって違いはあるがアレは何回か使うと壊れちまうんだ。つまりあの1回で壊れなかったという事は次に使った時壊れる可能性がある。そんな不確かな状態の物を返品なんてできるはずないだろ?」

 

 モルガの言葉にモモタロスは身体を小さくさせる。身体から変な汗がじわりと流れる。どうしようもなくなったので意を決して謝る事にした。

 

「えーっと……、すまん!手持ちが足らなくて今すぐは払えねぇ。もう少し待ってくれ!」

 

 口角が下がり、モルガの表情が厳しくなる。そして徐にモモタロスの角をガッと掴んで引き寄せた。

 

「オイモモすけ。お前さん自分が何言ってんのかわかってんのかい?大事な商品使っておいてその代金は払えませんだぁ!?ふざけんのは顔だけにしなよこの唐変木!」

 

「だ、だから謝ってるじゃねーか!」

 

 高圧的なモルガについいつものように逆ギレてします。それがまずかった。モルガはモモタロスの顔に1発拳を叩き込む。

 

「それが謝ってる奴の態度かい?そーかい。それならそれでいいさ。ならアンタは地下1000年で労働してもらうからね!!」

 

「せ、1000年〜ッ!」

 

 余りのショックにモモタロスは真っ白になり固まってしまう。しばらくの沈黙の後、モルガはプッと吹き出し大笑いし始めた。話についてゆけずにモモタロスはあんぐりと口を開ける。

 

「はー、笑った笑った。冗談だよ冗談。どうせ3000万なんてすぐに払えないと思ってたよ。だからちょっとからかってやったんだ」

 

「お前なぁ、そういう冗談は良くないんじゃないか?」

 

「悪かったって。だが3000万はマジで払ってもらうよ。それは親しき仲にもなんちゃらってやつだ」

 

「いや、でも俺そんなに持ってねぇんだよ」

 

 甘いと言わんばかりにチッチッチッと指を振り、モルガは1枚の紙を取り出す。異世界文字で書いてある為、読めないが右上にギルドのシンボルであるユニコーンの紋章の印が押されてある。

 

「これはさっきギルドの姉ちゃん達から受け取ったギルドメンバーの契約書だ。モモすけ、お前さんとそこの2人でギルドに入りな」

 

「ギルドにか?なんでだよ。面倒くせぇ」

 

「まぁそう言わず最後まで聞け。お前さん達が追ってるあのフードのドクトルだっけ?今回の騒動でギルドは正式にあの男を追うことに決めたそうだ。

 つまり所属しておけばギルドの支援を受けながらアイツを追えるって訳だ。それに依頼をこなせば成功報酬も入るからアタイに代金だって支払えるぜ」

 

 煮え切らないモモタロスに後押しするかのようにサリィはモルガの言葉に賛成した。

 

「そうね。それなら闇雲にあてもなく探すよりも全然効率がいいわ。今回王都を目指してたのも何かしらの手掛かりがあればと思っていたからだし。ちょうどいいんじゃないかしら?アタシは賛成よ」

 

「僕もそれがいいと思う。結局今回も逃げられちゃったし、追っていれば何が目的なのかもわかるかもよ?それにモモタロスの仲間だって見つかるかもしれないじゃないか」

 

 2人が賛成した事でモモタロスは口を尖らせた。

 

「まぁ、俺は暴れられればそれでいいんだけどよ。2人がそこまで言うならやってやろうじゃないか」

 

 ニカッと笑ってモルガは嬉しそうに言った。

 

「そう言ってくれると思ってたよ。ささ、じゃあここにサインをしてくれ。拇印でもいいぞ」

 

 モモタロスは言われるがままに親指を噛んで契約書に拇印をついた。それを見届けたモルガは素早くモモタロスから契約書を取り上げた。

 

「これで契約成立だね。いやー、ありがたいね。なんせ報酬の7割はアタイにくれるってんだからさー」

 

「はぁ!?7割!?なんでそうなるんだよ。ふざけんじゃねぇ!」

 

「でも契約書にはそう書いてあったし、何よりモモすけ。お前さん自身で拇印を押したんだからね」

 

 再び悪魔的な笑みでモルガはニヤァッと笑って契約書をわざとらしくなびかせた。たまらずモモタロスはそれを取り戻そうと手を伸ばすもモルガはそれをかわしてドアの方へ走っていく。

 

「じゃあこの契約書はアタイが責任もって出しとくよ。せいぜい、稼いでくれよな」

 

「ざけんな!そんなモン無効だ!オイ待てクソチビ!戻ってこい!」

 

 モモタロスの声が病室に響き渡り、ラックとサリィはお互いの顔を見ながら肩をすくめた。

 

 

 

 

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『創造主のダイス』

 自分の欲しいものやなりたい姿をイメージして振ると、出た目×5分間だけそれが叶う激レアアイテム。使っているとランダムで壊れてしまう。

 ちなみにモルガはこれで「大人な女」になりたかったとか。

 




やっと7話にして電王が登場!

タイトルからしてイマジンをメインで構成している(つもり)なのでバンバン変身させたくないなーと今回制限付きで変身させました。なので次に変身するのはもう少し先かな?

それと前回と今回の話でドクトルの正体に目星がついたんじゃないでしょうか?(わかりやすかったかな?)勿論他作品の敵役ですよ!

今後もライダーだけでなく他作品の怪人もちょこちょこ出す予定でいるのでよろしくお願いいたします。
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