イマジンズ、転生す   作:ねこどん

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9話 疑問、質問、裏切りモン

 

 王都を出て北西へ進む事4日。ラック達はようやくジャオ村の手前までやってきた。ここまで来る間にモモタロスはこれまでの鬱憤を晴らすかのように暴れまくった。現れる魔物を片っ端から倒してゆき、中にはギルドが賞金をかけていた魔物もいた。おかげでそこそこの賞金を手に入れる事ができたのだった。

 

「しっかしあれだよなぁ。やっぱこうして戦ってると王都に着く前に戻ったみてぇだよな」

 

 嬉しそうにモモタロスはモモタロスォードを振り回す。ラックもサリィも当たらないように避けながら進む。

 

「嬉しいのはわかるけど危ないじゃないの。さっきもすれ違ったおじさんに衛兵呼ばれかけてたの忘れた?」

 

「そうだよモモタロス。ギルドの腕章があるからって調子に乗りすぎ」

 

「いいじゃねぇか。ここらは木も岩もねぇ草原なんだからよ。たまにこうしてねぇと身体が訛っちまうんだからなぁ」

 

 突然、進行方向の先から女の悲鳴が聞こえてきた。3人は小高い丘を一気に駆け出す。するとなだらかな傾斜の先に若い女が盗賊に囲まれている。

 

「やばいんじゃねぇかあれ。オイダック!」

 

「うん。行こうモモタロス」

 

 モモタロスはラックに憑依。モモタロスォードをぶんぶん振り回しながら一気に坂を駆け下りる。サリィも慌ててその後を追うが途中で石に躓き、派手に転ぶ。

 

「行くぜ行くぜ行くぜぇぇぇ!」

 

 Mラックは見向きもせずに手短な所にいた盗賊の1人に飛び蹴りを食らわす。

 

「キャッ!」

 

 よろめき倒れた盗賊はか弱い悲鳴をあげる。それに面食らったのは他でもないMラックであった。

 

「き、きゃあ?お前もしかして、女か!?」

 

「女だから何よ!」

 

 すぐ近くにいた女盗賊がモモタロスの股間目掛けて蹴りを入れる。意識はモモタロスであっても身体のダメージはラックにいく。強烈な一撃を食らったMラックはそのまま悶絶し、気を失った。

 

 

 *

 

 

 ピチャーンと頬に雫がしたたり、その水と身体の下から伝わる岩の冷たさでモモタロスは目を覚ました。両腕と両足を縛られ、身動きが取れない事に気が付く。

 

「お……?って!なんだこりゃ!?」

 

「あ。モモタロス、目が覚めた?」

 

 目だけ声のした方向に向ける。そこには全身ぐるぐる巻きの簀巻き状態になったラックが地べたに座っていた。

 

「ラック、お前どうしたその格好。なんで縛られてんだ?」

 

「それは僕よりあの人に聞いた方がいいんじゃないかな…」

 

「あぁ?」

 

 目で促され、ラックの視線を追うと木箱の上で胡座をかきながら骨付き肉を齧っている女盗賊がいた。ショッキングピンクの髪にアイパッチ。軽装に見えるが所々に鉄製のガードが付いている。その奥に2人の下っ端の盗賊が上へ続く階段を守るようにして立っている。どうやらここは地下にあるようだ。アイパッチの盗賊が肉から口を離してドスを効かせた声で話しかけてくる。

 

「よぉーやくお目覚めね。ダーリンの連れって聞いてなかったらすぐにでも殺す所なんだが、まさかこんなもやしっ子とアホっぽいオーガだとはね」

 

「誰がアホっぽいオーガだコラ!」

 

「ははははっ。そんな格好で檻に入れられて情けないと思わないのかい。私がお前なら真っ先に死を選ぶね」

 

 見下したように笑う女盗賊にモモタロスは器用に跳ねながら怒る。するとカツーンカツーンと靴を鳴らしながら誰かが階段を降りてくる気配がした。見張りの下っ端が道を開ける。降りてきたのはなんと見覚えのある懐かしい者だった。

 

「か、カメ!お前何してんだここで!」

 

「酷いなぁ〜センパイ。せっかく僕がジャスミンに頼んで助けてあげたのに」

 

 現れたのは青い怪人だった。モモタロスの言う通り、何処と無くカメっぽい姿をした色気のある声の怪人だ。怪人は自分の左腕に右腕の肘をつき、髪をかき分ける仕草をする。するとさっきまで下品に見下していたアイパッチの女盗賊が甘えたように怪人にすり寄る。

 

「ねぇダーリン。ちゃーんと言われた通りコイツら殺さなかったよ♪偉い?偉い?」

 

「あぁ。いい子だったねジャスミン。さすがボクの愛しい人だ。あんなのでもボクの仲間だから、ね」

 

 その様子を見たモモタロスはふんっと鼻で笑う。

 

「なーに猫被ってんだよ。今更遅いっつーんだカマトト女」

 

「あ゛ぁ?なんか言ったかアホオーガが」

 

 またまた低い声でモモタロスを睨みつけるジャスミン。2人の様子にラックはただただ締め付ける胃の痛みに耐えるばかりだ。

 怪人がすっとジャスミンの口に右手の人差し指を添えるとジャスミンは再び恍惚の表情をする。

 

「ダメだよ、そんな恐い顔しちゃ。せっかくの可愛い顔が台無しじゃないか。ほら、後ろの2人を連れて先に戻ってて。ボクはこのオーガと少し話したいから」

 

「うん、わかった。ダーリン早く来てね♪」

 

 ルンルン気分でジャスミンは下っ端を引き連れて階段を駆け上がっていった。怪人はそれを見送るとモモタロスに駆け寄った。

 

「本当にセンパイ大丈夫?良かった。やっと会えた」

 

「おいカメ。お前本当になんであんな奴とつるんでるんだ?」

 

「ね、ねぇモモタロス。その人、人?なのかな。誰なの?」

 

 怪人と同じくらい青い顔をしたラックが問いかけた。忘れてたと言わんばかりに怪人はラックの方を向く。

 

「あぁ、ごめんね。ボクはウラタロス。そっちの寝転がってるセンパイとは腐れ縁、かな?」

 

「腐れ縁かな?じゃねぇ!いいからこれ解け!そんで何でここにいんのか教えろ!」

 

 ウラタロスはふふふっと怪しげに笑ってから遠くを見つめて話し出した。

 

 

 *

 

 

 モモタロスがトレントの森で目覚めた時と同じ頃。ウラタロスはジャオ村近くの森で目を覚ました。

 

「ここ何処だろう。見た事ない森の中だけど…。センパイや良太郎達は何処にいるのかな?」

 

 辺りを見回してため息をつく。こういう不幸な事態に遭遇するのは自分のキャラではない。お笑い担当はもういるのにと、自分の置かれた状況を理解したウラタロスはとりあえず歩き出した。

 しばらくすると男女の言い争う声が聞こえてきた。そーっと覗くとショッキングピンクの髪色をしたアイパッチの女と大柄で汚れた服を着たマヌケ顔の男がいた。男の手にはそこらで摘んだ花の束がある。

 

「だから!しつこいっつってんだよこのスットコドッコイ!お前みたいなずんぐりむっくり、私の好みじゃないんだっつーの!」

 

「そ、そんな。オデ、ジャズミンの為ならなんだってするど。だからオデのお嫁さんに…」

 

「そういうノータリンみたいな事言ってる時点で無いから。早く視界から消えてくんない?」

 

(ははーん。アイツあの娘に気がある訳ね。んで、あっちの彼女にはその気がまるで無い。あの身なりじゃ釣れるものも釣れないよねぇ)

 

 などと考えながら様子を伺っている間に言い合いは激しい口論へと変わっていく。

 

「なんで!なんでだ!オデ、こんなに綺麗な花をジャズミンに摘んできたっていうのに!なんでダメなんだ!?」

 

「はぁ…。どこの世界にお前みたいなグズを相手にする女がいんのよ。一昨日来やがれバーカ」

 

 そう言ってアイパッチの彼女は中指を立てて舌を出した。そして大男の手から花束を叩き落として踏みつけ、さっさと立ち去った。大男はわなわなと踏まれた花束を拾う。そしてゆっくり立ち上がり、女の後ろ姿を睨みつけた。

 

「オデ、オデ怒ったど…」

 

「あぁ?何ブツブツ言ってんの?聞こえませーん」

 

 女の挑発したような物言いに大男はブチ切れた。拾った花束をどこかにほおり投げて突進し出す。女はそれに

 

「オデをバカにする奴!殺す!」

 

「やばい!」

 

 意図せずウラタロスは茂みから飛び出し、大男と女の間に割って入った。ウラタロッドを構えて大男の突進を受け止める。

 

(こういうキンちゃんがやりそうな事、ボクの柄じゃないんだけどなぁ)

 

 と内心で思いながらも、ウラタロスはなんとか持ちこたえる。すると大男はぶんっと腕を振り回し、それを払い除けようとする。

 

「邪魔するなぁぁぁぁぁあ!」

 

 単調的なパンチを軽々とウラタロスは避け、お返しとばかりにウラタロッドを大男の胸に投げつける。すると六角形の模様が男の身体を拘束し、ウラタロスは跳んだ。

 

「はぁぁぁぁっ!」

 

 デンライダーキックを彷彿させる飛び蹴りを食らわし、大男は後方へ吹っ飛ぶ。そして木に激突し、そのまま気絶した。

 

「ふぅ。思わず飛び出しちゃったけど、大丈夫だっ…うわっ!」

 

 いきなり抱きつかれた。見るとさっきの女である。目を潤ませ、上目遣いでこちらを見てくる。初めは少しばかり動揺したがこれもいつもの事だった。

 

「危ない所だったね。君が困っているのを見てつい身体が動いちゃったよ」

 

「ありがとう…。アイツしつこくてずっと私につきまとってたの。あなたとっても強いのね」

 

 ふふっと笑いウラタロスはいつもの無い髪をかき分ける仕草をとる。それから女の頭を撫でた。

 

「今まで辛かったんだね。もう大丈夫だよ。これからはボクが君を守ってあげるからさ」

 

 すると女はポーっと熱でも出たかのように頬を赤く染め、ギュッと抱きついてきた。

 

「あなたとっても素敵ね。私ジャスミンっていうの」

 

「とっても素敵な名前だねジャスミン。あ、そうだ。ボク行く宛が無いのだけれど、もしお邪魔じゃなかったら君の所に置いてくれないかな?ああいう奴はボクが追い払うからさ」

 

「もちろんよ。いつまでも私の傍にいて。えっと……」

 

「ウラタロス。ボクはウラタロスさ」

 

 すっかり目がハートになっているジャスミンとウラタロスは腕を組みながらアジトへと向かった。

 

 

 *

 

 

「という訳で、ボクはジャスミンの所で厄介になってるんだ。めでたしめでたし」

 

「なぁーにが『めでたしめでたし』だこのスケベガメ!結局女誑かしてただけじゃねぇか!」

 

「やだなぁセンパイ。そのおかげで殺されずに済んでるんだからボクに感謝しなくっちゃ」

 

 今にも飛びかかりそうなモモタロスであるが縛られている為、ピョンピョンと跳ねて怒りを露わにする。黙って話を聞いていたラックが疑問を口にする。

 

「でもウラタロス…さんはモモタロスの仲間だったんですよね?それなのに女盗賊に肩入れするなんて…」

 

「『釣れた魚が毒を持っていた』って事だよ。ボクだってここに来てからジャスミンが女盗賊だって知ったんだもの。不可抗力ってやつだよ」

 

「いいからカメ!さっさと縄を解いてくれ!そんでもってここから出せ!」

 

 怒鳴るモモタロスを遇うように額にデコピンしてウラタロスは笑った。

 

「それは無理だよ。そんな事したらジャスミン、怒るだろうなぁ。もしかしたらジャオ村の人達も巻き込みかねないし。もう少しだけそこにいてもらえるかな?センパイ」

 

 くるっと踵を返し、ウラタロスは階段を上がっていった。モモタロスは遠ざかる背に向かって永遠と吠えるだけであった。

 

 

 *

 

 

 一方その頃、サリィは1人ジャオ村の村長宅でお茶を飲んでいた。テーブルを挟んで向かい側に村長が深刻な面持ちでいる。

 

「それで話を整理するとあの女盗賊団、バイパーアイズ…でしたっけ?が暴挙を振るうようになったのは1ヶ月程前からなんですね?」

 

「はい。それまでは彼女達は自警団として村を守ってくれていました。それが突然1ヶ月前のあの日、急にみかじめ料だとか言って食糧や金品を我々から巻き上げるようになってしまったんです。リーダーのジャスミンなんて優しく聡明だったのに…」

 

 村長は目に涙を浮かべ、悔しさからかグッと手に力が入る。

 

「自警団を買って出るくらいの子達が突然盗賊になるなんて事あるのかしら?他に何か変わった事はありませんでしたか?些細な事でもいいんですけど」

 

 うーんと顎に手を当て考える村長。沈黙を置いた後に「あっ」と声をあげる。

 

「そういえば彼女達が盗賊になり始めた頃から青い色をした怪人が一緒に現れるようになったな。きっと、あの怪人がジャスミン達を唆しているに違いない!」

 

 興奮した口調で村長は立ち上がり、握った拳を高く掲げる。変に勢いづいた反動で村長の腰からグキッと嫌な音がしてそのまま椅子にへたり込む。驚いたサリィは村長に駆け寄る。

 

「大変!誰か!誰か来て!」

 

 声を聞きつけて外で待っていた数人の男達が駆けつけた。村長は担架に寝かされてそのまま奥の寝室へと担がれていった。

 それを見届けた後、サリィは村長宅を出る。村はどことなく沈んだムードが立ち込めており、外で仕事をしている人達の顔に活気がない。それ程までにバイパーアイズの徴収が厳しいのだろう。

 

「いつも馬でやってきたって言ってたからおそらくアジトはそう遠くない所にあるはずよね。となるとここら辺で盗賊団のアジトがありそうなのは森か洞窟ね。うーん、ひとまずもう少し聞き込みをしてみようかしら」

 

 盗賊団の話を聞く為にサリィは片っ端から村人に聞いて回った。しかし一様に聞かされたのは村長が話していたものとほぼ同じで目新しい情報を聞き出せずにいた。

 広場の噴水の淵に座り、サリィは考えをまとめながら林檎を齧った。

 

(誰に話を聞いても同じ答えしか返ってこない。何か引っかかるあるなぁ。まるで話を合わせてるみたい。そんな事する必要なんて無いのに…)

 

 頬杖をついてると木の影から幼い女の子がじっとこちらを見ているのに気が付いた。少女にニコッと微笑む。するとビクッと身体を震わせ、逃げるように走り出した。

 

「えっ!?ちょっと待って」

 

 反射的に少女を追いかけた。直感的に何か知っているように思えてならない。サリィは自分の直感を信じる事にした。

 

 *

 

 

 ウラタロスが去った後もモモタロスはなんとか縄を解こうと寝転がった体勢で身を捩ったり跳ね飛んだりしていた。

 

「あぁ、クソッ。全然解けねぇ。オイダック!澄ましてねぇでお前も抜け出せるようになんかしろよ!」

 

 モモタロスが怒鳴るがラックは何か物思いに耽っているようだった。そして静かに口を開く。

 

「ねぇモモタロス。考えたんだけどさ、なんか変じゃない?」

 

「あ?何がだよ?」

 

 イマイチピンと来ないモモタロスは少し苛立つ。構わずラックは続ける。

 

「こうして捕まえるにしても縛るならモモタロスだけで良くない?僕まで縛るにしたってこんな必要以上に縛る必要ないんじゃないかな?」

 

「それはあれか?俺よりお前の方が強そうに見えるって言いたいのか?え?」

 

 怒りを露わにするモモタロスにラックは慌てて否定した。

 

「違う違う。そうじゃないよ。僕が言いたいのはモモタロスが僕に憑依して抜け出せる、或いは暴れてここから出られるを最初から予測してるみたいだなって」

 

「へへっ、そりゃそうだろ。向こうにはカメ公がいるんだ。イマジンの事くらいわかって当然だろうが」

 

「じゃあ聞くけどあの人達はなんであそこで待ち伏せできたんだろう?僕らがジャオ村に行く事を知っていなければあの待ち伏せは成り立たない。まるで最初からジャオ村に行く事を知ってたみたいだった」

 

 ラックの質問責めにうんざりした様子でキレる。

 

「俺が知るか!頭使わせんじゃねぇよ。ったく…」

 

「ごめん……。でも気になるんだよなぁ。絶対何かあると思うんだけど…」

 

「お前今日はやけに喋るじゃねぇか。考えるならここから出る方法考えろ!」

 

 言いながら再び縄抜けに挑戦しだすモモタロスを横目に、ラックはある1つの仮説にいきあたった。とりあえず今これ以上は話しても聞いてくれそうにないので大人しくしている事にしたのだった。

 

 

 *

 

 

 地下洞の牢屋を出てウラタロスはジャスミンの待つ盗賊団の作戦室に向かった。途中何人かの盗賊に声をかけては口説き、声をかけては口説きを繰り返している内に作戦室に着くまで5分とかからないはずが、30分もかかってしまった。

 

「ジャスミンお待たせ。待ったかな?」

 

「あ!ダーリン。今ちょうどプロフェッサーと話をしていた所よ」

 

 ウラタロスの顔を見るなり、ジャスミンは嬉しそうに傍に寄ってきた。奥でプロフェッサーと呼ばれたフードの男が紅茶を啜っている。

 

「あぁ、お邪魔しています。首尾はどうですか?ウラタロス君」

 

「まずまずだよ。言われた通りセンパイとその仲間を捕まえた。もう1人いたみたいだけど女の子だったからそのまま逃がしちゃったんだよね」

 

 カップをソーサーの上に置き、プロフェッサーは足を組む。

 ウラタロスはこの得体の知れない男に対していい感情を抱いていなかった。口調は礼儀正しいがどこか他者を見下している節を常に感じるからだ。

 

「そうですか。まぁモモタロス君と男の方だけ捕えられればいいでしょう。そうすれば電王に変身される事もない」

 

「センパイは兎も角、あのヒョロっとした奴も捕まえておく必要ある?ボクにはとてもそうは思えないな」

 

 ふっふっふっとウラタロスの話を嘲笑い、プロフェッサーはガラスで出来た朱色のハートのオブジェを取り出して眺め始めた。

 

「人は見た目で判断できないのは君の方がよぉく知っているでしょう?あの野上良太郎がそうだったようにね」

 

「…それもそうか。でも彼特異点でもなんでもないよね?それなら別にいいんじゃない?」

 

「随分彼が気になるみたいですねぇ。そんなにモモタロス君の今の仲間が気になりますか?」

 

 ふんっと鼻で笑い、踵を軸にくるっと身体を反転させてジャスミンの顎をくいっと引き寄せる。ジャスミンはそれだけで目がハートになる。

 

「そういう事じゃないよ。ボクは不要な物なら早めに処分しておくべきって言ってるんだ。消すなら早めがいい」

 

「そういう事でしたか。それならウラタロス君にお任せするとしましょうか」

 

「ちょっとアンタ、ダーリンに何押し付けてんのよ。ねぇダーリン、それなら私がしてあげるわ。あんなガキ、ひとひねりよ」

 

 フンスと息巻くジャスミンを落ち着かせようとするとプロフェッサーはテーブルにハートのオブジェを置き、いきなり拍手をしながら立ち上がった。

 

「素晴らしいじゃないですか。ではジャスミンさんにこれを差し上げましょう。きっとあなたの役に立つはずです」

 

 そう言って取り出したのは金色の指輪とカードデッキだった。ジャスミンはその行動に警戒する。

 

「何それ。そんなヘンテコな物が無くったって私は強いもの。要らないわ」

 

「そう言わずに。ほぉら、ウラタロス君の役に立ちたいのでしょう?それなら受け取りなさい」

 

 

 するとジャスミンから表情が消えて目が虚ろになり、目の前の指輪とカードデッキを手にした。そして徐にその指輪を指に嵌める。そこでハッと意識を取り戻したジャスミンは自分の取った行動に困惑し、動揺した。

 

「え、えぇ〜!?なんで私、持って…。え?そんな…」

 

 指輪を嵌めたのを確認し、プロフェッサーはぐにゃりと口角を吊り上げる。

 

「それでいい。それでいいのです。期待してますよ」

 

 一言告げるとプロフェッサーは霞のように消えた。まだ動揺をしているジャスミンにウラタロスは頭を撫でて微笑みかけた。

 

「大丈夫だよ。ボクがついてるからね」

 

 内側から湧き上がってくる不安を打ち消すようにウラタロスは呟いていた。

 

 





次回でこのウラタロスの話は完結できればいいなぁ(^^;
ちなみにどういう順番で他のイマジンが出てくるのかは構想済みではありますが新年度に入ってから忙し過ぎてやばい……。
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