我が名はすいすい!紅魔族唯一のアクシズ教徒ッ!   作:ブレイアッ

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すいすい、モンスターと戦う

 

 すいすいが仲間になった翌日、カズマ達は早速すいすいの実力を見るためにゴブリン討伐のクエストを受け、確認されたというゴブリンの巣穴に向かった。

 

「凄いな、サトウカズマは。様々なスキルを巧みに組み合わせてこうも早くゴブリンの巣を見つけ出すとは」

 

 しゃがみこむすいすいの目前にある坂の下には数体のゴブリンがたむろしている。

 カズマが潜伏スキルを使ってゴブリン達の索敵から逃れているのだ。

 

「俺に出来るのはここまでだ。後はお手並み拝見だ」

 

「ふっ、任せたまえ! このアクシズ教徒最強の魔法剣士すいすいの実力! 見せてくれるわ!」

 

「あっ、おいバカ! 叫ぶな!」

 

 せっかくカズマが潜伏スキルを使ってゴブリンから気付かれずに接近した努力を無に帰すかのように名乗りを上げる。

 案の定、ゴブリン達の視線はすいすいに集中する。もちろん、一緒にいたカズマ達も見つかった。

 こうなっては仕方がない。ダクネスがカズマ達の前に立ち、いつでも身を呈して盾になれるよう警戒する。

 

「こっちに来るわよカズマさん!」

 

「頼んだぞすいすいッ!」

 

「お任せを!」

 

 すらりと腰から片手剣を引き抜くや坂を駆け下り、剣に魔力を込める。

 

「貴様らの魂を我が糧にし、貴様らの血肉を我が我が邪剣ばっさんの錆びにしてくれるわッ!」

 

 剣に魔力が集中し、刀身から光の剣が伸びる。

 

「我が求むは邪悪を断つ(つるぎ)ッ! 唸れ、光の(やいば)ッ! 『ライト・オブ・セイバー』!」

 

 大剣よりも長く、巨大な光の刃を横凪ぎに一閃。坂を駆け上がって襲い来るゴブリンの群れを纏めて斬り払った。

 

「すっげぇ……!」

 

 カズマの口から漏れた言葉に気を良くしてふふんと胸を張るすいすい。

 

「ふははははっ! 見たか! これぞ我が力、その一端だッ!」

 

(これだよこれ! 俺が求めていた剣と魔法のファンタジー!)

 

「いやぁ、凄まじいな」

 

 ゴブリンの群れは基本的に多くても10体だ。6体なら群れ1つ分と考えて良い。

 ゴブリンを討伐し終わったのだと思ったダクネスはすいすいを称賛しながら彼の元へ歩く。

 

「あっ! 危ない!」

 

 振り替えってカズマ達に決めポーズをとるすいすいの背後から忍び寄る、ゴブリンに気付いためぐみんが声を上げる。

 もちろんそれにはダクネスも気付き、駆け出す。

 

「ギャッギャーッ!」

 

「なんの! エリス教徒バリアッ!」

 

「あふんっ!」

 

 背後から飛びかかったゴブリンの攻撃を、すいすいはやってきたダクネスの鎧を掴んで盾にする。

 

「何やってんだお前ー!?」

 

 更に別の場所に隠れていたであろうゴブリンが放った矢も、ダクネスを盾に防がせる。

 

「カ、カズマさん!」

 

「待ってろダクネス! 今すいすいに()めさせるから!」

 

 

「あ、お構い無く」

 

 

「…………は?」

 

 続くゴブリンの攻撃をすいすいは頬を赤らめたダクネスで受け、雷を纏わせた片手剣で斬り裂く。

 

「エリス教徒バリア! エリス教徒バリア! エリス教徒バリアー!」

 

「道具のように扱われる私に、興奮した男達が迫ってくる……! 悪くない、悪くないぞぉー!」

 

「もうやだこのドMクルセイダー」

 

 ひどい扱いにも関わらず悦んでいるダクネスに呆れていると、すいすいの剣がバチバチと青白い光を放ち始めた。

 

「我が求むは万物を破壊する雷光ッ! 轟けッ! 『カースド・ライトニング』!」

 

「しびびびび!?」

 

「や、やりました、やりましたよあの男! ダクネスを盾扱いしただけでなくダクネスごと上級雷魔法でゴブリンを一掃しやがりましたよ!?」

 

 しゅうぅ……と焦げたダクネスを手放し、無駄に大振りで無駄に洗練された無駄の無い格好いい納刀を披露したすいすいは腰に手を当て笑いだす。

 

「ふははははっ! ゴブリン、怖るるに足らずッ! これぞ紅魔族最強の剣技! これぞ女神アクア様の御加護!」

 

「素晴らしい、素晴らしい剣技と魔法だったわよすいすい!

 でも、これからはちょーっとダクネスに優しくしてあげると良いと思うの!」

 

 アクアの言葉に首を傾げるすいすい。何でエリス教徒に優しくしないとダメなの? 的なごく一般的なアクシズ教徒的思考ムーヴである。

 

「おいどうすんだ、お前んとこの信者だろこの男」

 

 アクアはぷいと明後日の方向を見て頬をかいた。本日も晴天なり。

 

「……ん?」

 

 その時、カズマの敵感知スキルに反応があった。正確にはすいすいのダクネスを文字通り盾にした戦い方に意識を向けていたせいで気付くのが遅れた。

 

「お、おい! ヤバいぞ! 敵感知スキルに反応ありだ! 20体近い数のモンスターがこっちに向かってきてる!」

 

「なんと! それは斬りがいがある!」

 

「何言ってんだすいすい! とっとと逃げるぞ!」

 

 カズマ達の後ろは崖になっている。

 囲まれれば硬いダクネスや、ステータスの高いすいすいやアクアならともかく、カズマは普通の人間。生き残る確率がほぼゼロになってしまう。

 

 一向に逃げようとしないすいすいと、ダメージが少なかったのか回復してワクワクしながら涎をたらすダクネスを首根っこ掴んででも連れて逃げようとし、彼らの前に無数のゴブリンが姿を現し──。

 

 

 

「『エクスプロージョン』ッ!」

 

 

 

 天から撃ち下ろされた爆裂魔法によってすべて消え去った。

 

「はふぅ……どうですかこの爆裂魔法の威力。上級魔法よりも爆裂魔法の方が良いに決まっています……!」

 

 うつ伏せにぶっ倒れてずずずっと坂を滑りながらめぐみんが言う。

 どうやらカズマ達が揃ってすいすいの上級魔法を「凄い」やら「凄まじい」と言った事に同じ魔法使いとしてアイデンティティの危機を感じたらしい。

 

 

ーーー

 

 

 すっかり日も暮れて、アクセルの街に戻る帰り道。

 ドM的に良かったのか「また盾にしてくれないかな?」的な視線を投げかけるダクネスを無視しながら、すいすいがアクアに女神アクアの素晴らしさを語ってアクアが嬉しそうに相槌を打つのを魔力切れでぶっ倒れためぐみんを背負うカズマが後ろから見る。

 

(戦力としては申し分無い。ダクネスを盾にした件については本人も嬉しそうだし問題は無い。

 メイン火力としては心強いくらいなんだが、何だろう。この何とも言い難い残念さは。

 …………ん?)

 

「おい、ちょっと待ってくれ。また敵感知スキルに反応だ。

 これは……1体だけか?」

 

「1体ですか? この辺りを1体でウロウロするようなモンスターは聞いたことありませんが……」

 

「なるほど。つまり天敵らしい天敵がいないと思っているモンスターか。ふふ、血が欲しいと我が魔剣とんぐらむが鳴いておるわ!

 よし、行ってくる!」

 

「さっきと剣の名前が違うじゃねーか!

 って、あ、おい!」

 

 カズマの制止を無視して駆け出すすいすい。風の魔法でも使ったのか、突風を起こして見えなくなった。

 

 前方ですいすいの魔法によるものだろう強い光が放たれ、カズマの敵感知からその1体が消滅した。

 

「わぁぁぁあああ!」

 

 そして、だばだばと足音と土煙を上げて走りながらすいすいが戻ってきた。

 

「ん? ……はあっ!?」

 

「剣が折れた! 牙で! バキッて! 助けてアクア様あああっ!!」

 

 鎧を纏い、錆びた剣を手にしたアンデットナイトというモンスターをたくさん引き連れて。

 

「何でモンスターが増えてんだあああ!?」

 

 だばだばと走って戻ってくるやダクネスの背に隠れる。

 

「お、おい! 何故私の背に隠れる!」

 

「わ、我が名はすいすい! 紅魔族唯一のアクシズ教徒にして最強の魔法剣士! 故にッ! 例え魔力が有り余っていて素手で片手間であれらを殲滅出来るとしても、剣無しでも魔法を使うのは美学に反するッ!」

 

 

「何言ってんだこの馬鹿あああッ!!!?」

 

 

 アンデットナイトはアクアが綺麗に浄化してくれました。

 

つづく?

 

 





すいすいは素手でもバンバン魔法を使えますが剣が無いと魔法を使わないやつです。ちなみに剣は魔力を感知すると光るだけの剣です。
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