USSエンタープライズ号より宇宙戦艦ヤマトへ   作:コバヤシマル

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スター・トレック

ーキャスリン・ジェインウェイー

スター・トレック界のボーグデストロイヤー。
USSヴォイジャー艦長(帰還後提督に昇進)。
デルタ宇宙域からアルファ宇宙域への帰還の旅が始まった当初は優秀な宇宙艦隊士官然としていたが、徐々に過激な行動を取るようになり(ストレスのせいか?)、ボーグ領域を通過する辺りから、ボーグドローンを集合体から切り離してクルーにする、難破したボーグ艦からジャンク品を漁る、ボーグ艦内部に魚雷を転送して撃沈する等、ボーグに対しては特に容赦がなくなった。
最後はボーグが運用・管理していたトランスワープハブを利用してアルファ宇宙域に帰還したが、その際ハブを爆破してボーグに甚大な被害を与えた。


第3話 新たなる脅威

 

ー宇宙艦隊司令部地下ー

 

「大丈夫ですか、提督?」

 

バークレーが提督に声をかける。

 

「…あぁ、すまない。何でもない」

 

(デジャブ…とは違うか)

 

保管庫に入ってバークレーの説明を聞いていた提督は一瞬自分がジェインウェイ艦長(当時)と同じ事を追体験している気がした。

 

(あのボーグ絶対コ……偉大なあの方が地下に来たくらいで恐れたりするはずがないか…)

 

余計な考えが過ったが、すぐに頭の中から追い出す。

 

「それでこの金属片が生命体8472の領域に突然出現した為に、彼等の連邦に対する危機感を煽ったと?」

 

保管庫には台の上に金属片が置かれていた。四方がひしゃげていて、爆発によって吹き飛んだように見える。

 

「そうです。ただ、生命体8472が保管していた金属片は複数あり、彼等は復元作業を試みたようです。因みにですが、これは彼等から唯一譲渡された一点ものですよ!」

 

(あぁ、始まったぞこれは…)

 

バークレーが徐々に興奮してきたことを不安に思いながら提督は質問を続けた。

 

「復元作業…元々どういう物かは分かったのか?」

 

「あくまでも推定ですが、紡錘形のような形状をした宇宙船だったのではないかと。最も船体中央部から後ろが吹き飛んでしまったのか正確には分からなかったようです。その後、ヴォイジャーでも調べたそうですが結論は同じでした。コンピュータ、復元した船体の画像を出せ」

 

目の前にホログラム映像が写し出される。

 

(…小さいな)

 

映像を見ると先端部分から30~40m程が再現されており、推定全長200m前後の物体でないかと表示されていた。

 

「さらにですね、先端部分を見ると穴が開いていますが、周囲の構造物の頑丈さから、エンジンの産み出したエネルギーを放出する砲口で、船首に固定していることからかなり強力な兵器と考えられる!面白い!実に面白い!そうは思わないかい?」

 

(…上官を敬う云々はどうした…)

 

最早、上官と部下ではなく、アカデミーで同期と語らう学生に戻ったバークレーに白い目を向けるも、彼には全く伝わらなかった。

 

「…ハァ…、つまりこれは宇宙戦闘艦ということか?ディファイアント級のような」

 

「ああ、そうなんだ。推測だがエンジンから艦首まで砲身が延びていて他にも兵器を搭載していたなら、ディファイアント級よりも居住性は悪かっただろうね。いや、もしかしたら無人艦だったかもしれない!他にも……」

 

「レッジ、落ち着け。これに人が乗っていたか否かは問題じゃない」

 

それにここまで話をしていて肝心なことが抜けている。

 

「これが宇宙戦闘艦なのは分かった。強力な兵器を載せていたのかもしれない。だが我々連邦が脅威と判断された理由は何なんだ?私の知る限り宇宙艦隊にこのような艦はないはずだ」

 

提督は宇宙艦の設計・建造に関わっていないが、これまでにないタイプの艦が造られるとなれば何かしら耳に入っているはずだった。

 

「その通り!宇宙艦隊の艦とは構造どころか設計思想からして違う!だけどね、この金属片をよく見て」

 

バークレーに促され目を凝らす。うっすらと何か書かれている。

 

「……C……F……、ローマ字?…それに……これは地球のシンボルマーク?……レッジ、これはどういうことなんだ?」

 

(これは宇宙戦闘艦。ということはCFは…)

 

「CF、この艦のことを考えれば、CosmoForceの略語だろうね。だから生命体8472は連邦を疑った。連邦はボーグと手を組んで侵略に来ると!だが彼等がいくら調べてもこの艦に関する情報は得られない。それが更なる疑念を抱く、これは秘匿性の高い新兵器だと!」

 

(段々芝居がっかてきたな…またホログラムにはまったか?)

 

提督の心配を余所にバークレーは話続ける。

 

「もちろん連邦及び宇宙艦隊はこの艦を建造していない。いくら調べても情報なんて出てくるはずがない。じゃあ誰が?誰が作ったのか?」

 

さぁ答えて、と提督に問いかける。

 

「……平行宇宙の地球……そう…言いたいのか?」

 

提督は苦虫を噛み潰したような顔をした。

 

「それしか考えられない。しかも僕達の把握している鏡像宇宙とも違う。これは金属片の成分分析の結果から明らかだ」

 

鏡像宇宙は惑星連邦の存在しているこの宇宙とまるで鏡合わせのようにそっくりな世界が広がっている平行宇宙だが、鏡像と表現するのは理由があった。

この提督達のいる宇宙では多くの異星人による連合組織である惑星連邦が誕生したが、もう一方の宇宙ではテラン帝国(地球帝国)が誕生し、異星人に対して徹底的な弾圧を行っていた。

そして厄介なのがこの2つの宇宙はその存在の近さ故かごく稀に干渉しあい様々なトラブルを引き起こした。

 

(ある意味生命体8472の判断は正しかったのかもしれない)

 

提督はアカデミーの同期ではなく上官としてバークレーに問い質した。

 

「…バークレー大佐、もう1つ質問がある」

 

バークレーも部下として答えた。

 

「…何でしょう?提督」

 

「何故これを私に見せた?そして何故その話を私にした?」

 

「当然の疑問ですね…理由としては上層部より現時点では情報開示は必要最小限に抑えるとの判断があったからです」

 

提督は無言で続きを促す。

 

「提督、貴方が先日遭遇したボーグ艦を調べました。残念ながらボーグ艦を攻撃した犯人が誰かは分かりませんでしたが、攻撃跡から同じパターンを見つけました」

 

「同じパターン?」

 

「えぇ、これとです」

 

そう言ってバークレーは金属片を指差した。

 

「つまり、この宇宙艦はボーグを攻撃した誰かと同じ者から攻撃を受けたということになります」

 

「思わぬ共通点だな。だがそれだけではないだろう」

 

そう指摘すると、

 

「さすが、鋭いですね。実はアルファ宇宙域の外縁部に設置した警戒衛星が不審船を探知しました。コンピュータ、不審船の映像を出せ」

 

(この宇宙船は…)

 

「おそらく、この金属片の宇宙艦と同型でしょう。私達が事態の把握に努めている間に向こうからやって来た」

 

「…バークレー大佐、艦隊上層部のこの事態における方針を教えてくれ」

 

「はい、艦隊上層部は貴方を現場責任者として臨時に編成された艦隊の司令官に任命します。そして……」

 

バークレーは一瞬言い淀んだ。

 

「そして、彼等と接触を試みて下さい。また、何があろうともこちらからの先制攻撃及び挑発行動は厳に慎むこと」

 

(艦隊の理念だけじゃないな、それは…)

 

艦隊上層部は確証はないものの可能性としてボーグ以上の脅威があると判断していた。

 

「これは早期解決を図らないといけないぞ。相手が友好的あるいは好戦的だとしても、長期間好き勝手にこの宇宙を飛び回れると何が起こるか分からない」

 

下手をすると戦争が勃発しかねない。

 

「これは難しいな…」

 

突然宇宙全体の平和を任された提督はそう呟くしかなかった。

 

 





宇宙戦艦ヤマト

ー金剛改型宇宙戦艦ー

地球連邦防衛軍創設時の主力戦艦。金剛型宇宙戦艦の設計に波動エンジンを搭載したことで兵器の強化、ワープによる移動、波動防壁の展開が可能となった。
さらに土星でのガトランティスとの戦いでは艦首陽電子衝撃砲を波動砲に換装したものが投入されていた。

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