偽典・女神転生~フォルトゥナ編~   作:tomoko86355

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転生者について

作中では、多くの転生者(リーンカーネーション)と呼ばれる特殊能力を持った人間が多数登場予定。
因みに、坂本晋平と呼ばれる自衛官は、二天一流の開祖です。



第15話 『坂本晋平 』

魔剣教団本部・地下シェルターへと続く通路内。

浅黒い肌をしたエキゾチックな美女を先頭に、銀髪の少年、ネロとその背後を固める様に魔剣教団の騎士2名が歩いている。

 

これから自分が待ち受ける未来への不安故か、それとも、戦場へと再び舞い戻った養父、クレドの身を案じてか、ネロは終始、俯いたままであった。

そんな銀髪の少年に一瞥を送るグロリア。

地下シェルターへと向かうエレベーターの前で歩みが止まる。

 

「とても素敵なお父様ね? 」

「・・・・・え? 」

 

グロリアの言っている意味が分からず、ネロはオウム返しに聞き返した。

 

「貴方のお父様よ・・・・血も繋がらないのに、一生懸命、貴方を護ろうとしている。」

 

アグナスの私室で起こった一件の事を言っているのだろう。

ネロの養父、クレドは、”ソロモン12柱の魔神”である”堕天使・アムトゥジキアス”に憑依されているにも関わらず、彼を庇い、実の息子以上に大切にしている。

本来ならば、アグナスの言う通り、フォルトゥナ城の地下研究棟へ連行し、強制的に冷凍休眠させられる筈であった。

それを良しとせず、クレドは、国の重鎮達が避難している地下シェルターへ連れて行けと命令したのである。

 

「複雑な心境よね・・・・・私も、幼い時は貴方と同じだったから、何となく分かるわ。」

 

そう言い終わるのと同時に、グロリアの姿が突然、消失。

ネロが視認するより早く、少年の背後に立っている二人の騎士が力無く床へと倒れ込む。

彼等の背後へと移動したグロリアが、精神系魔法『ドルミナー』を使って眠らせたのだ。

 

「・・・・? 何故? 」

 

唐突なグロリアの行動に、ネロが半信半疑になる。

 

「行って・・・・早くお父様の所に行かないと、取り返しのつかない事になる。」

 

グロリアが背後の通路を指差す。

説明している暇など今は無い。

常になく真剣な女幹部の表情に、当初、戸惑っていたネロは、意を決して、グロリアの傍らを走り抜けた。

 

「さて、私も野暮用を済ませないとね。 」

 

ネロの姿が視界から消えるのと同時に、グロリアが変装(シェイプシフター)の魔法を解く。

そこには、ぴっちりとした黒革のボンテージスーツを着る金髪の美女、トリッシュが立っていた。

 

 

 

魔剣教団本部3階、降臨の間。

裾が大きい頭巾(コイフという)を目深に被り、顔の大半を隠した修道士と、真紅の長外套(ロングコート)を纏う銀髪の大男が対峙している。

 

一定の間合いを保ち、お互いの出方を待つ両者。

互いの殺気が、不可視の刃となり、空中で激しくぶつかり合う。

 

「ふむ、よもや”ヒュースリー家”や”ウラジミール家”以外に、スパーダの血族がいるとはな・・・。」

 

暫しの沈黙後、修道士姿の教団幹部、オイレが口を開いた。

 

「どういう意味だ? 」

 

油断なく大剣『リベリオン』を構えながら、ダンテが聞き返す。

 

「魔剣士・スパーダという悪魔は、驚くほど伝承が少ない・・・・唯一分かっている事は、彼の悪魔が多くの人間の女性と関わり、血を残したという事だけだ。」

 

オイレ曰く、悪魔の軍勢から人類を救済した魔剣士は、人間の女性や神の血族者達と交わり、その子孫を残した。

しかし、長い年月により、その優秀な血統は大分薄まり、覚醒遺伝として残るのがフォルトゥナ公国の国主、ヒューズリー一族と北の大地で遊牧民として生きるウラジミール一族のみとなってしまったのだ。

 

「へぇ・・・・そいつは初耳だな。」

 

今迄、父親の事等、考えた事すらも無かった。

気が付けば、養護施設の薄汚い壁を眺めながら育った。

12の時に施設を脱走後は、大剣『リベリオン』を手に溝鼠の様な生活を送った。

”便利屋”という職業を選んだのも、腕っ節の強さだけでのし上がれるシンプル極まりないシステムが気に入っただけである。

 

「・・・・・時に一つ質問だが、君の躰の何処かにナンバーが刻まれてはいないか?」

「あぁ? 言っている意味が分かんねぇな。」

「番号だよ。普通なら首の後ろ辺りに付いている筈なんだけどね。」

 

そう言って、オイレが自分の首の後ろを指差す。

途端、ダンテの顔色が変わった。

無意識に大剣を握っていない左手が、自分の首の後ろへと触れる。

 

「くくっ・・・・やはりそうか・・・・20数年前の事故で、実験体(ナンバーズ)が何体か行方不明になったと噂を聞いたが・・・・まさか真実だったとはな? 」

 

思わせぶりなオイレの言葉に、ダンテの秀麗な眉根が不快に歪む。

そして、何の前触れもなく一気にオイレとの間合いを詰めると、上段から大剣を振り下ろした。

しかし、大剣の切っ先が修道士の躰を捕らえる事は叶わなかった。

ダンテの攻撃を既に予想していたオイレが、身を捻って躱したのだ。

カウンターに繰り出されるオイレの斬撃。

ソレを返す刃で受けたダンテが、2撃目を放つ。

常人では決して目視出来ない、光速の刃。

だが、オイレはソレを難なく往なし、躰を回転させると機動力である脚を狙う。

ぶつかり合う大剣の刃とやや反り返った東洋の刀。

橙色の火花が、一瞬だけ散る。

 

「おい、坊さんよ・・・・アンタ、俺の一体何を知っているんだ? 」

 

この修道士は、自分の出自を知っている。

ダンテ自身ですら知らぬ己の過去を、何故、魔剣教団の幹部が知っているのだ?

疑問が疑問を生み、例える事が出来ぬ苛立ちが、腹腔へと溜まる。

 

「知りたいのか・・・・? そうだな、私に一撃を入れる事が出来るなら、話してやっても構わんぞ? 」

 

示し合わせたかの如く離れる二人。

戸惑いと苛立ちで、整った容姿を不快気に歪めるダンテに反し、オイレはこの死闘が楽しくて堪らない様子であった。

口元に笑みを刻み、二振りの刀を構えている。

 

「ハッ、ならそのムカつく面に一発かましてやるぜ。」

「ククッ、それは楽しみだな? 」

 

軽口の応酬。

余裕綽々(よゆうしゃくしゃく)なオイレに反し、ダンテは何処か焦りを感じさせる。

この国に来てから感じる嫌な予感。

今迄、修羅場と呼ばれる状況は、幾度も会って来た。

しかし、どんな不利な状況下に追い込まれ様とも、これ程の焦燥感に襲われる事は無かった。

冷静に戦況を判断し、僅かな活路を見出して来たのだ。

しかし、この修道士から放たれる鬼気がダンテの強靭な精神力を無遠慮に削ぎ落していく。

ミティスの森でライドウと対峙した時と同じだ。

 

(糞・・・・・まさか、爺さんと同クラスの化け物が居るとはな・・・。)

 

無意識にオイレの姿と17代目・葛葉ライドウの姿が重なる。

間違いない。

この修道士は、自分等足元にも及ばぬ程の強者だ。

そして、理由は分からぬが、ダンテの出生の秘密を知っている。

不意に、バージニア州、スタンフォード郡にあるFBIアカデミーで訓練していた時の情景が思い出された。

 

 

 

 

「もし、自分より強い敵と遭遇した場合は、迷わず逃げる事を考えるんだ。」

 

広いグラウンド場、その一角にあるベンチにケビン・ブラウンとダンテはいた。

何時もの訓練が終了し、終わり間際に交わされた何気ない会話である。

 

「逃げる? 冗談だろ? 」

 

だらしなくベンチに座り、脚を組んだダンテが、目の前に立つ師を見上げる。

 

便利屋家業をしていると、割りに合わない仕事を押し付けられる事がある。

その時は、手付金分の仕事しかせず、さっさととんずらした時があった。

しかし、基本、敵前逃亡を良しとしない性分であるダンテは、自ら望んで尻尾を巻いて逃げる等、想像した事も無い。

 

「チームを組んで任務に当たる際は、常に仲間の安全を第一に考えなければならない。一人だけ下手な行動を取ってしまうと、大事な仲間にすら危険が及ぶ可能性がある。」

「残念だったな?先生・・・俺は群れるのが嫌いだ。」

 

何時もの憎まれ口に、師であるケビンが大袈裟な溜息を吐き出す。

 

「だよなぁ・・・・お前さんは団体行動が苦手なタイプだとは知っている。」

 

かなり性格に難がある部下達を多数持つケビンにとって、ダンテと言う男は頗(すこぶ)る付きに、扱いずらい分類の人間である。

戦闘に対し、崇高な思考を持つドルイド族の戦士、ボーグとガンナーに非常に良く似た気質を持っていた。

故に、こういう相手に『逃げろ』という残酷な選択肢は、なるべくなら選ばせてやりたくはない。

 

「だから、次に教えるスタイルは確実にモノにしろ。」

 

常にない真剣な表情で、ベンチに座る教え子を見下ろす。

 

ケビンが対悪魔用に編み出した戦闘法である”スタイル”には四種類ある。

近接戦闘を主体とした『ソードマスター』。

銃等、遠距離攻撃を想定とした『ガンスリンガー』。

移動に特化した『トリックスター』。

そして、最後にダンテに教えるのが最高難易度のスタイルであった。

 

「コイツを覚えれば、最悪、自分よりも数段上の相手を倒す事が可能だ。」

「へぇ・・・面白そうじゃねぇか。」

 

師の言葉に、ダンテはシニカルな笑みを口元に貼り付ける。

 

まさか、その師の教えを今、実践するとは思わなかった。

 

数メートルを挟んで対峙する修道士姿の男を、ダンテは鋭く睨み付ける。

本当なら、この最後のスタイルは、対17代目用に取っておいた『隠し玉』だ。

こんな奴に見せるのもおこがましいが、そんな悠長な事を言っていられる相手ではない。

 

ダンテは、一つ息を吐き出すと、右手に握っていた大剣『リベリオン』を地面に突き刺した。

そして、腰を引き、右腕を前に左腕を腹の下に置く、独特な構えを取る。

 

(ほう・・・・・どうやら覚悟を決めた様だな? )

 

一方のオイレは、戦闘スタイルを変えたダンテに対し、まるで子供の様に期待を膨らませた邪気の無い笑みを口元へと浮かべた。

 

質の悪い性癖だと自分でも十二分に理解はしている。

しかし、生まれついての剣人故か、こればかりは治し様が無い。

二振りの刀を前に構え、つま先を上げ、踵を強く踏む、二天一流特有の構えを取る。

 

暫しの静寂。

先に行動を起こしたのは、意外にもオイレの方であった。

己自身の躰に流れる戦闘狂の血が、これから起こるであろう死闘を前に、我慢出来なかったからである。

重心を低く取り、常人よりも遥かに優れた膂力をフルに活用して、一気にダンテとの間合いを詰める。

血を求める凶悪な刃が、悪魔の弱点である心臓へと狙いを定めたその時であった。

まるでオイレの斬撃を読んでいたかの如く、銀髪の魔狩人は、心臓を抉らんと繰り出された鈍色の刃を右腕で受け止めたのだ。

 

「うおっ!!!? 」

 

躰を突き抜ける衝撃。

どんな技法を使ったかは定かでは無いが、修道士の攻撃をそのまま・・・否、倍にして弾き返したのだ。

受け身を取る隙も無く、無防備に後方へと吹き飛ばされるオイレ。

それを追い掛け、ダンテの渾身の右ストレートが、綺麗に顔面へと決まる。

 

(駄目だ! 浅い!!)

 

思った以上の手応えが拳から返って来ない。

修道士が器用に身を捻り、ダンテが繰り出した右ストレートを紙一重で躱したのだ。

追撃は危険と判断し、その場に押し留まる。

一方の修道士は、猫の様にしなやかにトンボを切ると華麗に着地した。

 

「ハハハハハハハハハッ!素晴らしい!実に素晴らしい!こんなに魂が震えたのは吉岡清十郎と死合いをした時以来だ!」

 

ダンテが繰り出した拳の風圧によって、修道士のフードは吹き飛んでいた。

中から短く綺麗に刈られた胡麻塩頭が姿を現す。

50代半ばぐらいだろうか? アジア人特有の黄色い肌に、深い皺が刻まれ、黒縁眼鏡を掛けていた。

 

「・・・・っ、日本人だと? 」

 

オイレの素顔を見た瞬間、ダンテが訝し気に眉根を寄せた。

 

此処、最果ての北の台地『フォルトゥナ公国』は、国民の大半がスラブ人で占められている。

当然、その政府上層部である魔剣教団は、スラブ人であり、アジア人は殆ど見掛ける事が無い。

 

「おっと、失礼・・・君が驚くのも無理は無いな・・・・改めて自己紹介をしておこう。私の名前は、坂本晋平、防衛省、自衛官、二等陸佐をしている。」

「防衛省だと? 一体どういう事だ? 」

 

防衛省の・・・しかも、それなりに階級が上の人間が何故、フォルトゥナの上層部に潜り込んでいる?

事態が呑み込めず、ダンテが胡乱気に聞き返す。

 

「その質問に応える気は無い・・・だが、”ナンバーズ”についてだったら、教えても構わんよ? 」

「・・・・。」

 

これ以上、ダンテと戦う気が無いのか、坂本二等陸佐は、両手に持っていた刀を腰の鞘へと納めた。

そんな老練な剣士に対し、ダンテも大人しく地面に突き立てた大剣を引き抜き、無言で背負う。

 

「我々人類は、数世紀に渡り悪魔と戦い続けている事は、君も知っているね? 」

「・・・・一応な・・・。」

 

当初は、大事な母親を殺害した悪魔に対する復讐心だけで、奴等と戦っていた。

しかし、ライドウと回り逢い、ケビンの元で指導を受ける様になってからは、ダンテは彼なりに悪魔と人類との歴史について学んだのだ。

 

異界から出現する悪魔(デーモン)と呼ばれる異形の怪物達と、人類は2000年以上もの長い時の中で戦い続けて来た。

勿論、悪魔(デーモン)の中には、人類に対し友好的な態度を示す種族もいる。

代表的なのがベルセルクと呼ばれる、妖鬼族に分類される一族だ。

彼等は誇り高く、生きる為にのみ、戦いを行う。

当初は、敵対的な立場を取ってはいたが、人類との長き戦いが、魔界全土を疲弊させている事に嘆き、それ故、人間達と陰ながら共生する道を選んだ。

しかし、それは至極、珍しい事例で、殆どは人間を”餌”としか見なしていない。

基本、人類と歩み寄る奇矯(ききょう)な考えを持つ悪魔(デーモン)はいないのである。

 

「防戦一方となる事態に、危機感を覚えた国連は、とあるプロジェクトを極秘裏に進める事を決定した・・・・・悪魔から人類を護る兵士を造り出すプロジェクトをね。」

 

それが”ナンバーズ”である。

 

かつて悪魔の脅威から人類を救った、魔界の剣士・スパーダの血肉を使い、強靭な肉体かつ、死を恐れぬ忠実な兵士を造り出すという計画であった。

 

「だが、そのプロジェクトは”ある事故”が原因で頓挫してしまった・・・・実験体の一体が悪魔化し、施設に居た研究員数名を殺害し、逃走してしまったのだ。」

 

当時、国防省(ペンタゴン)が所有する研究施設で事故が起こった。

実験体だった子供が突如、悪魔の力に目覚め、異形化したのだ。

その場にいた研究員数名と、警護に当たっていたUSSF(米陸軍特殊部隊)の兵士が多数、餌食とされた。

事態を危険視した国連は、プロジェクトを急遽凍結、関係者達に重い緘口令を強いた。

 

「成程・・・・つまり、アンタは俺がその実験体の一体だと言いたい訳か。」

「そうだ・・・・スパーダの正統な血脈は、先程説明したウラジミール家とヒュースリー家以外いない・・・・まぁ、君の首筋にナンバーが付いた痣があれば・・・の話ではあるがね? 」

 

推測の域を出ない・・・と坂本二等陸佐は言っているが、その口調には確固たる自信があった。

そんな壮年の剣士に対し、銀髪の魔狩人の表情が、不快に歪む。

 

「悪いな?オッサン、 俺にそんな痣はねぇよ。」

「フフッ・・・・そうか・・・・ならば、そういう事にしておいてあげよう。」

 

坂本二等陸佐は、全身の筋力を生かし、大きく跳躍した。

階下へと吹き抜けになっている手摺へと着地し、背後にいるダンテを振り返る。

 

「喧嘩を途中で放り投げて、逃げやがるのか?」

 

魔法の様な素早さで、腰のホルダーから双子の巨銃”エボニー&アイボリー”を引き抜く。

ピタリと急所へ照準を定める魔狩人に対し、老練な剣士は別段、臆する様子は無かった。

 

「私の剣がこう告げているのだよ・・・”君を此処で討つべきではない”とね・・・私は、自分の直感を信じる。」

 

それだけ告げると、坂本二等陸佐は、何の躊躇いも無く、階下へと身を躍らせる。

舌打ちし、坂本二等陸佐が消えた階下へと駆け寄るダンテ。

その眼前に巨大な機影が、突如姿を現す。

日本の最新鋭戦闘機、F-35だ。

戦闘機の鼻先には、坂本二等陸佐が両腕を組んで立っていた。

 

「では、私はこれで失礼させて貰う。 ああ、それと愛しいベアトリーチェを救いたければ早くした方が良い・・・余り時間を掛け過ぎると”アバトン”に喰われてしまうぞ? 」

 

言いたい事だけ告げると、老練な剣士は、戦闘機のコクピットへと乗り込んでしまう。

エンジンから発生する爆風に煽られ、成す術が無いダンテ。

そんな魔狩人を尻目に、漆黒の戦闘機は遥か上空へと舞い上がると、瞬く間にその姿を消した。

 

 

 

偽神の魔神像と13機関(イスカリオテ)の死闘も最終局面を迎えていた。

巨大な地獄門(ヘルズゲート)から、吐き出される異形の怪物達の群が、まるで黒い津波の如く鋼鉄の戦艦『アイアンメイデン』を襲う。

それを迎え撃つ聖槍騎士団『ドミニオンズ』。

機動歩兵(パワードスーツ)部隊と悪魔の群が、激しく衝突する。

 

「どうしたんですか? 偉大なる神の癖に全然大した事が無いんですねぇ? 」

 

万物を切り裂く巨大な鎌”アダマスの鎌”を巧みに操り、紙細工の如くビアンゴアンジェロ達の強固な鎧を真っ二つにする銀の髪を持つ少年。

浮遊した足場に立ち、嘲笑を口元に張り付かせ、魔神像の頭部に立つ現教皇・サンクトゥスを見上げる。

 

「ぬぅううう、何と生意気な小僧め。 」

 

そんな”ソードダンサー”に成す術が無いサンクトゥス。

怒りに顔を歪め、忌々し気に両眼を閉じる偽神へと視線を移す。

 

(それにしても、こんな状態でまだ抵抗するのか・・・・流石、四大魔王(カウントフォー)が恐れる化け物だぜ。)

 

サンクトゥスの体内に寄生している天少彦根命(あまのすくなひこねのみこと)こと、スクナビコナは、未だ魔神像の中で悪足掻きを続けるライドウに舌打ちした。

 

依り代たる17代目・葛葉ライドウが完全に”アバトン”に喰われれば、存分にその強大な力を振るえる。

しかし、悪夢から覚醒したライドウは、未だ無駄な足掻きを続け、膨大な魔力の供給を阻害していた。

これでは、魔神像の真の力が使えない。

 

「ふん、これじゃ叔父上に僕の活躍が見せられないじゃないか・・・。」

 

ビアンゴアンジェロの頭部を斬り落とし、背後から襲い掛かるもう一体の胴体に巨大な鎌の切っ先を突き刺す。

そして、突き刺さった鎧の悪魔をビアンゴアンジェロの集団に向かって投げつけた。

数体巻き込まれ、背後へと倒れる人造の悪魔達。

予想以上に手強い獲物に、アルトアンジェロ率いる鎧の魔物達は、警戒して数メートル挟んだ距離で対峙する。

それをアレフは、実に詰まらなそうに眺めていた。

 

フォルトゥナ公国が持つ”最終兵器”と聞いて、胸躍らせ戦場へと向かったが、実際は、そこら辺を徘徊している悪魔共に毛が生えた程度であった。

師、セルゲイ・ウラジミールから譲り渡された神器”アダマスの鎌”を存分に振るい、苦戦しつつも勝利を収める自分の姿を叔父、ガーイウス・ユリウス・キンナに見て貰う筈だったのに。

 

「・・・・っ!」

 

その時、妙な気の流れを感じ、アレフが魔神像の胸元へと視線を向ける。

巨大な蒼い精霊石がはめ込まれた偽神の胸。

そこに、薄っすらとではあるが人影が見えた。

 

「アレは・・・・もしかして、17代目・葛葉ライドウ? 」

 

真紅の呪術帯で、左眼と口元を覆い、全身を薄気味の悪い触手に絡め取られている。

呪術帯で覆われた顔を苦痛で歪め、力無く項垂れていた。

 

「ふーん、成程ねぇ・・・・・そういう展開も悪くないかも。」

 

何事かを納得するアレフ。

その背に、陣形を組んだアルトアンジェロと数体のビアンゴアンジェロが襲い掛かる。

しかし、彼等の操る大剣の切っ先が、華奢な銀髪の少年を捕らえる事は叶わなかった。

若き異端審問官は、鎧の悪魔達の背後へと光速移動したのだ。

情け容赦無く振るわれる大鎌の切っ先。

鎧の悪魔達が四肢を両断され、最後に残されたアルトアンジェロの躰が、頭頂部から真っ二つに斬り裂かれる。

 

「悪い魔王から、美しい姫君を救う・・・・うん、如何にも叔父上が喜びそうなシナリオだな。」

 

何か新しい遊びを思いついたかの様に、アレフが無邪気な笑みを口元へと浮かべる。

 

侵攻作戦が行われる少し前、現地に同盟関係である『クズノハ』の召喚術師、17代目・葛葉ライドウが、赴いている事は既に承知済みだ。

如何な方法を使って、組織最強と謳われる17代目を捕らえたかは知らないが、彼を救えば、『クズノハ』にも、そして実の父親である、ジョン・マクスゥエル枢機卿に借りを作る事が出来る。

 

不図、凄まじい殺気が、此方に向かって来るのを感じた。

殆ど条件反射で”アダマスの鎌”を構えるアレフ。

その刃に、機械仕掛けの大剣の切っ先が激しくぶつかる。

魔人化したクレドが、アレフに斬り掛かって来たのだ。

 

勢いを殺し切れず、アレフが数メートル後ずさる。

 

「ちぇ、次から次へと面倒臭いなぁ。 」

「ヴァチカンの狂信者が! 」

 

橙色の火花を散らし、両者が離れる。

 

「こんな子供まで戦場に借り出すとはな・・・・。」

 

見た所、ネロと同年代ぐらいだろうか?

同色の髪の色に漆黒のカソックを纏い、両肩には異端審問官を象徴とする真紅のストラに金の刺繍糸で紋章が縫い込まれている。

身の丈以上もある大鎌を両手で持ち、此方の出方を伺っていた。

 

「人を見た目で判断しないで下さい。 こう見えても一応、魔導師職(マーギア)の役職は全て習得済みです。」

 

剣士職(ナイト)は未だ二つしか役職を持たぬ、修行中の身ではあるが、それでも到達者(マイスター)としての自負はある。

そこらに転がっている無能な大人共より、数倍、役には立つ。

 

「良い所に来たクレドよ・・・・そこにいる神器使いは、13機関(イスカリオテ)総司令、ジョン・マクスゥエルの実子だ・・・始末して、奴への見せしめにしろ。」

 

魔神像の頭部に立つ、教皇サンクトゥスが、騎士団長にそう命じる。

同年代の子供を持つクレドにとって、それは余りにも冷酷だった。

対峙する少年は、未だ幼さを強く残し、多くの同胞達を屠(ほふ)ったとは到底信じ難い。

しかし、相手はいくら子供であろうと13機関(イスカリオテ)の異端審問官。

戦場に立つ以上、敵である事に代わりは無い。

 

「・・・・恨むなら、君の父上を恨め。」

 

ジョン・マクスゥエルの実子でなければ、歳相応の人生が歩めただろうに。

機械仕掛けの大剣『カリバーン』を構えるクレド。

そんな金色の翼を持つ悪魔に対し、大鎌を持つ少年は、大袈裟に溜息を吐き出した。

 

「全く・・・・・職業柄、恨みを買い易いとは理解していますが、子供の僕にもツケを支払わせる何て、本当に酷い父親だ。」

 

13機関(イスカリオテ)総司令の子、であると分かると相手は態度を一変させる。

急によそよそしくなるか、敵意を剥き出しにするかの二つだ。

正直、面白くは無い。

 

 

 

魔人像体内、神臓部。

全身を触手に絡め取られ、身動き一つ出来ないライドウ。

霞む視界の中、旧友の子であるアレフと対峙する魔人化したクレドの姿が映った。

 

「はぁはぁ・・・・・く、クレド・・・・・。」

 

徐々に魔力が喰われているのが分かる。

本来ならば、当に邪神・アバトンに吸収されていてもおかしくない状態ではあるが、体内に寄生している巫蟲(ふこ)が護ってくれているお陰で、同化する憂き目は何とか免れてはいる。

この世で一番、殺してやりたい男に護られている。

その屈辱に、呪術帯の下にある唇を切れる程、噛み締めた。

 

(糞・・・・せめてアラストルが居れば、何とかなるんだけどな。)

 

此処には居ない、代理番の姿を思い浮かべる。

魔剣教団本部前のアルブム大橋で別れてしまった神父姿の青年悪魔。

念話で会話が出来ぬ以上、彼が今どうしていて、無事なのかすらも分からない。

 

「ライドウ!! 」

 

力無く項垂れる悪魔使いの耳に、聞き覚えのある声が響いた。

苦し気に閉じていた隻眼を開く。

見ると、アルブム大橋を支える柱の一本に、真紅の長外套(ロングコート)を纏う銀髪の大男の姿が見えた。

 

 

 

 

数分前、魔剣教団本部3階、降臨の間。

日本の最新鋭戦闘機、F-35の爆風に煽られ、たたらを踏む銀髪の魔狩人。

漆黒の戦闘機は、上空へと飛翔し、瞬く間に、その姿は視界から消えてしまう。

舌打ちしたダンテが、魔人化し、戦闘機を追い掛け様としたその時であった。

突如、目の前に人の形をした何かが降り立つ。

光学迷彩を使い、姿を隠したドルイドの戦士・スカーだ。

人間よりも遥かに優れた膂力で、軽々とダンテの頭上を跳び越えたのであった。

 

「ボーグから、ブラウン大佐の伝言は伝わった筈だがな? 」

 

右腕に装着しているコンピューターガントレットを操作し、光学迷彩機能を解除する。

 

「ちっ、面倒な奴が出て来やがったぜ。 」

 

気が付くとディヴァイド共和国の対悪魔殲滅部隊に取り囲まれていた。

退路を完全に断つ形で、特殊部隊の兵士達が次々と光学迷彩を解除し、姿を現す。

アサルトライフルに備え付けられているレーザーポインターの赤い印が、ダンテの急所を正確に狙っていた。

 

「久し振りだな? アフガニスタンの討伐作戦以来だ。」

「だな・・・・1年振りか? 」

 

このドルイドの戦士とは、1年前に行われた討伐作戦で一緒になった。

アフガニスタンのキザブという場所で、”ソロモン12柱の魔神”の一人である堕天使・パイモンが実体化。

キザブに住む市民達が、瘴気に当てられ疫病が蔓延した。

悪魔によるアウトブレイクを解決、彼の悪魔を討伐する為、CSI(超常現象管轄局)のエージェント数名と、国連の対悪魔特殊部隊が派遣された。

 

「大佐の元で、少しはその捻くれた性格が治ったと思っていたが・・・・どうやら、私の考え違いだったらしい。」

「そういうオタクは、見た目もそうだが、中身も石頭だな。」

 

無数のアサルトライフルの銃口を向けられているにも関わらず、ダンテの口調は何時もと何ら変わらない。

幾ら対悪魔用に強化されたクローン兵であろうとも、ダンテにとっては烏合の衆と全く同じだ。

唯一、目の前に立つ、このドルイドの戦士が、厄介極まりないというだけ。

 

「ボーグの奴は何と言ったか知らんが、私は奴とは違う。大人しく戦線から離脱しろ。」

「お断りだ。 師匠やアンタには悪いけどな。」

 

邪神”アバトン”に捕り込まれたライドウを助け出す。

例え、師であるケビンの命令でもこれだけは譲れない。

 

「なら、仕方ない・・・・力づくで言う事を聞かせるだけだ。」

「面白れぇ・・・やってみろよ? 」

 

双方、一歩も引く気は無いらしい。

スカーとダンテの殺気が激しくぶつかり合う。

 

正直に言えば、スカーの実力は、ダンテのソレを遥かに上回っていた。

事実、バージニア州にあるFBIアカデミーの訓練所では、一度として組手で勝った事が無い。

剣術に総合格闘技、そして銃器の扱いですらも、スカーはダンテより一枚も二枚も上手であった。

 

「いやぁ、お取込み中の所、申し訳無いんですけどねぇ。」

 

そんな緊張感高まる両者を、呑気な声が遮った。

見ると降臨の間、出入り口に赤褐色の髪をした忍び装束の若い男が立っている。

 

超国家機関『クズノハ』の暗部、十二夜叉大将が一人、コードネーム摩虎羅大将こと、猿飛佐助だ。

その傍らには、小さな妖精、ハイピクシーのマベルが、忍の肩には黒い毛並みの蝙蝠がそれぞれ、ダンテとスカー率いる悪魔殲滅部隊を眺めている。

 

「お互い、言い分はあるでしょうが、いがみ合うのはそれぐらいにして欲しいかなぁ? なんちゃって。」

 

殺気立つ二人に、タジタジになりながらも、佐助は何時もの愛想笑いで大袈裟に肩を竦める。

 

「お願い、スカー・・・・私達に力を貸して、ライドウを助けて!」

「メイブ・・・・。」

 

小さな妖精の懇願に、常に冷静沈着なスカーは、らしくもなく躊躇った。

どうやらこの小さな妖精とは、浅からぬ関係にあるらしい。

 

「分かった・・・・但し、我々の指示には必ず従って貰う。」

 

暫くの逡巡後、スカーは、鋭く眼前に居るダンテを見据えたまま、そう言った。

 

 

 

魔剣教団本部前、アルブム大橋。

本部建物から一旦外へと出た一同は、ヴァチカンの対悪魔殲滅部隊『ドミニオンズ』と教団が操る悪魔の軍団との戦闘の只中に居た。

 

「私達は、あのデカブツの動きを止める。お前達は、ヴァチカンの部隊と合流して、下級悪魔の駆除に協力しろ。」

 

スカーの命令に、隊のリーダーらしき兵士が頷く。

光学迷彩を作動し、クローン兵達は、阿鼻叫喚の地獄絵図へと変わる戦線へと向かって行った。

 

「で? どうやってあのデカブツの中から爺さんを助け出すつもりなんだ? 」

 

橋から数メートル離れた位置に立つ、白亜の巨人。

頭部両側面から大きな角を生やし、後光を背負う巨大な悪魔を見上げ、銀髪の魔狩人が肩を竦める。

 

「ボーグの説明によると、あのギガント級の悪魔は、精霊石が動力源となっているらしい・・・・四肢と胸、それから額にある蒼い石がそうだな。」

 

同じドルイド族であるボーグが解析したところ、偽神を動かしているのは、躰の各所に埋め込まれた精霊石らしい。

精霊石の持つ膨大なエネルギーが、偽神の体内に巣くう邪神・アバトンの魔力を増幅しているのだ。

 

「なるへそ、つまりあの石を破壊すれば、巨人の動きが止まるって寸法ね。」

 

単純明快な応えに、忍装束の若い男が、両手を頭の後ろで組む。

四肢に埋め込まれた石を破壊しろと言葉では簡単に言えるが、実際ソレを実行するには、かなり難易度が高い。

まず問題なのが、偽神を護る様に従っている下級悪魔の群が厄介だ。

オリジナルの地獄門(ヘルズゲート)から、無尽蔵に悪魔共が吐き出されている為、いくら倒してもきりがない。

近づくだけでも、相当な労力を強いられる。

 

「先程、”鋼鉄の乙女(アイアンメイデン)”艦長、マウア・デネッガー少将と連絡を取った。問題の地獄門(ヘルズゲート)破壊をボーグと”ドミニオンズ”が担当してくれるらしい。その間に、我々は巨人の躰に埋め込まれた精霊石を破壊する。」

「ちっ、奴等の手を借りるのは気に喰わねぇが、仕方がないか。」

 

ダンテにとって、ヴァチカンは、大事な人間を理不尽に奪った怨敵と同じである。

そんな連中の手を借りる等、死んでもお断りであるが、ライドウを救う為には致し方が無い。

 

「お前達は、巨人の四肢にある精霊石を壊せ、私と17代目の番は、奴の体内に潜り込み、17代目(カレ)を救出する。」

「よっしゃぁ! 俺っち頑張るっスよぉ! 」

 

愛する姫君の救出に選ばれ、人間体へと変化したアラストルが、少々大袈裟にガッツポーズを取る。

 

彼の脳内では、悪い魔王から助け出したライドウと熱い接吻(ベーゼ)を交わす桃色映像が展開されていた。

 

「悪いが、その役目は俺がやる。」

 

そんなスカーと気合十分なアラストルに異を唱える者がいた。

便利屋のダンテである。

 

「・・・・お前では役不足だと思うが? 」

「そーだ!そーだ! 俺っちの引き立て役が出しゃばるんじゃねぇーぞ!」

 

困った様子で両腕を組むスカーと、蟀谷に青筋を立てたアラストルが猛烈に咬み付いて来る。

 

このミッションを成功させる最良の人選として、この中で一番強いのが、ドルイドの戦士、スカーだ。

剣士職を全て習得した到達者(マイスター)であり、イギリスの女王陛下から剣豪(シュヴェアトケンプファー)の称号も得ている。

悪魔との戦闘経験も豊富、冷静な判断力も取れる申し分が全く無い逸材だ。

 

「アンタはこのチームの頭だ。前に出るのは駒の俺達・・・違うか? 」

 

即席とはいえ、ダンテの言う通り、作戦を遂行させる為のチームである事は間違いが無い。

もし、何らかの不足な事態が発生した場合、的確な指示を出せる人間がいなければ、忽(たちま)ち空中分解してしまう。

 

「・・・良いだろう。」

「ちょっとぉ!! 」

 

暫くの逡巡後、ダンテの言い分に納得するスカー。

しかし、アラストルは素直に頷く事が出来ない。

この男は、地獄の刑執行長官を務めた自分を、よりによって質屋に二束三文で売り飛ばした張本人だ。

お陰で、日本という小さな島国に流され、挙句、ドクター・スリルと言うロシア人に解剖されそうにまでなった。

八つ裂きにしても飽き足らない相手である。

 

「俺っちは納得出来ねぇ! コイツは、愛しい人修羅様の腕を折った不届き者ですよぉ! きっと又、人修羅様を傷付けるに違いない!! 」

 

スカーに詰め寄り、早口で捲し立てる。

 

「へぇ、酷い事するねぇ。」

「・・・・。」

 

両手を頭の後ろに組んだ佐助が、面白そうに渋い顔をしているダンテを眺める。

 

確かにアラストルの言い分だけを聞いていると、ダンテがライドウを無事救出出来るか大分怪しくはなった。

助け出したその後は、ライドウを連れ去って何処かへ逃げる可能性がある。

 

「下らん、こんな所で問答している暇は無い。」

 

しかし、スカーは、そんなアラストルを全く相手にする様子は無かった。

人間よりも遥かに優れた膂力を使い、橋を支える太い柱の上へと飛翔する。

 

キザブの討伐作戦で一度同じミッションに参加しただけではあるが、この銀髪の魔狩人が理由も無く、相手を傷つける性分ではない事をスカーは知っている。

気障かつ怠惰、猪突猛進で命令を平気で無視する扱いづらい男ではあるが、妙に義理堅く、一度恩義を感じた相手には、最低限の礼を尽くす部分がある。

 

柱の上に立ったスカーは、ダンテ達の方を一度だけ振り返った。

 

「私の期待を裏切るなよ?”ホワイトファング”。」

 

態とキザブでの作戦で使われていたコードネームで呼ぶと、ヴァチカンと魔剣教団との間で繰り広げられている戦場へと向かってしまう。

後に残される一同。

大袈裟に肩を竦めた佐助が、馴れ馴れしく、憤懣やるかたないアラストルの肩に、触れる。

 

「ボスの命令は絶対服従・・・・諦めるしか無いよ? 」

「へ? うわわわわっ!ナニコレぇ!! 」

 

佐助に触れられた箇所が突然光り出す。

慌てる神父姿の青年。

その姿が、身の丈と同じぐらいの銀色の大剣へと変わった。

恐らく、佐助が何らかの術を使用して、アラストルを魔具へと変えたのだろう。

赤銅色の髪をした忍びは、大剣を軽々と片手で持つと、ソレを背後にいるダンテへと投げ渡す。

 

「一応、忠告しとくけどさ・・・17代目に惚れるのは構わないけど、自分のモノにしようとか考えない方が良いよ? あの人には、おっかない”人喰い龍”がいるんだからね。」

 

無意識に大剣を受け取った銀髪の魔狩人に、それだけ告げると、佐助はマベルと共にスカーの後を追いかける。

視界から、瞬く間に消えていく忍装束の若い男。

その姿を黙って見送っていたダンテは、忌々し気に舌打ちした。

 




何とか投稿。ラストまで後少し。
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