日番谷(偽)でFGO   作:あたらんて

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人が希望を持ちえるのは

死が目に見えぬものであるからだ


        ――朽木ルキア


序章 炎上汚染都市 冬木
戦場


目に入ってきた光景は、地獄だった。

街は燃え盛り、建物は崩れ落ちている。ましてや生き残っている人など誰も見当たらない。

 

 

――そして、骨が、動いている。

 

 

「なんなんだよこりゃあ…」

 

 

そんなことをぼやいていると、急に骨がこちらを向いて襲ってきた。

 

 

「はぁ!?」

 

 

敵なのか。ならば戦闘するしかない。そう考えていつものように使える霊圧はどの程度かとオルガマリーとのパスを確認して――

 

 

「オルガマリーが…生きてる…!?」

 

 

骨をガン無視してオルガマリーの元へ走り出す。

幸いすぐ近くにいた。まだ目覚めていない。

 

 

「良かっ…たっ…!」

 

 

安心したのも束の間。どうも先程の骨が追ってきたようだ。

 

 

「俺は今気分が良いんだ…邪魔すんじゃねえよ」

 

 

言葉と同時に霊圧を出して威嚇する。

少し怯んだようだが、やはり意思はないのかすぐに襲ってきた。

 

 

一瞬で両断したが、どうもまだお仲間がいるみたいだ。

霊圧を見ると3、4…5匹。軽く、切り伏せてくれる…!!

 

 

…と、その時。重大なことに気が付いた。

オルガマリーの状態が、幽霊と同じ状態なのだ。

つまり、それは…

 

 

骨の一撃が入る。

どうでもいい。

剣で切られる。

どうでもいい。

5匹で囲まれて殴られる。

どうでもいい。

 

 

オルガマリーが、死んでいる。確かに俺は凍結させたはずだ…。あの程度の炎で溶けるなんてことはない。

…いや。仮死状態でレイシフトが行われたのか?

今、オルガマリーは魂魄の体になっている。ただ、因果の鎖――肉体と魂魄を繋げる鎖――が、見当たらない。

 

 

仮死とはいえ死んだのだから因果の鎖が消えたのか、レイシフトで無理矢理千切られたのか…。俺は考え込んだ。

ただ、そろそろ、骨が鬱陶しくなってきた。頭から多少血が出ている。一旦殺そう。

 

 

一匹、殴りかかってきていた骨を掴み身代わりとして真ん中に置き、瞬歩で外に出る。

混乱で動きが止まる。このまま一網打尽にする。

 

 

破道の三十二 黄火閃

 

黄色の炎が解き放たれ、まとめて骨たちを滅ぼす。

 

 

「ちょっと、油断っつーか考え事し過ぎたな…」

 

 

オルガマリーの死が衝撃的過ぎた。流石にダメージがある。少し休もう。

そう思ってオルガマリーの隣に腰掛けると、オルガマリーが目覚めた。

 

 

「ん…。あ、れ…?私、死んだん、じゃ…」

 

 

「よう、マスター」

 

 

「セ、セイバー!?って、あなたその傷どうしたの!?」

 

 

オルガマリーが起きぬけに心配してくる。

浅い傷だ。別に大丈夫である。

 

 

「ん?いや、大したことねえよ」

 

 

「そんな訳ないでしょ!ほら、ちょっと見せなさい。治癒魔術、かけてあげるから…」

 

 

そう言ってオルガマリーは俺に魔術をかけ始めた。

大した傷じゃないんだが…。まあ、心配してくれるっていうのは良いもんだ。

そう思って、為されるがままにしていると、急にオルガマリーが泣き始めた。

 

 

「マスター!?どうしたんだ急に…」

 

 

「うっ…グスン、だって、わたし、死んだと思って…あなたと別れるのが、こんなに辛いって…知らなくって…あなたに傷付いて欲しくない。あなたに、死んで欲しくないの…!」

 

 

ああ、これは甘えん坊モードだ。辛いことがあった反動でたまに起こる。

ただ今回は事が事だから結構重症化している。

 

 

「ああ、安心しろマスター。俺は死なねえしマスターも死なせねえ」

 

 

そう言って泣き止むまで抱き締める。

そして、泣き止んだタイミングで俺は口を開けた。

 

 

「そこの覗き、早く出てこい」

 

 

そう言って出てきたのは藤丸と、…なんか、すごい衣装の、マシュだった。

 

 

「あ、バレてたー?」

 

 

そんなことを言って舌を出す藤丸。ウザカワイイ。

 

 

「えっ。……あなたたち、いつから…?」

 

 

オルガマリーが震えながら聞く。

 

 

「その…泣き始めた辺りからです、所長」

 

 

「可愛かったです~」

 

 

「わ…」

 

 

「「「わ?」」」

 

 

「忘れなさいー!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

状況確認をすると、どうもマシュが元々召喚されていた英霊から能力を譲り受け、デミ・サーヴァント―半サーヴァントみたいなもの―になって藤丸と契約したというのだ。

そしてここは霊脈―大地に流れる魔力の流れ―が通る場所であったらしく、マシュの盾を使いカルデアにいるロマニとも通信が繋がった。

 

 

そこでまあ色々と話をしたが纏めると、「コフィンに入っていない者のみがレイシフトに成功しているためマスターはこの2人のみ」、「47人のマスターを凍結保存すること」、「カルデアがその機能の8割を失っていること」…などがわかったり決まったりした。

 

 

 

「わかりました。これより藤丸立香、マシュ・キリエライト両名を探索員として特異点Fの調査を開始します」

 

 

『ええ!?所長、そんなところ怖くないんですか!?チキンのくせに!?』

 

 

「うるさいわね!!」

 

 

俺も正直意外だった。嗜める必要があると思っていたが…オルガマリーも成長しているんだな…。

 

 

「とはいえ、人員も不足しているので主目的は原因の発見までとしておきます。解析・排除は可能であれば、という形でいきます。それでいいですね?」

 

 

『了解です。これからは短時間ですが通信もできますよ。緊急事態には助けを求めてください』

 

 

「……ふん。SOS を送ったところでセイバー以外だれも助けてくれないくせに」

 

 

『所長?』

 

 

「なんでもありません。通信を切ります。そちらはそちらの仕事をこなすように」

 

 

その言葉を最後にロマニとの通信は切れた。

 

 

「所長、よろしいのですか?ここで救助を待つという手もありますが」

 

 

マシュが疑問を口にする。

 

 

「そういう訳にはいかないのよ。次のチームを出すまでにかなり時間がかかるわ。その間魔術協会を黙らせる成果を出さなきゃいけないの。最悪の場合カルデアを取り上げられるわ。マシュ、藤丸。悪いけど付き合ってもらうわよ。とにかくこの街を調べましょう」

 

 

そして、この燃え盛った街の探索が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大橋、港跡と調べているうちに藤丸にカルデアについて一通りの説明をロマニとマシュがしていた。

その間何度も骨――スケルトンと言うらしい――が襲ってきたがマシュも中々の戦闘力があり、問題なく対処できた。

そして、そのまま教会跡を調べていた―そんな時だった。

 

 

『不味い!そこに…サーヴァントの反応がある!クラスはライダー!』

 

 

そこに現れたのは、影を纏った長身の女性だった。

 

 

「…!セイバー、やれる!?」

 

 

「おう、もちろんだ!」

 

 

「マシュ、お願い!」

 

 

「はい。マシュ・キリエライト、いきます!」

 

 

その女性は、鎖鎌のようなものを操って飛び掛かってきた。中々俊敏でトリッキーな動きをするが…別にそこまでの脅威は感じない。

軽く防いで、一撃を入れる。

すると、実力差を感じたか、マシュを狙い始めた。

…ここは、マシュに戦闘経験を積ませるのもありかもしれない。

 

 

「マスター。ちょっとこの戦闘はマシュの援護をしてくれ。俺も援護に回る」

 

 

「…!わかったわ」

 

 

そう言ってオルガマリーは支援魔術をマシュにかける。

 

 

トリッキーな動きにマシュは手玉にとられている。

一撃敵に加えてマシュに声をかける。

 

 

「…マシュ、落ち着け。戦闘訓練を思い出せ!お前の盾を破る力は敵にはない」

 

 

「…!はい!」

 

 

するとマシュが盾で敵の鎌の一撃を上手くいなし、そのままカウンターを加えるという流れができた。

筋が良い。経験を積ませるとどんどん強くなるだろう。

どうも敵はうまく力を出せていないようだ。あの影が原因か…?

 

 

そんなことを考えながら援護していると、相手の動きも衰えていた。このまま勝利かと思っていると急にロマニから通信が入る。

 

 

『不味い!!サーヴァント反応が2騎、近づいている!!アサシンと、ランサーだ!』

 

 

驚いている俺たちの前に奇妙な程腕が長い者と、槍を構えた武士が現れた。

 

 

「コレデ3対2ダ…!」

 

 

これは少し、不味いかもしれない。




シャドウサーヴァントの正体は出た順にメドゥーサ、呪腕、弁慶です。
FGO本編と同じです。
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