日番谷(偽)でFGO 作:あたらんて
失くしたものを
奪い取る
血と肉と骨と
あとひとつ
――ヤミー・リヤルゴ
――さて。前方にアサシンとランサー、後方にライダー。中心に俺たち。
綺麗に囲まれてしまった。少々不味い。
『そうか…聖杯戦争だ!その街では聖杯戦争が行われていた。そこは今、何かが狂った聖杯戦争が行われている!
マスターがいないのも不思議じゃない。そして、サーヴァントの敵はサーヴァントだ!』
ロマニの言葉に合点がいく。それで俺たちを狙ってきてたのか…。
「ククク…ソノ通リダ。聖杯ヲ、我ガ手ニ!」
アサシンがそう言って襲い掛かってくる。
斬魄刀を抜いて対応する。予想通りランサーもこちらに来た。
「マシュ!そっちのライダーはお前に任せた!別れるぞ!」
「はい!」
そう言二つに戦場が分かれる。俺はAチームの訓練に参加していないためマシュとは連携が取れない。それならば個々で戦うべきだろう。
「驕ッタカ貴様!2人ナラバ勝テルトデモ!?」
ランサーが激昂して槍を振るう。
それを瞬歩で躱し、後ろから斬りかかる。
アサシンが止めに入ったが、そのまま押し切って二人ともにダメージを入れる。
「驕った…?事実だろ?」
恐らくこのサーヴァントたちは本来の実力を出せていない。宝具も温存できそうだ。
宝具はなるべく温存しておきたい。オルガマリーは一流故に別に魔力には困らないが聖杯戦争に呼ばれるサーヴァントは7騎。まだ敵は残っている。
そのまま斬魄刀で斬りかかる。2対1であるからあまり攻めきれないが、そもそもアサシンは近接戦闘に向いていない。何故前線に出てきたのか…。まともな判断もできていないのであろう。
マシュも苦戦はしているものの互角といったところだ。一度アサシンを押し飛ばし、ランサーから仕留めることにした。
「縛道の八 斥」
アサシンとランサーが鬼道の力で押し飛ばされる。無論1桁の鬼道では大した隙もできまいが、一瞬虚をつけば十分。
瞬歩でランサーに近づき、蹴りを入れて崩れかけの建物に激突させる。ガードされたが別に構わない。
「縛道の三十 嘴突三閃」
霊力が3つの嘴を形作り、ランサーの体を刺し壁に固定する。
そして身動きの取れないランサーをそのまま一太刀で仕留める。
「ナ…!」
驚愕するアサシンに向かい合う。
「ほら、言っただろ?別に2対1でも負けねえよ」
そのまま斬りかかる。アサシンは苦無で対応するが、当然こちらに分がある。あと3合で終わると思った矢先、アサシンが捨て身の行動にでた。
「クッ、コウナッタラ…!」
俺の一撃を受け入れて苦無を投げたのだ。反射的に躱したが後ろにマシュがいることに思い当たった。
マシュもライダーに優勢だったらしく、傷つきながらももうすぐ勝利を収めるところであった。
「しまっ…!」
間に合わない。そう思ったとき、何者かの霊圧を感じ取った。
「アンサズ!」
言葉と共に放たれた炎の玉が苦無を止める。
「クッ…無念…」
そのままアサシンも消滅していった。
「てやああーっ!!」
そしてマシュもライダーへとどめの一撃を入れる。
「はあーっ、はあー、勝てました…!」
「おう、やるな嬢ちゃん!」
そう言って現れたのは、青髪のサーヴァントであった。
「そんじゃ、自己紹介から始めますか。俺はキャスターのサーヴァント。そこの嬢ちゃんが健気に戦ってるところに横槍が入ったもんだからつい助太刀しちまった」
「あの、ありがとうございました…!」
「俺からも礼を言う。ありがとう。そしてすまなかった。あれは俺が防いでおくべき一撃だった」
あの一撃が入っていたら死、とまではいかなくても気をとられたマシュにライダーの反撃も入ることも間違い無かっただろう。
「いやいやなんの、いいってことよ!それより嬢ちゃんの体の心配をした方が良いんじゃねえの?ほら、ココとか大丈夫か?」
「ひゃん!」
そういってキャスターはマシュの尻を撫でた。
…先程までは感謝の念を抱いていたというのに、何だろうかこれは。
「ちょっと、藤丸。アレ、どう思う?」
「まごう事なきセクハラオヤジかと…」
何か藤丸とオルガマリーが話しているとロマニから通信が入った。
『ともかく事情を聞こう。どうやら彼はまともな英霊のようだ』
「おっ、話が早いな。それは魔術による連絡手段か?」
『はじめましてキャスターのサーヴァント。御身がどこの英霊かは存じませんが、我々は尊敬と畏怖をもって、』
「ああ、そういうのはいい。てっとり早く用件だけ話せよ軟弱男」
『うっ…そうですか、では早速。……軟弱とかまた初対面で言われちゃったぞ…』
『…以上が我々、カルデアの事情です』
ロマニが俺たちの事情を話し終わる。
『確認しますが、貴方はこの街で起きた聖杯戦争のサーヴァントであり、唯一の生存者なのですね?』
「負けてない、という意味ならな。何故か街は一夜で炎に覆われて人間はいなくなり、残ったのはサーヴァントだけだった。
真っ先に聖杯戦争を再開したのはセイバーのヤツだ。奴の手で他の5騎は倒された」
「七騎のサーヴァントによるサバイバルがこの聖杯戦争のルールだったわね」
オルガマリーが確認する。
「ああ。そしてセイバーに倒されたサーヴァントはさっきの奴らみたいに真っ黒い泥に汚染された。そして湧いてきた怪物どもと一緒に何かを探し始めた。
それで、その探し物にオレも含まれている。オレを仕留めないと、聖杯戦争は終わらないからな」
『それなら貴方がセイバーを倒せば、この聖杯戦争は終わる…?』
「多分な。この状況が元に戻るかは知らねえが」
「なんだ。助けてくれたけど、結局一人じゃ勝てないからって味方を増やすためだったのね。違って?」
オルガマリーが棘のある言葉を吐く。
「その通りだが悪くないと思うぜ?なにせ――」
「GuOOOO!!!」
言葉の途中でスケルトンが現れる。
「ひぃ……!」
オルガマリーが俺にしがみ付いてくる。かわいい。
「コイツらは無尽蔵に湧いてきやがる。味方は多いにこした事はねえってこった!そこの嬢ちゃん、マスターだろ?俺と仮契約してくれ!」
「はーい!わかりましたー!」
藤丸とキャスターの間で契約が結ばれる。
頼もしい戦力が増えたものだ。
「よっし、じゃあまずはコイツらをぶっ飛ばすか!」
戦闘が終わった。それにしてもこのキャスター、中々強い。魔術師というよりは戦士のような動き方をしていたが…。
「いやあやっぱキャスターは合わないわ。ランサーが一番良かったんだけどな」
「…?」
藤丸が不思議そうな顔をしている。
ちょっと説明してやるか。
「英霊の中にはいくつかクラスを持つ奴にもいる。こいつは槍も使えるし魔術師でもあるっていうことだろ。…多分かなり高レベルな英霊だ」
「へー」
「ま、そういうことだ。と、いうことで目的の確認だな。アンタらが探しているのは間違いなく大聖杯だ」
『聞いたことがないけど、それは?』
「この土地の心臓だ。特異点とやらはそこだろう。ただ、その周りには残りのサーヴァントが居座っている」
「残りはアーチャーとバーサーカー?その二体は強いの?」
オルガマリーが聞く。
「アーチャーはまあ、なんとかなるが…問題はバーサーカーだ。アレは怪物だ。近寄らなきゃ襲ってこねえから無視するのも手だ」
『わかりました。それなら我々はMr.キャスターの案内に従って大聖杯を目指します。それでよろしいですか、Mr.キャスター?』
「ミスターはいらねえよ。まあ、それでいい。そんじゃ、行きますか!」
中々長い道を歩いた。途中敵が何度も現れたが、特に問題なく倒せている。
そんなことより何よりも、
「暑い…」
「日番谷さん、大丈夫ー?もーちょっとだから、頑張ろー」
「ああ、藤丸お前、この暑さ平気なのか…?」
「セイバーが暑さに弱いのよ…。いつもカルデアの外にいる位なんだから…。確かに暑いけれど、もうちょっと頑張りなさい。
…って、マシュも?なんか辛そうじゃない」
「あ、いえ…私は、その…」
マシュが言葉を濁す。
「やっぱり…アレ?」
藤丸は何かわかっているようだ。ただそろそろ限界が来た。宝具の解放も視野に入れる。俺は暑くてもう何も考えられない。
「……よし、お嬢ちゃんがそう言うならちょっと寄り道していくか」
何だか暑さにぼーっとしている内にマシュの宝具解放の特訓をすることになったらしい。
「まずは、ちょいと。厄寄せのルーンを刻んで、と」
何だか俺の羽織をいじくっている。これ、高いんだぞ…。
「お前さんなら狙われても自分でなんとかできるだろ。ほら、来たぜ」
「Grrrr…Zuaaaaa…!」
何かまたスケルトンが現れた。
「…は?」
「ひ、日番谷さん、わたしの後ろに!先輩も、戦闘準備お願いします…!」
「よし、こんだけいりゃ十分だ。まずは嬢ちゃんに精根尽きてもらうってことよ!冴えてるな、オレ!」
「もしかしてバカなんですかー!?」
藤丸の叫びに同意する。
しかしやはりサーヴァントと融合したことでマシュは十分な強さを得ているらしく、次々と敵を打破していった。
ただ、やはり数が多すぎた。一通り一掃したところでマシュが膝をつく。
「限界、です…これ以上、は…。こういった根性論ではなく、きちんと理屈による教授を…」
「――分かってねえなあ。まあいいや、次の相手はオレだ。味方だからって遠慮しなくていいぞ。オレも遠慮なく藤丸を殺すからよ」
「っ…!?」
「なに言ってるのアナタ、正気!?藤丸は関係ないでしょう!?」
オルガマリーが叫ぶ、が…。俺はなんとなくキャスターのやりたい事、言いたい事はわかる。
「サーヴァントとマスターは運命共同体だ。藤丸、お嬢ちゃんが立てなくなったときがお前の死だ」
「っ…!」
「下がってください、マスター!私は先輩の足手まといにはなりません――!!」
「いいねえ、そうこなくっちゃ!」
まずキャスターが仕掛ける。ルーン?というものを刻んで魔術の弾を放つ。
マシュはそれを防ぐが、近距離でないとマシュには攻撃の手段が無い。当然キャスターもそれを知っており、突進してくるマシュから距離を取って魔術を放ち続けるかと思えば、急に近づいて杖を槍のように振るい、一撃加えてまた距離を取る。
「オラオラオラ!どうしたあ!?」
「が、はっ…」
…完全に手玉に取られている。その攻防が繰り返され、マシュも何とか反撃しようとするが、戦闘の技術で完全に上回られているキャスターにはそれも叶わず、ダメージが一方的に蓄積していく。
「ハァ――ハァ――ハッ――!」
「おう、そろそろ仕上げだ!主もろとも燃え尽きな!」
そう言ってキャスターは詠唱を始める。
「我が魔術は炎の檻、茨の如き緑の巨人。因果応報、人事の厄を清める杜――」
霊圧がどんどんと高まっていく。これは――宝具!
「倒壊するはウィッカー・マン!オラ、善悪問わず土に還りな――!!」
辺りの火を優に超える勢いで燃え盛る炎と共に、召喚された巨人が歩を進める。その破壊力は凄まじく、今にもマシュに襲い掛からんとする――
「ぁ――あ」
マシュの顔が絶望に染まる。
「あああああああ―――!!!」
しかしすぐに覚悟を決め、その宝具が展開される――!!!
正面に現れた障壁と、炎の巨人がぶつかり合う。
「はあああ―――!!!!」
展開された盾は、炎の巨人の一撃を完全に防ぎ切った。
「――ヒュウ。まさかマスターともども無傷とはね。喜べ…いや、褒めてやれよ、藤丸。アンタのサーヴァントは間違いなく一線級の英霊だ」
「うん、すごいよ、マシュ!おめでとう!」
「っ……!ありがとう、ございます…!」
「フォウ、フォーーウ!」
お祝いムードだ。非常に喜ばしい。実際、これでかなり戦力は増しただろう。
「ただ…真名をものにはできなかったか」
「はい…宝具の真名も、英霊の真名も分かりません…」
マシュが落ち込んだ顔で言う。
「…そう。ただ真名無しじゃあ宝具を使うのは不便でしょ。いい
宝具の疑似展開なんだから……そうね、ロード・カルデアスと名付けなさい。
カルデアはあなたにも意味のある名前よ。零基を起動させるには通りのいい呪文でしょう?」
「は、はい……!ありがとうございます、所長!」
『うん、いい名前だ!』
「それじゃあ憂いも無くなったことだし行きますかあ!」
そしてまた歩き始めた。……まだこの暑い中を歩くのか…。
「いいな、ここ!涼しいぞ!」
俺たちが着いたのは洞窟だった。
「急に元気になりやがったな…。この奥に大聖杯はあるぜ」
「所長ー、ここ天然の洞窟ですかー?」
藤丸が疑問を口に出す。
「半分はね。恐らく魔術師が長い年月をかけて広げた地下工房でしょう。
それよりキャスター。大事なことだけれど、この聖杯戦争のセイバーの真名は知っているの?」
「ああ、知っている。ヤツの宝具を食らえば誰だって真名がわかる。他のサーヴァントが倒されたのもその宝具があまりにも強力だったからだ」
「強力な宝具…ですか。それはどういう?」
マシュが緊張しながら聞く。
「王を選定する岩の剣の二振り目。この時代において最も有名な聖剣。
その名は、」
言葉を遮るかのように飛んできた剣を弾く。霊圧で敵がいるのは分かっていた。
「
影を纏った、アーチャーのサーヴァントが現れた。
今回はほぼ原作と同じ流れになってしまいました。
早く独自展開にしていきたい…!