日番谷(偽)でFGO 作:あたらんて
犠牲無き世界など ありはしない
気付かないのか
我々は
血の海に灰を浮かべた地獄の名を
仮に世界と
呼んでいるのだ
――ティア・ハリベル
影を纏ったアーチャーを睨みつけていると、キャスターが口を開いた。
「相変わらず聖剣使いを護ってんのかオマエは。しかし…たった一人じゃあオレたちには勝てないぜ?」
確かにその通りである。キャスターの言によるとキャスター一人でも打倒できるかのような口ぶりであった。だというのに今は3対1だ。何か秘策があるのか…?
「…フン。それ位わかっているとも。今は多少曇っているとはいえそこそこの眼は持っているのでね。君たちの戦いは見ていた。だから…」
「気を付けろッ!何かが来る!」
言葉の途中で、莫大な霊圧の持ち主がこちらへ駆け寄ってくるのが感じ取れた。
「■■■■■―――――!!!!!!!」
「なんだ…コイツは…!」
壁をぶち破りながら現れたのは身長が2mを軽く越す超巨漢であった。
「少々危険であったが…バーサーカーをここに呼ばせてもらったよ。これでもまだ勝てるとでも?」
「やりやがったなヤロウ…!」
今までの敵とは格が違う。即座に宝具を解放する。
「霜天に座せ!! 氷輪丸!!」
瞬間、殴りかかってきたバーサーカーを氷壁で受け止めようとするがまるで意味がない。即座に粉砕され、一撃を喰らってしまう。
「ガハッ…!」
「チッ…!アンサズ!!」
「てやあーーっ!」
キャスターとマシュも応戦する。
が、敵はバーサーカーだけではない。
「フッ!」
アーチャーの放つ一撃をマシュが咄嗟に防ぐ。そしてできた隙にバーサーカーが大暴れする。キャスターはアーチャーを抑えに行ったがアーチャーも中々どうして戦いが上手い。俺たちへ的確なところで邪魔を入れてくる。
不味い。防戦一方だ。一手打たねばなるまい。
「マシュ!悪い、ちょっと俺を守ってくれ!」
「…は、はい!」
マシュの後ろに入り、氷竜を操り敵を攻撃しつつ、詠唱を始める。
「雷鳴の馬車 糸車の間隙…」
「■■■――!■■■■■―――――!!!!!」
「くっ、あっ…!」
バーサーカーの連撃にマシュが苦しむ。頼む、あと少し持ってくれ…!
「光もて此を六に別つ!! 縛道の六十一 六杖光牢!!!」
「■■――?■■■■■―――――!!!」
六つの光がバーサーカーに刺さり動きが完全に止まる。この隙を逃してはいけない…!!
「破道の五十七 大地転踊!!!」
洞窟の天井、壁などが崩れ落ちていく。本来はこの岩石を用い攻撃する鬼道だが――
「キャスター!」
「…!オウ、わかった!嬢ちゃんたち、こっち来い!」
俺の意図を汲み取ってくれたかキャスターは杖を交えながらアーチャーをバーサーカーから引き離す。
「まさか…!」
アーチャーが気付いたようだが、もう遅い。一部分だが本格的に洞窟が崩れ始める。
アーチャーとバーサーカーを分断した。アーチャーにはマシュとキャスターとマスターたちがついている。直に片付くだろう。
「…さて。1対1だな、バーサーカーさんよ」
「■■■■■■■――――――――――!!!!!」
もう六杖光牢を破ったか…。わかっていたとはいえ馬鹿げた怪力だ。
そして一瞬で距離をつめ襲い掛かってくる。
攻撃を受けれるだけの力は俺にはない。瞬歩を交えて回避しつつ攻撃をしていく。
バーサーカーだからなのか影のせいなのかはわからないが攻撃が単調だ。当たったら不味いとはいえ何とか対処できる。
段々と、段々と相手の動きが鈍くなっていく。冷気で周囲の温度もどんどん下がってきている。…そろそろ仕掛けるか。
「縛道の二十六 曲光」
俺の姿を見えなくさせて、一気に斬りかかると同時に凍結させる。
「■■■――――!?」
正面から右腕、後ろに回って背面、振り返ったところを上に飛びつつ顔面、また後ろに回って左足。
「■■■■■■■――――!!!!!」
すぐに氷は砕かれてしまうとはいえここまでやったら動きは少しの間止まる。
その隙に大技を打つ――!
「氷竜旋尾!!!」
現れた氷の竜はその狙いを眼前の敵に定めその口を開き、一直線にその身を唸らせてバーサーカーへ襲い掛かる―――!
「■■■―――!」
氷の竜がバーサーカーを喰らうと同時、バーサーカーの体が竜と共に凍りついていく。
氷の竜が消えた頃には、バーサーカーは透き通った氷の中に閉じ込められていた。
「ふう…。強かったな、お前」
かなり苦戦した。最初に食らった一撃はかなり響いている。その後の戦いでも一撃食らってしまうとまた状況は違っていただろう。
苦戦していただけに満足感があったのだろう。確かに油断していた。
何せ、バーサーカーの霊圧は完全に消えたのだから――
「■■■■■■■■■■―――――――――!!!!!!!!!!」
一撃、パンチをモロに食らって吹き飛ばされた。
「ガッ――馬鹿な!有り得ねえ、お前の霊圧は――!」
そこには、完全に傷の癒えたバーサーカーが立っていた。
「■■…■■■―――」
しかし、どこか様子がおかしい。
傷は癒えている筈なのにフラついている。
「■■■―――!!!」
「っ…!来るか…!」
痛む体を起こし、構える。
しかし、バーサーカーのパンチは届かなかった。こちらに駆けてくる途中で脚が崩れ落ちたのだ。
「なっ…」
どんどんとバーサーカーの体が崩れていく。
バーサーカーはなんとか立ち上がろうと藻掻いているが、もはや消えてない部分は顔と少しばかりの体のみとなった。
「■■■―――」
最期に、愛おしそうに、悔やむようになにか一言呟いて消えていった。
「どういう、ことだ…?蘇生するような能力の宝具が、不完全な形で発動したのか…?」
何が起きたのか俺には分からなかったが、なんとか勝利を収めたようだ。
痛みを堪えながらキャスターたちのところへ戻ると、あっちの戦闘ももう終わるところであった。
「考えたな花の魔術師……!その宝具に、そんな使い途があったとは…!」
マシュの盾を見ながらそう言葉を残し、アーチャーは消えていった。
「おう、お前…バーサーカーのヤロウを倒したのか!これから急いで援護に向かおうと思ってたんだが…」
キャスターが本当に驚いたような表情でこちらを見つめてくる。
「ああ、強敵だった。そしてかなりの傷を負ってしまった。次の戦いではあまり良い動きはできない」
「ああ、そりゃあ大丈夫だ。なんせ俺の見立てじゃあこの嬢ちゃんの宝具はあの聖剣には相性バツグンだからな」
「そうなのですか…?はっきり言って、私は次の戦いが、怖いのですが…」
マシュが震えるのも無理はないだろう。聖剣エクスカリバー…その威力はあの影を纏う前のバーサーカーすら屠るものであるのだから。
「ああ、大丈夫だ。あの聖剣に勝とうなんて思わず、マスターを守ることだけ考えてりゃいい。そうしたら防げるさ」
「うん、マシュなら大丈夫だよ!だって、私のサーヴァントなんだもん!」
「…はい!」
マシュは気合いが入ったようで覚悟の決まった顔つきになる。
「それにしてもセイバー、傷って大丈夫なの?ほら、ちょっと見せてみなさい…って、本当にひどいじゃない!」
俺の体を調べたオルガマリーが慌てて俺の体に治癒魔術をかけ始める。
「ちょっと、これは一旦休憩としましょう。これじゃあ戦えないわ。
それに…藤丸、顔色悪いわよ。ドクター、バイタルチェックしてる?」
『え!?あ…うん、これはちょっとまずいね。突然のサーヴァント契約だったから使われてなかった魔術回路がフル稼働して脳に負担をかけている。マシュ、キャンプの準備を』
「了解しました。ティータイムとしましょう」
「お、決戦前の腹ごしらえか?んじゃオレはイノシシでも狩ってくるか」
「いないでしょ。そもそも肉はやめて。どうせなら果物にしなさい、こんな風に」
そう言ってオルガマリーは懐からドライフルーツを取り出した。
そうして、突然のティータイムが始まった。
「………」
オルガマリーが藤丸を難しそうな顔で見つめている。
「……おかわりですか、所長?」
「一杯で十分よ!それに私は紅茶より珈琲派だわ!……あ、いえ、そうじゃなくって…ああもう!」
オルガマリーが興奮した顔で声を荒げる。
「こ、ここまでの働きは及第点です。カルデア所長として、あなたの功績を認めます」
……驚いた。オルガマリーがそんなことを言えるなんて。
「ちょっと、何よみんなしてその顔は!
…まぐれだったとしても、あなたがいなければこの特異点の突破は難しかったでしょう。今は私の他にはあなたしかいないのよ。あなたの働きは認めます。
三流でも一人前の仕事はできるって分かりました」
『なんと。藤丸君を一人前と認めてくれるなんて、何か甘いものでも食べました?』
「ロマニ。無駄口を叩く余裕があるなら、藤丸に補給物資の一つでも送りなさい。
本人が頑張っているのに、装備不足で失敗するなんて可哀想じゃない」
『おや、可哀想とは…ついに所長の心にも雪解けが?』
「バ…!哀れでみじめって意味よ!ちょっと、キャスターとマシュにセイバーまで!何笑ってるのよ!」
『いやあ、少年少女の交流というのはいつ見てもいいですね。少女というには所長はちょっとアレですが』
「そうでしょうか。所長は確かに年上ですが、趣味嗜好はたいへん近しいものを感じて、親愛を覚えます」
「なに言ってるのよマシュ!?あなたたちなんてわたしの道具だって言ってるでしょう!?」
戦場の中で、こんなにも平和な会話が繰り広げられているこの状況に、俺は確かに幸せを感じていた。
戦いなど、無いに越したことはないのだ―――
何か千年血戦篇アニメ化するらしいですね。
少し老けた日番谷がTVで見れますよ…!