機動都市X_黎明に咲く花   作:リゾッ糖

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お待たせしました。
準備が整いましたので連載再開します!

お待たせしましたので本日は5話・6話投稿の2話投稿です!

執筆・色塗り担当↓
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原案・キャラデザイン担当↓
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大会編 第5話 × 私と

 

あの激闘のエキシビションマッチの翌日。

公休開けのニンちゃんはクラスで、質問攻めの嵐に遭っていた──

 

「テレビで見たよー!」

「ロム選手とあんなに戦えるなんて凄い!」

「ニンちゃんハスハス」

 

未だに近づこうとしない子もいるけど、ほとんどが好意的です。

ニンちゃんに興味津々といったところでした。

 

……でも、最後の人にはちょっと話を聞いておかないとですね。

 

曖昧な笑みだけど、なんだかんだ返事しているニンちゃんはとても丸くなったなぁと思います。

 

 

あ、でも笑顔がぎこちなくなってきた。

よく頑張ったね。

 

次の瞬間、

 

 

「ゴメン、ご飯食べてくるっ」

 

 

私の手をガシッと掴むニンちゃん。

 

これは逃げられませんね。

まだ始業前なのにお弁当は早すぎだよなんてツッコミを頭の中で入れつつ、私は引き摺られていくのでした。

 

 

::::::

 

 

1時限目のチャイムがなったとき、私達は屋上にいました。遅刻確定です。

国語の吉田先生、ごめんなさい。

 

「咲〜……。」

「なぁに?」

 

 

私だけが知っているニンちゃんの可愛いところ。

いつもはどこか張り詰めているニンちゃんが甘えてくるのです。

 

ネコは飼ったことがありませんが、こんな感じなのでしょうね。

可愛いことこの上ありません。

 

「私、負けたのに……すごい、すごいって…! !」

「頑張ったね〜、えらいえらい」

「うー!子ども扱いしてー!」

 

びゃー、と本当に子どものように泣き出してしまったニンちゃん。相当溜め込んでいた様です。

 

前のニンちゃんはこうやって吐き出すことも出来なかった事を考えると、すごく成長しているんだなって嬉しくなります。

 

そんな母性のようなものを感じていることを敏感に察知したのか、涙を少し溜めたニンちゃんがひっかこうとしてきます。

 

……本当にネコですね。そのうちネコちゃんって呼んでしまいそうで心配です。

 

「ロムに勝ちたかったー。」

 

ニンちゃんはインタビューで “誰よりも強く”

と言っていました。

もちろんロム選手もその目標のために超えなくてはならない壁ですが、それ以上にニンちゃんにとってロム選手は重要な意味を持つのだろうなと、私も察してはいます。

 

ニンちゃんは強かった。

SMCをやったことがない私ですが、ものの善し悪しくらいは分かります。

比較対象が欲しくて配信の履歴を少しあさりましたが、トップレベルと称されているプレイヤーと遜色ない、いや、凌駕するレベルの戦闘技術でした。

 

その上、戦闘勘としか言えないような反応速度も合わさり、戦闘技術においては、経験に一日以上の長があるロム選手をも凌ぐものがあったと思います。

 

それでも、ロム選手はニンちゃんの上を行きました。

実力で勝るはずのニンちゃんを、飄々《ひょうひょう》と受け流し躱し……そして生まれたニンちゃんの一瞬の隙を突いてFirefoxを破壊。

それでもなお、生身で立ち向かおうとするニンちゃんの首筋に剣を添え、通信で諭して勝利。

 

 

いつものニンちゃんなら、仮にそんな状況に陥ったとて最後まで戦ったでしょう。

 

しかし。

あれほどの大剣を精密に操作する技量。

そして、その優しげな瞳にあの反骨心の塊と言えるニンちゃんも降参せざるを得なかったのでしょう。

 

 

試合直後はニンちゃんも脱力してしまって大変でした。勝てなかった悔しさもあると思いますが、どこか夢見心地な顔で、撫でてあげると直ぐに寝てしまいました。

 

それが今日になって悔しさがぶり返してきたのでしょう。難儀なものです。

 

「また機会あるよ。私もニンちゃんとロムさんの戦い、また見たいな。」

 

「でもー。すっごく練習して、すっごく頑張ったんだよ……」

 

「そうだね。でも、ロムさんもニンちゃんのことすごく褒めてたし、クラスのみんなが言ってたように、いい勝負だったのは確かなんだよ?」

 

「勝てなきゃ意味無いもん!」

 

あら、思った以上にへこんでいるようです。

いつもは気丈なニンちゃんが子どものようにそっぽを向いてしまいました。可愛い。

 

 

でも。

可愛いけど、すっごく可愛いけれども、ここは一発喝を入れてあげた方が良さそうかなぁ。

 

「ニンちゃん」

「───」

 

「ニンちゃん」

「なによー」

 

「歯、食いしばって?」

 

拳を握りしめ……

渾身のゲンコツをお見舞します。

 

 

「な、なにするの……!?」

 

頭を抑えたニンちゃんが叫びます。

いつもらしからぬ私と私の拳に目を白黒させているようです。

 

 

「いつまでも、うじうじしてるから。

そんなニンちゃんも可愛いし、私は話をいくらでも聞くよ 」

 

「けど。どんなに酷い負け方をしても、次は勝つって頑張れるのがニンちゃんでしょ?」

 

「───咲には」

「うん 」

 

「咲には分からないよっ!私が今回のためにどれだけ努力したか!どれだけ頑張ったのか!」

 

「そうだね。──私には分からない 」

 

「……ッ、なら!」

「でも」

 

「努力してるニンちゃんの姿は見てきたよ。登校中だってずっとSMCの研究してるし、学校が終わったらジム。遊ぶひまなんて無いくらい、全力だったよね 」

 

「そんな姿を見てね、応援したいなーって思ったんだ。インタビューの時に言ってたよね?自分の姿を、生き方を見てもらいたいって。」

 

「───」

 

「あれを聞いて、私感動したんだ。いつもピリピリして、勝っても負けても自分を認められなかったニンちゃんが、カッコ良くなったなぁって。」

 

「今の私に出来ることは、見守ることと、応援することだけだよ。だけど、この気持ちは本物なの。私はニンちゃんの生き様を見続ける。辛い時は泣いたっていいし、全力で私が甘やかしてあげる。」

 

「けど、現実から目を逸らして甘えるだけのニンちゃんを今までみたいに甘やかすのは、ニンちゃんのためじゃないと思うんだ。

それが本気の本気で応援したいって思った、私のケジメだよ。」

 

「咲……」

 

「だから 」

 

「立って、ニンちゃん。かっこいい姿を見せてよ!」

 

押し黙るニンちゃん。

 

──私も心が痛いです。

ニンちゃんに嫌われたらって、考えるだけですごく悲しいし、怖いです。

 

でも、応援したい気持ちは本物だから。

私のケジメとはそういうことです。

 

どれくらいの時間が経ったでしょうか。

十数分、もしかしたら数秒かもしれません。

ニンちゃんはようやく口を開きました。

 

「……分かった」

 

「確かにダサかったかも。咲に甘え過ぎてたかもしれない」

 

「私だって、咲に見て欲しい。応援して欲しい。間違ってたら止めて欲しい。

……咲に見守ってもらえるだけですごく心強いから、つい甘え過ぎてたんだと思う。」

 

 

「私、次は勝つよ」

 

「うん」

 

「やっぱり私にとって勝ち負けは大事なんだ。勝ちたいよ。負けたら死ぬほど悔しいから。」

 

「うん。」

 

「だから、次は勝つ!」

 

「負けて落ち込んでるところを、叩いてでも応援してくれる親友の為にも負けたくないし……ね?」

 

「……やっぱり、ちょっと怒ってる?」

 

「次からはやめてね。大人しい咲にいきなりゲンコツされて、びっくりなんてものじゃなかったわよ……!」

 

「そこは本当にごめんなさい。つい拳が出そうになるのは私の悪い癖です」

 

「いいわよ。私のためを思ってやってくれたんでしょ?あまり痛くなかったし。──いきなり殴られたことは許す」

 

けど、殴られたままは気が済まないなぁと呟くニンちゃん。その瞳は私をロックオンしたまま。──怖いです。すごく怖いです。

 

「それで、咲は私のために出来ることはやってくれるのよね?」

 

心なしか、ニンちゃんの瞳が猫ではなく虎やライオンのように見えた気がします……。

目の錯覚でしょうか。

 

「う、うん。私に出来ることなら、手伝いたい 」

 

緊張感が高まります。

目をらんらんと輝かせるニンちゃん。あれではまるで、肉食獣……!!

 

「じゃあ、決まりね!!咲もSMCやろ!!」

 

「え?」

 

「咲も私と一緒にSMCで戦うのよ。まずは今日の帰り、相棒探しかしらね」

 

::::::

 

こうして、自業自得と言うべきか。

SMC参加を確約させられた私は、学校が終わったらある場所へ向かう約束を取り付けられたのでした。

 

急すぎるよという泣き言も、聞き入れられるはずもなく……次回に続く。




間違って先に6話を投稿してしまったので仕方なく5話と6話両方という形になったことは内密にお願いします()

咲ちゃんのお話。
最初全力の右ストレートだったのですがさすがにバーサークすぎ!というストップが入っていたりしなかったり。真相は闇の中。
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