残響世界の聖剣譚 -VRMMOで鍛えた魂で侵食されるこの世界を守ります-   作:気力♪

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第2戦。VSサビク 騎士の国と聖剣達 開始です。


第二戦 VSサビク 騎士の国と聖剣達
刑事の戦い/騎士との遭遇


 

「それじゃあ、改めて作戦会議といこうか。ぼくはじゅーじゅん。本名はみな知ってると思うけれど、ネットマナーって事で」

 

 ロビーに集まったタクマたち。内訳はタクマ、ヒョウカ、ユージ、じゅーじゅん、筆ペン、そして帝大大学院のスエキチとマッキーノ(省略)の7人だ。

 

 ちょっと多くないか? とタクマとユージは思い、少なすぎないか? と他の皆は思う。

 

 脳筋とそうでないかの差が如実に出ていた。

 

 

「じゃあ司会は言い出しっぺの僕が。まず、筆ペンさんとじゅーじゅんさん。ユージさんの見た“現実で消えた人がゲーム内の人物として存在している事”は間違いはない?」

「……うん。間違いなく父さんと義母さんだった」

「俺も、あの人の顔は忘れた事はねぇ」

「……ここに来るまでに探索した結果保科くん……僕達の後輩も見つけたよ」

 

 その言葉に重くのしかかる重責。間違いなく、命がかかっているのだ。それが重くのしかかる。

 

 これに動じていないのは、“そんなものか”と考えている琢磨だけである。

 

「外部ツールのインストールは軒並み弾かれてルから、細やかな測定はムリだネ。メディちゃんの後継機である健康管理AIをさっき買ったケド、意味ナシ。今度はインプラント型を試してミルヨ」

「うん、わかった。現状はなんかやばいけどわかってないと言うこと。それくらいだね」

 

 そうあっさりと言い切るじゅーじゅん。

 実際そうなのだが、その言葉はあまりにも軽かった。

 

 その目の奥の鋭さとは全く違い、さもなんてことのないように振る舞う。その姿は、頼れる大人の階段を登りつつある青年にしては、すこし大きすぎた。

 

「じゃあ、次。これからの方針について。これまでの経験から、僕はなるべくゲームオーバーを引き伸ばしたい。ゲームクリアとゲームオーバー、どっちでも異界は現れる。なら、現実での対応がちゃんとできるようにきちんとこっちの準備を整えたい。ってのが警察(ウチ)の方針ね」

 

「……警察は、今何もしてないの?」

 

 そんな言葉に少しの不信感を覚える筆ペン。

 

 それもそうだ。警察は、先日の異界騒ぎをいくつかの誤情報と共に揉み消したのだから。

 それが、納得のしやすいカバーストーリーだとしても、真実を知る彼女の心にはしこりが残っていた。

 

 サイバー犯罪者によるAR技術の無差別実験だと、先の件は世間では知られているのだ。体感したものにはそれぞれ個別に口止めをしながら。

 

 だが、軽薄な顔のままじゅーじゅんは刑事足柄の顔になった。

 

「偉い人がそれまでの対応は現地に任せるって言ってくれたのさ。だから、色んな人が色んな方向で動いてる。だから大丈夫、対応を現場判断からある程度パターン化した問題に変えたいだけ。皆は気にしないで大丈夫だよ。……こういうのをどうにかするのに大人は居るらしいからね」

 

 言葉には不思議な重みがある。飄々と、軽々しく言ったその言葉には、しかし皆を納得させるに足る重みがあった。

 

「意見いいかしら?」

「どうぞ、ミセス」

「私はゲームオーバーを引き伸ばすことについては反対です。NPCはいくら死んでも次の周で戻りますけれど、奪われた人々には傷が付きます。最悪死に至る事もあるかと」

「……代案はあるの?」

「ゲーム自体のクリアです。最速で条件を明らかにして、根本的に向こうのトリガーになるものを潰し切る。それはこんなまどろっこしいやり方をしている敵方にとっては致命傷になるかと」

 

 “ねぇ明太子、この娘本当に14歳? ”と目で訴えてくるじゅーじゅんに肯くタクマ

 

 そうしてため息を吐いた後に、彼は自分の意見を始めた。

 

「僕個人の心情としては、賛成。けど、現実問題として不可能だよ、それは」

「それは何故?」

「このゲームのプラクティスエリアの間でもうグループができてる。“今度は自分たちで攻略するんだ! ”って連中がね。そういう奴らは、足を引っ張り合うよ?」

「彼らを導く餌をチラつかせる役がいれば良いのでしょう? その程度のグループなら大した障害にはなり得ません」

「あ、わかってて言ってるのね」

 

「それはごめん、早とちりした」と謝るじゅーじゅん、「言葉足らずでした」とヒョウカも言い返す。

 

「私からの具体案は、タクマくんです。彼はアルフォンスという信頼できる騎士と短くとも深い繋がりがあります。それを元に死に戻り前提で情報を集めて掲示板に流す。そうすれば餌に釣られた方々は勝手に頑張ってくれるかと」

「いいねそれ、じゃあ明太子のやる事は決定で。行っていいよ」

「了解です」

 

 そう言われて、若干うとうとしていたタクマはシャキッとして動き出す。

 

 “言われないでもそれくらいはやるのにな”と暗に自分は馬鹿にされてないかと思いながら。

 

 ■□■

 

 そうして、タクマは一足先にワールドに転移して、ふらりと人探しを始める。

 

 とは言っても、騎士団詰所の場所を尋ねようと適当な人に話を聞く。

 

 すると、こんな言葉が聞こえてきた。

 

「まさか、あんた王子騙りを見つけたのかい?」

「いえ、知り合いに話を聞こうと思ったのにどうにも連絡がつかないもんで」

「なんだ、つまらん。それなら向こうの道を真っ直ぐ行ったら左手側に見えてくるよ」

「ありがとうございます。それで、王子騙りとは?」

「騎士の中に王子を騙る奴が現れたんだとさ。馬鹿な奴だよ。そんなのすぐに分かるってのにな」

 

 そうして別れると、タクマ何やら妙な視線を感じた。稀人特有の質素な服が目立つのだろうか? 

 

 なんにせよ、今はコレの対応が先だろう。

 

「貴様、明太子タクマとかいうふざけた奴だな?」

「はい。野試合のお誘いですか?」

「そんな訳があるか。騎士アルフォンスの件で話がある。今から言う通りに来い」

「構いませんけど、その前にお名前を聞いても良いですか? ()()()

「名乗りたくも顔を見せたくもないからこうして伝えているのだろうが。

 

 そうして、タクマは害意はないのだからとふらりとその声に従って歩く。もっとも、一人であるタクマの場合は害意があった方が優々と赴くだろうが。

 

 そのついでに内心でメディに声のトーンから覚えがある人かどうかを調べてもらう。

 タクマの記憶の通りに、いつかアルフォンスを送り出しに交渉してきた声の人のようだ。

 

 そこそこ偉い人がなんで俺に? ともタクマは思うが、とりあえず話の内容はメディが覚えてくれているし大丈夫だろう。

 

 そんな楽観のもとゆっくり歩き出し。「居たぞ!」という明らかに害意のある声に振り返る。

 

 そこには3人かの見た覚えのある、しかし死んだはずの騎士がやってきていた。

 

「……ゾンビパニック?」

「安心するな、何故か生きている」

『逃走を提案します。ここでやり合うにはいささか数の不利かと』

 

 その言葉を聞くや否や、第0に戻して走り出す。

 

 しかし、敵はどうやってかこちらを見ている。モンスターか何かじゃないのか? コレは。

 

『こういう時にモンスターかそうでないのか区別が付かないのが面倒ですね』

『基本リアル視点だからな』

 

 そう話した所で近くの民家へと透過して侵入する。

 

 しかし、騎士の一人の■■■■(ゲートオープン)という声と共に一人の騎士が同じ壁をすり抜けてやってきた。

 

『透過の能力⁉︎』

『ゲートとは、自由なのですね』

『俺も早く使いたいね!』

 

 同じ透過とはいっても、タクマには生命転換(ライフフォース)の強化はない。微弱なものと言っても速度の差は大きい。このまま鬼ごっこを続ければいずれ追いつかれるだろう。

 

 ならば……戦うしかない。タクマはそんな事を()()()()()考えた。

 

『メディ、路地裏出るぞ』

『はい。左手側の壁の向こうとなります』

 

 そうして抜けた路地で意識をスイッチする。

 

 生きる意思を身体に巡らせ、殺意を込めた剣を抜き、透過男が抜けてくる瞬間に首を切るつもりで構え

 

 どこかからの狙撃で命を狙われたのを察知した。

 

「冗談だろ⁉︎」

 

 なんとか一撃を剣で防げたものの、その衝撃は流しきれずにタクマの体を大通りにまで吹き飛ばした。

 

 そして、透過の騎士が現れてするりと剣を振るってきた。それを紙一重で回避するもの、掠った筈の服は切れずに内部の肉だけが切り裂かれた。

 

 剣で防ぐつもりで居たら死んでいただろうと分かる恐ろしさだ。

 

 これは、だいたい物理攻撃しかできないタクマには荷が勝ちすぎている相手達だと思った所で仕方なく逃走へと思考をシフトする。

 

 タクマの流儀はただ殺されるだけを良しとはしないのだ。相打ちなら普通に進んでやるが。今はそれも許してくれそうにない。

 

『メディ! 音響兵器行くぞ!』

『了解です』

 

 そうして、思考の中から自分の生きている中でもっとも嫌な音。いつかのインディーズゲームで聞いた“ガラス瓶をナイフなどでひっかく音”を“思考を音声にする外付けアバター能力”で発声する。

 

 自爆覚悟の、全開の音量で。

 

 その音に驚いた騎士達は立ち止まり、タクマはその隙に聞こえない耳のまま風で初速を作って全速力で離脱する。

 

 そして、適当な家屋の中に入ってログアウトしようとした時に。

 

 酔い潰れているのに短剣を手放さない女性と、大柄の男性がそこにいた。

 

「何者だ?」

「……すいません戦士団の人。今から逃げますんで黙っててくれるとありがたいです」

 

 そう言って、一瞬姿を表して頭を下げて、また第0アバターに戻ってロビーに転移する。

 

「あらタクマくん、早かったわね」

「ちょっと暗殺されかけた。というわけで再チャレンジ行ってくるわ」

「いってらっしゃい。私は掲示板を荒らしてからいくわ」

「程々にな」

 

 そうして、タクマは考えて、少しだけポイントを使ってから再び転移した。そして第0のまましれっと先程声の人に見つかった場所へと戻る。

 

 そして、少し待ったら声が聞こえてきた。

 

「よくも生き残れたものだな」

「指示をお願いします。ちょっと変装してきたんで多少はマシになると思うので」

「服を変えただけだろうが」

 

 その通り。今のタクマの服は初期装備ではなく、白いカッターシャツとネイビーのパンツに変わっていた。一般的な市民の服装だ。

 

 今までの初期衣装とはガラリと清潔感が変わっている。

 

 そんな姿に無個性な顔形も含めて特に不審がられることもなく、こともなげに声の指示に従って歩くのだった。

 

 騎士の友人、アルフォンスの元へと。

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