灯火の鬼となる   作:零℃

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帰還と変化

ラウラが医務室に運ばれ数週間、灯夜を含め黒ウサギ隊のメンバーは千冬特製の地獄メニューをこなしながらラウラの帰りを待っていた

そして今日

 

「みんな、心配をかけた・・・ドイツ軍IS配備特殊部隊シュバルツェ・ハーゼ隊長ラウラ・ボーデヴィッヒ、ただいま帰還した!」

『お帰りなさい!隊長!』

 

ロビーにはシュバルツェ・ハーゼのメンバーがすべて集まり、ラウラの帰還を祝った

 

「さぁ!復帰してすぐではあるが訓練まで時間がないぞ!」

『はい!!』

 

久々の隊長の号令を聞き、気が引き締まる黒ウサギ隊のメンバーだったがラウラは灯夜がいないことが少し違和感だった

 

 

「ところで、灯夜はどこだ?」

「あぁ、灯夜はいま彼用のラファールが届いたのでテストをしています」

 

それを聞いた時ラウラはどこか安心し、そうか、と言った

 

 

 

一方そのころ灯夜は

 

「よし、あとは展開だけだな、柊!」

「はい」

 

灯夜は千冬に呼ばれると、運ばれてきた訓練機、ラファールに触れた

すると初めての時と同じようにラファールの情報が滝のように頭の中に流れ込んでくる、しかし不快感は全くない

そんな説明できない仕様に驚きながらも灯夜は二度目のISを展開した

 

「ほう・・・」

 

隣で千冬が感心したような声を上げた

 

「存外に似合っているぞ柊」

「それは褒めているのか?まぁいいが」

 

灯夜は珍しくも千冬に褒められ少しこそばゆい気持ちだが、悪い気はしなかった

 

「さぁ運用テストを始めるぞ、まずは飛行からだ、基礎学は私含め隊員たちから教えてもらっているから説明は不要だろう?」

「当たり前だ」

 

黒ウサギ隊のメンバーに教えてもらった基礎をしっかりと頭の中で復習しながら少しづつ地面から足を浮かせていく

 

「よし、そのままゆっくり飛行してみろ、まずは一分だ」

 

千冬の許可が下り、灯夜はゆっくりとまるで鳥のように地面から飛び立った

 

「おぉ、これは・・・良いな」

 

灯夜の体が風を切り、冬前の少し寒くも心地が良い風が灯夜の体を撫でる

隣で悠々自適に飛ぶ鳥にあいさつをし、改めて自分がいま飛んでいるのだと実感する

かつて自分が夢見た空を自分が飛んでいるのだと考えるととても心地が良い

 

『柊、そろそろ一分だ、降りてこい』

 

いきなり耳元で千冬の声がし、少し驚く灯夜だったが指示通りゆっくりと速度を落とし、地上へ帰還する

 

「空を感じた感想を聞いても?」

「あぁ、これは良いものだな、まるで鳥になった気分だ、もし戦争がない世界だったらこれに乗って宇宙にでも行きたいものだな」

 

宇宙、という言葉に少し眉を震わせた千冬だったが、灯夜にはその意味はわからなかった

 

「宇宙か・・・そうだな、行けると・・・良いな」

 

千冬のその背中が、やけに悲しそうに見えた灯夜だった

 

「姐さん・・・?」

「いや、何でもない、さて、次は武装のチェックだ、忙しいぞ?」

 

その後もテストは続き、終わるころにはもう日が沈んでいた

 

「はぁ・・・どれだけテストすれば気が済むんだ、全く」

「まぁお前は人類初の男性IS操縦者だからな、いろいろ勝手が違うのだよ、苦労をかけるが頼む」

 

千冬ははにかみながら灯夜に言った、その顔がなんだか本当の姉に言われているようで気恥ずかしかった

 

テストを終えてしばらく灯夜は自室で次に合わせるコーヒー豆のブレンドを考えながらゆったりと過ごしていた、すると扉からコンコンとノックの音が聞こえてくる

 

「灯夜、私だ、話したいことがあるから入っても良いか?」

「ラウラか?あぁ、良いぞ」

 

声の主はラウラだったが、今までの低めの声ではなく、一般的な女性の少し高めの声だったため、少し違和感があった

 

「入るぞ」

 

ラウラはいつもどおり軍服姿だったが、どこかいつもとは違う心に余裕を持ったかのような雰囲気を纏っていた

 

「要件は?」

「まずはIS初稼働おめでとう、これからも我が隊員として奮闘してほしい、それとありがとう、私は自分を見失っていたが君のおかげで自分自身を見つけることができたよ、やはり私は私だ、価値はこれからつけていく、教官になろうとするのではなくあの人に習い、学び、あの人を超えようと思う。だから見ていてほしい」

 

ラウラの顔には以前のような暗く鉛のような影はなく、どこか晴れやかな表情だった。

 

「そうか、俺も一人の隊員として奮闘することを誓おう、だからこれからもよろしく頼む」

「これから、これからか・・・ふふふ」

 

ラウラはどこか不敵な笑みを浮かべながら静かに笑っていたが、灯夜には何故ラウラが笑っているのかわからなかった

 

「何故笑っているんだ?」

「ん?いやいいんだ、何でもない」

 

そのころ扉の前では・・・

 

「(副隊長!!これはフラグが立ったというやつでは・・・!?)」

「(まだ早まるな!このフラグは後々新しいヒロインに主人公を攫われるタイプのフラグだ・・・!だからまだ副隊長のとの百合エンドはあるハズ・・・!)」

 

そんな会話を聞きながら血涙を流す副隊長がいたことを灯夜とラウラの二人はまだ知らない

 

 

 

 

 

亡国機業side

 

「スコール様!」

「何?騒がしいわね」

 

月明かりの下、医師に包帯を取ってもらいながらスコールは部下からの報告を聞く、その姿は数週間前のボロボロの状態からは打って変わって傷ひとつない完璧な姿であり、けがをしていたという事実さえも感じさせない

 

「実験体の足がかりが掴めました」

「それは本当!?いったいどこに!?」

 

スコールは目を見開いて渡された資料に目を通した

 

「我が調査員の報告によるとドイツのある部隊基地に国名義でラファールが一機配備されたようです、しかも通常の機体とは違い性能がブーストされているようです」

「ドイツね、また厄介な場所に・・・でも必ず取り戻してあげるわ・・・私の灯夜」

 

スコールは目の前に研究員がいるにもかかわらず身をよじらせ発情しだした、気まずくなったのか研究員はそそくさとその場を後にした

 

「さて・・・行きましょうか、私の灯夜を取り戻しに、亡国機業(ファントムタスク)の総力をもって攻め込みましょう」

 

その部屋にはスコールの不敵な笑みが響いていた

 

 

 

 

 

 

 

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