ぶるーずの幻想郷生活   作:KUYU

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にじさんじにハマっており、特に好きなぶるーず三人のオフコラボ配信を見て急に書きたくなりました。


【序章:楽園に舞い降りたぶるーず】
1.目覚めは見知らぬ森


 青年は目を覚ました。

 

 まず目に入ったのは透き通った空。

 次に生い茂った木。

 そしてさっきから自分の背に触れている草。

 

 この三つの情報で青年は今の状態に気付く。

 

「……寝てたのか」

 

 自分が何故寝ているのか分からない青年は、体を起こそうと上半身に力を込める。

 しかし力を込めて起きようとしても一向に体が動かない。いや実際には腕が動かせない。

 

 それもその筈。青年の腕には……

 

「プリン……」

「頭でかくないぞぉ……」

 

 幸せそうな顔をしながら寝言を言う青髪の少女と、眉を顰めながら寝言を言う白髪の少女が、それぞれ両腕に乗っかっていた。

 

「よく寝てるなぁ」

 

 そんな二人を見て呟きながら青年は首だけを起こす。

 

 辺り一面木だらけ、建物も一切無く人影も無い。

 

「さっきまで横断歩道を渡ってた筈なんだけど、何故自然の真ん中に?」

 

 青年は考える。自分達が何故こんな場所にいるのか。

 

「そもそも渡る途中から記憶が無いのが引っ掛かる。もし事故にあったとしてもいるのは病院だろうし、これを夢だとするなら物に触れているという実感がある時点でおかしい」

「何がおかしいの?」

 

 ぼそぼそ呟きながら考えている青年の思考を途切るかのように、可愛らしい声がふにゃふにゃになりながらも質問する。

 声の発生源は白髪の少女のようだ。

 

「気が付いた?」

「うん……まだ頭が上手く回ってないけど」

「まぁ寝起きだしね」

 

 次いでに青年が「退いて貰えるとありがたいんだけど」と言うと白髪の少女は伏せた状態から横に転がり、青年の左腕を解放してくれた。

 

「そういえばまゆくん」

「何?」

「ここ何処?」

 

 青年に質問しながら立ち上がり、ちょっとフラフラしながらも白髪の少女は半目で見渡す。

 勿論白髪の少女が訊いた質問に対する回答は俺も分からないである。

 

 そんな二人を横に今度は呑気な欠伸と共に青髪の少女が目を覚ます。

 

「あれ?私いつの間に寝てたの?」

 

 若干ふにゃふにゃになりながらも溌剌(はつらつ)とした声が二人の耳に入る。それと同時に二人は青髪の少女に目を向けた。

 

「ういはちゃんも起きたね」

「アルスさんに(まゆずみ)さん?」

 

 青髪の少女ういはは今の状況が分かってないのか、目をぱちくりさせながら二人を交互に見る。

 そんな様子を見た青年黛は仕方ないとばかりに答える。

 

「どうやら俺達、いつの間にか此処で寝てたみたい」

「えっ?此処でですか!?」

「そう此処で」

「自然で!?」

「自然で」

「森みたいな場所で!?」

「森みたいな場所で」

「草木で!?」

「草木で……っていちいち呼び方変える必要ある?」

 

 途中まで気にしてなかった黛も、ういはのころころ変える呼び方が流石に気になってしまい指摘する。

 そもそも何故呼び方を変えるのだろうか。

 

 取り敢えず先程から寝転んだままの黛は、ういはに腕から退いてもらうように言うと、立ち上がって退いてくれた。

 それに続くように黛も立ち上がった。

 

「まあ此処にいる理由は分からないけど、今はそんな事考えてる余裕は無いと思う」

「どういうこと?」

「へ?」

 

 白髪の少女アルスは黛の言葉に首を傾げる。それを真似るかのようにういはも同じ行動をとる。

 

「もし今起きてる事が現実だとしたら、食料や水といった生活に必要なものが無い。そうなると俺達はいずれ餓死とかすると思う」

「ハイ!」

 

 アルスが勢いよく手を挙げる。

 恐らく質問だろうと黛はどうぞと一言。

 

「此処が現実だと思う根拠は?」

 

 当たり前の質問だった。

 当然といえば当然だろう。そもそも三人はこんな場所に来た事も見た事も無い。なのにどうしてここで寝ていたのか。

 そんな単純な疑問に黛は答えるかのように二人の肩に手を置いた。

 

「今俺が二人の肩に触れてるけど、その触れられてるという感覚が二人にはある?」

「あります」

「あるね」

「その感覚があるという事は少なくとも夢では無いということ。そして俺達は此処に来る前に三人でコンビニに向かっていた」

 

 そこまで言った黛にアルスはぴんと来たのかそういう事かと声を上げた。

 

「つまり三人一緒だったという事が同じ。そして最後に……」

 

 そう言って黛は白黒の上着のポケットから何かを取り出す。

 それは……

 

「なんで手錠を持ってるんだよ!?」

「勿論もう片方のポケットにも入ってる」

 

 手の空いた左手でポケットに突っ込み、そしてもう一つの手錠を取り出した。

 

「そんな情報いらないよ!」

「その手錠ってあの時の?」

「そうあの時のなんだけど、会社から出る時に面白半分で持ってきたんだよね」

「えぇ……」

 

 なんだこいつと言わんばかりな目をアルスから向けられる。それと対称的にういはは何故か納得してるようで、「そういう時もありますよね、黛さんって」と頷いていた。

 

「ほんの数分前にやった事が起きてると考えれば、此処が現実だという事が分かる」

「いやまあそうだとして、これからどうするの?」

「生活できそうな場所を探したり、食料を確保する事が重要かな」

 

 そう言うと黛はトコトコ歩き始める。

 それに並ぶようにアルスとういはも着いて来る。

 未知なる場所なのだからこういう時は一緒に動かないと危険であり、二人はそれぐらい言わずとも分かっているようだ。

 

 黛はふと気になる事があり、携帯を取り出す。

 時間は十二時半、まだ真昼だ。

 自分達が会社から出たのは十二時十分。あまり時間が経ってないのに何故自分達は見知らぬ場所のいるんだろう。

 そんな疑問が黛の頭から離れなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……人?」

 

 遥か上空から三人を眺める少女がいた。

 赤いヘアバンドを付けた金髪を風に(なび)かせながら、三人が歩く姿を凝視する。

 

「人里から来たのかしら?それにしては随分変わった格好をしているし……」

 

 リボンで結ばれた本を抱えながら下に見える三人について頭を捻る。

 

「普通の人は魔法の森に行こうと思わないし、もしかして外から迷い込んだのかな」

 

 その考えに至った少女は「よし」と小さく呟き、三人の後を着いて行った。

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