いつの間にかにじさんじ小説の中ではお気に入り数が多い方になってて、書き始めた頃はこうなるとは思ってなかったですね。
第十一話始まるよ。
先程お気楽な感じの性格とは一変し、目の前にいる青い地獄の女神へカーティア・ラピスラズリは、少々弱々しくも大きな声でぶるーず三人に挨拶をした。
そのあまりの変貌っぷりに三人とも驚きのあまり口が開く。
「あ、あれ?どうして皆口を開けてるの……」
そんな三人を見てかへカーティアはおろおろし始める。先程のへカーティアと同一人物なのだろうか。
「まぁこうなるよね」
やれやれと言わんばかりに、アリスは半目でその状態を見詰めながら人形に針糸を通す。
「……性格も変わるんだね」
「はい、変わりますよ……ってもしかして赤い私はその事について何も言わなかったんですか!?」
「特に詳しい事はなにも」
「えぇ〜……説明全て私に丸投げですか……」
驚いた顔からいつも通り目つきの悪い顔へと戻った黛の言葉に、へカーティアは項垂れる。
「ほんと赤い私は大事な事を言い忘れますね……黄色い私も無口ですし……」
ぶつぶつとへカーティアは他の自分に対しての愚痴を零す。そんな愚痴を零す姿を見て黛は一瞬で理解する。
これは気苦労するタイプだと。
「へカーティアさん」
「はい、何でしょうか?」
「赤い方は何処に行ったの?」
アルスの疑問は当然だ。
先程まで赤いへカーティアがそこにいた。しかし今は青いへカーティアがそこにいる。赤いへカーティアが何処に行ったのか疑問になるだろう。
「えっと……私達はそれぞれ地球、月、異界の三つの場所にいてね。青い私は地球の地獄の管理、黄色い私は月の地獄の管理、そして赤い私は異界の……まあここでは幻想郷のかな。そこの地獄の管理をしているのよ」
「じ、地獄の管理?」
「そう地獄の管理。私達は地獄の女神だから管理しなきゃいけないのよ」
女神という言葉を聞いて、アルスは少々嫌な顔をしながらえぇと声を漏らした。
「……あの、なんで嫌そうな反応なの?」
「アルスの気持ちも理解できるね」
「どういう事?」
「神様にろくな奴いない。という事かな」
黛がアルスの思いを代弁するように伝える。
これにも少々訳があり、にじさんじにも神様が数名いるのだが、ボーイズラブの本が好きな神がいたり、発言が少々サイコパスな神がいたり、とあるロボットアニメが大好きな神がいたりと、まともな神様がいないのだ。
だからこそ神と聞いてアルスが嫌な顔をする訳である。
「ろくな奴……って私をにじさんじにいる神と一緒にしないで!?おかしいのはあそこだけだから!?」
「どうかな──」
へカーティアに言葉を返そうとした黛は、途中で声が詰まる。
へカーティアには自分達の、ましてやにじさんじの事について何も言っていない。のにも関わらず、先程からへカーティアはにじさんじについて知っているような口振りをしたのだ。
黛は思わずへカーティアを睨む。
「あ、あの睨まないで。別にストーカーとかそういう悪意は無いから」
両手を横にブンブンと振りながらへカーティアは敵意が無い事を示す。黛が睨む理由を理解しているようだ。
「何故俺達の事を知っているのかな?」
「それは……動画で見てたもの。あなた達を」
それを言われて黛は何かに気付いたのか、俯かせていた顔を上げて成程ねと確信を持った声色で言った。
するとその声に反応したのか、ういはが遅れながらも我に返り、何故かへカーティアを見詰め始める。
「私は地球担当の地獄の女神。だから配信活動をしていたあなた達を知ってるのも、なんらおかしくないでしょ?」
青いへカーティアは地球の地獄を管理する女神。
そんな女神が地球の事情を知らない訳が無い。
「……話が大分逸れちゃったけど、赤い私と青い私は今いる場所を入れ替えてるの」
「入れ替え?じゃあ赤い方は今地球にいるって事?」
アルスの返答に小さく頷くへカーティア。
そんな瞬時に場所を変える事ができるのだろうか。
「……それでういは。さっきから何を見つめてるのかな?」
先程からずっとへカーティアを見詰めているういはが、流石に気になったのか黛が触れる。
「へカーティアさんのスカートが凄い派手と思いまして」
「え、そこ?」
意外過ぎる答えにアルスは思わずういはに顔を向ける。
よく見るとういはの目線はへカーティアの顔より下に向いており、再びアルスはその目線を辿るようにへカーティアへと目を向けた。
「このスカートそんなに派手かな?」
そう言ってへカーティアは自分のスカートに顔を向ける。
濃ゆい緑・赤・青の三色カラーに黒いチェックの入った、裾が黒いフリルとレースという、普通の人は着なさそうなミニスカートだ。
どう考えても人目に付きそうな配色なのだが。
「はい、派手です」
「派手と言うより……独特かな」
「え、ダサくない?」
「折角人がオブラートに包んだのに躊躇なく言うね」
ういはが単純に答えたのに対し、黛とアルスの二人はダサい──黛はオブラートにだが──と率直な感想を述べた。
「だ、ダサい……」
地面に両肘、両膝を着いてその場に倒れ込むへカーティア。
相当傷付いたのだろう。
「え、ダサいですか?」
「うん、ダサいね」
「なんならシャツもダサいまである」
ぶるーずからの精神的攻撃──当の本人達は悪意無し──にへカーティアは自分の周りに黒く淀んだオーラを纏い始める。
神様だからできる感情表現なのだろうか。
「やめて……死体蹴りしないで……」
「じゃあその屍は越えさせて貰おうかな」
「比喩表現よ!?私死んでないから!?」
先程からぶるーずにあれこれ言われてるへカーティアだが、これでも神様である。
「女神に対してもその態度。あなた達相当この世界に染まってるよ」
「ありがとうございます」
パチュリーから褒めてるのか貶してるのか分からない言葉が投げられ、それに対して何故かお礼を返すういは。
その言葉の意味を理解してるのだろうか。
「……その返しはおかしくない?」
「そうですか?」
「……この三人が幻想郷に迷い込んだのも納得できるわ」
常識的な話をしようと、ういはからの反応が余りにも常識とはかけ離れてる為、パチュリーはその事について話すのを止め、机に置いてあるカップを再び取る。
そんなパチュリーを見てアリスは同情なのか、少々苦笑いを見せる。
「結構精神にくるわね……それよりもなんであなた達が幻想郷に?」
先程までの凹みは何処へ行ったのか。へカーティアはスっと立ち上がり、両手を腰に当てながら疑問をぶるーずに投げた。
ぶるーずの存在を知っているからこその疑問であろう。
「……詳しくは分かんないけど、まゆくんが言うにはボク達は死んだ後此処に来たみたい」
「死んだ後?」
アルスの言葉に一瞬目を丸くしながらも、へカーティアは続けてという意味を含んだ言葉を返す。
「……一応俺の能力でいろんな情報を読み取る事ができるけど、俺達三人はどうやら死んだ後に此処に流れ着いたという情報がある」
「死んだ後ね……確かに幻想郷では存在を忘れ去られた者や亡くなった者の魂が流れてくるのはあるけど、そんな事が──」
「そういえば言い忘れてたけど」
パタンと本を閉じながらへカーティアの声を遮るように、パチュリーが大きな声を出す。
「そこの魔法陣から二人、あなた達の関係者が来たわ」
そう言いながらアリスの家の横にある藍色の魔法陣に向けて指を差すパチュリー。
その言葉を聞いてぶるーずの三人はバッと顔をパチュリーにへと向ける。
「え!?誰が来ましたか!?」
一気にパチュリーに詰め寄るういは。
これには流石のパチュリーも驚いたのか、少々頭を退けた。
「誰って、白と青の何処かの皇女と錬金術師と名乗ってた赤い人ね」
パチュリーから来た人の特徴を聞いてぶるーずの三人は互いに顔を見合わせる。
恐らく誰が来たのか分かったのだろう。
「因みにその二人は今何処にいるのかな?」
「確か此処から見て人里の左側の森に行ったわ。もしかしたら迷いの竹林にいるかもしれないわね」
「「「えっ?」」」
珍しくハモるぶるーず。
「まゆくん!早く探さないとまずいよ!」
「奇遇だね。俺も今思ってた」
「迷いの竹林ってあの迷子になる竹林ですよね」
ういはの言葉に小さく頷いた黛は、直ぐさま宙に浮き始める。
「それ便利ね。周りの空気を吸って下に排出するその靴」
アリスが黛の履いている黒い靴を見ながら、出来上がった人形を机に置く。
「まあういはとアルスの助力がなかったら作れてなかったね」
「ホントにういはの能力は便利で危険ね。能力の使い方を間違えないように」
少し微笑みながらもアリスはしっかり注意を促し、それに対して黛もしっかり頷く。
宙に浮く黛に続いてういはとアルスも宙に浮き、黛の隣へと移動する。
「ちょっと待って!」
へカーティアが宙に浮くぶるーずに向けて呼び掛け、それを聞いて三人とも声のする方向へと顔を向ける。
「私も着いて行っていいかしら?」
「……理由を聞いてもいいかな?」
思いもせぬ言葉がへカーティアから飛び、すかさず黛が理由を訊く。
「理由はただ一つ。あなた達が心配だから」
「……それだけかな?」
へカーティアが心配という理由は、現代にいた者が幻想郷でしっかり生きていけるかというのもあるが、もう一つ理由があると踏んだ黛は、他に理由があるだろうという意味を含めた返しをする。
「……いいえ。あなた達のファンだからこそ着いて行きたいという思いがあるわ。一ファンとしてあなた達の安否が心配なのよ」
どうやら青いへカーティアはぶるーずのリスナー、元いファンのようだ。確かにファンならば推しの安否は心配するもの。
だからといってそう易々と一緒に着いて行かせるのは別である。
「黛さん」
どうしますかと言わんばかりの言葉を投げるういは。
その言葉を聞いてか黛はいいよとだけ返し、空へと飛び始める。
それに続くようにういはとアルスも後へ続き、へカーティアもありがとうとだけ返して空へと飛んだ。
「……騒がしい人達ね」
四人が視界から消えるのを確認してパチュリーが、被っていた薄紫色のドアキャップのような帽子を片手で取り、机に置く。
「そうね」
作ったばかりの人形を自分の頭の上で浮かしながら、同意するようにアリスも言う。
「だけど、退屈はしないでしょ?」
「……そうね」
そうやって二人は少々微笑む。
二人の静かなお茶会はまだまだこれからである。
区別がつかなくなりそうかなと思い、へカーティアの性格をそれぞれ分けてみたんですけど、キャラ崩壊してますよねこれ……
~プチ劇場③~
霞「私、あんまり戦いとかしないから拳銃の使い方がイマイチなんだよね」
黛「じゃあ俺が教えようか?」
霞「……なんか黛に教えられるのはやだな~」
黛「じゃあういはに教えて貰ったらどうかな。この前拳銃四丁を空中に浮かせながら撃ってたし」
霞「いやそれどういう使い方してるの!?」
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